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「セラ」
 涼やかな声が男を呼んだ。共に旅をする少女のものだ。
 月神セリューンに由来するのだという、セレネという名の少女だ。
 猫屋敷――数ヶ月ぶりに顔を合わせた少女は、少しだけ大人びて一層美しくなっていた。
「呼び出して大丈夫だった? 私の都合でごめんなさい」
「構わん、リーダーはお前だ。……で、片付いたのか」
 セラの視線がセレネの身体を伝い、その腕でふと止まる。見慣れない盾。
 ロイとアーギルシャイアの行方だけを執拗に追うセラに悪いからと、
戦争の気配に巻き込まれ始めたセレネはセラに別行動を勧めたのだった。
 だからこの二、三ヶ月程、セラはセレネがどうしていたのかは知らない。
 相変わらず高評価な噂話が伝わってくる程度だった。
「うん、一応。ディンガルとロストールの戦争の話は、セラも知っているでしょう。
……あ、これ? えーと……ロストールの騎士の証、なんだって」
「……ノーブル伯、か?」
「そう、それ。成り行き……なんだけど」
 困ったように笑うセレネに少しの違和感を覚える。
 無愛想な顔の眉を少し顰めたのを見咎めたように、転送機の傍に佇んでいたオルファウスが割って入った。
「いつまでも此処で立ち話も何でしょう。泊まって行きますか?」
「あ、ううん。届け物があるから、ロストールに行かなくちゃいけないの。だからすぐ発ちます」
「そうですか、気を付けていってらっしゃい」
 頷くと、隣部屋のネモに挨拶をして、セレネは慌しく猫屋敷を出て行く。
 その表情が嬉しそうにも辛そうにも見えるのは、セラの思い違いか――?
「セラ、セレネはキレイになったでしょ。この先大変かも」
「……?」
 セレネの後を追うルルアンタの後ろ姿を眺めるレルラが、少し皮肉げに口元を歪めたような、気がした。

 一週間後、ロストールに辿り着いてすぐギルドに向かい依頼を達成したセレネは、その足で貴族街へ向かった。
 セラ達もまた思い思いに街で過ごし、外泊でなければ夜に滞在する宿に集合するいつもの手はずは変わらない。
 夕刻、偶然大通りの酒場前で居合わせたセラを、レルラが呼び止めた。
「セレネの事が心配?」
「……何の話だ」
 究極に無愛想な対応をするセラに、ベテランらしく案外食わせ者であるレルラは臆さなかった。
「セレネ、リューガの一員になっちゃったんだ。ノーブル伯っていうのは、そういう事。
……ねぇ、セレネがキレイになった理由、解る? セラがいない間に、セレネには『お義兄さま』ができたんだよ」
「……」
「レムオン・リューガ――キレイだったよ。金髪で、セラとは対称的だったなぁ……あ、でも性格はちょっと似てるかも。
苛められて、かわいそうなセレネ。でも、セレネってマゾだよね」
 声を潜めて少し面白そうに話すレルラの声は、しかし確実にセラに届いていた。
 ――セレネが綺麗になった理由? 知るものか――。
 そう思って無言のままリルビーの前から踵を返して去る。
 酷く気分が悪かった。靄々する。気に入らない。
 脳裏を掠めたのはロストールへ立つ前の、そして向かう途中の少女の顔だ。
 嬉しそうで、辛そう。
 ロイの事を話している時の姉シェスターの顔と重なる、それが酷く不愉快で、セラは月光の柄をきつく握り締めた。
