さすがにやりすぎた。
「あの……アクト様。わたしも、着替えたほうがよいでしょうか」「当たり前だ」 今のアトレイアはの外見は、客観的に見てものすごい状況だ。
精液が首から顔から背中のドレスにまでこびりついて、恐ろしく扇情的で痛々しい。どこの馬にレイプされたんだと問い詰められそうなほどだ。「……で、では……あの、アク、アクト様?」 が、単に着替えただけでは、その強烈な匂いまでは落とせない。 もし侍女や他の貴族に感付かれたら、どうなることやら。 アトレイアの王宮における立場など、元から無いも同然だろうからどうでもいいが、変なうわさでアトレイアの心を(主に処女心を)傷つけられてはたまらない。「む」 ふと、冴えたやり方を思いついた。 その考えは、デメリットを回避し、しかも素晴らしいメリットを(俺にだけ)与えてくれる。「アトレイア」「はい。着替えてきます……」「風呂はどこだ」「え?」
『第三話 着替えとお風呂とおなかとふともも』
「……い、一緒に、ですかっ!?」「そうだ。ありがたかろう!」 そうだ。俺はアトレイアと! 一緒に! 風呂に! 入るのだ! アトレイアの案内で浴場に向かう途中、俺は有無を言わせぬ口調で断言した。 例え嫌だといっても押し通す、という意思表示だ。 ここまで来て浴場の入り口で待つだけな男がいたら、そいつの頭は耳から入り込んだゴキブリに食い散らかされているに違いないと確信する。「あのっ……えと……!」 アトレイアは俺の断固たる決意を聞くと、慌てた風に俺に懇願の視線を向けた。 だがすぐに、俺の勃起時ペニス並みの意思の固さを悟ったらしく、頬を真っ赤に染めて黙り込んでしまう。「……」 数十秒間の間。その間、灯篭のジジジという音だけが廊下に響いていた。 やがて、アトレイアは顔を沈めたまま、消え入るような声で呟いた。「…………わ……わかり……ました……。い……一緒に、入りましょうっ……」 ま、どんなに恥ずかしくとも、この姫君が嫌などと口に出すけがないか。 なにしろアトレイアは俺専用の肉奴隷なのだから。 言葉の意味を理解しているかどうかは、また別として。 王宮の浴場は、深夜なだけあり人気が全くなかった。 にも関わらず、広い水面からは湯気が漂っている。 アトレイアの言によれば、どんな仕組みかはわからないが、この大理石張りの専用浴場には、熱く清潔な湯がいつでも用意されているそうだ。昼間なら侍女も数人常駐しているという。 貴族の贅沢もここに極まれり、だな。ひたすらに広いドーム型のプールに張られた湯など、スラムでは絶対に目にできないものだ。 更衣室も流石に広い。むしろ広すぎる。ゆうに数十人は同時に着替えられそうな広さだ。ハーレムプレイも楽勝だ。流石王族専用だ。すんばらしい。いつか俺もここに住もう。「では」 俺は更衣室に着くと、すぽぽーんと全ての着物を脱いだ。約三秒の早業だ。 いまだ乾かぬペニスを含め、全身を惜しげもなく外気に解き放つ。「あ……」 アトレイアは俺のペニスを、まじまじと見詰めている。 処女に見られる快感が股間から全身に伝わる。すんばらしい。「うむ、気になるか。これでまたしてやるからな」「……はい」「よし。では、お前も脱げ」「え」 アトレイアは間の抜けた声を一瞬上げると、身体を守るかのように、腕を胸の前で組んだ。
「あ……あの……やっぱり、ここで、ですか……?」 いまさら恥ずかしがることも、などとは死んでも思わない。 脇コキで射精を促すよりも、自らの肌を晒すことの方が、羞恥心を刺激されるらしいとは。 素晴らしい処女っぷりだ。やはり俺の目に狂いなし。「当たり前だ。お前は俺の肉奴隷だぞ」「……っ」「まあ、どうしても嫌なら」「いえっ!」 と、驚くほどの大声が、突然アトレイアから上がってきた。 おかげで、『俺が脱がしてやろう』という続く言葉を出せずじまいだ。「む」「あ、あの……! 決して、嫌ではないんです……ただ……は……恥ずかしくて……」 アトレイアは言葉に詰まり、顔を背けた。その横顔からは、はっきりと羞恥の赤みが読み取れる。恥じらいの精神をこれほど完璧に備えた女は、滅多にお目にかかれまい。とてもいい感じだ。 かといって全く脱がさぬまま風呂に入るわけにもいくまい。つーかそれじゃ意味がないし。「うーむ。では、脱ぐ際に胸を隠すことは許す。腕でな」「え……はっ、はい。ありがとうございます」 律儀にぺこんと頭を下げるアトレイア。妙なところで非常に素直だ。断言するが、今の条件ははっきり言って何の助けにもならん。
