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 ディンガル帝国の都エンシャント。そのスラム地区の一角。
 痛みの激しくなってきた家屋の壁には、魔法に関わる複雑で精密な文様が織り込まれているタペストリィが張られ、床には魔方陣が絵描かれていた。
 部屋の明かりといえば、正面にある机の上の燭台が二本。燈されている蝋燭が独特の臭いを発しながら、僅かに光を投げかけているだけだった。

「・・・とまぁ、このようなものじゃな」
 そんな中、ゆったりとしたローブを着た老人が、話を切り終える。蝋燭の明かりを背にしている為、禿げた頭が陰影を浮き出させていた。
 激しく不気味で気色悪い。子供に見せれば、十人中十人が怖いと言って泣き出すだろう。
「ここまでで何か質問は?」
「無い。要するに、君の手伝いだろう?」
 そう言って、男は背にしていた壁から離れた。組んでいた腕も解す。
 男・・・ジュサプブロスは色の入った眼鏡の位置を直しながら、先程の話を頭の中で整理して言った。
「しっかし、現宰相はえらく有能だとは思っていたが、出時にあんたが関わってたとはね・・・まぁ納得。壁男が親ってのは同情に値するがね」
「それだけでは無い。血肉を分けた親と戸籍上の親、そして育ての親。あれは親が多すぎて迷惑がっておるがの」
「うわ・・・考えただけでゾッとするね」
 ジュサプブロスは顔をしかめ、大袈裟にやれやれと首を振る。
「それで、決行日はいつだ?」
「それは・・・」
 途中で言い澱んだ老人に、ジュサプブロスは繭をしかめた。
「ちと、尋ね人がくる」
「尋ね人? 『妖術宰相』として悪名高い君を誰が尋ね・・・」
 と、家の外に気配を感じ、ジュサプブロスは口を噤んだ。

「こんにちわ。おじいさんいます?」
 この場に似つかわしくない、明るく優しげな声が外から響いてきた。
 ・・・おじいさん? そこにも激しく突っ込みたいが・・・
「・・・誰? と言うか女っぽいし。・・・まさかコレ?」
「・・・馬鹿者」
 小指を立てたジュサプブロスに、老人は冷めた視線で一瞥した。
 じゃぁ、どういう関係なんだ? と視線で訴えるが、無視された。
「入っといで」
 その声に、入り口の布が持ち上がり、流れてきた甘い香りと共に声の主が入ってきた。小柄な少女だった。
「お邪魔します」
 律儀にお辞儀をしながら、その少女の視線が中の見知らぬ男に向く。視線が絡み合う。
 ジュサプブロスはその瞳から視線を外せなくなった。
 うまく言い表せない、奇妙な感じがする。その感じに戸惑った。


「良く来たな。じゃが、見ての通り人が来ておる。用はまた今度にしておくれ」
「・・・あ、大丈夫。これ持ってきただけだから」
 ゾフォルの声に、少女は慌てた様子で視線を外し、手に持っていた籠を掲げてにこりと笑った。
「これね、多く作りすぎちゃって。良かったら食べてもらおうと思って持ってきたの」
 軽い足取りで近寄ると、少女はゾフォルに籠を渡した。
 魔王バロルを惑わしたとして『妖術宰相』と呼ばれ、人々から恐れられている老人に無警戒・・・
「有り難い。お前さんの菓子は絶品じゃからな」
「煽ててもこれ以上何も出ないですよ」
 ・・・誰だ、この爺さん? ジュサプブロスは目の前の光景に唖然とした。
 『妖術宰相』がにこやかに笑っている。当然、激しく似合っていない。
 籠から出した、可愛らしい布切れで包まれたものを机の上に置き、老人は籠を少女に返した。
「じゃあ、また今度。最近寒くなってきたから風邪には気をつけてね」
「言われんでも判っておる。気をつけて帰りなされ」
 少女は大きく頷き身を翻す。と、奥の男にお辞儀をする。
 ジュサプブロスは動揺を隠しながら、ぎごちなく頭を下げた。
 頬を赤らめながら少女は外に出た。ジュサプブロスは慌てて、その後を追うように外を覗く。
 ぱたぱたぱた。そんな表現が似合う走りで、その少女は去ってゆくのが見えた。
 ジュサプブロスは視界から消えるまで・・・否、消えてもその方向を凝視していた。

「去ったかね?」
「ん? ・・・あぁ」
 少女の姿が見えなくなってどれくらい経ったのだろうか。老人の問いかけに、ジュサプブロスは我に返った。
 どうにも先程の感じが抜けない。それどころか徐々に強くなってきている。
 そんな男を、老人は意外そうに見やる。
「合縁奇緑・・・人との仲は縁というもので繋がっておる。
 相手と合うか合わないかは、その縁の繋がりで決まる・・・と、言うが・・・」
 そこで言葉を一度区切り、老人はため息をついた。
「お前さんの場合、最も厄介な相手と男女の仲の縁で繋がっておったようじゃの・・・」
「・・・それは何かの言い回しかい・・・?」
 ジュサプブロスは変なことを言いった老人に、不振そうな視線を投げかけた。
「いやなに、今日は多くは語るまい。・・・それより、折角だから食べんかね? 茶と酒は出せんがな」
 そう言って、老人は机の上の包みを指差した。
 食欲をそそる香ばしい香りが部屋を包んでいる。それは魅力的だが・・・
「・・・君と一緒にってのは、真面目に御免被りたいね」
「ならば半分持って行くがいい。これだけあると、儂ひとりでは食べきれぬからな」
 と、半分貰った。
 まだ温かみの残るそれを受け取りながら、ジュサプブロスは自分が奇妙な表情をしているのが判った。


