蒼茫とくらい内海の海原を一隻の帆船がすすんでいた。壮大な夕焼けが西の海の水平線を血色に染めていたが、しだいに蒼みがかかり、今は残光が微かにのこっているだけだ。星影が、前檣のかげに立つふたりの男女を照らしていた。 「ルヴァ!夕陽を見たこと?わたくし、うっとりしちゃった。」「一緒にいただろ、きれいだったな。それよりあっち、リベルダムをみろよ。」「すてき…。わたくしも、あの小さなともし火の中で暮らしていたのね。」バイアシオン内海には夕霞がおりて、水平線のはてに浮かんだ落日が、先ほどまでその美しさで乗客を恍惚とさせていたが、日が沈んだ今は、帆をまきあげて出港したリベルダムの灯が、闇の中でうっすらと輝いて、見るものを楽しませていた。 ひとりは上品そうな楚々たる姿体の娘で、腰まである茶色の髪と丈のながいスカートを揺らしながら、舷のへりから身をのりだしている。その傍らで心配そうにしているのは青髪の青年で、ほっそりとしているが、どこか肉食獣じみた存在感を持つ男だった。 娘は自由都市リベルダムやロセン王国の復興で、指導的立場にあったクリュセイス・クロイスであり、青年はフリントの息子ルヴァと言う。二人ともリベルダムからの航路など、何度も何度も乗船しているはずだが、すべてが新鮮で世界は驚きに満ちている童女童子のように、屈託なく笑いあっていた。それもこれも、この船が二人を新たな旅につれていってくれるからだ。二人は全ての任から解放され、世界を回っていろいろな町を見て回るためへの、待望の船出だったからだ。
四面を板壁に囲まれた小さな部屋。静かな夜の帳なかで、風に鳴る帆のはためき、帆柱の音、潮騒の響きが微かに聞こえる。裸身をさらしながら寝台に腰掛けているルヴァの前で、クリュセイスが潮くさい羽目板にひざ立ちで屈み込んでいた。肩や太ももをはだけさせ、新雪のような肌をあらわにしつつ、艶かしく髪をかきあげている。 「それじゃ、してくれ。」クリュセイスのひんやりとした手が、黒々とした肉棒に触れた。震えるような手つきだ。なめらかな感触にふれた途端、だらりとしていたルヴァの肉棒が、硬くなっていった。腿ほどになり、へそのあたりまで聳立したかと、一瞬クリュセイスは幻視した。実際そこまで巨大であるはずもない。だがその色と、小振りながら超人的な凄艶さをもつ偉容は、クリュセイスを戦慄させるに十分だった。 クリュセイスの怯えが、冷たい湖のさざ波のようにひろがるのを肌で感じ、ルヴァは思わず獣じみた笑いを浮かべた。クリュセイスは、目を背けたいのを必死で我慢しながら、臆病に口を開き舌をのぞかせた。ちらちらとのぞく赤い舌先と、黒ずみ青筋がはった剛直との距離が縮まるにつれて、 「はぁっ……ぁっ。」緊張からかクリュセイスの息は荒くなっていく。そして、ついに赤い舌が吐息ともに、ルヴァに触れた。先端を舐めまわす。粘着質な音をひびかせて、雁首にそって舌を這わし、裏筋をツーっとやる。かってがわからぬまま、男性器を隙間なく舐めしゃぶっていく。飽きることなく、とにかく舌と唇を動かし続けたせいで、すぐに肉棒はよだれでべとべとになり、クリュセイスの口元もぐちゃぐちゃになってしまった。「クリュセイス、そろそろ咥えてくれ。」不慣れでめちゃくちゃな舌使いが、結果的に焦らすような細かい攻めになり、ルヴァはより強い刺激を求めた。そして彼女を促すように頭に手をやり撫でてやる。「…うん。」クリュセイスは舌をはなすと、困ったように上目遣いでルヴァを見上げ、今度はまだまともに見ることはできない剛直に、ちらちらと目をやった。そんなことをしばらく繰り返した後、クリュセイスはコクンと頷き覚悟をきめた。
