仮面の男は全裸で椅子に座っていた。手は後ろ手に縛られ、ベッドから目を離さないように命令されていた。彼は従順にひたすら見つづけていた。まばたきすら忘れるほどに。
目の前のベッドでは繰り広げられる痴態が繰り広げられていた。そこに横たわった女は首をのけぞらせ、漆黒の髪を振り乱しながら歓喜の声をあげている。その下では筋骨隆々とした男が、彼女の秘所に顔をうずめ、黒い茂みの奥を舌で執拗に探り回している。女の体は透き通るほどに白く、その胸はたわわに実った豊潤な果実にも似て、大きく張りがある。乳首は淡く小粒だが、男の舌がもたらす悦びのためにツンとそそり立っている。女のあえぎ声が大きくなるにつれ、男がたてる水に似た音もさらに粘度を増してゆく。女が顔を上げ、仮面の男に声を掛けた。「サイフォス、私のオモチャ。最後まできちんと見届けるのよ。ふふ…」
仮面の男は痛いほどに大きくなった己の肉棒を強く意識していた。開放されることを願っているその高まりに手を当てて、強くしごきたかったが、きつく縛られた手がそれを許さない。アーギルシャイアは彼のそんな様子を見て、薄く笑いながらさらに大きく悦びの声を上げた。
彼は数日前に生まれたといってもいい。それ以前の記憶が全くないからだ。気が付くとそこに美しい女性が立っていた。漆黒の髪、抜けるように白い肌。目は大きく濡れたように美しく輝くが、底にある光は冷たく残忍だ。艶やかに赤く誘うように薄く開いた唇。仮面の男の生は彼女を見た瞬間に始まり、その体も魂もすべて彼女のものとなった。
その日、アーギルシャイアはふたりが拠点としている研究所に初めて見る男を連れてきた。「さあ、サイフォス。遊びの始まりよ。この男とあなたとで存分に楽しませてもらうわ」そう言いながらサイフォスに服を脱ぐように命令し、椅子に縛り付けた。そして男と彼女はベッドに縺れこんで、サイフォスはそれを見ることを強要された。
「ねえ、サイフォス。この身体、まだ生娘なのよ…、ふふ…。いいわあ。私に押さえつけられているこの娘の精神が、男に触れられることを怖れて震えているのがわかる…。ふ、ふふふ。ああ、その怖れで私、とても強くイイ感じが味わえる。あああ…、今彼女は弟に助けを求めているわ。ああ、弟にも今の彼女の姿、見せたかったわ…。ああ、素敵。ああ、もうイキそう」
アーギルシャイアの言うことは、時にサイフォスにはよくわからない。今も彼女が何を言っているかを完全に理解することはできなかったが、ただ彼女が別の男に身体をまかせ、悦びの声をあげているのが耐えられなかった。反面、自分の男は今まで無かったほど強くいきりたち、透明な液が流れ出始めている。しかし彼女が、男の身体を彼女の中に迎え入れるのを正視できるかどうか不安を感じていた。もしかして目を逸らしてしまうかもしれない。彼女の命令を破ることになるかもしれない、と。
アーギルシャイアがひとこわ大きくうめき声をあげ、男の顔に腰を突き上げて仰け反った。「ふふ、よかったわよ」そう言うと上半身を持ち上げ、目の前に跪いた男の目の前で軽く手を振った。その瞬間、男の身体は闇に包まれ閃く閃光の中消え去ってしまった。
