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闇の門の島に辿り着くと、その魔人は少女を待っていた。
少女の最愛の母を、そして生まれ育った町を奪ったその魔人。
「来たか……アスティアの子よ。我を倒さぬかぎり、闇の門は閉じぬ。」
魔人ヴァシュタールはその額に光る目で少女の顔を見据えながら言った。
「母も戻っては来ぬ。お前がここに来るのも必然というワケか。よかろう。このヴァシュ
タールを滅ぼしてみよ」

少女の旅の目的は、最愛の母を、そして生まれ育った街を取り戻すことだった。魔人ヴァ
シュタールの復活により、安否さえも分からなくなってしまった最愛の母、アスティア。
そして故郷オズワルドの町。
長い旅路の果て、神と竜王との戦いの後、少女の真の目的が遂げられようとしている。
少女は剣を構えた。母の仇――この魔人を倒さぬかぎり、母は戻ってこない。

少女の剣がヴァシュタールの身体を切り裂く。一瞬、魔人は怯んだように見えた。しか
し、魔人は次の瞬間には笑っていた。魔人の身体の傷口は見る見るうちに塞がってゆく。
「無駄だ、いかなる力をもってしても我を滅することはできん」
魔人の哄笑が響く。
――嘘だ、そんな事は……。
少女は有らん限りの力を振り絞り、剣を振るい続けた。しかし、何度倒してもヴァシュ
タールは何事もなかったかのように甦る。
「我は不滅の存在だ、まだ分からぬか、愚かな女よ」
――そんな……私は何のために旅をしてきたの……!
何度剣を持ち直し、挑みかかっても魔人は倒せない。魔人はもはやその顔に不敵な笑みを
浮かべ、少女の殺意すら弄んでいるかのように見える。少女の脚はいつしか、疲労で熱を
持ち、ふらつき始めた。
――何故、何故倒せないと言うの?この『竜殺し』とまで呼ばれた、この私が!


「アスティアの子よ、お前の心に迷いが出来ているな……母の仇を取れぬと」
疲れ果て、剣を持ったまま地面に蹲った少女に魔人は追い討ちをかけるように言った。
「アスティアの子……いや、お前は惨めな捨て子だ。母の仇を討つ前に、お前は考えたこ
とがなかったか?お前は何故自分が生みの親から見捨てられたか、そして何故アスティア
がお前を拾い、育てたのか今まで疑問を抱いたことがなかったのか?」
少女は顔を上げた。何故、今この魔人にそのようなことを言われるのか、少女には理解で
きなかったのだ。
しかし今、魔人に投げつけられた言葉は、いつも自分の頭の片隅に存在していたものだっ
た――

自分が母、アスティアの本当の子供ではないことを知らされたのは15歳の春のことだっ
た。それでも少女は、捨てられていた赤子であった自分に溢れんばかりの愛情を注いでく
れたアスティアに感謝し、誇りに思い、誰よりも愛していたのだ。
しかし、心の片隅にいつも居座り続けた負の疑問。無視したくとも出来ないその問い。
自分は本当の親から望まれない子供だった。自分の本当の親は自分を育てることを放棄し
た。
何故?何故自分は捨てられたのか?考えまいとしてきた。それを考えると頭が割れそう
だった、そんなことを考えても仕方がない、それよりも今は母になってくれたアスティア
の愛情があるではないか。
そうやってその疑問に蓋をし、無視し続けてきた。


