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「夜明け前」
 

 
 空気が引き絞られるように冷え込み始めた。明け方が近い。
 剥き出しの岩肌に背を預け座りこんだまま、目だけを動かして洞窟の外を窺うが、まだ陽の射す気配は無く、
 全ては闇の中だ。
 脇腹を押さえたまま、じりじりと身体を冷やす寒さを感じながら、時を待つ。
 いつも、夜明け前には戻ってくる。

 物音に耳をそばだてる。洞窟の奧からひたひたと静かな足音が響いた。
 やがて薄闇の中に女の姿が現れる。
「セラ?」
 名を呼ばれて、気怠げに顔を上げた。
 視線の先に、己と同じ髪の色、同じ瞳の色をした女が立っている。面差しも良く似たその女と己は、
 誰が見ても姉弟だと察するだろう。
 女はガウンだけを軽く羽織った格好で、長い黒髪をしどけなく乱し、汗ばんだ肌にまとわりつかせている。
 この洞窟は、かつてアンティノの研究所があった場所で、奧には人が住めるようにしつらえられた場所がある。
 奧の部屋で情事に耽った後なのだろう。目の前の身体からむっと匂い立つような女の香に、
 セラは顔をしかめた。
「あの方を待っているのね、可愛い子」
「俺に構うな」
 苛立ったセラの物言いに、アーギルシャイアは妖艶な笑みを浮かべた。
「御挨拶ね。折角私があの方にとりなしてあげたのに。少しくらい感謝してくれてもいいんじゃないかしら?」
 アーギルシャイアはセラの傍らに屈み込み、つと手を伸ばす。
 セラはその手をはね除けた。
「相手を間違えるな。遊びたければ貴様の下僕のところに行け」
「サイフォスは、今たっぷり可愛がってあげてきたところよ。外で一仕事終えた後に、ね。
 人間達を嬲り殺してきた後のセックスはいいわ……断末魔の悲鳴を、恐怖に凍り付いた表情を、
 思い出すとゾクゾクする。
 あの方も、お戻りになったら貴方を求めるでしょう。戦いに昂揚した身体をどうしようもなく火照らせて」
 喋りながら女は高ぶったのか、舐めるような視線をセラの身体に這わせた。
「貴様! ……止せ」
 制止を聞かず、アーギルシャイアはセラの身体にのしかかった。
 押しのけようと思ったが、身体が動かせない。いつのまにか、動きを束縛されていた。
 普段ならばこんなに容易くこの女の術に囚われはしない。怪我で体力が失われている所為だ。
「あの方がお戻りになるまで寂しいでしょう? 遊んであげる」
 女の手がセラの下肢に伸びた。