アーギルシャイアはサイフォスの視線を捉えた。ゆっくりとベッドから降り、サイフォスに向かって歩きながら話し続ける。「あの男は舌で私を楽しませるだけの存在。ただの道具。使い捨てだからもういらないのよ。さあ、次はあなたの番。あなたは私のとっておきのオモチャなのだから、存分に楽しませてもらうわ」そういうと、サイフォスの手の自由を奪っていた縄を外し、ベッドに横たわらせた。「この研究所、面白いものがたくさんあるのよ。手錠、手枷、足枷、ナイフや解剖用の魔法道具も山ほどあるわ。すべて聖霊や闇の生き物を研究するのに使っていたのよね。ふふ…、今度はこちらが人間を研究する番だわ。サイフォス、いくわよ。何があっても声を漏らしては駄目。命令よ」アーギルシャイアは、サイフォスの両手両足をベッドの両脇に縛りつけた。サイフォスは無防備な状態でただ横たわるのみ。彼の一物はさらに怒髪天を突き、黒々と大きいその亀頭は濡れそぼっている。彼には羞恥心はない。だが欲望だけは膨れ上がる一方で、疼痛を伴って彼を苛む。だが、アーギルシャイアのピンクに蒸気した肌、柔らかにうねる腰のライン、男の唾液と彼女自身の愛液でぐしょぐしょに濡れそぼった黒い茂みの奥をむさぼるように見つめている。
アーギルシャイアは、豊かに茂っている彼の栗色の陰毛を軽く弄んだあとその高まりを軽く握り、すぐに離し、先端で指先をはじき、最後に顔を近づけて、液体を尖らせた舌先でくすぐるようにして舐めとってゆく。亀頭の先からまたもや液体が少しこぼれ出た。アーギルシャイアは軽く笑って、爪先で雁の部分をツツツ…、となぞる。(早く、それを、咥えて…。舌で…。転がし、唇で締め付け…)高まるサイフォスの期待感をよそに、アーギルシャイアは立ち上がりベッドの下から銀色に光る輪を取り出した。輪は男性用の指輪よりも少し大きいくらいだ。
「これって面白いのよ。魔法じかけで輪の直径が大きくも小さくもなるの。もちろん実験用に作られた道具よ」そう言いながら、輪を大きくするように少し念じると卵ほどの大きさの直径に変わった。そしてサイフォスの一物を、輪の中に入れる。肉棒の根元に、銀の冷たい輪の感触を覚えた。しかし次の瞬間、輪は縮まり、サイフォスの根元をきつく締め付けた。「…! …!! …!!!!!」彼女の命令がある以上、声を出すことはできない。しかし彼の陰毛を絡ませなから、容赦なく縮んでゆく輪は身をよじらせるほどの激痛を与えた。アーギルシャイアはそれを見ながら、脚を大きく開き黒い密林の上方にある、淡いピンク色の豆をしなやかな指でさすり、なで上げる。「あああああ…、苦しい? サイフォス?まだ我慢できるの…?」股間から片手を離さず、もはや赤黒く変わったサイフォスの肉茎に今一度近寄り、もう一つの銀の輪を今度は棒の中央に設置した。そしてさらにその輪が小さくなるように命じる。二つの輪がサイフォスを苛んだ。もはや欲望は念頭になく、ただ襲ってくる痛みをやり過ごすことしかできなかった。のけぞり、のたうち、四肢を拘束している鎖が音を立てる。
アーギルシャイアはもはや息も荒く、サイフォスがもがき回るベッドの横に立ち、片脚を椅子に乗せて、手は自分の陰部をまさぐっている。もう一方の手は汗で光る乳房の先端を、何かを求めるように天を仰ぐ桃色の尖りをいじりまわす。
「サイフォス…、サイフォス、苦しいの?ああ…、イイわ。どうする…? この美しい身体が欲しい…?中に入りたい…? 埋め込んで、突き動かしたい…?ふふふ…、この身体はセラの大事なひとのものなのに…?あなたがこの身体を持ち主の意思に反して汚したことを知ったら、セラはどう思うかしら…? あなたを殺す?アハハハ、それ、イイわあ。そうよ、やっぱりこの身体の純潔を奪うのは、あなたじゃなきゃ駄目よ。サイフォス!」
急に輪の締め付けが消え、解放された喜びにサイフォスは震えた。それでも彼の高まりは衰えを知らず、輪の跡を残しながらもまだ力強く天を仰いでいる。