「では、始めろ」「……は……」 アトレイアは決意を固めるためか、目を瞑ると二、三度、すーはーと呼吸を繰り返した。 そして、目を開き、俺から視線をそらしたまま、言った。「は……い……っ」 そうして、アトレイアの俺専用ストリップショーが始まった。 とはいっても、着ているのは結局、ショーツを除けばドレス一枚だけだ。 肩の覆いを、まず右から、震える手ではずしていく。 ぱさり、と絹と絹が触れ合う音がして、アトレイアの肩が露になった。その肌は、ひとかけらの汚れもなく、ただ白かった。その白さが俺のものであることが、ただ嬉しかった。 アトレイアは続いて左肩に手をかけた。同じように肌を露出させる。こちらは、よく見るとうっすらと白い膜が張る部分がある。乾いた俺の精液だ。素晴らしい。俺自身の手で洗い落としてやろう。 両肩の吊りを外すと、今度は胸部だ。 アトレイアはしばらく胸に手を置いたままためらっていたが、やがて決心したのか、手と肌の間から、するりとドレスを引き抜いた。
「……う……」 胸が、おっぱいが、果実があらわになる。 その細い腕で先端だけは隠せているが、それ以外の全てを露出させてしまっている。胸の谷間がはっきりと伺える。左胸にこびりついた精液が見える。ぷるん、と震える下乳が俺の目を引きつける。「……っ」 手の支えを失うと、ドレスはするするする、と一気に下まで落ちた。「おお」 アトレイアの俺のためだけに存在する艶めかしい身体が、いまや生まれたままの姿で外気に晒し出されていた。ただ最後の砦、すなわち精液で汚れた純白のショーツと、か細く華奢な腕だけが、外気と俺の視線から彼女のからだを守る盾となっていた。 素晴らしい。 このまま絵にして家に持って帰って何度も何度も犯したいぐらい神々しく、そして扇情的な姿だった。「よし、そこまで」 そして、アトレイアがショーツにその片手をかけたところで、俺はストップをかけた。 例えバスタイムといえど、全ての服を脱がせるのは俺のロマンに、そしてアトレイアの処女性に反する。それに、ショーツ一枚で濡れに濡れるアトレイア。それは全裸より遥かに変態的でエロティックではないか。
「……あ、……え?」 制止の声をかけると、直後にアトレイアが手を止める。 そのはずみか、胸を隠していたアトレイアの腕がずれた。おかげで見えた。 突起物。さくらんぼのように見事なピンクの先端。 それが、アトレイアのたわわに実った両果実の頂上で、かわいらしく自己表明をしていた。
しゃぶろう。揉もう。弾こう。吸おう。
ちょっと待った。 心なる俺からちょっと待ったコールがかかる。それは後のお楽しみだ。「ふん! さて、アトレイア」 ダイヤモンドの自制心で衝動を打ち切り、ショーツ一枚で羞恥に身を震わせているアトレイアの手を取る。 掴んだその手は、細かに震えていた。「あっ」「そろそろ寒くなってきた。さっさと風呂に入るぞ」 そう。今は風呂に入るのだ。「は……は、はいっ」 お風呂のアトレイアを存分に味わうのだ。味わい尽くすのだ。
先に湯船に入った俺は、アトレイアが俺の精液を洗い流していくのを、ぼうっと眺めていた。石鹸を擦って、不器用そうに――おそらく、普段は侍女にやってもらっているのだろう――身体の上から順に、泡で覆っていく。
なんて光景を見て我慢できるようでは、俺は変態大魔王の称号を得ていない。「きゃっ」 泡を落とすべく湯桶に手をかけたアトレイアに、後ろから抱きつく。からん、と桶が落ちる音が広い空間に響いた。「あ、あ……」 アトレイアの身体がぴくぴくと震えている。振り返ったその表情を見ると、どうしていいのかわからないようで、視線を俺と宙空に交互にさ迷わせていた。「アトレイア。いいな」「え……」「するぞ」 何をするかは、あえて言わない。 理由はいろいろあるが、一番はアトレイアの教育のためだ。