 夜、リューガ邸には泊まらず、戻って来たセレネの様子は誰が見ても無理をしている様子だった。
 憔悴している事をあからさまに表に出す少女ではないが、笑うにも辛そうなのだ。
 慰めたり事情を聞いたりするのに適役のルルアンタは、今日に限って夕食時になっても戻らなかった。
 レルラも夜歩きに出たのか姿が見えない。
 結局――今、セラとセレネは二人きりで宿のテラスに居る。

「……何か、あったのか」
 柄にもない。そう思いながらも、夕刻からの苛立ちは今もセラの中に渦巻いていて、それが口を開く切欠を与えた。
 金髪を風に遊ばせていたセレネが何度か目を瞬かせて、それから気まずそうに眉を下げるが、すぐに誤魔化すように笑う。
「――。……え、と。……何か……ほら、王女様のドレス見たら、何となく気後れしちゃって」
「……」
「此処の……ロストールのティアナ王女ってね、とっても綺麗なの。同性なのに、私も見惚れちゃうくらい。
すごく優しいし、でも……ちゃんと女の子、で、……だから、ほんの少しだけ憧れ――」
 剣を持つとは思えない程細い、けれどしなやかな筋肉を付けた少女の腕を掴む。
 驚いたように言葉を途中で止め、青緑の瞳を見開いて見上げてくるセレネを、セラはきつい程の眼光で睨んだ。
「……レムオンとかいう男に、何か言われたのか?」
「――セ、セラ……?」
 セレネが息を呑む。
 ――何だ、この不快感は。
 ミイスで出会った時にはロイの手がかり程度にしか思っていなかった少女が、
何時の間にこんなにも自分の心を苛立たせる存在になったのだろう。
 セレネの不調の原因が、間違いなくレムオンという男なのだと悟ったセラの脳裏を、夕刻のレルラの言葉が過ぎる。
 あのリルビーの言葉を何処まで信用するかはともかく、セレネがレムオンに振り回されている事自体が気に食わない。
 こんな事なら少女の傍を離れるのではなかった。
「苛められて萎れているのか。……フン、それとも喜んでいるのか? お前はマゾらしいからな」
「ち、違う、セラ、何言ってるの」
「その男に苛められてそんなになっているんだろう。貴族が冒険者など信用するはずがない。
都合の良い時だけ利用して、後は屑篭に放るように捨てるだけだ」
「レムオン義兄さまはそんなことしない!」
 少女が叫んだ。
 だが、次の瞬間には我に返ったように目を見開いて口をつぐむ。
「ご、……めん、なさい……セラ……」
「……お前がリューガにいるというのならそれでも構わん。だが、俺はロイとアーギルシャイアを追う。
お前がパーティーリーダーである以上従って来たが、そういう事ならばパーティーからは抜けさせてもらう。
――俺にとって、お前はもう用済みだ」
「っ!! 待って、セラ! 私――私だって、兄さまを追う、だからそんな事言わないで……!」
「なら、俺に逆らうな」

 セラは冷徹だが、セレネのように情をかけた相手には決して酷薄に振舞う事はない。
 レムオンという男の事は知らないが、自分がセレネに頼られている事は知っていた。
 剣聖の異名を取る少女であっても、セレネはまだ十代の少女にすぎない。
 育った村を滅ぼされ、兄は消え、途方に暮れたところを拾ったセラに、
セレネが依存するのは無理もない話だった。
 そしてセラは、それを狡猾に利用したのだ。
 ――俺は、セレネを……?
