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「近衛将軍オール、参上致しました」
そう言ってドアを叩く。
『入りなさい』
部屋の主の声が聞こえてきたが…何故か怒気が感じられる。怒ったザギヴは怖い…逃げ出したいが立場上そうもいかない。まったく肩書なんてめんどくさいものだ。俺はため息をひとつ付き、部屋へと入る。
「遅いわよ?」
…これは完全に臨戦態勢だ。背後に闇の焔がちらついている。
「…申し訳ありません」
「以後気をつけなさい」
気をつけるも何も呼び出したザギヴが急だったんじゃないかと言う言葉は飲み込んでおく。今そんなことを言ったら闇の禁呪が飛んでくる…デュアルスペルで。
「何か…ご用でしょうか?」
「………」
返事がない。どうしたものか…呼び出したからには何か用事があるんだろうが、ザギヴはこちらに背を向けたきり一言も喋らない。空気が重い…かなりのプレッシャーを感じる。
「……れ」
「は?…申し訳ありません、聞き逃しました…」
何か言ったようだが聞き取れなかった。痛恨のミスだ。リッチ×3にスペルブロックをかけ忘れ、さらに一匹も仕留められなかったに等しい。そうなると次にやってくるのは…
「………」
あれ?おかしい…てっきり禁呪が吹っ飛んで来るものと心のスペルブロックを用意したのに…。
「………」
何か言おうとしてはためらっている。ザギヴらしくない。何が言いたいのだろうか…。沈黙は更に続き、俺はそのプレッシャーに我慢できなくなった。
「…ザギヴ…何を怒ってるんだ?」
意を決して話しかける。とてもじゃないがこんな空気には耐えられない。なんとかこの状況を打破しなくては…。とりあえず怒っていることは確かなのだ。何があったのか知らないが、訳を聞かないとどうしようもない。
「…怒ってなんていないわ…」
と言われたが…背後の焔が揺らいだぞ?…どうしたものか。

「………」
また沈黙。壁にかけられた時計のカチコチという音のみが聞こえる。なるほど流石に皇帝の執務室兼、寝室は伊達じゃない。防音性は抜群、持ち主に安らかな眠りと雑音のない静かな……もうやだ…何この空気。こんな所にいるくらいならデスの群れに突っ込んだ方がマシだ。
「…オール…その…」
しばらく後、ザギヴも耐え切れなくなったのかついに口を開いてくれた。よかった…ホントに。闇の中に希望が見えてきたな…俺は少し気が楽になった。
「………」
…がすぐだんまりだ。そう簡単には行かないということか。
「一体どうしたんだ?俺が何かしたのか?」
「それは…」
とりあえず痴話喧嘩によくあるパターンで話しかけてみたが…この反応…どうやら俺が悪いらしい…身に覚えがないぞ?何かしたっけな
?だがまずい事態だ…原因が俺ならどうにか許してもらわないとこの空気は変わらない。今の態度から見て、ただ単に怒っているわけではないようだが…しかし何て言えば…教えてくれ!ロストールの賢漏!………『!』………あれか!
「ザギヴ…俺はお前のそんな顔見たくないんだ。いつも笑ってて欲しいんだ。だから…俺が何かしたなら…俺に何か文句があるなら遠慮なく言ってくれ…頼む」
そう言って後ろからザギヴを優しく抱きしめる。最後の頼むは耳元だ。そのまま首筋に顔を埋める。…すごくいい匂いがした。
「…オー…ル…」
ザギヴが少し身をよじる。くすぐったいのかな?まぁいい、仕上げだ。ロストールの種馬直伝の会話術…しかと見よ!
「愛してるよ…ザギヴ…」
「!!」
そう耳元で呟いた瞬間、身体がびくりと反応した。…手応えあり…後は結果を待つのみだ。
「オール…私…」
決まったな。恋愛に免疫のない女ほど効きやすいと言っていたが…素晴らしい効き目だ。これが愛の力というものだ、うんうん。…しかしいい匂いだな…。
「…ちょっと止めて…くすぐったいの…」
ザギヴがまた身をよじる。やはりくすぐったいのか。イヤイヤするとはかわいいヤツめ…俺は耳元に息を吹き掛けてやった。
「ふぁ…?」
ふぁ…だって!かわいい過ぎるぞ!もうダメだ…ウルグが…ウルグが猛ってきた!俺はもう…辛抱たまらん!!俺は本来の目的を虚無へと捨て去り、ザギヴに襲い掛かかった。