「旨い」
 根城にしている家屋の二階で、貰った菓子を一口食べた。その感想第一声。
 菓子・・・さくらんぼジャムとカスタードクリームのパイを食べながら、ジュサプブロスはのんびりと舌鼓を打った。
 中々に手が込んでいる。カスタードクリームは二層、ジャムはその真ん中になるよう配置されていた。ジャムの甘さを計算してか、カスタードの方は甘みを抑えられている。
 パイ生地と一緒に口に含み、混ぜ合わせるとちょうど良い甘さになって舌の上を転がった。
「これは店で売れるレベルだな。ゾフィルはたまにとは言え、こういう物を食べていたとは意外だ」
 うらやましい。と思ってしまい、慌てて首を振った。
 ブランデーを瓶からグラスに移し口に含む。そしてパイと一緒に胃に流し込んだ。アルコールに反応して胃が、その後ゆっくりと全身が熱を帯びてゆく。
 繰り返しているうちにパイが無くなってしまった。物足りなさを感じつつ、指についた欠片を舐め取る。
 熱くなってきたので、一息付きながら窓を開けた。と、冷たくなってきた風と共に入ってきた銀色の冷たい光が、男と室内を薄暗く照らし始めた。
 月を眺めながらグラスを傾ける。太陽の暖かさと明るい光に焦がれながら。

 ふと、ゾフォルの言葉が脳裏に蘇る。別れ際の言葉だった。
(あの者は『無限のソウルを持つ者』にして『竜殺し』じゃよ。いずれ我らの敵として立ち塞がる存在)
 ・・・だったらなんで仲良くしているんだ・・・?
 こめかみを揉み解しながら、ジュサプブロスは今日の出来事を思い出す。
 にこやかに笑う・・・はっきり言って気色悪い『妖術宰相』。焼き菓子を届けに来た、少女の・・・・
「・・・うーん・・・イイ体していたが、少々色気がなぁ・・・純潔っぽいと言えば純潔っぽい・・・ううむ」
 と言いつつも、脳裏に焼きついているスカートから出ていた太腿を肴に、ゆっくりとグラスの中身を減らしていった。
 ・・・いや、布に包まれていたが尻も良かった。うん。


「・・・目が充血しておるぞ? 悩み事かね?」
「放っといてくれ、好色ジジイ」
 エンシャントにある、施文院の地下神殿。その奥まった部屋のひとつ。装飾が全く無い部屋に、簡素な椅子とテーブルだけが設置されていた。
 そのひとつに腰を掛けながら、ジュサプブロスは先に来ていた老人に悪態をついた。
 施文院の使いが来たのは、太陽が地平線の終わりに消える直前。夜という魔が目覚める頃だった。
 ジュサプブロスはあれから二日間寝付けなく、やっとうとうととし始めた時だった。その為、使いに叩き起こされることとなった。
 久しぶりに大神官が帝都エンシャントに来ていると言うので、システィーナ伝道師として顔を出せ。ということらしい。
 らしい。と言うのは、起こされたことに防衛本能が反応してしまった為、話を全部は聞いていなかったからだ。
 謝罪しておいたから大丈夫だろう。失神した後だったから、記憶には残っては無いだろうが。
 半殺しにされた本人が聞いたら激怒しそうなことを考えながら、ジュサプブロスは欠伸を噛み殺した。
「残りの二人は?」
 空いている椅子を指で示しながら老人に聞いた。椅子は四脚あるが、埋まっているのはジュサプブロスと老人、この二つだけだった。
「あぁ。なんでもノトゥーン神殿に行くとか聞いたが・・・そろそろ戻ってくる筈じゃよ」
「・・・呼び出した本人が待たせるなんてなぁ、まったく」
 欠伸をしながら椅子の背にもたれ、大きく背筋を伸ばした。
「眠い。・・・寝ていいかな?」
 ジュサプブロスは眼鏡をすりあげ、目元を指で揉んだ。眠気が強い。
「構わんが、目が覚めたらモンスターの腹の中だった。ということになっても知らぬぞ?」
「・・・そうなったら永遠に寝ていると言うか、普通に死んでいる。・・・君が言うと現実になりそうで嫌だね」
 などと無駄に話して時間を潰していると、外に居た施文院の下っ端が声を張り上げた。
「エルファス様とシャリ様がお戻りになられたようです」


 その言葉通り、ややあってから二つの人影が部屋の中に入ってきた。
 ひとつは一見美少女に見えるが、服・・・と言えるか激しく疑問だが・・・から出ている胸が、紛れも無く男だと宣言している。
 ・・・いい加減赤ドシフンは辞めなさい。寒いし。良く風邪ひかないな。
 もうひとつは、この大陸では見ない格好の子供。
 こちらも女・・・いや、人形の方が正しそうだ・・・と見間違えそうな程整った顔立ちをしている。
「お久しぶり、『妖術宰相』に『黒の祈り』。元気そうで何よりだよ」
「爺と子供と露出狂。そんな男共の集まり程嫌なものは無いので、さくさくと終わらせてほしい」
「・・・久しぶりに会った人に対して、第一声がそれというのが、実に君らしくていいよ」
「この季節は寒いのに、そんな格好をしているからね。・・・せめて君が女だったら、目の保養になるんだけどね」
 ジュサプブロスの悪態に、エルファスは苦笑いを浮かべながら席に着く。シャリも残った椅子に腰を下ろした。
「システィーナ伝道師も、精霊神の巫女達みたいに女性だけだったら良かったのかな?
 それだったら華やかなのは間違いないだろうけどね」
 くすくすと笑いながら、子供は明るくはしゃぐ。
 ・・・最も関わりたくない、得体の知れない子供。
 それがシャリと言う人物の感想だった。傍に寄られるだけで、戦いで研ぎ澄ました本能が警告を発する。