「止めろ!」
「何故嫌がるの? 貴方が憧れていた女の身体でしょう? ……あら」
 アーギルシャイアの視線がセラの脇腹に止まった。脇腹に布が押し当てられ、
 それを押さえる手の端から滲んだ血が見える。
「ケガをしているのね。治してあげましょうか」
「要らん。……俺はお前達の仲間になった覚えは無い」
 傷の痛みに、額に脂汗を浮かべながら治癒を拒否するセラの姿に、アーギルシャイアはうっすらと笑う。
「本当に、可愛いコね……」
 慣れた手付きでセラの下肢の衣服を解いていく。取り出したものは柔らかく萎えていて、
 アーギルシャイアは不満そうに鼻を鳴らした。
「なあに? まさかあの方相手でなければ勃たないなんて言わないわよね」
「姉の身体相手に欲情出来るか」
「この身体の良さを貴方は知らないのね。サイフォスは夢中よ。凄く素敵だって、
 溺れるようにこの身体を貪るの」
 アーギルシャイアはセラの男性自身を両手で包んだ。舌先で先端をちろりと舐めあげると、
 セラの意志に反して楔が反応し、勃ちあがり始める。
「まあいいわ。楽しませてあげる」
 女はセラの足の間に屈み込むと、手の中のものを口に含んだ。
 口一杯に頬張ると、すぼめた唇で、まだ柔らかいそれを優しくしごく。与えられる刺激に
 硬く大きくなっていく口の中の楔に、アーギルシャイアは美しい顔の形を淫猥に歪ませて貪欲に貪った。
 軽く歯を立てられる。セラは喉奧で呻き声を殺した。態度とは裏腹に正直なセラの反応に
 男性自身を口に含んだまま、アーギルシャイアが笑った。
 その笑い声が己の分身に直に響き快楽となる。屈辱にセラは奥歯を軋らせた。
 女が軽く羽織っていただけのガウンの前をはだけた。豊かな乳房がこぼれ落ちるように現れる。
 それを誇示するかのようにアーギルシャイアは両の乳房を重たげに持ち上げ、セラのものを挟み込んだ。
 硬く張り詰めたそれの根本を乳房でくるみ刺激しながら、アーギルシャイアは飢えたように肉柱を吸い上げる。
 女の口の中のそれが体積を増した。
 やがて、楔が脈動する。セラは歯を食いしばりながら低く呻いた。
 びくびくと震えるものを口の中に含んだまま、アーギルシャイアは喉を鳴らして放たれた精を飲み込んだ。
 口内に収めた楔に舌を這わせ吸い上げながら、女は名残惜しげに顔を上げ、含んでいたものから口を離した。 唇からつうと白い糸が引く。唇の周りについた欲望の残滓を舌で美味しそうに掬いとると、
 再び屈み込んでセラ自身の汚れも丁寧に舐めとった。
「本当は、もう少し遊んであげたかったけど、余り過ぎるとあの方に怒られてしまうわね」
 アーギルシャイアはセラの服を着せ付けながら、硬度を無くしていく膨らみを残念そうに撫でた。
 無言でぎらぎらと睨め付けるセラの視線に、女は高らかに笑う。
 身を起こし立ち上がりながら、遊ぶようにセラの頬に指を滑らせた。
 女の顔から、ふと妖艶な笑みがかき消える。穏やかで優しい声音がセラの耳元に囁きかけた。
「もう少し我慢して、セラ。……もう間もなく、夜が明ける。もうすぐ、終わるから」
 そう言って、女は身を翻す。
 セラは驚愕に目を見開いて女を見上げた。
「姉さ――」
 女の姿は洞窟の奧の闇に飲み込まれて消えた。


 手を動かしてみると意志の通りに動く。束縛が解かれたらしい。
 セラは拳で岩肌を殴りつけ、鋭く舌打ちした。

 アーギルシャイアが去ったのとは逆方向、洞窟の外から近付く気配がした。
 待ち人かと、足音に耳を澄ます。
 その足音はしかし、人のものでは無かった。砂を踏みしめる規則正しい四つ足の音。
 闇の中から、四本の足を重たげに運びながら、白い獣が現れる。豹だ。
 老いに痩せたその豹の身体には所々に骨が浮かんで見えたが、
 鋭い眼光が侮ることを許さない威圧感を与えていた。
 闇の中で光るその瞳は、不思議な紋様で縁取られている。
 豹の口から、人語が発せられた。
「よう、セラ」
「……ネモ」
 この豹が猫の姿をしていた頃には、その喉から出るのはしゃがれて時折耳障りに甲高い声だったが、
 今の声は低く、地の底から響くようにセラの鼓膜を震わせた。
 老豹は鼻をひくつかせた。
「アーギルシャイアの匂いがするな。遊ばれたのか」
「貴様、あの女を何とかしろ」
「以前言った筈だ。俺は奴の保護者では無いと」
 懐かしむようにネモはくっと笑った。
「あれの気配はここには無いな。珍しい。今日は留守番か?」
「……いや。中途で負傷して、強制的に転移させられてここに戻された」
 ネモは脇腹の傷を眺め、納得したように頷いた。
「治してやろうか」
「お前達の助けなど要らん」
「言うと思ったぜ」
 不意にネモは洞窟の外に向けてゆっくりと首を巡らせ、目を細めた。
「待ち人来る、だな。じゃあな、俺は行く。邪魔しちゃ悪い」
 白豹の姿は、洞窟の奧へと消えていく。


