「第二話 脇とよこちちと指ちゅぱ」
いきなりマニアックだが、先を見据えれば最初に一発この程度はやっておかねばな。 しかも今日は射精してやるぞ。俺は心の中でこっそり宣言しつつ、アトレイアの部屋に押し入った。 当然ノックはしない。着替えや寝顔でも見られれば幸運だ。「ん、アトレイア」「……」 アトレイアは起きていた。また、残念なことに着替え中でもなかった。ベッドの傍で、木椅子に座ってぼおっとしている。その目は、どこにも焦点が合っていない。ただ、何かに思いを馳せているように見受けられた。「アトレイア」「はい? ……あ……アクト様っ」 近くから呼びかけることで、アトレイアはようやく俺に気づいたようで、慌てて立ち上がった。 服装は昨日と変わりない、上質だが飾りのない絹のドレスだ。「うむ。約束どおり来てやったぞ」「は、はい……ようこそ、いらっしゃいました。ありがとうございます」 アトレイアはゆっくりと言うと、丁寧におじぎをした。 歓迎しているのはわかるが、相変わらず暗い口調だ。ついでに言えば暗い部屋だ。窓などは、開かぬよう板で内側から止められている。
「存分に感謝するがよい。それにしても、視力が戻ったのにこの部屋は暗いままか」「あ……」 俺が疑問を提示すると、アトレイアは恥じ入るかのように顔を下に向け、か細く言った。「……はい。シャリさんが、視力が戻ったことが、ほかの人に知られると危険だ、と……」「ふん」 まあそうかもしれない。王室のことはよくわからないが、あのシャリとかいう変な子供も適当なことは言わないだろう。「明かりも普段から消しているようにしています。……すいません……。せっかく来ていただいたのに、不愉快な思いを……」「別に不愉快ではないぞ。闇は闇でそれなりによいものだ」 視覚の欠如が逆に想像力を刺激するというのは往々にしてあり得ることだ。嫌いではない。むしろ大好きだ。「え、そう……なんですか?」「うむ。この目立たん部屋も、これでよいものだ(衛兵に見つかりにくいし)」 もちろん逆に光は光で青姦に不可欠な要素であるわけで、結局は可愛い女の子がいればどっちでもよいのだが。「まあいい、世間話はこのぐらいだ。今日も肉奴隷としての役割を果たすが良い」「え……」 肉奴隷という単語を聞くと、アトレイアは手を唇にやり、おそらく無意識的にだろうが、いとおしそうに周りを撫でた。 その本当の意味はわからねど、『肉奴隷』という立場がどんな行為を意味しているかはその身に、いや唇に刻み込まれているらしい。
「あの……また、キスを?」「キスっぽいこともするが、それだけではない。今日は脇の下も使うぞ」「脇?」 アトレイアは不思議そうに腕を上げ、自分の脇を見つめた。俺の視界にもその脇が飛び込んできた。 うお、白い。 一片の汚れもない彼女の脇の下は、自然とできたくぼみがえくぼのようにへこみ、俺に向けて微笑んでいるかのような錯覚を生じさせた。 更に、ドレスの生地が微妙に少ないので、隙間から乳房のふくらみまでが覗いている。つまり横乳だ。なんと無防備な女だ。たまらん。「よく、わかりません……」 アトレイアは腕を下ろすと、そう言った。「当然だ。とりあえずはそれでいいが、常に未知のエロを求めん限り、人類に革新はない。探求の精神を忘れないように」「常に、未知の……?」 その後には言葉が続かないが、別に恥ずかしがってるわけではなく、単に慣れない単語だったので聞き取れなかっただけだろう。 と、何を思ったのか、アトレイアは深く沈んだ声で、かぼそく言った。「では……駄目ですね、わたしは。何年も何年も、気が遠くなるほど、……ずっと、闇の中にいて、変わってませんでしたから……」」 なんだ。そんなことか。「知ってる。素晴らしい」「え?」