「女、我が何と呼ばれているか、答えてみよ」
「……開け放つもの」
少女は無意識に口を開いて答えていた。
「そうだ。人間は私を心のわだかまりを魂と引き換えに解放して貰えるなどと言っている
な。試しに我に魂を預けてみぬか、今お前の心は迷いに満ちている、お前は道標を失いつ
つある……我はお前の迷う心を解放してやれるかもしれぬぞ」
少女は自らの心の中を見透かされたように思ったが、きっと相手を睨み返した。
「……ふざけないで!お前は私の母の仇!」
「そう、育ての母のな。お前を産み落とした女はお前を如何なる感情で捨てたのであろう
な、お前は考えたことがあるか、女よ」
ヴァシュタールは巧みに言葉を選ぶ、少女を迷いへと陥れる言葉を。この魔人は自分を惑
わせ、戦う力を奪おうとしているのだ。少女は自分の心に生じた迷いに負けまいと大声を
出した。
「……私が誰から生まれたかなんて関係ない!私の母さんは、大切な母さんはアスティア
母さんただ一人だ!」
「アスティアの子よ、母を愛しているのだろう――だが、お前の母は我が妹。かつては地
獄を支配した円卓の騎士の一人。それを知ってか?」
「……!」
「お前の母は我と同じく悠久の時を生き、何人もの人間を殺めた。赤子のお前と出会い、
愛という愚かな感情に支配されたがな……お前の母の手は血に汚れているぞ、女、お前が
敵対したウルグ様と同じように、そしてこの我にも負けぬ程にな。その我が妹がなぜお前
を育てたか分かるか?」
ヴァシュタールが投げつける言葉が、少女の気力を確実に奪い、そして重たい迷いとどろ
どろした憎悪とか胸の中で入り交じり、煮えたぎる。
その憎悪はヴァシュタールに向かっているようでもあり、愛していたはずの母、アスティ
アにも何処か向かっているように思える。
――何故、魔人であった筈の母さんはやがて敵対するかも知れない私を育てたの?

自分の胸に生じた迷いに戸惑っているうちに、少女は自分の剣を握る手の力が弱まってい
るのを感じた。
それを見透かしたように、魔人は不敵に笑うと、少女の近くに瞬間移動してきた。
抵抗する間もなく、背後からがっちりと抱きしめられる。魔人の力は強い――身動きがで
きない。ふわり、甘い匂いが漂う――香木の匂いだ。嗅いだことのないような、異国の香
木の匂い。一瞬、頭の中がくらりと淀む。
ヴァシュタールは少女の耳元で囁くようにしかし低くすごんだ声で言った。
「開かぬ闇の門など、意味を成さぬ。ここは話をするには無粋だ。向かおう、我が褥へ
と」
その言葉とともに、目の前の景色が一瞬、灰色の霧に覆われる。身体が浮遊したような感
じがして、少女は思わず目を閉じた。

冷たい空気の感触に目を開き、辺りを見回すとそこは、少女が育った故郷の懐かしい景色
があった。
「……ああ、母さん!」
夢にまで見たオズワルドの風景。だが、懐かしい時間を生きたあの時とは違う、朽ちた動
かぬ風景。人々の息吹が聞こえてこない凍りついた町。
あの時のままだ――アイリーンを探してここへ一度戻ってきたあの時のまま。
「離して……母さんを返して!」
少女は未だ自分の身体を抱きしめたまま離さない魔人に向かって命令した。魔人は冷酷な
笑みを浮かべ、宣告するように答える。
「無駄だ。今、この村を取り巻いているのは永遠なる死。我を倒さぬかぎり、お前の望む
ものは帰っては来ぬ」
「どうして……お前は何を……!」
「私の望みか?永遠の怠惰を生きる私の望みはただ、我が命を絶ってくる者の存在を待つ
だけだ。……お前ほどの力を持った者には久しく出会っていないが、お前さえも我の存在
を消し去る力は持たぬ」
魔人と少女はオズワルドを離れた、まさにその時の位置に立っていた。ヴァシュタールの
棺と呼ばれる遺跡の上に。棺は今やぽかりと口を開け、その中に見えるものは――底なし
かと思われるような真っ暗の闇。
「そこは我が褥……我が眠りを守る場所。尤も、それも虚無の子により覚まされてしまっ
たがな」