「そうじゃなくて、俺以外が女だったらイイ」
「そうしたら美少女二人に・・・美老婆?」
「どちらかと言うと、君は幼女にはいるんじゃないか? それと最後のは却下。と言うか、ゾフォルを女化させるのは神の力でも無理があると思うね」
「それじゃ『以外』に入らないと思うよ。・・・じゃぁ、若作りってのは? 見かけは艶っぽい落ち着き系美人で」
「人間で若作りするのにも限界がある。それに化粧落としたら物の怪ってのは恐怖だよ。しかもつるっ禿げ」
「じゃぁ、人間止めてエルフ辺りにする? 禿げは無しの方向で」
「あーなるほど、それだったら問題は無い。エルフならいくら年食ってもぴちぴちだし」
 ・・・会話するとこんな感じだが。
「ええ加減にせんか、馬鹿者共」
 と、ゾフォル。禿げたこめかみに血管が浮いている。
 おお、怒ってる怒ってる。口元がにやにやしてしまうじゃないか。
「妖怪が現れた。妖怪は怒りを溜めている。溜めすぎて脳内血管ぷちーん」
「あ~、赤くなった、真っ赤になった。蛸が茹で上がったよジュサプー君」
「勝手に人の名前を略すんじゃない。
 煮ても焼いても茹でても毒があるから食えません。なのできちんとゴミ捨て場に捨てましょう」
「・・・この小童共が・・・!」
「嫌だねぇゾフォル君。小童と言っても俺は君の二倍は生きているよ? と言う訳で、君は小童以下決定」
 ますます赤くなった老人を尻目に、ジュサプブロスとシャリは大声を上げて笑い転げた。
 お陰で眠気が吹き飛んだよ。ひとまず礼を言っておこうか。言葉にはしないけどね。
「・・・そろそろ本題に入ってもいいかな?」
 エルファスが呟くように割り込んできた。心身共に疲れたような表情をしていた。
 何故かは知らないが、大神官頑張れ。と激励を贈ろう、心の中で。


「とまぁ、こんなところかな~」
 シャリが最後に、そう締めくくった。
「・・・今の所滞りなく進んでいるようだね」
 エルファスが何処か無表情めいた、仮面のような表情で一同を見渡す。 
「じゃが、竜王が一番厄介な存在であることは変わりない」 
 そう言いながら、ゾフォルは溜め息を付いた。
「あの神の老廃物はこの間、『無限のソウル』の一人、『無限の魂』を手中に収めたようじゃ。
 やり方はかなり好感が持てるがの」
 くつくつと声を押し殺しながら哂う。
 これぞまさしく悪役老人の鑑。といった風情だ。その辺の子供に石でも投げられてきなさい。
「『無限のソウル』・・・『竜殺し』の方は判るかい?」
「『竜殺し』は、どうやらベルゼーヴァとコーンス叛乱後の処遇で揉めておるようじゃ。あれに意見を述べることが出来るのは、ネメア以外ではあの者だけじゃからのぉ。
 最初の剣幕は見ものじゃったぞ。しかも最終的にあれが言い負かされ、困惑しておった。
 ・・・そうじゃ、あともうひとつ面白いことが」
 と言葉を区切り、ゾフォルはジュサプブロスを見やる。
「恋をしたようじゃ」
「・・・はい?」
 エルファスが施文院の長らしからぬ声を上げた。
 どんな風かと言うと、歳相応。かな?

「・・・何故そこで俺を見るのかな・・・?」
 その言葉にゾフォルはにやりと哂う。とぼけてはいるが、悪意の混ざっている。
「しかもお互いに一目惚れのようなんじゃが、こやつは気が付いてはおらぬようでのぉ」
 ぎぎぎ・・・と油が切れた扉のごとく、エルファスがジュサプブロスを見やる。
 ・・・なんだなんだ? その意外そうな・・・いや、殺意も混ざった表情は?
「あれれ? もしかして施文院の大神官様は『竜殺し』に好意を寄せていたのかな?」
 シャリの相変わらずの声。視線を外せないので見えないが、表情も何時もと変わらないだろうことは容易に想像がつく。
 ・・・何時でもどんな状況でも調子が変わらないのは良いな。今度見習わせてもらおう。
 と言うか、エルファス・・・あの少女と何があったんだ?
「君達・・・『竜殺し』はこの間はじめて会っただけだし・・・ゾフォル、君はその人物から菓子を貰ってるだろう」
「若いのに、このか弱い老人を労わる心があるようでのぉ。老体を心配して色々と持ってきてくれている。が、そこまでじゃよ。
 旨かったであろうジュサプブロス? この間のパイは」
「・・・か弱いって柄かね? 変態ジジイ」
「儂はこれでも、お前さんよりも若いがの。儂をジジイ呼ばわりするならば、お前さんはそれ以上と認めておる。ということじゃな」
 にやにやとしながら、ゾフォルがひたりと見据えてきた。
 ・・・ううーん、やり返された。
 ジュサプブロスは言い返そうとして、放たれる殺気に押しとどめられた。
「・・・ジュサプブロス・・・」
 エルファスの髪が風も無いのに揺れていた。否、意思があるかの如くうねっていた。
 うわ~・・・とうとう君も妖怪の仲間入りしたようだねぇ・・・
 ジュサプブロスは顔を引きつらせながら相手の反応を伺う。・・・嫌な汗が背筋を伝っていった。
 これは逃げた方が良さそうだ。でないと真面目に死ぬかも。
「俺は寝不足なんで帰る。じゃあね」
 先手必勝逃げ確実。そそくさと立ち上がると、自前の能力で遁走した。
 視界が切り替わる直前、エルファスの声が聞こえたような気がするが、まぁ大したことじゃない・・・と言うことで。


