L:長距離輸送システムの開発 = {
 t:名称 = 長距離輸送システムの開発(イベント)
 t:要点 = 列車,ディーゼル機関車
 t:周辺環境 = 駅
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *長距離輸送システムの開発のイベントカテゴリ = ,,,藩国イベント。
  *長距離輸送システムの開発の位置づけ = ,,,生産イベント。
  *長距離輸送システムの開発の内容 = ,,,このイベントを取得した国は、その国独自の長距離輸送システム(施設)の一路線を得ることができる。
 }
 t:→次のアイドレス = なし


L:でぃ~グル号 = {
 t:名称 = でぃ~グル号(施設)
 t:要点 = 列車,ディーゼル機関車
 t:周辺環境 = 駅,よんた藩国
 t:評価 = 装甲2
 t:特殊 = {
  *でぃ~グル号の施設カテゴリ = ,,国家施設。
  *でぃ~グル号の位置づけ = ,,輸送施設。
  *でぃ~グル号の面積 = ,,4000m2。
  *でぃ~グル号の航路数 = ,,1ターンにNW-レムーリア間の1航路の往復移動ができる。この航路は変更できない。
  *でぃ~グル号の輸送力 = ,,{4000人/機または200万t}の輸送力を持つ。
  *でぃ~グル号の人機数 = ,,100人機。
 }
 t:→次のアイドレス = 別路線の敷設(イベント),銀河鉄道の開発(イベント)





でぃ~グル号改修計画の発端


燃料や資源の乏しいよんた藩国において、それらの安定した供給手段の確立は軍事経済両面から国の命運をも左右しうる重大案件であった。
燃料についてはFVB主導で設立された宇宙開発グループが、低価格での安定供給を手掛けており、よんた藩国でもかろうじて必要量の確保が出来ていた。

しかし、資源の供給についてはよんた藩国だけでなく帝國全土においてやや不安要素の多いものであった。
そして数少ない資源採掘地であるレムーリアは輸送手段が限られていた。
さらに採掘地域の住民との軋轢も表面化し始めていた。

これらを解決する方法として、レムーリアでの資源採掘を行ってきたよんた藩国は一つの案を提案した。

長距離輸送システムとして運行中のディーゼル機関車「でぃ~グル号」の改修、そして輸送量の増加であった。


輸送量が増えれば市場への供給量も増え、安定した価格での供給が可能になる。
輸送量に余裕があれば、採掘地域への代金として物資を送ることも可能になる。

このような政治的判断もあり、でぃ~グル号の再開発は始まった。


/*/


「さて、今日皆に集まってもらったのは、他でもない」

陽光の差し込まない薄暗い暗い室内には、数名の男女が円卓に座っていた。
議長とおぼしき男が、咳払いをし言葉を続ける。

「でぃ~グル号の再開発計画について、だ。
 既にかなりの額の予算が下りている。むろん無限というわけではない。
 我々は限られた予算と設備で、この計画を実現可能なものにせねばならない」

議長は周囲を見回したまま告げた。

「現在のでぃ~グル号の性能や前提条件、開発経緯については事前に配布した資料にまとめてある。
 さて、早速だが諸君らにその責務を果たしてもらおう。まずは動力についてだ。」

発言を聞いた別の男が立ち上がった。

「藩国およびニューワールド内での動力は、現在使用しているディーゼルエンジンを用いることがよいかと思います」

「地下鉄で使用している電気鉄道を用いることはできないのか?
 環境改善計画がようやく終わったところだ。環境面に悪影響があるなら避けねばならないだろう」

間髪いれずに議長が切りだした。

「電気鉄道を使用すること自体は不可能ではありませんが、電気を使用する以上、電線や変電設備が必要になります。
 これらの設置には多くの時間と資金が必要になります。
 さらに前提である資源の運搬に使用されるクレーンなど他の設備の障害となることが考えられ、推奨できません」

一呼吸おいて、さらに男が続ける。

「次に環境面ですが、BTL燃料など合成油を使用することで排気の低公害化が可能です。
 ディーゼルエンジンは騒音が多少出ますが、消音機や防音スカート、防音壁の設置で問題ないレベルまで落とせるはずです」