「ザギヴ…!」
「あ…ちょっと…オー…ん!?」
言いかけたザギヴの口を塞ぐ。柔らかい…モチモチしてる。そのまま口の中に舌をいれて…
「んっ…」
中を蹂躙する。…そうだ、歯磨きをしてあげよう。俺はザギヴの歯に沿って舌を滑らせた。
「…!?」
びっくりしたらしいな。もらった!身体の力がぬけた瞬間を狙い俺は一気に黒のビスチェを引き裂いた。
「んぅ!!まは!」
何言ってんだ?…まぁいいか。俺は薄いブラウスの上から胸の感触をたのしむ。張りがあってかつ柔らかい…素晴らしいおっぱいだ。…しかし布が邪魔だな…こいつも…
「…っ…ま、待って!」
俺の唇の呪縛から逃げ出したザギヴが避難した。…今がいいとこなのに…ザギヴ…相変わらず君は男心ってものをわかってない。生殺しだぞ?この俺の中のウルグをどうしてくれる!…そう思ったが次の瞬間、俺は評価を改めることになった。
「…じ、自分で…脱ぐから…破らないで…」
ジーザス!なんでザギヴってばそんなにかわいいんだ!ちきしょう!お前みたいなクールビューティが顔を赤らめながら上目使いとかアドヴェンド級の破壊力だぞ!いますぐ襲っ…………自分で?
………よしわかった!そこまで言うなら見てやろう!それはもうじっくりと!
「…あ、明かりを…」
「断る」
「…や…あ、あっち向い…」
「断る」
俺はザギヴの理不尽で無駄な願いを即座に断った。この世の神秘を見られるというのに誰があっちなど向くものか!一瞬たりとも目を離したりなどしない!ザギヴの肢体を目に焼き付けてやる…。
「…っ…もう…」
しばらくはイヤイヤしていたが、俺の真剣な眼差しを受けてついに観念したらしい。
幾分目に非難の色が見えるがそんなもの…今の俺には最高のスパイスにしか感じられない。…いや、違うな。甘いデザートを食べるのだ。シロップの方が正しいか。そんなどうでもいいことを考えながらも視線は外さない。
「………」
こちらの視線を気にしながら身に纏った布を脱いでゆく。後を向いているのが残念だが、かわいいお尻が時折左右に揺れるのはとても素晴らしい。つまりどっちでもいい。

「………」
あっと言う間にザギヴは下着だけの姿になった。恥ずかしさからかいろいろもたついたはずだが、俺の中では一瞬の出来事だった。もう一度見たいくらいだがそれはまた今度に…待てよ?
「…あ、明かりを…消し…」
「…それも脱いでくれないかな?」
この小さな布切れも脱いでもらえばいい。我ながら素晴らしい考えだな。
「!…お、オール…!」
流石に抵抗するようだ。まぁ、ストリップしてくれって言ってるようなものだから仕方ないかもしれない。しかし男には退けぬ時があるのだ。
「見たいなぁ…ザギヴが生まれたままの姿になる所が…」
「……っ!」
ザギヴの白い身体がみるみるピンク色に染まる。目も潤んできている。見られている自分を想像したに違いない。ほんとにかわいいヤツだ。
「…ぅ…」
ここで予期しない出来事が起こった。ザギヴが座り込んでしまったのだ。啜り泣きのような声も聞こえる。…ストリップは流石にやり過ぎだった。イヤイヤと嫌がるザギヴを見るのは大好きだが、こんな…。
「ごめん、ザギヴ…恥ずかしかったよな?やり過ぎた」
「………」
「ごめん…」
こうなると一気にテンションダウンだ。猛っていた全身の血が引いて行く。俺はザギヴを抱きしめ、頭を撫でながら何度も謝るしかなかった。

