これで何度目の兄との逢瀬になったであろうか。これで最後、これで最後と誓いながらも、劣情に負けてまた兄の元へ通ってしまう。『もう私の元へ来てはいけない』兄はいつもそう言う。自分も頭ではそうだと分かっている。『私はシェスターを、お前はセラを裏切っている、許されないことだ』兄は優しい。優しすぎるほどだ。その優しさにつけ込んでいるのか、自分はいつも兄に泣きついて哀訴する。兄はその度に折れて自分を抱いてくれる。これっきりだ、と言いながら。情事が終わると自分は泣きながら謝る。もう来ません、と。ミイスに暮らしていた頃、兄と自分は結ばれた。その時は道ならぬ恋だと分かっていても閉鎖された小さな村の中では二人の秘め事を隠し通すことは容易であった。この禁じられた愉しみがいつまでも続くと思っていた。だが今はそうではない。時間は流れ運命は二人を引き離した。兄には恋人がいる。自分にも兄以外に好きになった男がいる。それでも、身体が兄を忘れられない。自分を捨てて恋人を選んだ兄への、そして兄を奪った恋人への復讐、そんなものは毛頭なかった。ただ兄の優しい愛撫がいつまでも忘れられないだけ。お互いに罪を共有しながら、兄と自分は逃れられない泥沼のような秘密の逢瀬を続けていた。
悪い夢を見て目が覚めた。いつの間にか見慣れない固いベッドの上に寝かされている。身体が重く力が入らない、指の一本も自分の意志で動かせない。起き上がることが出来ない。ふと自分の身体を見ると、見えないような細い糸で全身を縛られているようだ。『束縛の糸』と呼ばれる代物だ。身体の自由が利かなくなる。「目が覚めたか」聞き慣れた声がした。「……セラ」目の前には自分の恋人が立っていた。この男と知りあって随分経つ。共に歩んでいこうと誓った仲である。大切な恋人には変わりなかった。しかし自分はまだこの恋人に身体を許していない。兄への想いが断ち切れずにまだそこへ踏み込めない。男のその端正な顔が怒りで強張っているように見える。言葉を発しようと開いた口の中に不意に何かが押し込まれた。それは口の中で潰れ、果汁と甘ったるい味が広がる。徐々に舌が痺れてくる。言葉を発することが出来ない。ナジラネの果実だと分かった時にはもう舌も唇も痺れ、咽は渇き焼けついていた。男は喋ることの出来なくなった自分を冷酷な目で見つめていた。「俺が何も知らないと思っているのか」いつかすべてが露見する日が来るだろうとは思っていた。その日が来る前に兄との関係を断ちきろうと思っていた。だが遅すぎたようだ。「お前は俺の姉を侮辱した……そしてこの俺を裏切った」男の顔は怒りで青ざめている。思わず詫びようと口を開いたが、声は出なかった。ただ必死に男の顔を見つめ目で謝罪する。男はそれを無視した。男は仰臥している自分の身体を値踏みするような目つきで見つめている。やがて男の指が身動きできない自分の身体からいともたやすく着ている服を剥ぎ取る。上着と靴を剥ぎ取られ、簡素な下着姿にされる。恥じらいを隠すことも出来ず、ただ頬を染め、目を閉じる。少女の身体の上には、昨日の兄との情事の痕が花のようにあちこちに色づいている。恥ずかしさに消え入ってしまいたい気持ちになる。「随分愉しんだようだな」男がそれを見て、憎々しげに言った。少女の上に覆いかぶさり、男は髪を掴んで少女の顔を自分の方に向けさせた。目鼻立ちの整った少女の顔は恐怖に青ざめて尚美しく見える。男は今更のようにこの美しい少女を他の誰のものにしたくないと思った。「お前を許さない……」強引に唇を塞がれた。唇をこじ開けて舌が侵入してくる。熱いぬめった舌が口腔のあらゆる場所を舐め、侵す。