「―――なるほど」

議長の頷きと共に男が着席する。
ここまでは事前に用意されていたのだろう。

「ところで」

別の男が資料を見ながら発言を始めた。

「資料によると『理力機関は廃止の方向』とあるが、廃止してしまって大丈夫なものなのかね?
 レムーリアでは機械が動かないと聞く。いくら藩国内での輸送力が増えてもレムーリアで使えないのでは目的の達成とは言えんだろう」

会議室に重苦しい沈黙が流れる。
沈黙を破ったのは、末席にいた一人の青年だった。

「いっそのこと馬車鉄道にしてしまっては、どうでしょう」

聞きなれない単語に、誰も反応できないでいると、慌てたように説明しだした。

「あぁ、ええと。今のでぃ~グル号は理力機関とそれを補助するための馬による牽引でレムーリアを運行しています。
 それを馬の牽引のみで動かしてしまってはどうか、と」

「…ふむ。でぃ~グル号は長大だ。乗客や資源を乗せることを考えるとかなりの重量だが、馬が引けるものなのかね?」

「そのままでは無理だと思います。なので」

「なので?」

「分割します。車両ごとに。
 下はレールなので、車体重量にも寄るでしょうが、数頭の馬で牽引可能だと思われます」

「馬のみでは採掘場までの、長距離移動は無理があるのではないかね?」

「はい。なので、昔の早馬と同じシステム。
 つまり、馬の走る距離は短くし、そのうえで往路復路を同じ馬が走るようにするんです。ちょうど荷物リレーみたいに」

「レムーリアへ入る前に分割し、馬による牽引のみで運行する。ということだね?」

「はい。レムーリア前の駅にて先頭の機関車を切り離し、2両目に馬をつなぎます。
 この時に2両目と3両目を先に切り離しておけば、2両目が動き出したあとすぐに3両目に馬をつなぐことが出来ます。
 同じ要領で全ての車両を切り離し、レムーリアへと向かいます。
 その駅に車庫を用意し、切り離された機関車を整備保管しておけば、逆にレムーリアから来た車両をその駅で結合し、さらに機関車に接続し藩国へ運行することが出来ます」

「そのシステムの問題は?」

「線路は従来のものを使用できますが、レムーリア側で駅の大量増設が必要になります。
 一頭あたりの走行距離を短くする以上、運行に必要な頭数も増えてしまいます。
 また、各駅に馬を飼育する施設が必要になるので人手も必要になります。
 治安の面から考えて警備の人員も相当数必要になると考えられます」

「人手については現地の人間を雇うことを視野に入れて考えれば不可能ではないだろう。
 なるほど、面白い案だ。君の案を基本に計画を進めることにしよう」

緊張していたのか、顔をやや紅潮させていた青年は、議長の言葉を聞いて小さくガッツポーズをとった。


鉄道馬車


レムーリアでは馬を動力として鉄道を走る馬車鉄道が使用される。

馬車鉄道(ばしゃてつどう)とは、馬が線路の上を走る車を引く鉄道である。
4頭/コンテナを基数としており、車両毎に分割されたでぃ~グル号を安定した速度で運航することが可能である。
馬の疲労軽減や荷物の安定の為にバネによるサスペンションが設けられている。

数キロ毎に駅に該当する馬場が設けられており、各駅間の保安や馬、馬具などの交換が行われている。



使用する馬の種類はペルシュロンとする。
ペルシュロンは足が短く、胴が太い。体高(肩までの高さ)は160-170cmで大きなものでは2mを超える。体重は1トンにもなりサラブレッドの倍ほどにもなる。性格はおとなしく鈍重だが、非常に力が強く、馬によっては10馬力以上の力を発揮する。


車体


車体は、機関車両と客車両・貨物車両で使われる素材が違っている。

機関車両は加工しやすさと軽量であることから、主にアルミニウム合金が使用されている。

客車両・貨物車両は、低物理域であるレムーリアへ運行することから、2種類のものが用意された。
レムーリアへ向かう車両は主に木材を使用し、ニューワールド内でのみ運行する車両には機関車両と同じように、アルミニウム合金を主原料としている。