閑散としたオズワルドの町の冷たい空気が、ヴァシュタールの棺の上をそよそよと吹く。
「開け放つものの呼び名の通り、お前の知りたかった問いに答えを与えてやろう、女よ」
ヴァシュタールは少女の身体を背後から抱きしめたまま、ふわりと宙を滑り、棺に開いた
褥の上に移動した。
「ここはウルグ様に捧げるソウルを集めんが為に、人間を飼いならしていた町。アスティ
アはこの村に行き場のない人間を招き寄せ、住まわせた……いずれはウルグ様の糧になる
ことを予定してな……我が妹は、我が主人への忠誠を忘れなかった、しかし、その忠誠は
女よ、赤子のお前とアスティアが出会ったその日に崩れ去った」
口を開けたヴァシュタールの褥の上に、少女と魔人はいつのまにか浮遊するように立って
いた。
「女よ、アスティアは何故お前を拾い、育てたと思うか。アスティアはウルグ様に忠誠を
誓っていた時分には、人間の赤子の命など紙くずよりも軽いものだと嗤っていた。その我
が妹が何故、お前という捨て子の命を救い、育てようとしたか分かるか。どこの女に産み
捨てられたとも分からぬ、薄汚れた人間のお前の命をな」
黙り込んだ少女を見て、ヴァシュタールは何もかも見透かしたような薄い笑みを浮かべて
続けた。
「アスティアは赤子のお前の中に、すでに無限のソウルを見いだしていたからだ。無限の
ソウルがこの世に生を受ける時、それはすなわち、ウルグ様が復活を遂げる時。アスティ
アはここで人間どもを飼い、そのソウルをウルグ様に捧げようとしていた。無限のソウル
がこの世に現れれば、ウルグ様の復活は近い、そう分かっていたからだ。その時が来れば
アスティアは我を呼び覚まし、闇の門を開く。ウルグ様は復活する。アスティアは無限の
ソウルであるお前を養い、やがてはお前のソウルも復活したウルグ様に捧げる予定だった
のだ、その途中で人間としての愛に目覚め、お前への愛に溺れ、魔人の任務を放棄した愚
か者であったがな」
はっとして少女は顔を上げた。ヴァシュタールは満足げに続けた。
「お前の生みの親がお前を捨てたのもおおかたそういう理由であったのだろう……お前の
中には何か尋常ならざるものが宿っていると、お前の生みの親は見抜いていたのだ。それ
故お前を捨てたのだ。それはお前の持つ無限のソウル――そう、オズワルドの住人を消し
たのも、お前の母を消したのも、すべては無限のソウルの行い。無限のソウルがこの世に
生を受けたため」
「そんな……!」
「我を倒さぬかぎり、お前の母は戻らぬ。しかしお前の母を殺したのは我ではない、アス
ティアの子よ、母が消えざるを得なかった原因はほかならぬお前だ――生みの親も、育て
の親もな。それが答えだ」
「――ああああぁぁぁっ!」
少女は耳を塞いだ。いやだ――そんな真実は受け入れたくない。自分が戦ってきたのは、
母を、そして自分を愛し、可愛がってくれたオズワルドの村人達を元通りに救うことが目
的だった。自分を元通り包んでくれる愛を取り戻すことだった、それなのに。


少女は、自分がこの街で手にかけた一人の騎士の少女のことを思い出した。
母を助けたかった。だから自分は――アイリーンを、殺した。ヴァシュタールを倒すため
に、殺した。
戦場で剣を交えたことがあっても、自分たちは友人だった。知りあって、駆け出しの冒険
者の時から、何度も腹を割って話した。ロストールとディンガルが剣を交えたときも、挑
んできたアイリーンから逃げて、アイリーンとの戦いを拒んだ。戦場では敵対する立場で
あっても、大切な友人を無為に殺したくはなかったからだ。
それでも自分は最後には、母のために、そのアイリーンを、ここオドワルドで殺した!
結局、アイリーンを殺してもヴァシュタールを倒すことは出来なかったのに――

少女は身体から力が抜けてゆくのを感じた。先ほどまでの魔人との戦いの疲労と今聞かさ
れた事の衝撃とが彼女から戦おうとする意欲を奪ってゆく。剣はいつの間になくしてし
まったのか、もう自分の手の中にはなかった。
アイリーンを殺したのは、自分。
そして、母を、愛していた故郷の人々を殺したのも、自分。生みの親が自分を捨てた理由
も、自分の持つ無限のソウル。結果的には自分の無限のソウルのせい。旅路の果てがこん
な残酷な結末で終わるなんて。
母の許に行きたいと思った。自分の傍にいる魔人、それは、自分の死。自分にはこの魔人
を倒す力がないのはもう分かっていた。魔人はこのまま、戦う力を失った自分の命を奪う
のだろう。
母の許に行きたい。母と同じようにこの魔人にソウルを奪われれば、自分はたぶん、母の
許に行けるだろう。
少女はうなだれたまま、魔人の一撃を待った。


