パタン、と扉を後ろ手に閉めてノエルはため息をついた。鎧と上着を脱ぎ、身軽な服装になった彼女は、寝台に倒れこむようにして体を横たえる。
『竜王様との契約を果たすのだ』
ナーシェスに告げられた言葉を思い出す。その言葉の意味することを知っている。だから―――、こんなにも胸が苦しい。「…………」あの笑顔を思い出す。街の皆を失い、生きる気力を無くしていた私に道を示してくれたあの人。冒険者になった事を伝えにいった時、ガンバレと笑ってくれたあの人。ソウルイーターの前に、どうしようも無かった時、助けに来てくれたあの人。ずっと目標にしてきた、ずっと憧れていた、ずっと―――慕っていた。
「ん……ぁ」記憶にある彼の笑顔を思い出し、体が熱を帯びる。その事に気が付いて、ノエルは赤面した。慌てて毛布に潜り込む。「や、……だ、ダメ」体を抑えられない。一度疼きを自覚してしまった彼女の体は、急速に熱を帯びていく。―――いけない。わたしにあの人を想う資格なんて。
背徳感が、彼女の吐息に熱を篭める。
「あ……んぅ」鼻にかかった声が漏れる。これ以上はダメだと、頭の片隅で理性が警鐘を鳴らす。これ以上は、我慢が出来なくなる。
焦燥感が、彼女の鼓動を加速する。
「んぁ……は、ぁ……んんっ」気がつけば胸元に手が伸びていた。幼さを残す乳房に服の上から撫でるように触れる。ツンと服を押し上げる乳首を爪弾くと、ビリっと電気が走った。「ああっ……ふぅ、んくっ……っ!」堪えきれず服をたくし上げ、直に乳房を揉む。既に背徳感は要を為さず、むしろ甘い官能をより一層高めるだけだった。
ノエルの右手が股間へと伸びる。下着にそっと触れると、そこは既に湿っていて、クチュ、という水音が漏れた。「んあ、……あぁ……んふぅ、………あぁ、ん」下着をずらし、直接秘裂に触れる。指の腹で引っ掻くようにすると、甘い声が唇から零れ落ちた。顎が上がり、つま先がシーツに皺を寄せる。もっと強い刺激が欲しくて、陰唇を指でなぶり、ヒダとヒダの間を中指でこねくる。華奢な体がヒクヒクと震え、蜜壷から愛液が溢れる。「ひぁっ!!、……あ、あ、あ……んぁ……ああ、だめぇ……っ」あの人に抱かれている事を想像する。いつもは大きな剣を握る指が、未成熟な身体をまさ
ぐる。愛液に指を絡め、蜜壷へと差し込む。そのまま中指を出し入れした。「ん、んふぅ……! あっあ、んんんっ……ひぁっ」体勢を入れ替え、身体をうつ伏せにする。腰が浮き上がる。
半ば膝立ちになりながら、さらに人差し指を蜜壷に挿し入れる。左手は乳房を揉みしだき、二本の指で乳首をつまむ。きゅっと強くつねってみると、悲鳴に近い声が漏れた。「や、あぁ……もっと、……わたしっ、わたしぃっ……!!」指先に愛液をたっぷりとまぶし、秘唇から顔を覗かせる肉芽に触れる。刹那、ノエルの全身を雷が走った。膝がガクガクと震わせながら大きく股を開く。クニクニと肉芽をつぶすように刺激し、思い切って前後に擦り上げてみた。途端に視界を火花が奔り、意識が急速に遠くなっていく。ノエルは髪を振り乱しながら、ただ一心に指を動かす。「んん……ああっ、もう、わたし……―――さん……、わたしっ……もぅ……っちゃう……!」想像の中であの人が大きく腰を振る。深く身体の奥深くを抉られ、蜜壷から愛液が溢れる。そのあまりの快感にノエルは思わず大きな声をあげた。やがて、視界が真っ白に染まり―――「あ、あっ、あっ……やはあああぁぁ、ひあああぁぁっ……!」全身をそらし、ノエルが絶叫する。全身が細かく痙攣し、指を引き抜くと、ぱくぱくと秘
唇が開閉を繰り返しながら愛液がシーツの上に零れ落ちた。「はぁ……ぁ、はぁ、ふぅ…………ぅ」胸の奥が痛い。こみ上げてきた物を堪えるように、ノエルは毛布を被り直し目を閉じた。
ディンガル帝国、エンシャント。その旧市街の一角に既に廃棄された城がある。魔王バロルが居城であり、今なお深い闇を残す魔境だ。その最深部にて、闇を打ち払わんと激しい剣戟の音が響き渡る。
佇む闇の名はティラ。古き時代の地母神であり、闇の聖母。それに挑むは五人の英雄。ソレは―――神代の戦いの再現であった。目前で繰り広げられる光景に、ノエルは息を呑む。
―――聖母の右腕を、リルビーの少女が華麗に回避する。刹那、その小柄に似合わぬ大振りの短剣が閃き、火花を散らした。
―――聖母の左腕を、ドワーフの男が戦斧で受け止める。凄まじい威力を秘めた一撃に一歩たりとて引く事無く、渾身の一撃を見舞った。
―――聖母の放ったエネルギーの渦を、勇者と呼ばれた英雄が槍で振り払う。破滅の名を冠する槍は、文字通り必殺の威力を伴って闇の聖母へと撃ち出された。
―――聖母の唱えた闇の禁呪に対し、エルフの少女が聖なる禁呪で対抗する。全てを呑みこまんとする闇と、収束する閃光が激突し、大気が鳴動した。
そして―――光が溢れる。最後の一人、大剣を携えた剣士を中心に迸った金色の輝きが、ティラを包み込むように螺旋を描きながら上空へと収束していった。
「……凄い」闇の聖母の頭上に輝く光は正しく太陽だ。何もかも焼き尽くすような金色の激光が、闇の全てを消し去らんと魔城を照らす。息を呑みながら目を見開くノエルの視線の先で、金色の太陽は一瞬震えると中心に向かって収縮する。刹那。光が弾けた。黄金の輝きは、瀑布となって古の女神を呑み込み―――、一塵も残さず灼き尽くていた。
闇の王女と闇の王を退け、施文院の長を倒し、闇の巨人を滅ぼし……その果てに古の神すら凌駕した彼らの姿に、ノエルは恐れよりも憧憬を覚える。自分の大切なものの為に、自分の意志で、一介の冒険者は邪神に挑み、打ち勝った。その後ろ姿に、どうしようもない思慕の念を抱きながら剣の柄を握る。
―――本当は戦いたくなんてない。それでも、わたしはわたしの大切な人達のために。
その決意で小さな身体を支え、身の丈ほどもある剣を抜き放った。広間の中へと踏み出す。
「さすがですね……―――さん。全ての闇を消し去ってしまう程の強烈な光、それが貴方」
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