男の歯が唇に当たる。やがて彼女の下唇を鋭い痛みが走り、みるみる口内に血の味が広がる。唇のその痛みに戦慄を覚え、少女は掌にじっとりと汗をかいた。硬い表情のまま目を閉じる。男の唇は彼女の唇を離れ、頬を、耳をなぞった。耳朶に食らいつき、首筋に吸い付き、熱い舌が肌の上を這う。くすぐったいような感触に少女はぞくりと身を震わせる。かっと全身が熱く火照り始める。やがて男は少女の胸を覆っている下着を剥ぎ取った。初めて見る少女の裸体。大きいが形の整った白い乳房。長い冒険のため引き締まった細い腰。元々色白のきめの細かい艶やかな肌。程よい長さの四肢。この身体を見たものは自分が初めてではない。改めて怒りが込み上げる。二つの乳房が男の目前に露にされる。がっちりと両方の乳房を同時に強く掴まれる。荒々しく鷲掴みにされてまだ発育途上であるそこに強すぎる刺激で激痛が走り抜けた。少女は激痛に顔をゆがめる。兄からこんな酷い扱いを受けたことはない。両の乳房を捏ね回され、刺激ですっかり膨れてしまった頂の突起を爪でぎりぎりと抓られる。その度に激しい痛みと全身を走り抜けるむず痒いような甘い切ない感覚とか代わる代わる彼女を襲う。男が彼女の乳房に喰らいつく。乳房に赤い歯形が付く。痛い。身体を動かせない少女はただ天を仰いで呼吸を荒くするだけだった。
唯一付けている下着の中が湿り気を帯びてきた。やがて、男の細長い指が彼女の下着の中に差し入れられる。湿ったそこがくちゅ、と音を立てる。次の瞬間強引に下着が引きずり下ろされ、少女は完全に生まれたままの姿になった。薄桃色の丘の上に薄くまばらに生えそろっている茂みがかすかに震えている。抵抗する術もなく、彼女の両足が力任せに開かれる。兄にしか見せたことのない、彼女の秘部が露にされる。触れられていないのに、そこは意思を持つもののようにひくひくと動き、淫らな泉からはもう粘液が流れ出している。昨日の兄との情事の名残か、そこはもう桃色に色づき充血している。男は視線で少女の秘部を犯してゆく。男の視線から直接触れられたような刺激を感じる。直視される恥ずかしさを感じても、何故かだらだらと己の泉から蜜が溢れ出し止められないのをどうすることも出来なかった。男は不意に、新たな怒りが胸の中にわき上がってくるのを感じた。この少女は何度兄のものを銜え込んだだろう。何度ここを兄の目の前に晒しただろう。そう思うと目の前にあるそれをめちゃめちゃにしてやりたくなった。男の人差指が少女の膣口へと強く挿入される。ずぶっと音がした。ずるり、と指の腹が内部の肉壁を引っ掻くように擦る。その感触と鈍い痛みとに少女は喘いだ。膣口が収縮を繰り返し男の指を締め付ける。中からは掻き出されるように蜜が止めどなく溢れてくる。人差指が挿し入れられたまま、もう一本の指が扉をこじ開け侵入してくる。そこは二本の指など簡単に銜え込んだ。内部を掻き回す二本の指の動きに、少女の喘ぎが激しくなる。少女は恐怖の中にも男の指によって生まれる感覚に酔った。だが次に、そこに経験したことのない激痛が走り少女は顔を引きつらせた。悲鳴は声にはならなかった。二本の指が泉に埋め込まれたまま、親指が彼女の菊座に力任せに突っ込まれる。そこは兄にも触れられたことのない場所だった。外部から侵入を拒むそこは男の指をぎちぎちと締め上げた。やはりそこは親指の爪の部分までしか入らない。それでも男は挿し入れた親指を彼女の全身を揺さぶるようにぐいぐい動かした。「……ぃっ!」少女が声にならない悲鳴を搾り出した。経験のない痛みに身体が強張る。歯ががちがちと鳴る。