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「ザキヴ、嫉妬1」(2007/12/11 (火) 20:24:39) の最新版変更点
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<p><br>
センナについて、旅を始めたころは、ただ彼と旅をする事が喜びだった。<br>
自分は、変われるのかもしれないと、希望を持つこともできた。<br>
マゴス開放の源となる、マゴスへの恐怖さえなくす事ができた。<br>
何故なら、センナを、愛し始めたから。<br>
人を愛することで、ザギヴは、変わりつつあった。</p>
<p>だが、その愛が、ザキヴを苦しみ始めた。</p>
<p>センナは、その無限のソウルゆえか、性格ゆえか、多くの人に救いをもたらした。<br>
最初の頃は、そんな彼のことを頼もしく思えていた。<br>
だが、センナへの想いを自覚しはじめてから、そのことが苦しく思えてきた。</p>
<p>アトレイア王女は、もう目が見えるようになったんでしょう?<br>
それなのに、どうして彼女に会いに行くの?</p>
<p>クリュセイス、何で、あんな、あなたを嵌めた様な女と関わり続けるの?</p>
<p>フレア。あんな、人形、土に返せばいいじゃない。</p>
<p>お願い、センナ。ほかの女に、私以外の人に、微笑むことをやめて。<br>
救いの手を差し伸べないで。</p>
<p>そうしてくれないと、私が、救われない。</p>
<p>ずくん。</p>
<p>マゴスの鼓動。<br>
さいきん、再びマゴスが活性化してきた。理由は解っている。<br>
ザキヴの嫉妬心を糧に、マゴスは成長している。</p>
<p>「ん…あ…」<br>
ベッドの上で、ザキブが艶かしい声を上げている。<br>
はだけた浴衣から覗く乳房は陶器のようにしろく、美しい。<br>
その形のととのった乳房の上を、ザキブの細い指が這う。</p>
<p>胎内のマゴスが蠢くと、ザキブの体はどうしようもなく発情してしまう。<br>
体中が汗ばみ、目の焦点が合わなくなりる。<br>
子宮が熱を持ち始め、どこに軽く触れるだけでも腰が立たなくなる。</p>
<p>体の熱を治めるため、ザキヴは自分で触れる。<br>
生半可な愛撫で治まる疼きではないため、自然とそのやり方は激しくなっていった。<br>
まだ幼かった頃、どうしても中がうずいて、大切な事と解っていながら、<br>
自分で膜を破ってしまった。<br>
あのときほど、マゴスを呪ったことは無かった。</p>
<p>ベッドの上で、激しく自慰を続けるザキヴ。<br>
浴衣も乱れ、あられもない格好になっている。<br>
そして、誰のも受け入れた事が無いまま、自身によって開発されきった箇所に、手を伸ばそうと<br>
した瞬間……</p>
<p><br>
「ザキヴ!!!」<br>
ドアが勢いよく開けられ、センナが飛び込んできた。</p>
<p>「な、ななななにゃにゅあ」<br>
何が起こったか、さっぱり理解できずに居るザキブの元へ、センナが駆け寄り、<br>
混乱しているザキブをしっかりと抱きしめた。</p>
<p>「どどど、どう、どうしたのよ、センナ」<br>
混乱しながらも、ザキブはセンナにたずねた。<br>
「もう、大丈夫だ。大丈夫だよ。」<br>
センナは、優しく、子供をあやすかの様にザキブを抱き続けた。<br>
「声が、聞こえたんだ」<br>
「こ、声?」<br>
ザキブが聞き返すと、<br>
「宿に帰ってきて、部屋で横になってたんだけど、隣から、ザキブの苦しむ声が聞こえてきたんだ。<br>
だから、またマゴスがザキヴを苦しめてるんだと思って、飛んできたよ」</p>
<p>(声、って…まさか、私の…)<br>
隣まで聞こえるほどの大声を出していたと気づき、センナに抱かれながら顔を<br>
真っ赤にするザキヴ。<br>
服の乱れも、センナは、苦しんだせいだと勘違いしてるようだ。</p>
<p>「ああ、心配しないで、センナ。マゴスの暴走じゃなくて、それは…」<br>
「それは?」<br>
顔を覗いてセンナは聞き返してくる。<br>
「それは…」<br>
なんと言えばいいのか。まさか、<br>
「オナニーしてて、大声出してしまったのよ」<br>
とでも言えというのか。</p>
<p>「…気にしないで」<br>
フッと、自嘲的な笑いを漏らすザギヴ。</p>
<p>だが、センナはそんなザギブの態度を見ると、<br>
「ザギブ…君が、苦しんでるのは知っているよ」<br>
そういいながら、ザギヴの手をとり、<br>
「けど、そうやって、なんでも自分の中に溜め込んじゃいけない。 俺たちは、仲間だろ?<br>
だから、君は、もっと俺たちを頼ってくれていいんだ。<br>
そうじゃなきゃ、俺たちが一緒に旅する理由が無いじゃないか。<br>
セラも、ルルアンタだって、きっとそう思ってる<br>
いいか?君が苦しんでるのを見るのはつらいけど、それより辛いのは、<br>
君がそれを隠そうとすることなんだ」</p>
<p>ザキブの目を真摯に見つめながら、言い聞かせるかのように話し続けるセンナ。<br>
だが、当のザギブからすれば拷問に近い。「あー」やら「うー」とだけ言って、<br>
センナの視線から逃げようとする。<br>
心配してくれるのはうれしいけど、今回だけは、ちょっと…</p>
<p> </p>
<p>あいまいにごまかして、センナを部屋に返した。<br>
センナが出て行くと、どっと疲れが出てきた。<br>
ぐったりと、ベッドに横になる。</p>
<p>しばらくうずくまっていたザギヴだったが、しばらくすると、独りで笑い始めた。</p>
<p>そうだった。私には、マゴスが居た。<br>
マゴスが居る限り、センナは私を「放っておけない」だろう。<br>
マゴスを利用すれば、センナは、ずっと私のそばに居る。</p>
<p>今まで、憎悪の対象でしか無かったマゴスが、急に愛おしく思えてきた。<br>
私とセンナを結びつける大切な要素だ。<br>
ザキヴは愛しそうにマゴスの眠るお腹を撫でる。<br>
その姿は、胎児を撫でる母親のようだった。</p>