「変わらぬ処女性がアトレイアの性をまるでクリトリスの包皮がその内側に守る秘部の感覚を研ぎ澄ませていくかのように優しく包み続けた結果肉奴隷への適正としての俺様的最重要要素である処女因子がますます俺の好みを直撃するかのごとく実に可愛くそして清らかに成長し続けると共に成人を間近に控えた女性の色気を抱合し奇跡的な調和を今まさに現実のものとしているのだ。なんと素晴らしきことかな」 一息で言い切った。さすが俺だ。 本当はあと数億言語りつくして、ようやく俺のロマンすなわちアトレイアへの執着がその片鱗を見せた程度なのだが、まあそれは後の楽しみにとっておこう。「ええと?」 案の定、アトレイアは何も理解できていないようだ。まあいい。 今は、アトレイアが俺の目の前に、しかも肉奴隷として存在しているという、その事実だけで十分だ。「理解できずともよい」 というより、されたら困る。「あ……。すいません……あの……わたし、なにも知らなくて……」 だからそれがいいのだ。「とにかく実践あるのみだ。着替えはあるな? でははじめるぞ」「はい……」 アトレイアはどこか落ちつかなさげに、返事をした。 俺がその仕草から読み取れたのは、嫌がっていない、というその一点のみだった。 アトレイアをベッドに寝かせてから、その頭の傍に腰をかける。 服は脱がさない。それでは情緒がないからだ。行っても半脱ぎまでだな。「あの……ど、どうぞ……」 アトレイアは枕に後頭部を置くと、俺に向かってそう言った。 その声は微妙に期待に溢れている。天然だ。天然の処女だ。 なんと素晴らしい。「よしよし。先週のキスは覚えているか」「は……はいっ。はっきりと」「では俺がしたのと同じように、俺の指にキスしてみろ」 右手をアトレイアの右肩から回り込ませて、アトレイアの口元にやる。更に唇を爪で細かくつついてやった。「あっ」 アトレイアが小さく悲鳴を上げた。「できるな」「あ……は、はい……やってみます……」 そうして、ちゅぱ、ちゅぱ、とアトレイアがゆっくりと人差し指をなめ始める。「ん、む、ん……」 最初は大人しく、指をおっかなびっくり舌でなぞるだけ。まるで傷口を癒す獣のような舌つきだ。「もっと、舌を強く押し付けてみろ」「ん……」 アトレイアは見上げてこくりと頷くと、再び俺の指に視線を移した。 ぞり、と、人差し指の先端を舌が這い回った。同時に電撃のような刺激が、指から脳に直接伝わってきた。
「いいぞ……もっと動かしてみろ」「――」 アトレイアは両手で俺の右手首を掴み、人差し指を丹念に舌で転がしていった。指と指の隙間から始まり、第一関節を舐め、第二関節をちゅうちゅうと吸い、先端をれろれろと舌上で転がす。 教えるそばからすばらしい成長振りだ。指先から来る快感と、アトレイアの献身的な奉仕の心意気そのものに反応して、ペニスが充血していく。 我慢する必要はない。俺は指を口に含ませたまま、ズボンと下着を一気に脱ぎ、ペニスを開放した。「ふぁ……あ?」 アトレイアは俺の動きに目を止めると、奉仕を一時中断し、そそり立つ俺の肉棒を見た。不思議そうにしている。その黒々しい肉の塊の脈動に、目を奪われている。 おそらく、というかほぼ間違いなく、こいつを見るのは初めてだろう。「アクトさま? あの」「これは俺の体の一部だ。気にせず続けろ」 言葉をさえぎって説明し、アトレイアに行為を促す。 アトレイアはしばらく俺のペニスをまじまじと見つめていたが、俺の命令には逆らわないらしく、素直にこくんと頷いた。「あ……んむ……」 そして指ちゅぱを再開する。中指と薬指を同時に口に含み、先端を重点的に責めてきた。れろれろれろ、と先端を使用し、爪と指の間をなぞるように左右に舌を動かす。