痛みに苦しむ少女の顔を見ていると、男の胸にはだんだん優越感と支配欲とがわき上がってくる。もっと強い苦痛を与え、泣き叫ぶ少女の顔が見たいと思った。同時に与えられる鈍い痛みと快美感に少女はだんだん意識が遠くなる。知らず知らずのうちに涙が流れ落ちた。長い時間が過ぎたように思えた。やがて入れられた時と同様に、指が唐突に引き抜かれた。少女の身体中の筋肉が一度に緩む。深くため息をついた。やっと開放されたと思った。まだ放心状態から戻れずに、ぼうっとした意識の中で何度も息を吸っては吐く。気持ちがようやく落ち着いてから、少女は薄く目を開けた。
最初に目に飛び込んできたものに、少女の顔色が変わった。起き上がることも身を反らすこともできずに、ただ声もなく目の前にあるものを見つめる。仰臥したままの自分の顔の前には、いつの間にか服を脱ぎ捨てて全裸になっている男の男性自身が突きつけられている。それは赤黒く血管が浮き出て隆起し、何か忌まわしい怪物を想像させた。少女はごくりと唾を飲み込んだ。口が渇く。頬が熱い。身体中を戦慄が走る。兄のものでさえ、ここまで間近に見たことがなかった。男は少女の顔の上に覆いかぶさり、それを彼女の顔に押し当てるように突きつける。何も言われなかったが、相手が何を要求しているのは分かった。息を飲んで、思わず顔を背ける。すかさず男は彼女の髪を掴んで顔を元通りに正面を向ける。熱い熱気とむせ返るような雄の匂いがする。少女は強く目を閉じて、歯を食いしばり、いやいやをするように首を振った。不意に男が手を伸ばした。そして、彼女の口に指を突っ込んで、無理やりこじ開けさせた。あっと思う間もなく、彼女の口腔一杯に男の隆起した男性自身が押し込まれた。「……!」突然のことに思わず目を見開き、呼吸が止まりそうになった。咽の奥までそれが押し込まれ、何か、熱いものが口の中にゆっくり広がってゆく。男は彼女の髪を掴んで顔を動かせないようにしている。口一杯にそれを押し込まれたまま身動きできず、羞恥と屈辱とで顔が赤くなる。呼吸が詰まりそうになるのに耐えられず鼻で荒い呼吸をする。開けたまま閉じられない口の端から唾液がだらだら流れて零れる。口腔に押し込まれたそれは、驚くほど熱い。それはますます大きさを増し彼女の歯を押し上げ舌に押し潰し、咽の奥にまで到達しようとしていた。頭の中が羞恥心と恐怖で混乱しそうになる。もう何も考えられなくなった。咽の奥深くまで強く圧迫されて、彼女は吐き気を催し、噎び始めた。開けることも閉じることも出来ない口の端から、呻き声とも噎び泣きともつかない声が漏れ、全身がぶるぶる震え始めた。「ぅぅ……!」咽の奥がごろごろと鳴る。永遠にそのままの状態が続くかと思われたが、やがてそれは彼女の口から引き抜かれた。少女は荒々しく息をついた。涙が何滴もこぼれた。その時、目の前の引き抜かれたものから何かがほとばしるのが見えた。次の瞬間びちゃびちゃと音がして白濁した生暖かい液体が自分の顔に、髪に、開いたままの唇の中に浴びせられた。動くことも避けることも出来ずに、彼女は白濁した液を顔中に浴びた。開いたままの唇から白い液の混じった唾液がだらりと流れ落ちる。美しい少女の顔が白濁液に汚されているのはなんとも痛々しく淫靡で扇情的であった。男はそのまましばらくぜいぜいと息をついていたが、やがて顔を上げて白濁液と涙でどろどろに汚れた彼女の顔をじっくりと見た。「……酷い顔だな」少女は汚された顔のままどうすることも出来ず、ただ涙をぼろぼろ流しすすり泣いている。おそらく兄にはこんな事をされてはいまい。かすかな満足感が男の胸に広がる。男は近くにあった布で乱暴に彼女の顔を拭った。少女は初めて受けた仕打ちにただ身体を震わせてされるがままになっていた。『囚われた』と思った。