 洞窟の出口の方角から、緩慢な靴音が近付いてくる。軽く響くその足音は、男のそれでは無い。
 やがて闇が、その姿を吐き出した。
 年若い娘だ。
 腰に剣を帯びた、動きやすい服装の出で立ちから冒険者だと分かるが、
 そうでなければ普通の村娘で通るだろう。
 細い体躯に、まだ幼いようなあどけなさを残した顔立ちをしている。
 だが、そのあどけない顔に反して、娘の姿は陰惨そのものだった。
 娘は血にまみれていた。自ら流したものか、他者のものかそれは分からないが、
 簡素な服も、その服から露出した肌も、腿まで届くブーツまで黒ずんで汚れている。
 娘は冷めた目でセラを見下ろす。顔立ちに似合わぬ酷薄な表情だった。
 脇腹の傷に目を止めると、眉を顰めた。
「まだ治癒を受けていなかったのか」
「誰の癒しを受けろと?」
 傷口を押さえながら、セラは娘を睨むような目で見上げた。
「お前の姉が居るだろうが」
「俺の姉?」セラは鼻で笑った。「……何処に?」
 娘は軽く肩を竦めた。
「まあ良い。治してやる」
「貴様に治癒されるなど御免だ。……破壊神ウルグ」
 姿形こそ娘のものだが、その内に巣くっているものは今や闇だ。
 かつて闇の世界で蒔かれた破滅の種子は殻を破って芽生え、娘の心を食い荒らした。

 最初は、気づかなかった。夜になると静かに床を抜け出す。そしてまた静かに帰ってくる。
 用を足しに行っているのかと思った。行く先々で耳にした、夜に現れる殺戮者の噂など、
 遠い話だと思っていた。
 だが、その時間は段々長くなり、引き起こされる結果の悲惨さもまたセラの知らぬ場所で悪化の一途にあった。
 
 ある時、深夜に血にまみれた姿で戻ってきた娘を問い詰めた。
 だが娘には、夜の間自分が何をしていたかの記憶が完全に抜け落ちていた。

 ある日のことだった。ウルグは完全に目覚め、人格は反転し、娘は居なくなった。
 ウルグは円卓の騎士達を召集し、再び人間達に戦いを挑み始めた。

 覚醒したウルグに斬りかかったセラは呆気なく返り討ちに合い、そのまま殺されるところだった。
 それを止めたのは、呼び起こされ、既にシェスターでは無くなっていたアーギルシャイアだった。
「ウルグ様、女の身体というのは、男と違って慣れた相手の身体で無ければ思うように快楽は得られないもの。
 ……殺すのはいつでも出来ます。飼ってみてはいかがです?」
「お前の玩具のようにか」
「ええ。この女の身体がサイフォスに慣らされているように、貴方がお使いになっている娘の身体は、
 その男を銜え込んでその形に慣らされていることでしょう」
「ふむ。面白そうだ」
 その屈辱をセラは受け入れ、堪え忍んだ。いつか訪れる反撃の機会を狙うためだった。