「は……はいっ」 理解できずともとりあえず了承するのが、アトレイアの肉奴隷たるゆえんだ。 アトレイアの返事を受け、くびれた腰にやった手を左右に動かし、優しくさする。ぬめった泡がアトレイアの腹部の上に、一枚の膜を張っており、それが愛撫をスムーズにしてくれた。「ふあ……」 アトレイアが恍惚としたため息を漏らした。「ふむ。ちょっとやりづらいな。こっち来い」「え、あっ!?」 アトレイアを一旦立たせて、手を引いて場所を移動する。 行き先は、先ほどから目をつけていた、段差のある大理石の階段だ。 湯が上から流れていて暖かいし、段の角が丸く削ってあるため、激しく動いても安心だ。設計者には感謝しよう。「よっと」「あ……!」 まず俺が寝転がりぎみに段差に背を突いて座り、続いてアトレイアを、ペニスをまたぐ形で腰の上に座らせる。背面座位に近い形になった。挿入しない体位の中では、この形が一番密着できるのだ。「うーむ」 わしわしとアトレイアの髪に顔を押し付けつつ、手をアトレイアのふとももにやった。
「あっ!」 そして、無理やり股をこじ開け、その間から既に硬度を完全に復活させているペニスを出す。いわゆる素股だ。今度は素股でフィニッシュするのだ。今決めた。「う、あ、アクト、さま……」 胸板に。へそに。太腿に。それぞれに、アトレイアの肌が押し付けられている。脇にペニスを押し付けられた程度で恥ずかしがっていたアトレイアだが、最後まで耐えられるかどうか。そのうち失神するんじゃないか。「まあいいや」 今は何も考えずに、腕の中にすっぽりと収まった魅惑の肢体を堪能しよう。 まず背中だ。アトレイアの小さな背中が俺の両胸に押し付けられている。アトレイアの高鳴る鼓動が、直に感じられる。まるで俺の脈と共鳴しているかのようだ。 次に、腹部。俺のへそに、アトレイアの腰部が密着していた。ラインを目視ではなく感覚で感じられる、この幸せ。理想的なくびれの形をしているなあ。そのうえ真ん中に一本の筋が入っており、それがまたエロスを感じさせる。 そしてふともも。アトレイアの外ももを、俺の内ももで包み込む形となる。 じわじわと暖かい。マシュマロのように柔らかい。ぎゅっ、と強く太腿を締めると、アトレイアのふとももがにゅうっとペニスを圧迫することになる。これだけでも我慢しなければ出してしまいそうなほどの快楽だ。じんじんという感触が、じっとしていても伝わってくる。
「や……あ……あっ、あっ……」 ふとももを色々とまさぐると、アトレイアはすぐに反応を返してくれた。きゅん、とふとももが外に跳ねる。同時に唾をごくんと飲み込む音が、耳に伝わってきた。 表情を覗き込むと、アトレイアは唇をかみ締めて、目を強く瞑っていた。頬には赤みが差したままだ。恥ずかしさを紛らわしているらしい。「ん……んっ……」 初めて全身で触れたアトレイアの肌は、しっとりとしていて、すべすべしていて、どんなに高級な布よりも、遥かに素晴らしい、触れば幸福になれる感触だった。ずっと触っていたい。 いや、この表現は間違っている。正しくは、ずっと触っていよう、だ。それは可能なことだ。 なぜならこの透けるような白い肌の持ち主は、髪の一本一本から足のつま先まで、全てを使って俺に奉仕する肉奴隷なのだから。 ふふふふふふふふふふふ。「ふふふ」「……あの?」 俺の笑い声を怪訝に思ったのか、アトレイアが首を曲げて、振り返った。「!? んむっ」 目の前にお湯に濡れた美味しそうな唇が現れたので、思わずキスをしてしまった。 もちろん舌も入れる。アトレイアの口内でくちゅくちゅと唾液を泡立てる。