少女の思考はそこで再び中断された。男が再び彼女の両足を開かせ、さらけ出された秘部に己の顔を埋めたのだ。べちゃべちゃと卑猥な音を立てながら、彼は少女の秘密の場所を犬のように舐める。指でひくつく左右の花びらをこじ開け、中に息づく泉に口付ける。甘酸っぱい少女の匂いが辺りに立ちこめる。やがてその上にある膨らんで充血した肉芽を彼は舌の先で何度も舐めた。舌先のざらざらした感触が直接、脳髄にまで響く。電流のように全身を走り抜ける下腹部から生まれる甘美な感覚に彼女はただ、腰を浮かせ声にならない声を上げ、喘いでいた。男の前歯が肉芽に当たる。途端に激痛が走る。少女は歯を食いしばった。男の長い髪が彼女の太股の内側をくすぐる。もどかしいような感触。男の与える振動にその不釣り合いに大きな乳房が身体の動きに合わせて淫猥に揺れた。昨日の兄との情事の時にもそこに与えられた愛撫。そしてその時とは比べ物にならない程の激しい長い長い愛撫。少女の意識は遠くなってゆく。そのまま終わりに到達するかと思われた。その直後男の男性自身が彼女のじんじんと痺れる肉芽にあてがわれるのを感じた。燃えるような熱とごつごつした感触が触れている秘部から伝わる。先程まで自分の口の中に押し込まれていたそれ。それで自分の中を掻き混ぜられたら自分はどうなってしまうだろう。未知の経験ではないにも拘わらず、緊張で身体が強張る。額に玉のような汗をかく。しかしその意志に反して溢れ出した蜜はこれからのことを期待するように太ももの内側までぐっしょり濡らしている。恥ずかしい、と感じた。頬が熱くなる。あてがわれた肉棒はひくつく両の花びらの間で擦られるとすぐに蜜にべっとりと濡れた。男の牡が動かされると、彼女の膨れ上がった肉芽と擦れ合うように触れ合う。肉芽を硬いもので何度も擦られる感触。それだけで少女は絶頂を迎えそうになる。少女の顔に恍惚の表情が浮かぶのを見て、男はまた胸の中に新たな憎しみが生まれるのを感じた。悦びよりも痛みを覚えさせてやりたいと思う。少女の全身がぶるぶると震える。身体が少し弓なりになる。その途端に、彼女の泉に男の肉棒が乱暴に挿し入れられた。彼女の中に侵入したそれは彼女の中を押し広げるようにして奥へ奥へと入ってゆく。ぎゅっと膣口が収縮し、男の自身を締め上げる。その圧迫感は締め付けている彼女自身の体の中からも音を立てるように響いた。鈍い、裂けるような痛みを感じる。息苦しい。身体が強張る。助けを求めるように何かにすがりつきたくてたまらない。必死で両手を動かそうとした。『束縛の糸』の効き目が薄れてきたらしい。腕が僅かに動く。少女は必死でシーツを握りしめた。
涙で霞む視界の中に男の顔が見えたがそこに表情は読み取れなかった。ずぶずぶと音を立てて男の隆起した牡が奥へと突き刺さる。最も奥の、肉壁までそれが達すると、今度は一気に引き抜く寸前まで腰を引く。その度にじんじんと身体の奥から疼くような痛みがわき上がる。二人の下半身がぶつかり合う度に、湿った卑猥な音が部屋に響いた。少女の顔と乳房の上に男の乱れた髪がかかる。それがむずがゆいような感覚を乳房から生まれさせる。激しい腰の律動が止まらない。湿った音が部屋中に響く。ベッドが軋む。少女の身体の中で内部を押し広げられる重たい痛みと痺れるように甘美な感覚とが交互に生まれ、襲いかかる。男は不意に少女の股を両手で掴んで腰を持ち上げた。自分の隆起したそれを銜え込んでいる赤く色づいたひくつく花びらが目の前に見えた。