 深夜。厚い雲から顔を覗かせた月が、時折足元を照らす以外は闇。
 何をする訳でも無く、ジュサプブロスはぶらぶらと酒場の近くにある噴水までやってきた。
 酒場は夜遅くでも人が居る。笑いとも怒りともつかない声が、明かりと共にそこから漏れていた。
 かなり遅い為か、声の数は少ないが。
 ・・・根城に帰るのも危険かなぁって思ったんだが・・・本気で帰って寝れば良かったよ。
 欠伸を噛み殺す。寒い為か、吐き出した息が白い。
 何とはなしに噴水の元まで歩み寄る。水が、ちろちろと優しい調べを奏でていた。
 と、噴水の向こう側に先客が居るのに気が付いた。
「・・・ん? 君は・・・」
「・・・あれ? こんばんわ」
 少女に会釈をされ、戸惑いながらも返す。
 俺って性格悪かったと思ったんだけどなぁ。
 寒いからだろう。少女はこの間の格好の上に上着を羽織っていた。
 「どうしたんだこんな時間に? 美容と健康と肌に悪いぞ」
「え? あ、うん、そうなんだけど・・・なんだか寝付けなくって」
「おや、それはお気の毒」
 立っているのも疲れるので、噴水の縁に腰を下ろす。
 少女とは少し距離を取ったせいか、宿屋と酒場のちょうど中間になった。
『・・・』
 会ったことがあるとは言えまだ二回目。当然話題も無く互いに沈黙。時同じくして酒場も静かだった。
 ちろちろと流れ落ちる水の音が、周囲の静寂を一層ひきたてていた。

 役目を思い出したのか、精霊が冷たい風を運んできた。
 ジュサプブロスはその中に、甘い香りが混ざっているのに気が付いた。
 菓子の匂いだろうか? 少し違うように思えるが・・・良く判らない。
「・・・あ、そうそう。パイ旨かった。爺さんが半分寄こしたんで、食べさせてもらった」
「良かった。ちょっと多いかなって思ってたし」
「菓子作るの好きなのか?」
「うん、大好き。母さんに色々教わって・・・良いお嫁さんになるには、色々出来ないと駄目って言われながら」
 その光景を思い出しているのだろう、手を口元に当てながら、くすくすと笑う。
 ・・・その仕草に、口元に目が離せなくなっていた。
「お菓子作ってると、やっぱり自分は女の子なんだなぁって実感できるの。今は成り行きで冒険者になっちゃったけど」
 ジュサプブロスを見ながら、少女は少し悲しげに繭を寄せた。今度は息が詰まった。
 神の末裔として恐れられる竜を倒し、大陸最高の冒険者と称えられる人物が、最初は成り行き冒険者・・・どんな事情があるかは知らないが、その辺噂でも聞いていないな。人に伝えられないようなことでもあるのだろうか?
「まぁ、詳しくは聞かないが。早く希望する人生送れるといいね」
 無理だろうな。と思いつつ、そう言葉をかけた。
「うん。そうなるといいなって思う・・・」
 再び沈黙。月が少しだけ顔を出し、冷たい銀光を地上に投げかけた。少女の陰影がその光によってくっきりと表現された。
 妙に居心地が悪い。が、何故か離れられない。
 水の音に混じって互いの息遣いが聞こえるような気がする・・・いや、聞こえる。


 月が雲に閉ざされ、闇が戻った。冷たい風が芝を巻き上げ、吹き抜けてゆく。
 風で再び思い出し、ごそごそと懐をまさぐる。そして一枚の布を引っ張り出した。
「あったあった。爺さんに渡そうと思っていたんだった。本人いるから返しておくよ」
「・・・あ、ありがとう」
 少女が移動し、目の前にきた。軽く腰を屈め、こちらを覗き込んでくる。
 暗闇の中に白く浮かび上がった息と肌が、妙に悩ましげに映った。どきりと心臓が反応した。
 視線をずらしながら布を差し出すと、少女が手を出してそれを受け取る。否、取ろうとしていた。
 その直前、強めの風が吹いた。少女の香りが運ばれてきて、ジュサプブロスの鼻腔をくすぐった。
 体の奥深くで、ひとつの本能が首をもたげた。一瞬だけ思考と視界が真っ白になる。
「きゃっ」
「・・・ん?」
 少女の声で我に返る。いつの間にかその手を取り、体を胸に抱いていた。
 布はどこかに飛ばされたのか、手の中には無かった。

 思考が止まるとは、このことを言うのだろう。
 ついでに、身体も神経が切断でもされたかのように動かない。・・・動かせと思考が信号を送っていないからだろうが。
 ・・・妙に少女が大人しいんですが・・・?
 下を見たいが、首すら思うように動かない。顔が赤くなっているのか、燃えるように熱い。
 と、少女がこちらの胴に手を回し、体を預けてきた。腹部に柔らかい感触が二つ。
 服を通しながらも少女の温もりを感じた。一緒にとくとくと鼓動の振動も響いてきた。
 それが硬直を溶かしたのか、ジュサプブロスはゆっくりと首を傾け、少女を覗き込んだ。
 その気配を感じたのか、少女が視線を上げる。澄み切ったその瞳に、自分の姿が移り込んだのが見えた。
 ジュサプブロスはその顎に手をかけると、そっと自らの唇を当てた。抵抗無い唇を舌で押し開き、中まで侵入させ、相手の歯を、舌を舐め、唾液を絡ませた。
 何処か夢現のような心地だった。鼻腔を刺激している甘い香りが無ければ、夢だと思っただろう。