「ん……ん……!」 れろれろ、とアトレイアの味を存分に味わう。 一通り口内を嘗め回したあとに、下唇をちゅぽんと吸って跡をつける。 それでキスを終わりにした。「ぷはっ! はぁ、はぁっ……」 見ると、アトレイアの目がとろんとまどろんでいた。 キスをもっと続けていれば、本格的な行為に移らぬうちに絶頂に達してしまっていただろう。 一度達した後で敏感になっているとはいえ、僅かな時間のキスだけでここまで感じられるとは。やはり素晴らしい素質を持っているな。 それとも、俺に後ろから抱きしめられていることが影響しているのだろうか。「まあどっちでもいい。アトレイア。そろそろ激しくするぞ」「はあ……はあ……」「アトレイア」「はっ、はい! ……よ、よろ、よろしくお願いいたします」 アトレイアは乱れた呼吸を整えると、首を横に回して俺と視線を合わせ、ぺこんとお辞儀をした。 その仕草は、俺が見たこともないほど優雅で、淫らさとは全く無縁だった。 ショーツ一枚の格好で、全身が泡にまみれたまま、俺に抱きかかえられている、ということを除けばの話だったが。
「ふ……ふあっ……あ……!」 アトレイアの断続的な喘ぎ声が、浴場にひたすら響き続ける。 俺は、ごし、ごしと泡を立ててアトレイアの全身を素手で洗っている。欲望のままに、泡をローション代わりとしアトレイアの火照った肌に這いまわらせる。「や、や、ぁっ!」 先ほど酷使した脇の下の疲れを取るため、丹念に泡のマッサージを重ねる。くりくり、と人差し指でツボを突くように押し込むと、アトレイアは飛び跳ねそうなほど強く肉体を反応させた。「ひゃあっ!」 ひざの裏も同様に、中央を指でぐりぐりと押し込む。そのたびに、アトレイアのふとももがびくびくと震えて、感じているのが直に理解することが出来た。「は、ん、ん、んんぁっ!」 顔に対する愛撫も忘れない。まぶたをぺろぺろと舐める。まつげを唇で引っ張る。指で頬を撫で回す。唇と唇を合わせるだけのキスを、断続的に繰り返す。「あ……ん、ん、あ……ひゃうっ!?」 ついでに耳にも愛を与えてやろう。耳たぶを軽く、しかし細かく早くついばむ。 さらに、耳の穴に、下の先端を突きこみ、べろべろとキスと同じように舌で内部を蹂躙した。するとアトレイアは、大きく喘ぎ声をあげた。
「ふ、ふぁぁ!」「いいぞ。もっと感じろ」 今度は、ふとももだ。 アトレイアの外ももに添えていた手のひらを、勢いよく円の軌道で撫で回した。 にゅるん、にゅるんという心地よい感触。ほとんどマッサージに近い愛撫を繰り返す。 泡だった石鹸のぬめりのおかげで、アトレイアの肌の弾力を、つやつやしさを、より強く味わうことができた。「あ、あ、あ、あっ!」 アトレイアが喘ぐごとに、ふとももに挟まれたペニスから甘い快感が伝わってきた。肢体がくねる度、俺のペニスに射精を促すかのように、ぎゅっぎゅっと刺激を与えてくる。 甘美な刺激に、ペニスに更に血液が集中していく。それに合わせ、アトレイアの嬌声もどんどん上ずっていく。「あ、あ、アクト、さま、おっきく、な、あ、ああっ!」 俺はペニスを意識的に大きく突き上げ、アトレイアのふとももの弾力を堪能した。泡に包まれたアトレイアの内ふとももは、本物の膣内のようにペニスを包み込んでくれていた。 にゅるにゅるとした両壁が、ペニスを挟んでちゅるんと弾く。 加えて、ぐしょぐしょに濡れたシルクのショーツが、ペニスの上部を優しく愛撫してくる。目の細かな生地が、絶妙な加減でペニスを撫でる。
「ああっ! ひぁあ!」 心地よい圧迫感と、摩擦による快感が、竿に、亀頭に、袋にまで、砂浜に打ち寄せる波のごとく、絶え間なく押し寄せてくる。 耳と目にも、扇情的な様子が飛び込んできた。アトレイアのふとももは、にゅちっ、にゅちっと、ペニスを高みに導くための音を絶え間なく紡ぎだしている。「やあっ、はっ、はっ、ふあっ!」 アトレイアが泡に包まれた肢体を上下に揺らす。そのたびに、白いふとももから赤黒い亀頭の先端がにょっきりと顔を出した。泡に包まれたふとももと全くアンバランスな俺の亀頭が、アトレイアを犯している実感を与えてくれた。 ときおりアトレイアの上半身が大きくはね、ピンク色の乳首が視界に入る。疑いようもなく、起っていた。思わずそれを摘みたい衝動にかられるが、オリハルコンの自制心を持って衝動を抑える。「ああ、ふあう、はあああぁぁあっ」 最高だった。ペニスから、全身から来る快楽は、極上のパイズリに勝るとも劣らぬものだった。 そろそろ限界だ。 そう思い、アトレイアと共により深い快楽を感受するため、ふとももに添えた手を腰に回す。