おそるおそる呑みこまれていく。半分でやっとだ。生温かな肉の感触が剛直をつつんだ。クリュセイスが股間に顔をうずめていくのを見おろしながら、ルヴァは暗い哄笑が魂の底からわきあがってくるのを感じた。目の前の少女に恋焦がれ、深く愛している、というのもある。目の前の少女が、沈んだ、やさしい、母性的な美しさもつ人、というのもある。だが、なによりも、目の前でひざまずいている少女が、あの『クリュセイス・クロイス』であることが、ルヴァをこれ以上なく獣欲のるつぼに陥れていた。ネメアの世界征服が起きなければ、旅商人の息子でしかなかったしがない己と、決して運命が交わる事がなかった深窓の令嬢。自分をはめて、辱めて、奴隷剣士にまで貶めた美少女が、おずおずと猛り狂っている剛直に舌を這わせたばかりか、咥えているのだ。彼女の体を、ほのかに赤らみ熟しはじめた果実に例えるなら、唇はまだ青く清らかな果実のようなもの。ルヴァは今、恥辱をあびせられたこともある、その青い果実――キスもほとんど経験していない唇に、てらてらと黒光る劣情を淫靡な音をたてしゃぶらせ、奉仕させているのだ。自分を蔑み罵倒しつくした、形のいい小さな口が、己の剛直に蹂躙され犯されている。その目の前の光景だけで、ぞうっと背筋をはいのぼる熟鉄の快感を感じて、息さえもできなかった。クリュセイスの滑らかな髪を撫でながら、この世ならぬ白光に満ちたような、絶大な征服感にルヴァは酔った。
しばらくクリュセイスの口の中の感触を楽しんでいると、彼女のたっぷりとしたふくらみが目に入った。ルヴァは下卑た舌なめずりをすると、一生懸命に口で剛直を咥えているクリュセイスの胸に片腕を伸ばし、ぐいっとその胸をかきひらいた。あっとおさえるいとまもなく、みごとなふたつの乳房があふれ出る。雪花彫刻のような神々しいまでの胸だった。胸を手でもみしだくと、「んんっ・・・あんっ・・・ふぁっ!」「相変わらず胸の感度がいいな…口を休めちゃだめだ。」「ん、うん…あっ…あ…。」クリュセイスは面白いように声をあげてくれる。体をよじらせて手のひらから逃れようとする動きが、よりルヴァをたのしませた。我を忘れたように半円球をなでまわし、乳首をいじる。手にあまる大きさの乳房だが、逃げようと動くクリュセイスをのそれを、なかば着衣越しに嬲るには丁度よかった。「んっ、んん…ぁん…んっ…んふ…んんっ…あぁ…ん…」嬌声を抑えて、クリュセイスははしたなく舌を伸ばしながら、滑らかな髪と顔を怒張にこすりつけ、男の下半身にすがりつくように、クリュセイスは奉仕を続けた。技術的にはまるでたいしたことがないが、クリュセイスの痴態にルヴァの劣情はさらに増していく。「ちょっと動かすぞ。」ルヴァはクリュセイスの頭を軽く抑えて、前後にゆるやかに動かし、抽挿をはじめた。唇のあいだに暗い赤銅色が出入りする。数度のちいさな動きでも、口を奪われることに慣れていないクリュセイスは、窒息感と圧迫感に、唇のはしから唾液を垂れ流しながらむせた。
「大丈夫か?」ごほっごほっとやっているクリュセイスを、心配そうにのぞきこんだ。「もうっ、女の子をいじめるものではなくてよ!」「わるい。調子に乗りすぎた。」クリュセイスをつかんでひきずり寄せ、太ももの上に跨らせせると、優しく抱きしめ額にキスをする。そのままスカートをすっとあげると、蕾を覆う布は愛液でぐっしょり濡れて、ふとももを伝い足元まで滴り落ちていた。ルヴァは布を引きづりおろして、指を恥部にすべりこませ陰核に触れた。「あん…恥ずかしいんぁっんっ……ふぁ……ぁ!」軽く曲げて動かす指には愛液が絡みつき、易々と恥肉の中を行きさせる。行き来させるが、一方で陰門とその内側の柔肉が、差し入れられる指をぎゅっと圧迫し、なかなか放そうとしない。ルヴァがスカートの中に消えた指を動かすたびに、クリュセイスがもだえながら小刻みに腰を前後させる様は、太もものうえでお馬さんごっこをしているかのようで、なかなかいやらしい。「このまま挿れるよ。」ルヴァは支えるように彼女の腰に手を回した。クリュセイスが頷き、剛直を自らの恥裂にあてがう。彼女は両手をルヴァの首に回し、強く抱きしめる。たわわな胸が男の胸板に押しつけられ形を変える。一気に腰が落とされる。剛直をひきちぎらんばかりの締め付けをむりやりこじ開け、全身を彼女の淫溝へと埋めていく。「んっあん、あん、んあああんっ!」窮屈な彼女のなかで、剛直はざわざわと動く肉壁にこすられて、ザラザラした肉の感触をしっとりと感じながらルヴァは狂った。大きく下から突き上げ、ひらがなの『の』を描きながら腰を回す、壷口を擦り上げる。動くたびに恥肉がめくりあげられ、ねちゃねちゃと音を奏でた。