 馬鹿げている。そんな事があるはずがない。
 何より大事なのは姉をアーギルシャイアから取り戻す事であり、断じてセレネなどではない。
 ただ、妹に何かあったならロイは嘆くだろう。
 そして姉のみならずロイを無事に取り戻すためにも、セレネを側に居させなければならない。
 傷付いたのか瞳を潤ませて縋るように見上げてくる少女を、セラは冷淡に見下ろした。
「返事はどうした」
「…………わか、った」
 観念したように呟いたセレネが項垂れる。
「セレネ、日中はお前の好きにするがいい。アーギルシャイアは自ずと追いかけるだろうからな。
だが、夜は必ず俺の側に戻れ。お前が逆らわなくなるまで、調教してやる」
 一度焚きついた衝動はもう止まらなかった。
 驚愕の表情を浮かべる少女の片腕を掴んだまま、口の端を歪めて笑う。
「調、教……って……」
「セレネ……お前は俺のモノだ。姉を取り戻すまで、な」
 セレネの瞳が、あからさまに怯えて見開かれる。
 こんな横暴は本来許されるものではない。だが、他の男の事で戸惑っているのが悪いのだ。
 掴んだ腕を強引に引き寄せ、もう片方の手で少女の顎を捕らえて口づける。
 その頬を涙が伝ったのを感じたが、構わずに呆けたように抵抗を忘れたセレネの口内を味わった。
 温かく甘美な粘膜がセラの舌を押し包み、唾液がぴちゃと音を立てる。
 セレネの心中はどれほどに荒れている事だろうか。
 それを思った時、セラは今までになく闇の気配というものを身近に感じた。

 セレネはそれから何度かレムオン邸に通ったが、レムオン本人には会えなかったようだ。
 セラはあの夜も口づけをしただけで、それ以上の事をしたわけではなかった。
 ロストール滞在中、セレネはルルアンタと同室で眠り、残った男二人が同室で眠る、ごく常識的な夜を過ごした。
 それが変わったのは数日後にロストールを離れ、猫屋敷でレルラに代わりフェティを呼び出した時からだ。
 その夜、エンシャントに宿を取ったセレネはルルアンタにフェティと同室で眠るようにと言った。
 フェティは人間の男なんかと同室で眠れるわけがないと当然受諾し、ルルアンタも少し訝しげながらも了承した。
 セレネが、セラは自分の兄の親友で保護者のようなものだし大丈夫だと、ロストールからの陰を引きずりながらも
笑った言ったからだ。
 そして。
「セラ、……、やめて……」
「やめろと言われてやめるのは、愚か者か役立たずだけだ。……フン、いい眺めだな」
 二人の取った部屋の中、金髪の美しい少女は束縛の糸に繋がれて、立っているのがやっとの状態だった。
 しかも身につけているものと言えば、白く簡素で頼りないショーツ一枚きり。
 豊かな乳房も、なめらかな腰のラインも、男を魅了する太腿も、すべてが露わにされていた。
 激しい羞恥からか頬は紅潮し、瞳は今にも泣き出しそうに潤んでいる。
 この姿に興奮しない男がいるのならば会ってみたいものだと――セラは己の前に晒された
淫らな芸術とも言うべき少女の姿に薄い笑みを浮かべた。
 後ろ手に括られた自由のきかない少女の身体を、首輪のように巻きつけた糸の先端を引っ張って
テラスへと連れ出す。
「っ……! い、嫌、セラ……!」
 力の入らない身体で抗うセレネに構わず、夜風の吹き抜けるテラスの壁に、少女の背を押しつけた。
 初めて触れる、その豊かな乳房。
 肉感的で柔らかい質感は女に淡白であるセラですら興奮を煽られ、その頂へと誘う。
 薄い桃色の乳首にむしゃぶりつくと、セレネはあられもない声を上げた。
「ぁ、あ、はあ……ぁあんっ! だめ、セラ、ああ」
「何がだ? 裸にされて縛られて、テラスで声を上げるお前が」
「ひぁ、あぁ……言わないで、セラ、あっ」
 二人の姿はインビジブルの魔法で隠され、その声も姿もテラスから見える通行人には知れない。
 それでも意識してしまうのが当然で、テラスの下を人の気配が通るだけで、セレネは必死に声を抑えようとしていた。