全て、俺が昨日のキスでやったテクニックだ。凄い学習速度だ。 この分だとフェラテクも既に一人前だろう。先が実に楽しみだ。「よっ」 俺はさらなる快感を得るべく、アトレイアの左腕を掴み、宙に上げた。そして出来た胸と腕の隙間、つまり脇に、ペニスをためらいなく突っ込む。「!?」 ペニスの先端が、やわらかく暖かな感触で包まれた。頭の中に、ぼんやりとした桃色のイメージが広がっていく。 ペニスがあまりに長くそそり立っているので、先端がアトレイアの乳房の側部に当たってしまったらしい。アトレイアは胸下着を付けていないので、生だ。おっぱいが亀頭の尿道口を塞いでいる。信じがたいが事実だ。「あ……!?」 アトレイアが小さく悲鳴を上げた。が、俺はそれを無視し、ほとんど無意識的に腰を前後に動かした。亀頭を乳房が擦り合う形になる。ぷにゅ、ぷに、と、やわらかい感触がじんわりと染み入るように亀頭に伝わってくる。「うあ……あ、あの、あ、アク、アクト様……」 たまりかねたかのように、上ずって奮えた声で、アトレイアが俺を見上げて言った。
上目遣いで、困った風な様子だ。その表情は、耳まではっきりと紅色に染まっている。知識は足りねど、恥じらいの精神は人並みに持ち合わせているようだ。 うむ、こうでなければ。「あの、む、胸に……アクト様の、が……その、あの…………」 その後には言葉が続かない。俺のペニスを横目で見つめたまま、動きと声を止めている。「当ててるのだ。そういうものだ」 俺は反論の余地がないように断言した。「あ……」「続けろ」 それだけ言って、行為を再開する。 まずカウパー液を横乳にすりつけつつ、細かく腰を振る。 そのたびに、亀頭の半分が埋もれそうなほどまでに横乳に食い込んだ。今、俺はアトレイアのおっぱいを脇から蹂躙しているのだ。 白い柔肌に亀頭を押し付けるたびに、くちゅ、くちゅ、という粘着質の音が暗い部屋に響いた。 粘膜が擦れる快感と、局部を優しく包み込まれることに起因する安心感が、下半身から脳にダイレクトに伝わってくる。すんばらしい。 俺のペニスはよりいっそう硬度を増していく。「は……い……う……ん、ん、ちゅ、ふぁっ」 アトレイアは俺の行為にさすがに驚いている様子で、ペニスが左乳房を蹂躙するさまに、ちらちらと視線を移している。 が、俺の命令を違えるようなことはないらしく、指ちゅぱを止めることはない。 その対象は小指に移っている。右手で付け根をつかんで、フルートを吹くかのように、小指全体に対してゆっくりとタンギングのような舌使いを繰り返している。
「ん……ぁ……」「アトレイア。腕を動かせ」「……ぁ、あ?」「こうだ」 俺は手本を見せるべく、アトレイアの左腕を掴んで手前に引き、次いで左右に細かく振った。 腕と胸に挟まれたサオを扱き上げる形となる。いわば手コキならぬ脇コキだ。 快感は亀頭からだけではない。アトレイアの細い腕を使い、充血した竿を扱き上げる。 ぎゅ、ぎゅ、とペニスが周囲から強く、射精を促されるかのように締め上げられる。そのうえ、脇の下ということもあり、アトレイアの体温が一番敏感な部分にダイレクトに伝わってくる。「よし。こういう感じに、動かしてみろ」「あ……は、はい……やってみま……す……」「指も忘れるな」「はい……」 返事をすると、アトレイアは指ちゅぱを再開した。唇に唾液を大量に含んで、人差し指をくわえると、幾度も首を上下に振って、指をしごき上げた。 同時に左腕も絶え間なく動かし続けている。ペニスに刺激を与え続けている。指舐めと平行して行うため、どうしてもその動きは不規則に、統一性のないものになってしまっている。 が、その不規則性が逆にペニスに快楽を与えてくれた。アトレイアの脇がペニスの根元をきゅうっと掴み、急激に締め付けたかと思ったら、次の瞬間にはその戒めが解かれ、亀頭がやわらかく暖かいおっぱいで包み込まれていた。緊張と安堵の相互作用により、快感が上り詰めていく。