機関部の防音対策として、遮音材による防音や機関室の密閉、大型排気消音器の採用、送風ファンの形式変更、外観上の特徴でもある足回りの防音スカートの装着などの改良がなされた。
また、貨物列車を操車場で組替えながら、貨車を継送し貨物を取扱う各駅で貨車を解結していくヤード輸送方式が取られ、その能動的な運用は各車両の分割輸送でも高い効率性を発揮した。


燃料


エミッション低減の足かせとなる鉱物油由来の天然燃料に代わり、次世代のディーゼル燃料としてGTL(Gas To Liquid、ガス・トゥー・リキッド)、BTL(Biomass To Liquid、バイオマス・トゥー・リキッド)、CTL(Coal To Liquid、コール・トゥー・リキッド)等の合成油を使用している。これらの燃料は、単体で、あるいは軽油に混合してディーゼルエンジンに使用することで、排ガスでは低公害化が期待できる。
これらの合成油は、高セタン価燃料であるため、単体専用ディーゼルエンジンとしてなら、エネルギー効率を上げ低燃費化できるのも利点である。

なお、レムーリアでの燃料費として、多くの穀類やニンジンが計上されている。


コンテナ


コンテナは強度があり、耐久性も高く、規格化され、積み上げることや切断することができ、移動可能で、他の輸送機関への積み替えが容易で、操車場での複雑な貨車の組み替えも不要。などの理由から拠点間直行輸送を主体とするよんた藩国では、鉄道貨物輸送の主流を占めている。
コンテナ車を連ねた長大なでぃ~グル号においては、コンテナを1段に積載する。
海上輸送可能な船舶積載時の吊り上げ荷役に使用する隅金具を装備している。


湾岸貨物輸送基地


工業地区と船舶輸送の観点から、藩国内の輸送基地は埠頭に設置された。
コンテナ船が接岸してコンテナを積み卸しする専用の岸壁を備え、これらのコンテナを運搬・保管する固定施設(コンテナヤード、管理棟、ターミナルゲート、コンテナフレートステーション、メンテナンスショップなど)、および荷役用可動施設(ガントリークレーン、トランスファークレーン、ストラドルキャリアなど)で構成される。

効率的な運用方法として、着発線荷役方式 (E&S) の採用など荷役の効率化・迅速化や利便性向上にも取り組んでいる。
着発線荷役方式とは、貨物駅において貨物列車が発着する本線(着発線)部分にコンテナホームを設けてコンテナの荷役作業を行う方式である。E&S方式ともいう。

貨物の積卸を荷役(にやく)という。コンテナターミナルの岸壁には「ガントリークレーン」が設置され、コンテナの積み卸しを効率的に行なっている。
でぃ~グル号が到着すると5-7台のガントリークレーンが同時に働いて積み下ろしが行われる。


荷票・車票


荷票・車票とは、送り先や積載列車番号・中継駅など、荷役担当者の作業に必要な情報が記されたものである。
荷役を円滑に行うために、空コンテナを除く全てのコンテナに付けられている。

  • 放射性物質表示票:白地に赤色で印刷されている。放射性物質を積載した貨車に使用する。
  • 火薬表示票:白地に赤色で印刷されている。火薬類を積載した貨車に使用する。
  • 連結注意表示票:白地に赤色で印刷されている。車扱の圧縮ガスまたは液化ガスを積載した貨車車扱の揮発油・二硫化炭素・甲種の硝酸を積載した貨車(タンク車を除く)、四アルキル鉛含有の製剤を積載した貨車、タンク入り密封のカーバイドを積載した貨車、付添人が乗る貨車に使用する。
  • 危険品表示票:白地に赤色で印刷されている。危険品車票を使用する場合であって、連結注意表示票を使用しないときに使用する。
  • 列車指定表示票:白地に緑色で印刷されている。上記の表示票を使用しない場合であって連結する列車を指定するときに使用する。