 断固として治癒を拒絶するセラに、ウルグは苦笑した。
「さても強情なことだ。……まあいい。楽しませろ」
 娘は屈み込んでセラに顔を近づける。瞳はぬらぬらとした情欲に濡れていた。
「女の身体とは不便なものだな。一人の男の形に慣れてしまうと、
 簡単には他に鞍替えが効かなくなるというのは。
 これがバルザーの子の身体だったなら、この不便も無かったろうが」
「システィーナとやらでも連れてきて抱くつもりか?」
 せせら笑うセラの言葉に、ウルグは血相を変えた。
「あの娘は、二度と人間の下卑た手になど触れさせぬ。」
「…………」
 システィーナ。ウルグの恋人は、人間の手によって惨殺されたと言う。
「たかだか器の欲望を満たす手段なら、そこいら辺に転がっている娘で済むことだ。
 システィーナを侮辱することは許さぬ。貴様は我を嬲るつもりか? 
 貴様がそのつもりなら、別に相手を変えてもいいのだぞ。ザハクかヴァシュタール辺りに伽を命じて、
 貴様の目前でこの身体を喘がせてやろうか。あの者達も良い退屈しのぎが出来ると、さぞ喜ぶだろう」
 立ち上がり、踵を返しかけた娘の手をセラが掴んだ。
「させるか」
 娘は見下した笑みを浮かべる。
「ならば、お前が悦ばせてみせろ。存分にな」
 娘はブーツを脱ぎ捨て、裸足になるとセラの傍に跪いた。
 娘の手がセラの下肢に触れる。手早く服を緩め、求めるものを取り出した。
「俺に勝手に触れるな」
「毎回毎回煩い男だな。例え中身が異なろうと、抱く身体は同じだろうが。それに何だ、この有り様は」
 取り出されたセラの男性自身は、待ち望んだように既に硬く勃ちあがっていた。
「この身体が欲しいのだろう、貴様も。観念して共に楽しんだらどうだ」
 笑いながら、娘は男の股間に顔を埋めた。


 先端に、優しく口付ける。柔らかな亀頭に唇を滑らせ、滲みだした先走りを舌先で舐め上げる。
 小さな口を一杯に開け、先の部分をすっぽりと口に含んだ。
 頬張ったまま、割れ目に添ってちろちろと舌を動かす。セラの背筋をぞくりとした感覚が駆け上がる。
 娘は上目遣いでちらりとセラの様子を見やる。
 中身が違うことは分かっているが、このやり方は本来の娘のものだ。
 ウルグが娘の記憶から再現しているのか、娘が身体で覚え込んだことだからなのか、
 確かに手法は娘のそれだった。
 拙いながらセラを悦ばせようと懸命に舌を、唇を動かす。
 娘にかつてやり方を教えこんだのは娘の唯一の男であるセラだ。
 何処をどうすれば良いのか教えればきちんとそれを覚え、己の口を侵すものに必死に奉仕しながら、
 時折セラの表情を窺う。
 何も知らなかった娘がそうして己の分身に仕え、口一杯に含んだものに顔を歪めながら
 情欲に潤んだ瞳で見上げてくる様はそれだけで随分と扇情的だった。
 今この娘を動かしている中身にいくら嫌悪を抱こうとも、娘の行為に、熱が己の身体の中心に集まっていき、
 止めようもなく高ぶらせる。
 濡れた音をたてて娘は男の怒張から一度口を離し、更に深く男の足の間に入り込むと、
 手で優しく転がしていた陰嚢に唇を寄せた。
 柔らかな袋の皮を唇でそっと銜えて遊ぶように引っ張る。手で袋を持ち上げると裏側に舌を這わせた。
 中に在る丸い玉を転がすように舌を動かす。やがて袋ごと口に含んで、口の中で優しく愛撫した。
 唾液でべっとりと濡れた陰嚢から口を離すと、肉柱の裏筋を舌先で舐め上げる。先端に辿り着くと
 再び口を明けて、屹立したものを呑み込んだ。顔を上下に動かし、男を刺激し、追い上げていく。
 セラは歯を軋らせた。
 傷口を庇っていた手を離すとその手で娘の肩を掴み、乱暴に己の男根から引き剥がすと、
 娘の腰を抱き寄せ、己の身体に跨らせる。
 娘の短いスカートをたくし上げた。娘の脚の付け根、下着で覆われた部分に触れると、
 もうそこはとっくに濡れそぼっていた。
 下着の濡れた部分の布地だけを脇へ除け、己のものをそこに押し当てると、娘の腰を一気に落とさせた。
「ぐ、う……!」
 突然の刺激に、娘が身をしならせた。
 蹂躙するような男の行為にも、娘の内壁は、慣れた男のものをしなやかに受け入れて愛しげに包み込んだ。
 熱に浮かされたように娘が囁く。
「まるで……あつらえたようだ。良くここまで……慣らしたものだな」
「黙れ」
 下から突き上げた。娘の口から悲鳴が上がる。
 セラは柔らかな尻の肉を掴み、娘を揺さぶった。娘の弱い場所を、何処を擦られると感じるのか、
 セラは良く知っている。思う様そこを嬲った。
「う……う……うっ、ああ!」
 娘の内壁がぐんと収縮する。奥底から煮えた蜜が染みだし、セラ自身を包み込んだ。
 髪を振り乱し、娘は喘いだ。脚ががくがくと震えている。前のめりに倒れかけた身体を、
 セラは手を伸ばし、受け止めた。