少女はいつまでも魔人が自分に対して攻撃をしてこないのを不審に思い、顔を上げた。だ
が、自分に与えられたものは死ではなかった。
少女は顎に魔人の指が当てられるのを感じた。頬をヴァシュタールの人差指が嬲るように
這う。
無理矢理に顔を上げられると、魔人の額に輝く第三の目と目が合った、と思う間もなく次
の瞬間には魔人の唇が自分の唇を喰らうように重ねられた。
衝撃が少女の心を貫く、何をされたのか一瞬、理解できなかった。
少女は目を見開き、逃れようとした。冒険者となってからの長い生活の間、仲間の男に対
して淡い恋心を抱き、口付けを交わしたことがない訳ではなかった。しかし、その時交わ
した優しいいたわりに満ちた口付けとは違う、相手を喰らい尽くすような口付けを受けた
のはこれが初めてだ。
少女の身体からいつしか抵抗する力が弱まってゆく。身体が熱くなる。長い長い束縛の
後、魔人はようやく少女の唇を解放した。
唇から光る糸が引く。二人の唇は唾液でてらてらと光っていた。
「……何をするの……」
少女は荒い息をしながら魔人の勝ち誇ったような顔を見上げた。何故、命を賭して戦う筈
の相手にこのような愛情の表現のような行為を受けるのか?その時の少女には理解できな
かった。
少女は右手で唇を激しく拭った。だが少女自身は気付いていなかった、その時の彼女の目
は熱に潤み、半開きで、相手を誘うような陶然とした目つきになっていたことを。それを
確認した魔人は不敵に笑い、少女に宣告するように言った。
「アスティアの子よ、死を望んだのか?意志する女が、死を望むか。愚かな、私がお前に
すぐに死を与えるとでも思ったのか?……永遠に繰り返される光と闇の戦い、この戦いが
終わっても、またいずれ次の戦いが始まるだろう。その間、お前の存在は私の怠惰を紛ら
す愉悦だ。我はお前の命を手放さぬ、お前に死を与えるつもりはない……道標を失った女
よ」
魔人の身体から漂う甘い香木の匂いにいつしか頭が痺れたようになる。
「アスティアの子よ、お前の憎しみは、我を倒すまで消えぬ……だが、今のお前の力では
私を倒すのは不可能だ……だから、私はお前に提案するのだ。お前の存在はこの長い安寧
を一時期、紛らわすことは出来よう、美しい女よ」
「……何ですって……!」
「憎しみを、愉しむのだ。永遠に続く怠惰を我と共に生きよ、己の憎しみと共に生きよ。
憎しみの上で踊れ。そして私は、お前の憎しみを、存在を楽しむ……お前は私の愉悦。せ
いぜい、我の掌の上で踊るが良い」
その言葉の恐ろしい真意を理解するまで、しばらく時間がかかった。

 

少女の朦朧とした意識は、次に魔人がとった行動で正気に覚まされた。
「ひぃっ!」
びりびりと激しい音を立てて、少女が着ているクロースは魔人の両手によって胸元から紙
のように簡単に引き裂かれた。柔らかな真っ白な乳房がそこから顔を覗かせる。
「何を……やめて……!」
魔人は少女の抗議になど耳を貸さなかった。露出した胸の谷間に魔人の顔が埋められる。
魔人の舌が生き物のように少女の乳房の上を這った。
少女はその魔人のおぞましい行動から逃れようと必死にもがくが、体格の違いのありすぎ
る魔人に身体の自由を奪われていては、それも無駄な抵抗に過ぎなかった。
乳房の先端を甘噛みされて、心の中の拒絶とは裏腹に少女の身体は経験したことのない悦
びにびくんと跳ねた。
「う、ああっ……やめて……」
「何故抗う。愉しめば良いのだ。長く苦しいだけの生と永遠の怠惰、それに比べればこれ
も一時ながら愉悦、そして良い暇つぶしだ、愉しむが良い」
魔人がこれから何をしようとしているのかはっきり理解して、少女の顔は恐怖と嫌悪に歪
んだ。