「アトレイア」 俺は彼女の名前を呼んだ。 アトレイアは呼び声に応えて、指ちゅぱを止めると、俺を見上げた。 自然、上目遣いになる。だが俺にはそれがおねだりをしているかのような表現に見えた。「アトレイア。どんな感じだ」 「……え?」「俺のペニスを脇に挟み、指を舐めるのはどんな気分だと聞いている」 なんとなく聞いてみたくなったのだ。 アトレイアなら、期待に応えてくれそうな予感がした。 俺自身も予測していない、最高の返答を返してくれると。 アトレイアはしばらく所在なさげに俺のペニスと指を交互に見つめていた。しかし、やがて意を決したように、顔を耳まで真っ赤に染めて、言った。「ア、アクトさまの……ぬくもりを……か……感じて……ま……す……」 真性だった。真性の何かはわからないが、俺はとにかく確信していた。「――イクぞ」「えっ?」 アトレイアの言葉が引き金になった。限界が、もうすぐそこまで迫っていた。 腰を激しく前後に動かし、アトレイアの乳房と脇をひたすらに犯し続け、一気に高みに上り詰める。「え、あ、あッ!?」 最後の一突き。亀頭のほとんどが乳房の脇に埋まったとき、どくん、とペニスがひときわ強く脈打った。勃起したペニスの根元から亀頭の先までに、強烈な勢いで快感が走った。 次の瞬間。
「ふあっ!」 アトレイアの声と同時に、俺は精を解き放った。 服の中に向け、白くねばねばとした大量の液体を、惜しげなくぶちまけていく。 どくん、どくん、と、尿道を通して熱い精液を次々と送り出していく。 アトレイアのドレスを、べとべとの液体で内側から侵食していく。 まず肩から始まり、背中、胸、腕の部位が、外から見てもわかるほどにたちどころに白く染まっていく。 それでも射精は止まらない。「あ、あつ、あぁっ!」 勢いあまったどろどろの精液が、ドレスの襟元から表に漏れ出している。「あ、ふわ――!」 アトレイアの嬌声が部屋に響く。その肢体は熱い液体でひたすらに蹂躙されていた。その服は、いまや下半身の一部までが濡れて透き通っている。 そして、ぬらぬらとした奇妙な光沢を放つようになっていた。首周りから腹部に至るまで、アトレイアの上半身を俺の精液が余すことなく汚している。 今、俺はアトレイアを征服しているのだ。「ひゃ、ぁ……」 十数秒間の後、ようやく長い射精を終えたペニスを乳房から引き抜く。脇元を通る際、ずりゅり、という粘着音がした。引き抜いた直後のペニスの周りには、ドロドロの白い液体がへばりついていた。 アトレイアの服の中はきっと酷い有様だろう。軽く二週間は溜め続けてきた精だ。今着ているドレスは、もう使い物になるまい。「あ……ぁ……」 アトレイアは、いまだ精の残滓がへばりつく俺のペニスを、恍惚とした表情で見つめ続けていた。
ペニスをタオルで拭き、下着にしまいこんでズボンをはく。 いつまでも余韻に浸りたいところだが、現実的にはそうもいかないのだ。 服装を整えつつ、いまだ呆然としているアトレイアを褒めてやった。「気持ち良かったぞ。アトレイア」「あ……」 実際、彼女は最高に具合が良かった。若干一般的な意味とは違うかもしれないが。 とにかく肉奴隷としては最高の点数を与えられるきもちよさだ。「よかった……ですか?」「うむ。実によかった、最高だ」「よか……った……」「うむうむ。お前はどうだ」 アトレイアは俺の言葉をかみ締めるかのように繰り返すと、いまだ精液で汚れたままのドレスをそうっと触った。汗ばんだ手のひらに、強烈な栗の匂いを発する粘り気が移った。 アトレイアの手のひらで、ねたつく精液。それを見て、彼女は何を考えているのか。俺には読み取れなかった。 しばらくの時間の後、俺を見上げると小さな声で、しかしはっきりと言った。「はい……わたしも、きっと……『よかった』です……」 そう言ったアトレイアの表情は、奇妙なほどに安らぎに満ちていた。
(終)
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