 少女の舌は最初、硬直していたように動かなかったが、次第にこちらの動きにあわせ、絡めてくるようになった。
 重ねた唇の端から漏れた息が、暗闇に白く浮き上がり、やがてゆっくりと霧散していった。
 背中に回していた手を少女の肢体に這わせる。服の上からでも、その体が熱を帯びているのが判った。
 ジュサプブロスは唇を離す。と、絡まった唾液が名残惜しげに糸を引いた。いつの間にか、感覚が戻っていた。
 そのまま、闇に浮き出ている首筋に舌を這わせる。手と舌。そのどちらかに動きがある度に、少女の体が震えた。
 喘ぎはじめた少女を片腿に跨がせる。服の上から、少女の秘所が当たる感触。
 頬に口付けをひとつすると、抱きしめたまま、少女を割れ目に沿って擦らせる。
「ひぁっ・・・はぁあ、ああっ」
 喘ぎ始めた少女の、豊かなふくらみに顔を埋め、温もりとそれぞれの感触を堪能する。
 ・・・顔に眼鏡と下着の当たる感触。眼鏡はともかく、上は脱がせてからの方が良かったかな? これも悪くないけど。
 と、自らの嗜好を確認した直後、酒場から大きな声が響いてきた。抱き合った肢体が一瞬、跳ね上がった。

 吃驚した心臓を落ち着かせつつ、ジュサプブロスは酒場の方を探る。
 誰か出てくる気配は無い。中で騒いだだけのようだ。
 視線を上げると、上気した顔が緊張と驚きによって占められている少女。
 長い睫毛が零れ落ちそうな瞳を堰き止め、ふっくらとした唇の隙間から、はぁはぁと白い息を吐き出していた。
 抱え込んでいる少女の鼓動も、胸の奥からはっきりと聞こえる。それは早鐘のようにとくとくと高鳴っていた。
 俺の耳大きいってのもあるだろうけどね。ダークエルフだから。
 
「・・・あ・・・できればここじゃないところで・・・」
 その言葉に、ジュサプブロスは首を振らなかった。
 こんな場所で乱れるのも・・・いや、こんな場所だからこそ、刺激があって楽しい。
「大丈夫。あそこからは距離がある。大きな声を上げなければ気が付かないさ」
 無茶なことを言いつつ、ジュサプブロスは少女の上着をはだけさせる。と、その下はスカートと一体の服だった。
 残念に思いながら、服の上から柔らかな膨らみに手を這わせ、下着ごと力強く揉んだ。
「きゃっ・・・ぅん・・・」
 少女が快楽の声を上げそうになり、慌てて喉の奥に押し込んだ。酒場の方をしきりに気にしている。
 眉目秀麗な顔が、困ったように歪められる。
 ・・・その表情、堪らないね。
 暗い満足感を得ながら、ジュサプブロスは膨張してきた分身を少女の体に強く当てた。
 その硬い感触に、少女の顔が強張った。いや、吃驚したのかもしれない。
 それを出そうとし・・・自分の服も、上下一体型のローブ系だったことを思い出す。
 下には動きやすいのを着てはいるが。
 ゆったりとした服は、動きや武器隠すにはいいんだけどね・・・かといって、この長さをたくし上げるのも随分と間抜けな格好だ。
「ちょっと失礼」
 思い切ってローブを脱ぎ、下の軽装になった。・・・少し寒い。


 服を脱ぐ為、少し離れてもらった少女に手招きをする。
 恐る恐る寄ってきた少女の肩を抱き、頬に軽く口付けをしながら噴水の縁に座り直した。
 再び香りが鼻腔をくすぐる。
 香りと肢体の暖かさを堪能しながら愛撫してゆく。喘ぎを堪え、表情を歪めるのを楽しんだ。
 その間にジュサプブロスは片手でズボンから分身を出した。
 少女の手首を掴むと、膨張し、そそり立つそれを触れさせる。
 びくりと手が反応し、手を引っ込めようとする。が、男の手がそれを許さない。
 恐る恐ると触ったものを見やった少女に、押し当てた時と同じ表情が浮かんだ。
 ・・・何だか反応が初々しいな?
「もしかして、見るの初めてかな?」
 少女の顔が上気し、そっぽを向く。が、はっきりと頷いたのが見えた。
 ・・・と言うことは、行為自体も・・・?
 そこまで考えたら、にやにやとした、意地の悪い笑みが口元に出てきたのが判った。