長い長い乳房への愛撫が続く。少女は乳房を鷲掴みにされたり、硬く勃ち上がった先端を
舌先で舐め回されたりしているうちに、少女は不快感がだんだんと甘美な切ない感触にす
り替わってゆくのを感じ、ほとんど抵抗が出来なくなった。口元から吐息が漏れる。
「あ、あっ……はっ、はっ……」
少女の身体の力が完全に抜けてしまうと、魔人はやっと少女の身体を解放した。身体を支
えていた魔人の力がなくなり、少女はがくりと膝を突く。
少女は火照る自分の脚の間に湿った熱いものが広がる感触を覚え、頬を赤らめた。


目の前に立つ魔人は、膝を突いた少女の身体を髪を掴んで無理矢理起こさせた。
眼前に飛び込んできたものに少女は顔を引き攣らせ、乾いた悲鳴を上げる。
身に付けている法衣のような衣服をするりと脱ぎ捨てたヴァシュタールの逞しい肉体。そ
してその身体の中心には、醜悪な武器にも似た、ぬめりを帯びた巨大な男性器が天を衝い
ている。それが目に焼き付いて、少女の顔は恐怖に歪んだ。
ヴァシュタールの端正な顔が残酷な笑みに支配される。少女のその反応に、魔人は少女が
生娘であることを見抜いたのだ。
「ふ、うぐっ……!」
少女の顔はいきなり魔人の男性器に押し付けられた。噎せるような、獣の匂いに似た匂い
がする。もがいても、魔人の腕の力にはかなわない。
「口を開けるのだ」
「い、いや……!」
抗う術もなく、口をこじ開けられ、それを口の中に押し込まれる。魔人は少女の後頭部を
両手で押さえ付けて、何度も深く少女の口腔へ己の自身を押し込もうとする。もがく少女
は必死に頭を引こうとすると、それが自然と口腔と舌で魔人の男性器を扱く結果になる。
少女の赤い唇の中を魔人のぬめりを帯びたそれが出し入れされ、口腔を陵辱する。
しばらく少女のその抵抗を愉しんだ後、少女の口から魔人は自身を引き抜いた。そして、
自分の右手で激しくそれを扱く。解放されてようやく息をついた少女の開いた唇に、顔面
に、瞬く間にどくどくと白濁した液がぶちまかれた。生臭い匂いが辺りに立ちこめる。
「あ、ぐっ……や、だっ……」
少女の美しい顔を所有の証のような穢れた液で汚したのを確認すると、魔人は満足そうに
笑う。
少女は開いた唇から白い粘液を垂らしながら、その場に蹲った。顔から、頬から伝わる白
い液が、少女の喉元までも淫猥に濡らしている。

鼠をいたぶる猫のような目つきで、ヴァシュタールは蹲った少女を見ている。そして、背
後から少女の腰を持って抱き寄せると、短い上着の中に手を入れて、少女の下着の上から
秘部を指で撫でた。くちゃり、と湿った音がする。
少女の身体はびくんと跳ねた。おぞましく不快であるはずなのに、下腹部がずんと重く、
熱を持っているようだ。下着の上から魔人の指が激しく割れ目の中を上下すると、とろり
とそこから蜜が溢れ出した。
「あ、ああん……はうっ……」
「欲しいのか、言ってみよ、我の指が欲しいのか」
脚を閉じようとしても、魔人の脚が少女の脚の間に割り込められ、閉じられない。くちゅ
り、くちゅりと音がして、やがて下着の中に魔人の指が差し入れられた。泉の中に太い指
を差し入れられると、しくりと痛みが走り、少女は軽くのけ反る。
しかし中を掻き混ぜられるように指を動かされると、瞬く間に尿意のような、少し甘美な
感触が下腹部に広がり、自然に溜息が漏れた。
「ひ……あぁぁっ……」
「淫らな女よ、腰を振るのか、まるで牝犬だ……誘っているのか」
ヴァシュタールは少女の愛液で汚れ、糸を引いている人差指を少女に見せつけるかのよう
に眼前に突きつけた。少女の顔は屈辱に真っ赤になる。