「………」
「落ち着いた?」
そうしているうちにザギヴは落ち着いたようだ。顔は俺の胸に埋めたままだが、もう啜り泣きは聞こえない。俺は上着をザギヴに着せた。
しかし問題はこれからだ。はたして許してもらえるかどうか…あ、そういえば元々ザギヴは俺のことで怒ってたんだった…まずい…これは実にまずい…。
「…オール…」
「な、なに?」
来た。どうするべきか…まだ言い訳すら考えていない。というか最初の呼び出しについてはわけすら知らないのに…あぁ…くそ…賢漏、どうしたら…
「…私のこと…嫌いになった…の?」
「え…」
ザギヴの口から信じられない言葉が飛び出した。嫌いになった?嫌いならこんなことするわけがない。
「なんで?」
「…ひどいこと…したじゃない…」
ひどいことって言うか、プレイの一環…。んー…やはり冒険者として旅をしたことがあるとはいえお嬢様…免疫がないんだなぁ…。
「あのな、さっきのは…」
「…それに…」
「…うん?」
「………」
俺は弁明をしようと口を開いたが、ザギヴはまだ何か伝えたいらしい…。よくみるとぎゅっと手を握り締めている。そんなに勇気のいることなのだろうか?俺はその手を取り、軽く撫でながら次の言葉を待つ。

「……いた…ない」
「え?…ごめん、もう一度…」
「…若い子と…歩いてたじゃない…!」
「はぁ?」
それを聞いて俺は耳を疑った。若い子?俺が?だいたいザギヴだって若いだろ?意味がわからなかった。
「それはどういう…」
「馬鹿!…私…私は…」
それから後は大変だった。泣きじゃくりながら叩かれ、責められ、宥めつつ、断片的なザギヴの言葉をまとめる。だいたいこんな感じだ。
一度抱いてくれたものの、それからずっと抱いてくれなくて不安だった。そんなとき、俺が若い女と仲良いという噂を聞いた。そんなはずはないと思ったが、廊下で若い女…俺の副官だ…と楽しげに話している姿を見て居ても立ってもいられず呼び出した。…で後はさっきの通りだ。
つまりあれか。最初はちょっと不安、次に副官を見てヤキモチ…いや、さらに不安か。最後に俺の…あー…。
「で、嫌われたとか思ったの?」
「…そうだけど…始めは浮気…されたと思って…」
「…だからあんなにぴりぴりしてたのか」
「…してないわ」
「強がらなくたっていいじゃないか。まぁ、それはそれでかわいいけど…」
「…っ!」
顔が真っ赤だ。わかりやすい。よくこんなんで皇帝なんてやってられるな。しかしこんなザギヴを知ってるのは俺だけだろう。そう思うと嬉しくなった。
「…何笑ってるの?まだ話は終わっていないのよ?」
ニヤついてしまったらしい。ザギヴがたちまち不機嫌になる。俺は謝りながらザギヴの誤解を解いてゆく。得に副官については念入りに。
しかしあの玉葱頭…余計な人事なんかしやがって…何が『君見たいな人種はこういった配慮が必要だろう?』だ!ボケ!一瞬でもイイヤツと思った俺が馬鹿だった!余計な真似しやがって!腹が煮え繰り返ったがザギヴには精一杯優しく話していった。

話を終えた頃には日付が変わっていた。ザギヴも俺の誠実な弁解をわかってくれたようだ。今はウキウキとした様子でワインの用意をしている。
「しかしザギヴがねぇ…」
「私がどうかしたの?」
「変わったなぁ…って」
「それってどういう…んっ!?」
俺はまたザギヴの口を塞いだ。ほんのりワインの味がする。酒はあまり好きじゃないがこうやって楽しむのはありだな。腕の中でザギヴがもがいているが気にしない…とさっきの二の舞になるかも知れない。柔らかい抱き心地が名残惜しいが解放する。
「…オール…あ、貴方…?」
「夜はまだまだ長いだろ?ザギヴがもう不安になったりしないようにしないとな?」
「…ぁ…」
自分で言っといてなんだが歯の浮くような台詞だ。ザギヴは俯いてしまった。きっとまた真っ赤になってるに違いない。くそ!かわいいなぁ!コイツは!
俺はザギヴを抱き上げてベッドに運ぶ。あぁ、そうだ。明かりを消さないとな…ここでまた失敗したら堪らない。
俺達の夜はまだまだこれから。期待に胸を膨らませ、俺はそっと蝋燭を吹き消した…。