「じゃぁ、少しだけ教えてあげよう」
 抱いていた手を離し、座り込んだ少女の顔に肉棒を寄せる。逃げようとしたその頭を、両手で押さえ込む。
「口を開けるんだ」
 躊躇いながら開けたその口に、ジュサプブロスは容赦なく肉棒を突き入れた。
「んっ、んっー!?」
 歯が当たり、舌が異物を押し出そうとするが、効果は逆。
 苦しさに堪らず喘いだ少女の口内を蹂躙し、奥まで侵入してゆく。
「しゃぶって、ゆっくり」
 涙目になった少女の頭を放し、子供をあやすように撫でてやる。手にさらさらとした髪が絡まる。
 言われた通り、少女はぎごちなく行動を起こす。
 舌が肉棒の鞘を舐め、唇が締め上げてくる。拙いが、舌のざらざら感と全体の窮屈感がたまらない。
「舌をそれに沿って動かして・・・そうそう、時折歯で甘く噛みながら・・・うん、飲み込みが早いね」
 二人の息が、白さと吐く回数を増していった。時折吹き付ける風に流れ、混ざりあいながら消えていった。
 先程は少し寒いと思っていたが、今は全く気にならない。それどころか、吹き付ける風が心地良い。
 咥えるだけでは不安定なのか、少女が根元に両手を添えた。
 陰毛が白い手に絡まり、動作が激しさを増す。溢れた唾液がそれらを濡らしていった。
「イイね、イイ感じだよ。その調子で先の方もやってくれるかな? そう、剥けて尖っている所」
 肉棒を愛撫してもらいながら、ジュサプブロスはその表情を眺める。

 凛々しい雰囲気を持つと同時に、あどけなさが残る顔。なのに、口一杯に男の陰茎を咥えこんでいる。
 そして、その整った眉を歪めながら、精一杯舌と顎を動かし、絡まる体液を飲み込んでゆく。
 端から漏れ出た体液が顎と首筋を濡らし、時折顔を出す月の光に怪しく光った。
 そんな姿がなんとも言えぬ淫靡さをかもし出していた。最初に会った時の、純潔さは最早無い。
 自分が奪ったのだ。そして、もっと乱れさせる。喘がせて、困らせて、快楽に溺れさせる。
 と、そこまで考えた時、ぞくぞくと背筋がざわめいた。
 そろそろだな。

 ジュサプブロスは少女の頭を両手で押さえると、肉棒を一気に押し込ませた。
「?! んぐっ、んぐぅ!」
 喉の奥に当たり、目を白黒させてもがく。そんな少女に囁く。
「あまり大きく騒ぐと、誰かに聞こえるかもしれないぞ?」
 眉間に一層皺を寄せた。その表情がまた欲情を誘う。
 内心でほくそえみながら腰を浮かし、ゆっくりと前後に動かす。動かす度に、少女の口元からは涎が、目元からは涙が伝い落ちてゆく。
 そして表情が歪む程、口内が肉棒をきつく締め上げた。
「出すから・・・全部飲むんだ」
 閉じかけていた少女の目が開いた。何かに恐怖しているかのように。
 逃げ出すように身を捩ろうとするのを感知。手に力を込めながら、より奥に肉棒を突き立てる。そして、
「っ!? ふぐっ・・・!」
「おっと、まだ出る。零さないように」
 咥えたまま少女の喉が動き、体液を飲み下してゆく。流石に全部は無理だったか、端から白い体液が漏れ出してきた。
 
「ごほっ、げほっ、うえっ・・・生臭くて不味い・・・」
「・・・それは悪かった。って言いたい所なんだけど、男のはそんなものだよ。慣れれば欲しがるようになるだろうけどね」
 縁から離れ、気持ち悪そうにしている少女の背中を擦ってやる。吐き気がある程度落ち着くまで待った。
「それじゃ、初めてにしては良く飲んだご褒美でもあげようか」
「え? わぁっ!」
「こらこら。大声は禁止」
 芝生に押し倒しながら、ジュサプブロスは大声を上げそうになった少女の口を指で塞ぐ。
「見られてた方が興奮すると言うなら、構わないけどね」
 もごもごと、押さえた指から非難されているであろう動きを無視し、首筋に唇を当てた。
 途端、指からの動きが途絶えた。舌を出し、服から僅かにのぞく隙間を舐めてゆく。
「キスマークはやばそうだから、付けないようにしておく。・・・見えそうな所だけ」
 そう言って、服の隙間から覗く胸の膨らみを吸い、歯を立てた。
「むぐっ・・・んっ!」
「お、悦んでくれると嬉しいね」
 見えない場所を選び、次々と歯を立てていった。服の上でもお構いなし。時折甘噛みでも対応する。
 噛まれるたびに少女は身を捩じらし、抑えている指を舐めた。
 ・・・流石に口を押さえていると、場所によっては無理な体勢になって疲れるな。
 噛んでいた耳たぶから離れ、穴に息を吹きかけながら念を押す。
「手、放すけど大声は駄目だぞ?」
 酒場からの喧騒は、未だ止む気配は無い。


 開放された口から、大きく空気を吸い込む少女の背を、噴水の縁に寄りかからせる。
 足を左右に開かせ、短めのスカートを捲り上げた。
 付け根を隠している、濡れた下着が良く見えるように。
「結構濡れているよ。太腿まで垂れてきている」
「うっ、わっ、待って」
「駄目だね」
 ジュサプブロスは隠そうとする両手をあっさりと払いのけると、ショーツの上から割れ目を撫で上げる。布の上から肉芽を擦り、時に強く摘む。
「ひゃぁっ、あっ!」
 少女が声を上げ、そして慌てて周囲を見回す。その仕草に、ジュサプブロスはますます欲情をそそられた。
 誰も居ないことを確認し、ほっとするその隙を突いて、指をショーツの隙間に滑り込ませる。
「ぁっ・・・んっ・・・!」
 捩って逃げようとする体を捕まえ、茂みと割れ目を往来する。
「・・・っ! はぁっ・・・くぅん・・・あぁ・・・」
 感度良し。ちょっと良すぎる気もしないではないが・・・?
「・・・もしかして、一人でやっていたことはあるのかな?」
 その言葉に、少女が顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。おや、的中?
「あるけど・・・その、入れたことは・・・無いの」
 実は淫靡だったのか。思い返してみると、かなり乱れ方が良かった。
 精神的にも純潔穢しをするつもりだったので、少しだけ残念。
「なら、さくさくといきますか」
 指先が蜜を吐き出す蕾を探り当てると、その入り口を指でかき混ぜ、一関節分埋める。
「ぅぁ・・・わぁっ・・・!」
 言ったことは本当らしい。少し入れただけなのに、中が吃驚して締め付けてきた。その反応が紛れも無く無垢を示していた。
「堪えて堪えて。少し慣れてもらわないと」
 入れる時大変だからね。と言葉を飲み込んだ。