「う、うう……もう、やめて……」
身動き取れぬまま、秘部を数本の指で掻き回されて、痛みと屈辱とで少女はいつの間にか
魔人に懇願していた。仇を討つべき相手にいつの間にか誇りを失い、懇願している自分が
いる。だが、身体は意志に反して火照り、愛液は悦びの証のように脚の間をとろとろと
伝っていた。
そんな少女の心境と身体の変化をも、残酷な魔人は愉しんでいるかのようだった。
「我のものになれ……我を愉しませよ」
下着が引きずり下ろされる。少女はその恐ろしい言葉を聞き、悲鳴を上げた。
くずおれそうな腰を持ち上げられて、脚を開かされると、少女の愛液の滴る秘部に魔人の
凶器のような男性器が背後から一気に突き刺さった。
「あ、ああぁっ!」
少女は苦痛に悲鳴を上げた。身体が裂けるような激痛。下腹部を襲う圧迫感と激しい痛み
に耐えられず、生暖かい液体が漏れ出し、ちろちろと脚を伝って流れた。
「や、だっ……いた、いっ……!」
身体を捩らせて逃れようとするも、それは無駄な抵抗だった。ヴァシュタールはしばらく
そのまま、もがく少女に併せて自身を締め付ける少女の媚肉の感触を愉しんでいたが、や
がて激しく腰を打ち付け、いきり立つ己自身を少女の最奥まで打ち込んでは、引き抜い
た。
身体の中で魔人の自身が出し入れされる度に、身体が裂けそうになり、擦り剥けるような
激痛が走る。少女は悲鳴を上げ、もがきながら逃れようとする。肉と肉のぶつかる音、秘
部からはぐちゃぐちゃと湿った音が立ち、愛液が泡立ち、伝い落ちた。

しばらく背後から少女を犯していたヴァシュタールは、やがて少女を貫いたまま、少女の
身体を腰から抱き寄せ、自らの膝の上に乗せた。ぐちゃり、と音がして少女の身体の奥深
くに魔人の自身が深々と突き刺さる。
そのまま少女の身体を揺さぶり、背後から乳房を弄びながら、激しく下から何度も突き上
げた。赤いものの混じった粘液が止めどなく結合部から流れ落ちる。
「あ、ううっ……や、やだっ……もう、やめ、て……」
少女は天を仰いで激しく息をした。脚が痙攣して、麻痺しそうだった。涙に滲む、見開い
た目の中に見えるものはただ、闇。
不意にヴァシュタールは片手で少女の身体を抱いたまま、もう片手を広げ、空中に文字を
描くような動作をした。途端に、少女の見ている闇が霧に巻かれて歪み、その中に不思議
な光景が映し出される。少女は苦痛と恥辱の中で目を瞬かせた。
「さあ、今こそ見せてやろう、女。お前の心の憎しみの元凶を。お前が真に憎むべきも
の、お前の最も愛する者の本当の顔を」