また、速達性を求められる荷物には「急送品荷票」を付して優先的に積載する等の工夫がされている。
いずれの種類の表示票にも、「区間」の欄と「日付及び列車」の欄が設けられている。
「区間」の欄には貨物取扱駅コードを記入し、「日付及び列車」の欄には月日と列車番号を記入し、コードで表わされた駅から指定の日付の指定の列車に連結することを指示する。


乗員・作業員


業種は大きく分けて「運行管理」と「接客」に分かれる。

運行管理には、運転士や車掌などのほか、整備士や清掃員もこちらに含まれる。
他に、運行ダイヤの管制や線路の保守・修理などを行う人員もこちらに含まれる。
彼らの業務は列車事故につながるものも多いため、専用の資格を必要とするものが多い。
特に花形ともいえる運転士・車掌の資格は、厳しい試験のほかにも業務経験が必要となっており、簡単に取得できるものではない。

接客は、駅での案内係や客室乗務員を指す。
レムーリアまでの道のりは長いため、客室では弁当などを販売しており、その売り子は客室乗務員の代表的存在である。
客室乗務員の制服は、黒に近い紺を基調とした上下に、でぃ~グルをイメージしたスカーフを首に巻いたものである。
よんた藩国が寒い地方のため、黒のタイツも支給されているが着用するかどうかは個人の好みとされている。


※オンマウスで画像が変わります





でぃ~グルの車窓から


がたん、ごとん、がたん――――

車内に響く単調な音と揺れは、物思いにふけるにはちょうどいいBGMである。
一部の人にとっては、夢の世界へまっしぐらなBGMとなる。

ここはよんた藩国の所有する長距離輸送システム「でぃ~グル号」の車内である。
そんなBGMを聞きながら車窓の移り変わる景色覗いている、一人の若い女性がいた。
今がよんた藩国では短い、暖かい季節のため北国ではあるが彼女は軽装であった。

その視線は無意識に流れる風景を追ってはいるが、“視て”いるわけではなかった。
その姿はどこか儚げで、窓枠で仕切られた額縁の中の絵のようだった。

「すみません。少し、よろしいですか?」

突然、誰かに話しかけられたために、彼女ははっと現実に戻ってくる。
話しかけたのは若い男である。青年と言っていい年頃である。首に大きなカメラを携えている。

「えと…、少しお話させていただいても、よろしいでしょうか?」

男は緊張した面持ちである。

「…あ。はい。なんでしょうか?」
「その…、ちょっと言いにくいのですが、お願いがありまして…」

男は主に鉄道を撮影するカメラマンとのことである。
普段は列車が走る風景を撮影しているのだが、今日は車内からの風景を撮るためにこの列車に乗り込んでいたのだという。

「自分で言うのも少し恥ずかしいんですが、もしよければこれを。
 結構前のものなんですが、雑誌で使っていただいたことがありまして」

男が差し出した雑誌には、鉄橋を渡るでぃ~グル号の写真が白黒ではあったが大きく掲載されていた。


写真の下には小さく名前が載っていた。
男の名はロバートというらしい。

「写真にはあまり詳しくないのですが…綺麗な風景ですね」
「あ、ありがとうございます」

男はまだ緊張しているようで、動きが少し、ぎこちない。

「それで…お願いとはなんでしょうか?」
「え? あ! すみません、思いっきり話がそれてましたね。
 昔からよく言われてたんです、お前が話し出すとすぐ脱線するって」

男は一度、深呼吸をしてから話し始めた。

「ええと、あなたの写真を一枚、撮らせてはいただけないでしょうか?」
「私の…ですか?」

彼女は不思議そうにしている。
男は恥ずかしそうにしている。

「車内からの風景を撮りに来たんですが、『車内の風景』も撮ってみたいなと常々思っていたんです。
 でも、ずっと外から撮っていたのでどこをどういう風に撮ればいいのかわからなくて。
 それに、これまで人を写すことをほとんどしてこなかったので、人の居る車内をどう撮ればいいかをまったく知らないのに気づいたんです。
 そこまで考えたら…」