左右のわき腹を逆手でつかみ、親指をアトレイアの鎖骨の隙間に配置する。 そしてくぼみを、ぐりぐり! と、力を込めてマッサージしてやった。「ふぁっ!? あ、あ、あぁぁぁあああああっ!」 たまらずがくがくと全身を振るわせるアトレイア。 俺がやったのは、ただの関節の隙間への刺激だ。が、いまや全身が性感帯となっているアトレイアにとっては、至上の愛撫となってしまったようだ。「や、あっ! おりて、なにか、うあっ!」 アトレイアの声から、全く余裕がなくなっている。 今度は待たせるつもりはない。 腰を上下に勢いよく揺らす。ペニスの上部で、ぐしょぐしょのショーツ越しにアトレイアの秘部をじくじくと刺激する。「ひやあっ!?」 同時に耳たぶを甘噛みし、こりこりと唇で圧迫感を与える。「あ、あ、あ、あっ!」 お腹にやった手のひらで、アトレイアの腹部を強く、強くもみしだく。「ふあああああっ! あ、あ、あ、あ、あ、あっ!」「よし……いけっ」「あ、あ、あぁぁぁ、ふぁぁぁあっ! んむ!?」 仕上げに口付けをしてやった。唇を唇でぱくりとつまむ、甘いキス。 それだけで、アトレイアは最後の壁を簡単に突破してしまった。 「んっ! ふぁああああぁぁああぁああぁ………!」 絶頂の快感を正面から受け止めて、アトレイアの肉体はひくひくと痙攣していた。それを共に受け止めてやるべく、アトレイアの体を、後ろからぎゅうっと抱きしめる。 これまで以上に密着することで、アトレイアの温もりが全身に伝播してきた。その汗と泡に塗れた肌は、燃え盛る炎のように熱く火照っており、俺の興奮度をいやおうなしに高めた。 遅れて、俺にも快楽の極みがやってくる。 アトレイアに欲情の全てをたたきつけるべく、そのふとももを俺の脚で操作し、ペニスを間接的に扱き上げる。ずにゅり、ずにゅりと、アトレイアのふとももが猛烈な勢いで俺のペニスに射精を促した。「!? ああっ!」 快感の余韻に浸っていたアトレイアが、局部で肥大化するペニスを感じて、再び嬌声を上げた。「くっ」「んぁ!」 甘美な誘惑に逆らうことなく、俺は本能のままに欲望を解き放った。 びくん、びくん、と今日二度目の白い精が、アトレイアのふとももの隙間から噴水のように飛び出る。粘り気のある液体が勢いよく宙を舞い、アトレイアの顔を、胸を、お腹を、ショーツを、ふとももをぴちょり、ぴちょりと汚していった。「はあっ……はあ……はあ……」「……ふう……」 アトレイアと俺は身体を密着させたまま、流れ続ける湯の中で、絶頂の余韻に浸り続けた。
素晴らしいひと時だった。またここでやろう。
再び精液で汚れてしまったアトレイアの身体。 その美しく清楚でかついまだに処女の肢体を、今度は普通に洗う。「アトレイア。お前の身体は、本当に傷が全くないな」 背中をタオルで洗いつつ、感想を漏らす。 素手で洗うとまたプレイに発展してしまうので、出来る限り媒介を通している。というかタオルですらプレイに発展しそうで激しく危険だ。 絶頂直後のアトレイアのつやつやとした素肌は、後姿ですら狂おしいほどに欲情をそそる。特に水分でふやけてほとんど透けてしまっているショーツがいけない。絶対に下半身に視線を移せない。 落ち着け俺。風呂以外でもソウルポイントを稼がねばならんのだぞ。「え……は……はい。ほとんど、部屋から出ることがないので……」「ほう」 どうでもいい雑談だ。だがこれも処女因子を更に研磨する手段と知れ俺。「あの……アクト様」「ん?」 アトレイアの綺麗な髪を手でほぐしつつ、俺は返事をした。「すいません……つかぬ事を、お伺いしますが……」