そこからはだらだらと白濁した糸を引く蜜が流れ落ちている。ここで何度も兄のものを銜え込んだのかと思うとまた怒りが込み上げてくる。いたぶるようにそこを指で左右に広げ、その上に震える肉芽を抓るように擦った。少女は激しい痛みに震え身を強張らせる。膣口が激しく収縮し、男の自身を締め上げた。その感触に目の前が一瞬暗くなる。達しそうになる。堪えるように男は深く息を吸い込んでは吐きだした。そして後少しで、という感触のところで男は腰を引いた。内部の圧迫感が無くなり、一気に身体中の力が抜けたような気がした。少女は息をついた。男はそんな彼女の腰を持って軽々と担ぎ上げた。もう動こうという気力もないのか、少女はまるで人形の様に両手をだらりと垂れ、成すがままにされている。自分はあぐらを組み、その上に少女と自分の顔を向かい合わせに両足を開いた状態で勢い良く座らせた。いや、抱き落としたと言ったほうが正しい。隆起し、血管を浮き出している男の自身が先程引き抜かれた少女の同じ箇所に力いっぱい突き刺さる。「……ぃ!」生傷をえぐられたような激痛が走る。少女は声にならない悲鳴を上げた。なんとか動くようになった両手と上半身で必死にもがこうとする。前から男の両手が伸び、上半身を動けないようにしっかり抱きしめる。彼女の豊かな乳房が男の厚い胸板に押し付けられ、卑猥な形に歪む。全身にしっかりと密着した男の燃えるような体温を感じた。熱い。そして男の右手は結合している部分の上部の震える肉芽へと伸ばされる。男の右手の指が結合部の上の彼女の膨らんだ肉芽を捕えた。感じやすい少女はそこを触れられるだけで全身が鳥肌立つような感覚に襲われる。結合した部分からはぬめった蜜があとからあとから溢れてくる。指の腹はそれを掬い、肉芽に塗り付けた。途端に電流のように激しい快感がそこから生まれ、少女は激しく喘いだ。その直後に今度は腰を両手で抱えられて軽く身体を浮かされ、そのままどすん、と落とされる。下から突き上げられ、少女の内部に擦り剥いた傷口のような痛みが走った。前からと下からの責め、激しい快感と痛みを同時に与えられて少女の頭の中は混乱しくらくらと眩暈を覚えた。涙をぽろぽろと零しながら、ただ悲鳴とも嬌声ともつかない喘ぎ声を上げ続けた。少女の泣き顔を見ると、男はわき上がる支配欲に頭が破裂しそうになるのを堪えた。
男の右手がいつの間にか前から引き抜かれ、少女の引き締まった尻の双丘を撫でている。と思う間もなく、彼の指が半ば強引に彼女の菊座に突っ込まれた。「……!」指は彼女自身の蜜で濡れていたが、そこは外部からの侵入をきつく拒む。構わずに男の指が中で暴れる。少女は激痛に呻き、必死で暴れるように身をよじらせた。だが、下半身が結合している上に、男の長い腕がしっかりと彼女の身体を抱きすくめている。身をよじらせる事は結合部と指を強引に挿し入れられている部分から新たな痛みを産みだすだけの結果にしかならなかった。男の指が内部を、直腸の壁を掻き回す。今まで経験したことのない激しい痛みに彼女は声にならない悲鳴を上げ、その身体はがくがくと痙攣した。そこは激しく収縮し、男の指を食いちぎるように締め上げる。同時に膣口も激しく収縮を繰り返す。燃えるように熱い棒状のものを彼女自身の肉壁が締め上げるのが自分でも分かった。後ろから与えられる激痛。そして結合部からわき上がってくる鈍い痛みに混じったどうしようもない快感に少女の思考は崩壊寸前になった。泣きながら男の身体にすがりつく。男の激しい息遣いと心臓の音が耳元にはっきり響く。男は少女を抱いた最初のきっかけなどもう完全に忘れていた。