 指に蜜を絡めながら奥深くに突き入れた。中の壁が指に吸い付く。
 中に沿ってなぞらせると、蜜がくちゃくちゃと混ざり合うような、淫靡な音を響かせた。
「君の中は、一本指を入れただけなのに」
 そう囁きながら、ジュサプブロスは指を折り曲げながらぐるりと回し始める。膣が強い圧力をかけ、抵抗する。
「ゃぁ・・・んぐっ・・・! はうっ!」
 少女の肢体が動きに合わせてびくんっ、びくんと跳ね、掻き出された蜜が手の甲を伝う。
「もう欲しい、って泣いている」
「・・・あぅ・・・言わないで、お願い」
「よし、もう言わない。だけどね」
 入り口を押し開き、壁を擦る。指を蛇のようにうねらせながら、より奥深くを目指す。少女の背が反り返り、口が大きく開く。
 慌てず騒がず。その頭を支えると、その開いた口を自分の口で塞いだ。快楽を吐き出そうと喘ぐ口内を、唇と舌を使って無理やり黙らせる。
 と、酒場からの気配を感じ、そこで指を止めた。


 多数の足音。ばらばらと離れてゆく足音は、どこか陽気で気だるげだ。
 ひとつふたつ・・・あるものは複数連れだって離れてゆく。宿屋に向かう足音もあったが、噴水や木々がこちらを隠していることもあり、誰も足を止めることは無かった。
「うわっはははは、今日も元気に稼ぐぞぉ!!」
 その中、一際騒がしいダミ声が周囲に反響した。
「だぁぁぁ、爺ちゃん飲みすぎ。大声出すと怒られるよ」
「ちゃんと送ってくれよ。そこら辺で寝られるのは構わないんだが、ここ最近寒くなってきたから危ない」
「おいおい、期間限定かよ!」
「出来れば限定でない方がいいんだが・・・まぁ、風邪ひいて酒が飲めなくなるよりいいだろう?」
「それもそうだな。がぁっはっはっはっはっ!」
「爺ちゃん、大声は止めてくれよぉ・・・」

 耳を澄ませて酒場の中を探る。と、他に人の気配は感じられなかった。今話しをしているのが最後のようだ。
 そう判断すると、ジュサプブロスは指を再び動かし始める。
「! んんっ・・・ぐっ」
 頬を引きつらせ、少女が視線で訴えかけてくる。が、無視を決め込んだ。

「・・・何時ものことさ。この辺は多少の騒音じゃ反応しなくなってきているが、途中は気をつけろよ」
「うん。マスター毎日すみませんね」
「何、こちらも商売。気持ちよく飲んで帰ってもらえればそれでいいのさ」

 ジュサプブロスはショーツを大きくずらすと、指をもう一本、蕾を押し開きながら挿入する。
 二本の指で内壁を一度掻き回した後、大きく開かせる。この一度だけで、先程とは比べ物にならない量の蜜が指に絡み付いてきた。

「・・・で、また飲みにきて貰う。だね?」
「そうそう、良く判っているじゃないか」
「口と商売が上手いな、マスターは!」

 談笑が、夜の闇に響く。
 湿った音とくぐもった悲鳴が、その声に掻き消された。
 ぼろぼろと涙を流す少女の温もり・・・いや、熱さを直に感じる。
 その範囲を広げてゆくと、少女の肢体が大きく跳ね上がり、戒めが外れそうになった。が、それでも動きは止めない。
 動きを抑えようと残った腕を背に回し、胸元に引き寄せる。少女も両腕を回し、強く爪を立ててきた。
 少女の中と外。双方の強い抵抗に苦慮しつつも、ゆっくりと奥深く、分身を埋め込んでいった。


「んじゃ、気をつけて帰れよ」
「ご馳走様でしたー」
「今日も飲みに来るからな、うひゃひゃひゃひゃ!」
「・・・爺ちゃん、その笑い危ない・・・」

 遠ざかる声と気配を感じながら、ジュサプブロスは少女の唇から離れた。
 少女の首がかくんと下がり、だらしなくその中身を服の上に滴らせた。
 時間的には僅かだったが、口内が唾液で一杯になるには十分だったようだ。
「動かすが、まだ遠くにはいってないからね」
「はぁ、はぁ・・・だ、駄目・・・止めて」
「気が付かれるのが嫌なら、なるべく声を殺して」
 ジュサプブロスは口元を吊り上げながら、腰を動かし始めた。
 が、膣が肉棒を咥え込んで、なかなか離そうとしない。それでも無理やり動かし、中を擦った。
「くぁっ・・・駄目・・・痛いっ・・・!」