「許ーす」 両手でアトレイアのブロンドの髪をゆっくりと撫でて、感触を楽しみながら返事をする。つまり正直上の空だ。自然のウェーブがアトレイアの白く透き通る肢体と見事な調和を果たしているので無理もないことだと言い訳を並べておく。「ありがとうございます。あの……アクト様には……わ、わたし以外にも……『にくどれい』が、おられるのですか?」 ほう。それは微妙に俺の栄光の過去を探る良い質問だ。「結論から答えると」 ばしゃん、とアトレイアの頭上から湯をかける。「きゃっ」 アトレイアが小さく悲鳴を上げた。髪を伝い、お湯が床に流れ落ちる。 そのかわいらしい反応に満足した俺は、湯桶に次の湯を汲みながら、答えを言った。「いないな。候補だけならいたんだがな」「候補、ですか」「うむ」「……ひょっとして……候補とは、ティアナ様のことでしょうか?」「ああ。確かに候補の一人ではあった」 だが俺の熱いパトスを受け止めるまではいかなかったな。 あの姫様はあの姫様で、アトレイアとは違った実にまろやかな味がしただろうに。俺の誘いを断るとはもったいない女だ。 もう一人断った奴もいたが、あの女のことを思い出すと全身が激しく痛むのでやめておく。
「あ……」 アトレイアは俺の答えを聞くと、明らかにトーンダウンした声を発した。「そう……ですよね」 そして、目に見えて暗くなる。「ごめんなさい、変なことを聞いてしまって。わたし……わたしは、こうして……アクト様が……」 アトレイアはそこまで口に出したが、後の言葉が続かない。 ティアナと自分を比較して落ち込んでいるらしい。 同等であるはずの立場の相手に対する、劣等感か。 それは非常に俺好みで人間らしい感情を意味していたが、それにしてもあまりに筋違いだ。 なぜならアトレイアは、他の女性と比較されるためではなく、ただ俺の肉奴隷として存在しているのだから。「あっ?」 俺は、落ち込むアトレイアを元気付けるため、あごをクイとつかんで顔を上げさせた。そして正面に回りこんで膝を突き、アトレイアと視線を合わせる。 視界の下部にピンク色の突起が、更にその下に透けた布切れが見えた気がするが、死力を尽くして見なかったことにした。「え? アクト様?」「よく理解していないようだから、一つ教えてやろう」 もう一度、アトレイアに湯をぱしゃっとかける。「んっ! は……はい?」
「俺の頼みを、ティアナは断り、アトレイアは受け入れた。この意味がわかるか?」「……?」 わからないか。だろうな。 何しろ、俺自身にも全くわからんからな! アトレイアの意識を劣等感からそらすために、適当に口に出しただけなのであった。「……あの……?」 が、一度言い出したことには責任を取らねばなるまい。 俺は口の赴くままに、適当な問いの適当な答えを適当に言った。「つまりお前は俺の肉奴隷だということだ。ティアナではなく、お前がな」 そのままだった。ダース単位の芸人から突込みが入りそうなほどそのままだ。 どうでもいいが突っ込みとただ言うと妙にエロいな。今度検討しよう。「あ」 が、アトレイアにとっては、何らかの意味があったようで。 アトレイアは息を止めてしゃっくりをするかのように、大きく身体を弾ませた。「あ、あ……!」
「あ、あ……!」 そして、手の平で顔の中央を覆うように抑えたかと思うと、目じりから一滴の雫が頬を伝っていった。その後を追い、降り出す雨のように、瞳から透明の液体が流れ落ちる。 ちょっと待てい。 なぜだ。なぜその反応だ。予想外だ。「なぜ泣くっ!」「あ……! ごめっ、ごめんなさ、い。でも、でも……ごめんなさい……!」「なぜ謝るっ!」「う、ぁ……! ごめん……なさいっ……!」 俺の呼び声に対し、詰まった声でひたすら謝り続ける。 その間もアトレイアの眼からは涙がこんこんと溢れ出ていた。
俺もアトレイアも全く気付いていなかった。 その涙が、とめどめなく湧き上がってくる、ある感情の現れであることを。
(終)
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