狂うような快楽とすすり泣く少女の甘い泣き声だけが今自分を支配しているすべてだった。男の指が禁断の場所を掻き回し続ける。しっかりと密着した二人の恥骨に挟まれて感じやすい肉芽が擦れてとろけそうな感覚を生みだす。結合部から溢れ出した蜜がべちゃべちゃと淫猥な音を立てていた。 もう限界だった。少女の身体ががくがくと痙攣し、彼女は男の背中に爪を立てた。膣口がこれ以上締まらないくらい強く男の自身を締め上げた後、ゆっくりと弛緩した。 少女は霞んでゆく意識の中で兄の顔を思いだそうとした。しかし、思い出せなかった。身体の中に熱い液体が広がってゆく感触を感じながら意識は遠のき、少女はがくりと頭を垂れて動かなくなった。
身体中の血が淀んでいるような感じがする。手足が重い、何かどろりとしたものがまとわりついている様だ。この胸の内からわき上がるような後悔と罪悪感は何なのだろう。身体の奥がじんじんと疼いている。先程達したばかりなのに、身体の中のむず痒いようなもどかしさが治まらない。身体の芯が溶けてしまったような気がしていた。男は遠くを見るような目で目を閉じて横たわる少女の顔を見た。(俺は囚われた)もうこの少女を手放すことは出来ない。片時も自分の傍から離しておくことは出来ない。自分はこの少女を壊した。手放せば、この少女は傷つけられたまま兄の元に戻ってしまう。そうなったら、親友である少女の兄にも、その恋人である自分の姉にも二度と顔向けが出来ないだろう。それ以前に自分はこの少女をもう手放したくない、と思った。抱いてしまった後で分かった、自分は彼女なしでは過ごしてゆけない事が。自分はこの少女と運命を共にするしかない。この少女の兄が自分の大切な姉を奪っていったように、自分はこの少女を兄の元から奪うしかないのだ。(捕えたつもりが、逆に囚われてしまった)
少女は薄く目を開いた。そして潤んだ瞳で自分の顔を見た。あどけなさの残る少女の頬は薔薇色に染まり、それが蠱惑的に見えた。何か言いたげに口を開いた少女の声を遮った。「もう決して兄の元へは帰さん」少女の長い睫毛が震えた。「俺はお前を奪う。逃げたら追う、捕える」そう言いながら赤い痣になるほど、少女の細い手首を握りしめた。「逃げられると思うな、お前の意志など関係ない」「セラ……」弱々しい声を聞いた。やっと言葉を発せるようになった少女の声は掠れていた。「ごめんね……ごめんなさい」酷い仕打ちを受けたにも拘わらず、少女の口から出たのは詫びる言葉だった。震えている少女は弱り傷ついた小鳥のように見えた。「私は何処へも行かない、あなたの元から……だから……だから……!「苦しいの……私を助けて……」男には少女が苦しんでいる理由が分かった。腹立たしさと愛おしさの混じったどうしようもない感情がわき上がる。男の顔に浮かんだ表情を見て少女の頬に一筋の涙が伝った。「私を助けて……私を壊して……」愛した男が目の前にいるのに、忘れかけた兄との記憶が甦る。自分の身体に刻まれた兄から受けた愛撫と口付けの感触が甦りそうになる。それを振り払うように彼女は叫んだ。「もっともっと、私を壊して……めちゃめちゃに、して……!」自分に助けを求める少女の悲痛な顔はこの上なく痛々しく、美しかった。男は飢えた獣のように再び少女の首筋に喰らい付いた。焼けつくような痛みが首筋に走る。ぐらりと視界が揺れた。喘ぎながら呟いた少女の最後の言葉は男の耳には届かなかった。(忘れさせて……忘れさせて……兄さまのこと……!)
---終わり---
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