少女の目の前に映し出された幻のような光景、それは――
この世の風景とは思えぬ、血なまぐさい光景。薄暗い砂煙の舞う空気、地面に瓦礫のよう
にうち捨てられた、それはいくつもの人間の死体。まるで戦場の風景。
そして、その死体を踏みにじり、その中央を闊歩する者がいる。あれは――まるで以前少
女と戦ったことのある女魔人アーギルシャイアのような禍々しい殺気と残酷な笑みを湛え
た若く美しい女の姿、しかし、あれは――
「母さん!?アスティア母さん!?……はああっ、そんな……どうして!」
「忘れたか、アスティアの子よ。お前が母と慕う女はお前と出会う以前、ウルグ様の許で
円卓の騎士として何千年のもの間、地獄を支配していた。お前の母は、地獄で何人もの人
間の命を刈り取った、楽しんでな」
目の前に映し出されたその女の顔は、愛する母にそっくりのその顔は、笑っている――血
飛沫を受け赤く化粧したその顔に、左右色違いの美しい瞳に、この上もなく狂気めいた酷
薄な笑みを満面に浮かべて。
その顔には、いつも少女を包み込んでいた母親としての優しさは微塵もない。
少女の心を引き裂いたまま、風景はまた変わった。目の前に見えるのは、抱き合う一組の
男女。透き通る肌、白い乳房を露出させた、一糸纏わない姿の女は――少女の母、アス
ティア。
そして、血に染められた彼女の赤い手が優しく愛撫しているのは――今、背後から少女を
犯している天眼のある魔人の逞しい身体。少女の母は、アスティアはヴァシュタールと抱
き合っている。
恋人同士のように、口付けを交わし、血にまみれた裸のお互いの身体を愛撫し合い、獣のような悩ましい喘ぎ声を上げ。かつて冥界を支配していた双子の兄妹の魔人は淫らにまぐ
わい、絡み合っている。


少女は目を見開き、悲鳴を上げた。今、見ているものは魔人が自分を惑わすために作りだ
した幻影であって欲しい、必死になって少女は叫んだ。
「うそっ、こんなの嘘よ!こ、こんなっ……お前の作り出した幻なんか、にっ……騙され
るもんかぁっ!……はあっ、あん、ああんっ!」
途端に激しく下から突き上げられて、少女の身体はびくびくと痙攣した。結合部からぬ
ちゅ、ぐちゃりと湿った音が響く。身体を貫いている魔人の凶器のような楔が、熱い。
「信じたくないのか、女よ。真実から目を背けるのはすなわち逃げ……我はお前に、過去
の事実を、アスティアの真実を見せただけだ、ここでお前が見たものは、冥界を支配して
いた間、我の天眼が見てきたアスティアの真の姿よ」
「冥界を支配する使命のために与えられた時間は、我々兄妹には長すぎた。人間の命を刈
り取るのも、永遠の生を持つ我らには長すぎる安寧――倦んでいた我らは幾度となくまぐ
わった――それも一時の暇つぶしにな」
まるで鏡を見ているようだった。目の前には今の自分のように、ヴァシュタールの膝に乗
せられ、背後から貫かれ淫らな喘ぎ声を上げる母アスティアの姿がある。その揺れる豊か
な乳房も濃い茂みも、深々とヴァシュタールの自身を埋め込んで、粘液を垂れ流している
女性の部分も、開いた脚の間から少女の眼前に見せつけるかのように迫る。
母の顔は法悦に蕩けきり、満足げに微笑んでいる。残忍なヴァシュタールの腕の中で、乳
房と秘部を弄られながら悦びの声を上げている。
母は――アスティアは少女にとっては母である以上に、聖女であり、女神であった。オズ
ワルドの村の中で誰よりも働き者であり、男を寄せ付けず、血の繋がらない自分を女手一
つで自分を育ててくれた母、アスティア。その母が――仇であった筈の、そして自分を犯
している魔人と淫らに愛欲に溺れ、交わっている。
何かが、少女の心の中でぽっきりと音を立てて折れた。
「慈愛に満ちた清い母の姿、それは虚妄……お前の母はこんなにも淫蕩であった。母の真
実の姿を見て失望したか?女よ」
ヴァシュタールはとどめを刺すように言った。そして片手で少女の硬く勃ちあがった乳首
を、もう片手で濡れた陰核を強く捻った。苦痛と衝撃の中で、激しい感触が身体の中を電
流のように走った。
「……いやああぁぁぁーっ!」
少女の最も神聖なものが、それは穢された瞬間だった。
少女は両目から涙を迸らせ、身体を捩って叫んだ。少女の胎内が激しく収縮する。
魔人は自身を締め付けるその感触に低く呻き声を上げると、少女の身体を背後から抱きし
めたまま最後に何度か少女を突き上げた後、堪え切れぬかのように己の劣情を少女の胎内
に迸らせた。
どくどくと熱いものが身体の中に注ぎ込まれる。背後から魔人が激しく喘ぐのを聞きなが
ら、絶望に薄れてゆく意識の中で、少女は繰り返していた。
(ごめんなさい、アイリーン……ごめんなさい、母さん……ごめんなさい……!)
少女はいつまでも心の中で謝り続けた。それは無為に命を奪ってしまったアイリーンへの
謝罪、そして仇を取れなかった母への懺悔であり――母の真実の姿を見てしまった激しい
後悔の念も含まれていた。
涙が頬を伝うのを感じながら、少女は静かに目を閉じた。魔人の束縛から解放された身体
がどさりと前のめりに倒れたが、もう痛みは感じなかった。


