ザギヴは玉座に浅く腰掛け、蜜を滴らせる秘所を冷たい外気にさらしていた。黒いスカートは腰の辺りまで捲り上げられている。しなやかな指が花弁をこじ開け内部を弄ると、皇帝の間の高い天井に卑猥な水音が響いた。「いや……いやよ……おねが、い、やめて……」「ギーッヒッヒッヒ、たまんねぇなぁ」 硬質の美貌は苦痛と快楽とで歪み、頬を涙が流れ落ちる。唇は絶えず拒絶の言葉を吐き出すのに、自らの指は一向に動きを止めない。ザギヴの身体はすでに彼女自身の制御を離れていた。「ああぅ、くふ……うぅん」「ヒッヒ……さぁて、次はどうしてやろうか」 一つの声帯が同時に二つの音を発している。胎内に巣くった魔人がかつての力を取り戻しつつあるためだ。「い、あ……やめ、て……あああっ!」 指先が、淡い繁みに隠された真珠を探り当て爪で弾いた。びくんと身体が跳ね、吹き出した淫水が太股を濡らし、玉座を濡らす。肘掛けを掴んでいたもう片方の手は自然と胸に伸び、服の上からでもはっきりとわかるほどに固く屹立した乳首を摘み上げた。「ひいぃっ!」「ヒヒッ……じいさん、見てるだけでいいのかい? ギーヒヒッ」 ザギヴの口を使って、魔人はその場にいるもう一人に語り掛けた。
傍らに立って、冷めた目で淫戯に耽る女を眺めていた老人が、呆れたように首を振る。「やれやれ、相変わらず下品じゃの。お前が表に出ていると気が萎えるわ。少し黙っておれ」 妖術宰相が腕を一振りすると闇の瘴気がわずかに薄れた。同時にザギヴの顔に理性の輝きが戻る。しかし、内側から湧き起こる欲望の火はそう簡単に消えるものではなく、逆に彼女の精神を焼き切ってしまった。「うあ、あああぁぁっ!」 甲高い声を上げてザギヴが果てる。全身がビクビクと痙攣し、すらりと伸びた足の先が不規則に折れ曲がった。 ザギヴは秘所を弄っていた指を引き抜くと、今度は口に含んだ。赤い舌がチロチロと這ってはとろりとした蜜を舐めとっていく。快楽に逃げることで今の状況を忘れようとしているのか、その表情は淫蕩としか言いようがない。「新皇帝陛下は思いのほか淫乱のようじゃの」 その様子を眺めていたゾフォルは嘲るような口調で言うと、着ているローブの前をはだけ老人とは思えない程のものを取り出した。大胆に広げられた脚の間に身体を割りこませ、先走りを滴らせるそれを秘所にあてがう。「まぁ、よい。いただくとするか」「くぅあっ……あ、ああ……」 女の身体がしなやかに反る。熱い蜜壷は何の抵抗もなく雄を受け入れ、蕩けた肉襞が絡みつく。導かれるままに奥へと進み最奥にたどり着くと、老人は遠慮なく腰を突き上げはじめた。「ひぃっ、あ、ん……あぁ、や……」 だらしなく開かれた唇から唾液がこぼれおちる。虚空を見つめる黒い瞳は情欲に濡れ、常の鋭い輝きは微塵も感じられない。老人が腰を打ちつけるたびに結合部からは濡れた音が響き、周囲の空気を淫らに染め上げた。
「……ゾフォル爺さん、そろそろ時間だよ」 場の空気が歪み、どこからともなく吹き出した黒い靄に包まれて少年が姿を現した。どこまでも無邪気な虚無の子の声は淫靡な雰囲気にまったくと言っていいほどそぐわない。「そうか……では、仕上げといくかの」 ゾフォルは掠れた喘ぎを漏らす女の腰を強く引き寄せ結びつきを強めると、顔を覗きこみ軽く指を打ち鳴らした。淫欲に霞んでいた女の目がゆっくりと老人の顔をとらえる。視線が重なり合うとザギヴは引きつった表情を浮かべた。「い、いやっ……いやああぁっ!」「ほほ、よう締まるわ」 瞬間的に呼び覚まされた理性は、秘所を抉るものの存在をより明確に理解させる。締め付ける肉襞の感触にゾフォルは目を細め、嬉しそうに呟いた。ザギヴの中で、それが急激に質量を増した。熱い迸りが最奥を叩き、強制的に高みへと押し上げる。「ひいぃぃああっ! な、なかは……中はやめてぇっ!」 絶頂を極めながらも片隅に残った理性が最後の抵抗を試みる。しかし注ぎ込まれる熱が全てを洗い流し、ゾフォルが力を失ったものを引き抜くと、ふつりと糸が切れた操り人形のような動きで玉座に沈み込んだ。「ヒッヒッ……じいさんも好きだねぇ、ヒヒヒッ」 壊れた女の口から野太い魔人の声がする。虚ろな目はしだいに別の光を宿し、美貌は醜悪な表情へと変わっていった。ゾフォルはふんと鼻を鳴らし、ザギヴであったものから離れると身支度を整える。「来たみたいだよ」 虚無の子の言葉を裏付けるかのように、皇帝の間の扉がゆっくりと開く。最期の饗宴がはじまろうとしていた。
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