 その様子がよりセラの欲望を煽る。

「剣聖だの戦女神だの言われようが……所詮牝か。何だこの臭いは」
「ぁうっ!」
 乳首の下を歯でこそぐようにして刺激を与えながら、ショーツの中に無造作に手を伸ばす。
 柔らかい茂みの感触と一緒に伝わったのはねっとりとした蜜と、体温よりもずっと熱い温度。
 高い悲鳴と同時にぶるぶると全身を震わせて、上向いた顎に白い咽喉が晒される。
 セレネが本当に拒むのならば、この事態を逃れる術は用意されている。
 彼女には魔法があり、それを封じているわけではない。
 にも関わらずセラの行為を受け入れている、それは少女が逃れ切れていない、何よりの証拠だった。
 もっとも、呪文を使ってでも逃れようとしたのならば、それを封じるくらいの覚悟はあった。
「セ、ラ……どうして、こんな……やぁあ、……ん!」
「……」
 セラは答えない。
 どうしてと問われても答えが見当たらなかった、それだけだ。
 抱えていた苛立ちをこの行為によって緩和する事ができると思った。
 現実はどうだ。――緩和するどころか、乱れる少女を目にして益々苛立ちは募る。
 それでも止めようとは思わなかった。
 片方の乳房を乱暴に掴み、すっかり硬くなった突起に唾液を塗りつける。
 強く吸ってやるとセレネの身体は益々熱くなってしっとりと汗ばみ、柔らかい肌を上気させた。
 乳房から腰へ、下腹部へと両手を伝わせてショーツを引き下ろす。
 髪と同色の淡い茂みが露わになり、室内からテラスへ向けて溢れる光に炙られ、
脚の間からショーツへと引いた銀色の糸がぬらりと光った。
「これで本気で嫌なのなら、相当な淫乱だ」
 その糸を指先で掬い取ったセラが嘲笑う。
 羞恥ゆえか打ち震える姿は、とても大陸一の冒険者と呼ばれるには不相応なのに、
潤ませた瞳は透明で少女が知性を失っていない事が分かる。
 それを目にしたセラが苛立たしげに眉を寄せた。
 そして何かを考えるように瞼を伏せる。
「先ほどの問いだが」
 一度伏せた瞼を持ち上げる。
 闇と同じ漆黒の瞳が、常と変わらない鋭さでセレネを見た。
「お前を愛しているからだとでも言うような、くだらない睦言が欲しいのか?
お前を尊重していたのはロイの妹だから――それだけだ。その証拠を、教えてやる」

 セラは、少女が何かを言うより前に蜜に濡らした指でその後孔を弄った。
 恐らくは男に抱かれた経験もないだろう無垢な身体に、残酷な形で己を刻む事に決めた。
 ひゅっと不自然に息が吸い込まれるのを聞いたが、気にも留めない。
 硬く窄まった菊座に濡れた指の一本を押し込み、熱い中を掻き分ける。
「――! っひ……!」
 その場にしゃがみ込むと片手で少女の膝裏を持ち上げて、テラスの壁に縫い止める。
 ねっとりと蜜に濡れた秘所を暴き、花弁のような造りをした性器とその上にある花芯とを
押し付けた唇で吸った。
 唾液を含ませた舌でその形状を辿るように嬲り、次第に硬く尖って包皮を押し上げる花芯を
舌の粘膜で押し潰し、擦り立てる。
 その間も排泄孔は指で嬲り続けていた。
「や、あ! あ、ぁぁ、……セ、ラ……ぁ……!」
 降り注ぐ吐息。熱を帯びた肌。恥ずかしげに堪えながらも、抑え切れない声。
 それが、己の雄を刺激するのが煩わしい。
 濡れた音を立てて花芯を吸い上げた瞬間、セラの顎に生温かな水流が迸った。
 僅かに驚いて顔を離し、少女を見上げてみればその全身を震わせて、股間からは液体を溢れさせていた。
 それが少女の絶頂なのだと気づくまで、そうはかからなかった。
 床についたセラの膝元を濡らし、あえかな吐息がテラスに満ちる。
 微かな尿素の臭いから、絶頂と同時に失禁したのだと知った。
「神に仕える神官であり巫女である女が、こんなに淫らだとはな」
 嗤う男の息も最早荒かった。
 濡れた顎を乱暴な仕草で手の甲で拭い、異物を押し出そうとする腸壁を逆行して
指を奥へ奥へと進めると、少女は声を抑える余裕もなく鳴いた。