幾許かの時間が流れた後、少女は自分の熱く火照った身体の上に何かが這っている感触を
覚え、意識を取り戻した。それはなめくじのようにのろのろと、自分の身体の上を舐める
ように這っている。目を開いてみたが、目を開けても見えるものは闇ばかりだった。自分
は何処にいるのだろう。ヴァシュタールの褥の中だろうか。
「アスティアの子よ、アスティアはお前への愛に溺れ、魔人の使命を忘れた背信者だっ
た。だが、我も今なら我が妹の気持ちが分からなくもない、我も今、お前の存在に執着が
芽生えてきたところだ……予測しえなかった結論だ。この破壊神ウルグの円卓騎士、ヴァ
シュタールがな」
耳元で囁くような声を聞いた。もう、自分が何処にいるのかもどうでも良いような気持ち
だった。先ほどの苦痛と心の拒絶に反した快楽の後で、身体の上を優しく這うその感触が
優しい愛撫のように感じられた。
「アーギルシャイアが戯れに飼っている人間の男に深入りしてゆくのを見た時、我は忠告
した。だが、皮肉なものよ……我もまた、一人の人間、無限のソウルにこうやって深入り
してゆく運命にあったとははな」
それが唇の上で止まり、唇を塞ぎ、ぬらぬらとしたものが唇を割って入ってくるのを感じ
て初めてそれがヴァシュタールの唇と舌であったことが分かった。甘い香木の匂いが身体
を包む。
「お前もこのまま、我に飼われるしかないのだ、無限のソウルを持つ女よ。これもまた、
ひとつの帰結。繰り返される光と闇の戦い……お前は我を倒せなかった。近い未来か、遠
い未来、再び無限のソウルを持つ者がこの世に生を受けるだろう、お前の代役として……
今度こそその者が我を眠りに就かせてくれるやも知れぬ。その時までお前の憎しみは、お
前の存在は、我のものだ。お前は我の掌の上で踊り続けるのだ」
唇を塞ぎながら、魔人は再び少女の乳房を弄り始めた。少女はもう抵抗しない。火照った
身体と打ちひしがれた心に与えられる愛撫がただ、心地良かったのだ。
――このままヴァシュタールの玩具になる、その事実が分かっていても、もはや抵抗しよ
うという気持ちは起こらなかった。
魔人が再び自分の身体を蹂躙し始めるのを感じながら、少女は甘い吐息を漏らし、魔人の
首に腕を回した。愛する恋人を受け入れるかのように。

バイアシオン大陸を震撼させた闇との戦いで人々を救った伝説の勇者である一人の少女
は、闇との戦いに勝利した後、仲間の許には戻らず忽然と姿を消した。戦いを共にした仲
間達は少女の行方を懸命に探したが、その行方は誰も知れなかった。
バイアシオンの外海にある闇の門の島に海賊船に乗り向かった少女の姿を見かけたという
者もいたが、何故闇との戦いが終結した後に少女がそこへ向かったのかは誰にも分からな
かった。幾人もの吟遊詩人が彼女を勇者と讚える歌を作り歌い、その英雄譚は後々まで語
り継がれたが、稀代の英雄は伝説だけを残しすべての人の前から永遠に姿を消してしまっ
たのであった。

-終-