気がつくとアーギルシャイアは彼の腰の上にのしかかっていた。騎乗位になり、陰部を指で大きく開き、ピンク色のひだと奥の秘肉を彼に見せつける。そしてゆっくりと腰を落とし、彼女の割れ目に従って彼の一物を上下にこすり付ける。アーギルシャイアの動きに合わせぬるぬるとからみつく割れ目は、サイフォスの裏筋を刺激し、どうしようもない高まりへ導く。アーギルシャイアももう口を開かない。眉を寄せ、唇を薄く開き、ただ切なげなあえぎ声だけを絶え間なく漏らしながら腰の動きをリズミカルに、そして次第に早く変えていく。しかし彼を秘肉の奥に導く気はないようだ。サイフォスはもはや我慢の限界に陥っていた。(果てるならば彼女の中で)と思わず腰を浮かせ、彼女の中に猛り立った肉棒を突きたてようと試みる。しかし、彼の意図を察したアーギルシャイアは、横に体を逸らし、一物が突き刺さるのを避けた。
「あら…、オモチャが勝手に動いちゃ駄目なのよ?ふふ、でもそろそろかしら。処女の痛みを味わうなんて、ぞくぞくするわ。さあ、サイフォス、優しさなんていらないわ。欲望のまま、乱暴に思い切り突き立てて…」
そして彼の先端を、彼女の温かく濡れそぼった場所に導いた。サイフォスはその瞬間、繋がれた手足が許す限界まで腰を突き上げ、根元までずぶりとアーギルシャイアの陰部につきたてた。
ぬぷり、と音がした。ぬるぬるとからみつく愛液に助けられ何の抵抗もなく一気に最奥まで亀頭が辿り着く。「うあっ…」サイフォスからたまらず声が出る。中に入ると、未だ男を知らなかった身体が初めて侵入してきた異物に驚きひたすらにサイフォスを締め付ける。肉棒にからみつく熱い肉は、収縮しつつまるで意思あるもののようにサイフォスに吸い付き放さない。アーギルシャイアに目をやると、彼女はきつく目を瞑り顔を紅潮させていた。「いたい、いたいわ…。でも、でもイイ。私の中のこの子が悲しんでいる。絶望の中で…。ああ、とてもイイ、もっと、もっと頂戴サイフォス。もっともっとよ…」
サイフォスは腰を引き、またつき立て、ふたたび腰を落とす。その度にアーギルシャイアが漏らす苦痛と悦びが混ざり合った吐息を漏らす。サイフォスは痺れるような快感に、仮面の下の顔を歪めた。未だ果てないように、必死で唇をかみ締める。しかし処女の固い蕾は、彼を容赦なく締め付けて、耐えがたいほどの快楽の波に襲われ続け、到底こらえることができない。ベッドは音を立ててきしみ、腰と腰がぶつかり合う音、ぐちゅりぐちゅりと淫靡な音と合わさり、アーギルシャイアの細い体は上下に揺れ、たわわな乳房はふるりふるりと弾んでいる。
「アーギルシャイア様っ…、私はもう…」限界を過ぎかけたサイフォスがたまらず叫ぶ。「まだよ、まだ…。あと少し私がイク…迄…ああああ…イク…、ああ…イクわ、サイフォス…ああ」その声を聞くと、こらえていたすべてが壊れ、叫びながら熱い液を彼女の中に放出していた。痺れるほどの解放感、身体が消えそうになるほどの快楽。
気だるげにアーギルシャイアが立ち上がった。「ふふ、なかなか面白かったわ。可愛い私のオモチャ。また次の趣向を考えなきゃね。まだまだ楽しませてもらうわよ」そして四肢を拘束していた鎖をはずし、サイフォスを残して去っていった。
彼は彼の世界の全てであるアーギルシャイアと快楽をともにしたことを心から喜んでいた。そして次の機会をまた期待に震えながら待つであろうことも、これからずっと彼女に縛り付けられたまま忠誠を誓うこともわかっていた。
しかし同時に彼は心の奥底で何かが苦しんでいるような不思議な感覚を覚えた。そして何者かを待っているかのような思いを。しかしその感覚はすぐに消えさった。仮面の男は服を整え、アーギルシャイアの後を追った。そして男の心には、ただ茫漠とした記憶の荒野が広がるのみだった。
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