 其処に明らかな愉悦の色が含まれているのを聞くと、セラの指は一層大胆に中を攻めた。
 そうしてかき回す事でセレネが快感を捉えている事は疑いようもなく、
片脚を浮かされ自由を奪われた中でもその細腰が揺れ始めている。
「はぁ、は、ぁああ……っ」
 セラには、こうまでされても本気の拒絶を向けない少女の考えている事が理解できなかった。
 どうして逃げないのか、それが聞けない。
 これまでもセレネは無理をしてセラに付き合っているような節は見られなかった。
 他人から見れば決して付き合い易い人種ではない事は自覚している。
 だが、少女は凪いだ海のような穏やかさでセラと向き合ってきた。
 多分、今も。

「……くっ」
 独占したいと望む気持ちに蓋をして、セラは呻いた。
 腰を上げると少女の身を抱き上げると、並ぶベッドの一つに少女の身をうつ伏せに投げ出させすぐに覆い被さる。
 後ろ手の戒めだけを解く。
 その腰を掴むと慣れきってもいない少女の肛門に、自らの剛直を突きたて奥まで埋めた。
 乱暴な仕草は己が仇を討つかのようだった。
 幼い頃に両親を失くしてから、姉はセラの全てだった。淑やかで頭がよく控えめで美しい、そしてはかない人だ。
 その姉と目の前の少女とは重なる所など殆ど見出せない、似ているというならば外見は余程セラの方が似ている。
 女である事と、そして時折見せるはかなさくらいのものだ。
 そもそも姉を仇のごとく乱暴に扱う理由などない。
 少女の中はぬるぬるとして熱く、死に際の獣のように不自然に蠢いた。
 それが元の形を取り戻そうと急速に狭まって、セラのものを締めつける。
「――……! ……っ、ぁ……」
 突きたてた直後に声にならない悲鳴を上げた少女は、寝台の上でで無様に這いつくばっていた。
 裂けないのが不思議なくらいぱっくりと開いた菊座は襞を失い、薄皮一枚で繋がっているような有様だ。
 構わずに奥まで押し込むと亀頭に壁が触れる。そこが直腸の一番奥なのだろう。
 少女の手は白くなるほどにシーツを握り締め、震えるだけでぴくりとも動けないでいた。
「セ、ラ、……待っ」
「煩い」
 ようやく搾り出したのだろう掠れた懇願の声が全てを紡ぐより先に、男は腰を突き上げた。
 二人だけの結界の中、少女の悲鳴が響く。
 いや、もう結界など切れてしまっているかもしれない。
 それももうどうでも良かった。
「ああああぁぁッ」
 少女の表情は見えない。ただ、声だけが聞こえる。都合が良かった。
 姉を明確な欲情の対象などにはした事がなかったが、全てである姉と何のしがらみもない世界に行けたならば
そういう事になっていたかもしれない。
 そんなものはただの夢想に過ぎなかったが、目の前の少女に対してならば幾らでも手酷く振舞えた。
 不規則に蠢く慣れない内壁は、想像以上の心地良さでセラの肉棒を包む。
 女の痴態を見たからというそれだけの理由ではない、異常な興奮が男の身を炙っていた。
 腰を何度か突き上げてやると、少女は再び失禁しシーツを汚した。
 それを見咎めたセラの右手が閃き、丸く白い尻に振り下ろされる。
 鋭くはないが十分な痛みの刺激にセラを飲み込む後孔がきゅっと締まった。
「……はぁ、……ぁ……っ……セラ、……怒って、るの?」
 シーツにぺたりと頬をつけて身に降りかかる衝撃に耐えていた少女が、視線だけを振り返らせて問う。
 こんな仕打ちを受けておいて、責める言葉ひとつ口にしない。
 ――慈愛の女神にでもなりきったつもりなのか。
 一方でそんな生温いものでない事はセラも分かっていた。
 男の仕打ちが不当ではあっても故ない事ではないのだと、少女は理解している。
 どれほどか涙を零した海色の瞳が、不自由な体勢でじっとセラを窺っていた。
 そこに怒りや羞恥や苦痛はあったが、憎しみはなかった。
 セラの闇は、振り払われた。

「……鳴け」
 問いに答えないまま、セラはそう命じた。
 セレネの腰を掴んでいた右手で打って赤い痕のついた尻をさすると、そのまま前に回して茂みを探る。