「あぁんっ!駄目、凄い!」どれだけ動いても疲れをしらないルヴァのはげしい動きだった。ルヴァはクリュセイスの太ももと尻を抱え込んだ。腿の肌はまだ熟れきっていない、清麗でなめらかだった。これからさらに熟れる女の肌だった。熟れかけとはいえ、小ぶりな尻も充分に柔らかい。力任せにその体を持ち上げた。しっかり肉棒に巻きついていた腰が無理やり引き上げられる。丹花の唇から嬌声がもれた。「ちょ、ちょっと、何をするの?」「こうするのさ。」腕から力が抜けた。重力に逆らうことなく落ちた細い腰は、そのまま剛直に容赦なく貫かれた。クリュセイスの腰が肉の響きを鳴らしてルヴァの腰にぶち当たる。串刺しにされたクリュセイスが悲鳴を上げて背をのけぞらした。二人の結合部から汁と汗が飛び散る。「いやぁぁぁ…!」貪欲な性獣はいやらしく笑い、腕に力をこめて、またクリュセイスの体をもち上げる。見た目こそ地味だが、良質の絹で編まれた服に身をつつんだ女が、むりやり上下に激しく動くことを、永遠に繰り返させられる。ぶるんと振るえる乳をルヴァが口にふくみ、舌で乳首をころがし、おもちゃにしながら、女体を持ち上げ落下させるたびに淫らな音が部屋に鳴り響いた。クリュセイスの口から涎が流れ、絶叫とともに体がビクビクと痙攣のように震えだす。「ああああああ…」焼きれる様な快楽のすえ。声にならない声がクリュセイスの口から迸り、それと同時に、まるで絞るように彼女の恥部が肉棒をぐっと締め付けた。
ルヴァのそれは嵐のように荒々しく、そして長かった。ほとんど半夜をこえる愛撫。愛撫というより陵辱と形容すべきかも知れない。べつに強姦というわけではない、もちろん愛し合う二人の和姦である。内容とて別段異常なものは見当たらない。ただルヴァの精力が恐ろしく長くて強烈で、まるで永久に終わらぬ光と闇の戦いを連想させるほどの長さだった。陵辱といった観を呈したのは、クリュセイスがそうなってしまったからだ。しだいに柔らかくなり、とろけ、湯気のごときものをあげはじめ、はては流れて、ついにクリュセイスはじぶんが固体ではなく白い液体と化しているように感じるありさまになりはてた。……その液体がルヴァの胸のなかで、もとのクリュセイスの姿にもどったのは明け方のことだった。
その日は雨こそ降らなかったが、曇天でバイアシオン内海も灰色だった。風も強く、波も少し荒れているので、昨日よりも船が揺れている。帆の音と潮のひびきに妨げられて、甲板にいると声が通りにくい。それだけに、今甲板にいる客はルヴァとクリュセイスのふたりだけだった。髪と衣服をひるがえしつつ、ゆきつもどりつしている竜王の島の影を、舷から見まもっているふたり。「もう、強引なんだから。わたくしの服ぐらいちゃんと脱がして欲しいものね。」「へっへっへ、いいじゃん。それに寝台があるだけ、はじめての時よりゃマシだろ。あの解放軍の部屋には椅子と机ぐらいしかなかったんだからな。」「そ、そういう問題じゃないの!」「ま、次はご希望にそえるように努力するよ。」「ルヴァの変態。スケベ。けだもの。」クリュセイスは可愛らしく頬をふくらませ、ぷいっと顔を背けた。まぁまぁとなだめながら、ふいにルヴァが海を指さした。「見ろ、ここからの眺めはなかなかだろ?」クリュセイスは目を見張った。そこにはみたこともないほど間近に、竜王の島の絶景が広がっていた。長い砂浜の奥にはあつい雲海までのびる山がそびえ、一種独特の雰囲気をかもしだしている。あまりいい天候ではないなか、ルヴァがクリュセイスを甲板に連れ出したのは、この眺めをみせたかったからだったのだ。「エンシャントについたら次はどこに行こうか。」「ルヴァにまかせるわ。わたくしはまだ世界の一部しか知らない。だから、世界を回っていろいろな町を見て回りたいの。」「まかせろ。どこへだってつれてってやるよ。」船は水脈を遠くひきながら、帆いっぱいに風を受け、波をものともせず航路をすすむ。新しい世界にふれようとするふたりをのせて、帆船はエンシャントにむけて内海をわたっていった。
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