「ん?」
「爺ちゃんどうした?」
「何か聞こえなかったかの? 人の声っぽかったが」

 爺さん耳良すぎ。気配が止まっている・・・これは少々まずいかな?
 こういうのは見つからないのが良いのであって、見つかるのは流石に恥ずかしい。
 ジュサプブロスは少女の頭を抱え、そっと耳打ちをした。
「俺の肩の所、噛んで。そして歯を食いしばるんだ」
 その言葉に、少女は遠慮無しに食いついてきた。回された両腕が、こちらの胸を締め付ける。
 腹に力が入ったせいか、抵抗も強くなった。その為、動きが遅くなった。
「つぅ・・・」
 噛まれた所が真面目に痛い・・・が、喘がれるより良いか。
「・・・ううっ・・・くぅ・・・」
 食らいつくことで猿轡代わりになっているお陰で、少女は声を押さえ込んでいた。

「・・・何も聞こえないよ。幻聴? それとも爺ちゃんとうとうボケた?」
「何を言うか、この大ボケ! ・・・おっとっとっと・・・」
「ほら、足にきてる。帰るよ爺ちゃん」
「ええい、お前さんも儂を馬鹿にしおって・・・くぅぅぅ・・・」
「・・・はいはいはい。年寄りも布団に潜ってる時間だよ。子供もそうなんだけどねぇ・・・あ~眠い。寒いし」 

 君達、いい加減帰って寝なさい。


 気配が道の角を曲がり、消えていった。他の客の気配も、既に無い。
 まだ酒場店主の気配が残っているが、きっと後片付けをしているのだろう。
 作業しているのは店の奥。多少騒いでも多分気が付かない。
 そう判断すると、ジュサプブロスは大きく腰を打ちつけた。
 水の音に混じり、じゅぷりと肉棒と膣が絡み合い、蜜が押し出される音が耳に届く。
「くぅん・・・うう・・・んぅっ・・・!」
 既に噛まれている所からの痛覚は麻痺していた。
 犬歯が食い込んでいるのか、視界に映る少女の服が血に汚れていた。・・・この体勢だと、少女の表情が見れないのが残念だ。
 首筋を噛ませたのは失敗だったな。と軽く後悔。
「んっ、はぁあっ、ああぁっ!」
 と、外れた。口の端から唾液と血を垂らしながら、動きに合わせて大きく喘ぐ。その声と表情が、男の興奮を促進させる。
 肉棒を穿つ度に少女が吸い付き、締め付ける。動く度に蜜が隙間から溢れ、伝い落ちてゆく感触。
「・・・イイね・・・突けば突く程、もっと欲しいと咥え込んで、放そうとしない」
 張り付く髪を払い、流れ落ちてきた汗を舐め取りながら、腰を振り始めた少女の耳元で囁く。
「色々抱いてきたけど、君程乱な子はいなかった・・・最高だよ」
 喘ぐ少女の頭を抱え込みながら、ジュサプブロスはその快楽に酔った。
 
 不意に、長らく身を隠していた光が周囲を明るくしているのに気が付いた。
 注意を周囲に向けると、淫靡な声とは別の、鳥の囀る声が聞こえた。
 夜が明けたのか・・・
 と、少女が激しく分身を吸い上げてきた。視界が真っ白になるほどの快感。油断していた為堪えきれず、中に精を吐き出す。
 どくんどくんっ、という音を聞きながら、ジュサプブロスは力を失った少女の上に被さった。
 重いだろうな。と頭の片隅で思ったが、すぐには動けそうに無かった。悪いが暫く我慢してもらおう。
 互いの口から漏れた吐息が、明るさを増してきた光に飲み込まれて消えていった。


 ゆっくりとだが確実に、空が赤みを帯びてゆき、闇が淘汰され始める。それと共に風も暖められていった。
 呼吸が落ち着いてきた。ジュサプブロスは身を起こし、重しから少女を解放する。
 そして、交わっていた箇所を解く。混ざり合った互いの体液が飛び散る。ショーツがそれらによって穢され、斑になっていた。
 放心しているのだろう。少女の虚ろに開かれた目には何も映ってはいなかった。
 と、そこで思い出し、酒場の気配を探る。部屋に入ったのか、気配は全く無かった。
 肩の傷を確認しながら、ジュサプブロスはぐったりとした少女を眺める。
 上と下の口から体液を滴らせているのだが、柔らかい太陽の光が肢体を照らしていると、淫靡である筈なのにどこか幻想的な雰囲気になる。
 再び、体の底から湧き上がる欲望を感じた。早起きする人間がそろそろ起きるだろうが、あと1回くらいなら何とかなるだろう。
 帰るのも怖いしね・・・
 ぐったりとしている少女の腰から、濡れているショーツを下ろし、両足から抜き去る。その動作に、少女が反応した。
「・・・うん・・・?」
 焦点の合っていない瞳を漂わせる。まだ朦朧状態のようである。
 そんな力無い肢体を抱え上げると、噴水の縁に下ろし、膝立ちにさせた。首筋に顔を寄せると再び甘い香り。これはこの少女の体臭だったのか。
「あれ? え?」
「意識がはっきりしたかな? ほぅら、下を見てごらん。壮観だよ」
 ゆらゆらとしながらも水面に写るのは・・・後ろから男に羽交い絞め状態の肢体と、スカートから覗く、複数の体液で穢れた蕾・・・
 そこに、もうひとつ写り込む。
「・・・ちょっと、何をするの?」
「先程の続き」
 少女の慌てふためく様子を楽しみながら、ジュサプブロスはその蕾に再び陰茎を突き立てた。
 濡れた音と喘ぎが鳥の囀りを遮り、飛び散った体液が水面を歪めた。

 いつしか周囲に霧がたちこめ、交わるその姿を覆い隠していった。