 じっとりと熱を帯び濡れた中心の小さな突起をつまみ、愛撫を与えた。
 クリトリスは大概の女が弱点とするが、少女はひときわ触れられると弱い。むしろ、全身がそうだった。
 後孔を穿たれる痛みと鈍い快楽とは別に、鮮烈な刺激を与えられて華奢な腰を踊らせる。
「あ、ぁあっ……セラ、セラ……ぁ……」
 縋るように鳴く少女の奥を何度も突いた。
 最初は痛みに身を引き攣らせる事しかできなかったのが、時間が経つにつれ淫猥に蠢くようになる。
 内壁はもっと顕著に変化を表して男にも少女にも快楽を生み出していた。
 告げた通り、少女は淫蕩だった。
 いつしか花芯を探っていた指は元の通り腰を掴んで揺さぶり、セレネも穿たれるだけで甘い声を響かせる。
 前の孔からは絶えず蜜が伝い、腿を伝ってシーツを濡らした。
「も、ぅ、……セラ、……ぁ、ああッ! わた、し……ぁ、あぁああん」
「いいだろう……っ……そろそろ出す、ぞ」
「っんぁあ、あ……! やぁ、ぁあああぁぁ……ッ!」
 射精の前兆を感じたと思うよりも先に、少女の中に熱いものを注ぎ込んでいた。
 歯を食いしばって放出に伴う快楽を堪え、搾り取るように絡みつく腸壁に委ねる。
 狭く熱く、細かな蠕動を繰り返し、肛門は輪のように締めつける――行為にこなれたどんな女よりも、
少女のそこは気持ちが良かった。
 やがて全てをその中に注ぎ込むとゆっくりと性器を引き抜く。少女の腰は崩れるようにベッドに這った。
 元のように窄まった菊座は、しかし真っ赤に充血していた。嬲られた証拠だ。
 嵐のような衝動が射精と共に過ぎ去ってしまうと、後に残されるのはひどい気まずさだった。
 謝る気など毛頭ない。それなら最初からそんな愚挙に及ばなければいいだけだ。
「吐き出せ。そのままでは腹を下す」
 結局、かけられたのはそんな言葉だけだった。あんまりだ。
 はぁはぁとまだ荒い呼吸を繰り返していた少女が、視線だけをそっと寄越す。
 次いで、こらえきれないというように吹き出して、笑った。
「ふ、ふふ……セラ、おかしい……」
「……煩い」

 多分――ひとりで空回りをしていた。
 こんな仕打ちを受けて笑っていられるのだから、義兄になったという男に情を与えないはずもないのだ。
 それがシェスターがロイの事を語る面影に似ていたとしても、セラに責められるいわれはない。
 下肢を強張らせた少女の菊座から、黄色い汚濁交じりの精がどろりと流れ落ちる。
 少女はセラよりも狡猾なのかもしれない。
 この暴力を憎まない事で、口に出して怒らない事で、セラはレムオンの事でセレネに口を出す権利を失った。
 少なくとも今、セラはそういう事なのだと思った。
 考え過ぎかもしれない。
「……ごめんね、セラ」
 何に対しての謝罪なのか。
 セラは何も言わず溜息だけを漏らすと、立ち上がり布を取り出して簡単に身を清めた。
 流れ出したものは拭われたが、少女の方はそこからどうにかする気力はまだないのだろう。
「もう休め。始末は俺がしておく」
「あり……がと、……」
 そう言い終わりもしない内に気を失うようにして眠りに落ちた少女を見下ろす。
 さらりとした金髪を梳いて、散々に嬲った華奢な身を抱き上げた。
 汚れていないベッドに寝かせると身を清めてやり、夜着を着せて毛布に押し込んでやる。
 全ての後始末を終えると、セラは月光を手にテラスに出た。眠る気にはなれなかった。
「無限のソウル、か……」
 こんな夜を過ごす事は、多分もうない。あるとすればセレネがセラを選んだ時だけだ。
 もう誤魔化す気もなかった。分かってみればなんと単純なのか。嫉妬したのだ。
 後悔はないが達成感もなかった。すっきりしたとも言えない。
 ただ、レルラと会話した時から感じていた靄だけは消失していた。
 サイフォスとアーギルシャイアを追い、姉を取り戻すまではもう何も考えまい。
 白み始めた空を見ながら、セラは月光を高く掲げた。


 Fin.