男は小声で言った。
どうすればいいのかわからなくなってしまった、と。

「もともと趣味の延長でやってたことなので、撮り方を誰かに教わったわけじゃなかったんです。
 そのせいか、変に悩んじゃって。一応、仕事仲間なんかに相談したんですが『撮りたいように撮ればいいよ』って。
 それが出来れば苦労はしないってのに」

言いきって男は苦笑を浮かべた。
その顔を見た彼女は、微笑みを返した。

「悩みを相談する時って、なかなか分かってもらえませんよね。
 親身になってくれる友達でも、今の自分の気持ちをちゃんと伝える事が出来ないと相談にもなりませんから」

彼女の言葉には、妙な説得力が感じられた。

「そうなんですよ!言葉だけじゃ気持ち全部伝えられなくて、それもまたもどかしくて…」
「ところで…どうして私の写真を撮りたいんでしょうか?」

話を遮られて、我に返る男。

「あれ、また脱線してしまってました。すみません…
 えっと…実はあなたがここに座った時から見てたんです」

はっとしてから、変な意味はないですよ!と男はあわてて付け加えた。

「なんとなくなんですけど、目に付いたというか、気になったというか。
 それで時々様子をうかがってたんですけど、窓の外ばかり見られてましたよね?」

ええ、と彼女は短く答えて、口を閉じてしまった。
その視線は車窓の景色を追っていた。

男の主観ではとても長い間が空いて、彼女は再び視線を男に向けた。

「私でよろしければ、一枚撮っていただけますか?」
「え。いいんですか?」
「はい。その代わりと言ってはなんですが、現像したものを一枚譲っていただけますか?」
「も、もちろんです!
 じゃ、じゃあ準備しますんで少し待ってください!」

あたふたと男は準備を始めた。
彼女は、物珍しそうにその光景を眺めていた。

ふと何かを思い出したのか、男は彼女に向き直った。

「あ。ところで、お名前うかがってもよろしいですか?」
「ゼノビアと言います。ゼノビア・クラレンス」


/*/


拝啓 ロバート様

寒さも一段と厳しくなってまいりましたが、風邪などひかれておりませんでしょうか?

鉄道写真コンクールでの優勝、おめでとうございます。
海上を走る列車の姿が、とても優雅で素晴らしいですね。
技術的なことは相変わらず分かりませんが、きっとあれからさらに腕を磨かれたのでしょうね。

先日の手紙に書かれていた件ですが、お引き受けいたします。
私の写った写真が大勢の方の目に触れるのは、少し恥ずかしい気もしています。
あの一枚は私にとってだけでなく、貴方にとっても大切な一枚になったことだと思います。
貴方の初めての個展に出したいという気持ちも、よくわかる気がします。

あの時、貴方に出会っていなければ、写真を撮ってもらうことを拒否していたら。
きっと今の幸せな生活は無かったのでしょう。

この手紙は横にあの写真を置いて書いているんです。
久しぶりに見たくなったので、アルバムから引っ張り出してきました。
不安で頭がいっぱいになってしまっていたせいか、たった一年ほど前のことなのに今見るととてもひどい顔のように思います。
でもきっと、これはあのときの貴方の腕も関係しているのでしょうね(笑)

この一枚の写真は、貴方の迷いだけでなく、私の迷いまでも切り取ってくれました。

声をかけていただいたこと、本当に感謝しています。
あのときのことは今でもよく覚えています。
貴方の様子から考えると、とても勇気の必要なことだったのでしょう。
今にして思えば、そんな貴方から決心する勇気をもらったのかもしれませんね。

それでは、個展を楽しみにしていますね。
お体にはお気を付け下さい。

敬具  

ゼノビア・ヒューズ


追伸。
個展の日程が決まったら、ぜひお知らせください。
主人が一度お会いしたいと常々申してますので、一緒に伺いたいと思っております。


/*/


手紙を書きあげ封をしたヒューズ夫人は、でぃ~グル号に乗った“彼女”をもう一度見てから手紙を出しに向かった。





イラスト:竿崎裕樹、坂下真砂、小野青空
テキスト:槙昌福、雷羅来