ディンガル帝国の東には地図にも載らないような小さな村が存在する。名を「ミイス」という。その村は旅人などにもほとんど知られることなく、外界から隔絶された空間の中、少数の村人たちが穏やかな生活を送っていた。ミイス村は結界に守られていて、付近の森もその恩恵にあずかっており、故にモンスターが出ることもなく、村人たちも気軽に森へと通っていた。だが、それでも結界を越えることを恐れてか、奥へと入ろうという者はいない。ただ二人を除いては。
「ん…う…く…ぅう…」「ほらまた。我慢しなくていい。こんな所にまで来る者などいないよ」普段は小鳥のさえずりと木の葉の揺れる音しか聞こえないはずの穏やかな空間に、場違いに響く、音と声。ミイス村の神官の息子ロイとその妹リアは、しばしばこの場所で秘密の逢瀬を重ねていた。 後ろからの突き上げが激しくなって、リアはさらにきつく歯を食いしばった。快感に身を任せた方が気持ちが良いし、兄も喜ぶ。それは解っているのだがどうしても堪えてしまう。後ろで兄が苦笑する気配と同時に少し筋張った長い指がリアの唇をなぞった。思わず少し開いた口に、それは容赦なく滑りこんでくる。「は…ぁ…っ」まさか兄の指を噛むわけにもいかず、出そうになった声を、リアは目の前の古木を抱きしめるようにして何とかやり過ごそうとした。たがそのタイミングを図ったように一際高く突き上げられる。「あああぁっ…!!」一度ペースが崩されてしまえば、もう立て直すことは出来ない。リアは完全に兄の成すがままだ。限界近くまで質量を増したモノは緩急をつけながら膣内を深く掻き回し、いつのまにか増えた指は、わざと音を立てながら口腔内を犯してくる。さらに、空いた手で乳房を愛撫され、リアはもう快感以外の何をも感じられなくなっていった。「はあぁっ…いぃっ…に…さま…もっと…もっとぉっ!!」あんなにも声を堪えようとしていた妹が、今ではみっともなく涎を垂らしながら声をあげ、より激しい愛撫をねだるほど乱れている。期待通りのその反応に、ロイは思わず笑みを零した。ねだる声に応えるように首すじを軽く吸うと、それだけでびくりと体を反らせる。同時にきゅうと中が締まって、ロイは思わず顔をしかめた。もう、二人とも限界が近い。「あっ…あぁっ…もぅ…いっちゃ…」突き上げるピッチを上げられて、徐々に呼吸も早くなる。背中をきつく抱きしめられて、リアは来るであろう凄まじい快感に備えた。が、まさに達しようとした瞬間。ぬぷっと濡れた音を立てて性器が引き抜かれた。もどかしい熱を抱えたまま、リアは己の背中に兄の精が吐き出されるのを感じた。
「中に出してくれても良かったんですよ?」身体中の汚れを丹念に拭き取りながら、リアは不満げな声で兄に言った。「私達は将来夫婦になるのでしょう?」ミイス家は、代々血族結婚を繰り返してきている。一人子(ひとりご)の場合は、やむを得ず他の血も受け入れるが、その場合伴侶として選ぶのは必ず村の者でなければならない。この村にある秘密を守るため、よそ者を村に入れてはならない。それが村の掟だった。「だが結婚前に子など出来れば、私たちはミイス家の恥さらしとなる。父上はきっと私たちを許しはしないだろう。 もしかしたら、私は村から追放されるかもしれない。」穏やかではない内容とは裏腹に、ロイは平然として答えた。排他的で新しいものを取り入れようとしない村には、未だにたくさんの古臭い掟が残っている。婚前交渉の禁止もその一つ。「少なくとも私たちは二度と会えなくなるだろう。子は殺され、だがミイスの血を残すため、何ごともなかったようにお前は村の誰かの妻にされる。」リアに想いを寄せる幼なじみの少年の姿を思いだされて、ロイは不快げに眉を寄せる。リアを見遣ると、妹は身体を拭く手を止めて青ざめていた。「もしかして…知らなかったか?」「いえ…ただ、今まで実感がなくて…」不安げに見上げてくる目は少し潤んでいる。その身を抱き寄せると、きゅうとしがみついてきた。「大丈夫。父上は私のことを誰よりも信頼してくださっている。それを裏切っているのは、心苦しくもあるが…。 それでも私は…」お前が欲しかった、と耳元で囁けば、先ほど達し損ねた身体はあっさりと熱を取り戻してかすかに震えた。それだけで、放出したばかりのロイのものもわずかに硬くなった。だが、村から出てもうかなり経つ。そろそろ帰らなければ、心配した父母が探しにくるかもしれない。「すまない。私だけ満足してしまって。」心から謝りつつも、ついその反応が見たくてさりげなく感じやすいところに触れる。兄を疑う事を知らない純粋な妹は、頬を真っ赤に染めつつも必死で兄にフォローをいれた。「いえっ、そんな…私は兄様にご満足頂けるだけで幸せです!あのっ、けれど…」そ知らぬ顔で何だ?と問い返すと、今度は耳まで真っ赤にしてリアは呟いた。「明日もまた森へのお供、させてもらってもいいですか?」返事の代わりに、ロイは最愛の妹の唇に、己のそれを重ねた。
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