 娘はセラに支えられ、俯いた顔をゆっくりと上げる。乱れた髪の間から澄んだ瞳が覗いて、セラを見つめた。
 酷薄な表情は影も形も見当たらない。あどけない瞳が、こちらを見つめている。
「……セラ?」
 娘は訝しげに瞬きする。
「私? いったい……」
 セラは一息つくと、再び娘を突き上げた。
「ああっ!」
 達したばかりの場所を抉られて、娘が悲鳴を上げた。
「セラってば、私が眠ってる間にするの、止めてって、あれほど……」
 喘ぎ声に途切らせながら、娘は不平を零す。
 娘の抗議を無視する男に好きに貫かれて身体が頽れる。俯いた視線の先に、脇腹の傷口が映った。
「ケガ、してるの?」
 娘は、快楽に霞みそうになる意識をつなぎ止めながら、治癒呪文を唱え始める。
 だがセラは動きを止めない。娘を揺さぶりながら、娘の服の肩紐を解いた。はらりと布地が落ちる。
 白く、形の良い乳房が暴かれて闇の中に浮かび上がる。それを無造作に掴んでこねる。
 つんと尖り立った桜色の頂きを指先で押しつぶすと、それは直ぐにむくむくと首を擡げ元通り膨らんでいく。
 唇を寄せて膨らみを銜えると、きつく吸った。
「セラ、待って、治させて……うあっ!」
 娘の腰を掴み、深々と貫いたまま中を掻き回す。娘は目尻から涙を零しながら、必死に呪文を唱え終えた。
 白い癒しの力がセラを包んだ。その光の中で痛みはかき消え、身体に温かな力が満ちていく。
 勢いづいたセラは動きを早めた。
「や……いや、セラ、セラぁ!」
 男の名を呼んで泣き叫びながら、再び、娘が登り詰めた。内壁がびくびくと痙攣し、セラを締め上げる。
 セラは顔をしかめ、己の上に跨る娘をねじ伏せるように地に押し倒すと、己のものを引き抜いた。
 このままでは、自分が保たない。
 楔が引き抜かれる感触に、娘は小さな悲鳴を上げた。
 甘く潤んだ瞳が、セラを見上げる。
「セラ……」

 快楽に流されてウルグの支配が緩む所為なのか、セラに求められる行為に娘の意識が強く出る為なのか、
 理由は分からない。
 だが、抱いている僅かな瞬間だけは、こうして娘が戻ってくる。
 それだけは確かだった。


 セラは、地に背を預け、甘えるような瞳で見上げてくる娘を無言で見下ろした。
 身体を屈めると、ぐっしょりと濡れて汚れた下着を脱がせ、娘の脚を大きく割り開いた。
「あ……」
 蜜を滴らせた娘の花芯が男の視線に晒される。
 セラは、娘の脚の間に顔を埋め、舌先で溢れる蜜を舐め上げた。ひっと娘が息を呑む。
 綴じようとした脚を押さえつけた。
 濡れた紅い花を舌でねぶる。全体を舐め上げ掻き回し、時折、先刻まで男を受け入れて拡がっていた
 小さな入り口を舌先でつついた。
 唇を押し当てると、蜜の流れ落ちる源を吸い上げる。娘の腰が跳ね上がった。
 奧から新たに溢れたものがセラの唇を濡らす。
 舌と唇で花芯を責めながら、右手の指先に愛液を絡め、
 迸る泉の上で爆ぜ割れそうに張り詰めて震えている肉芽をそっと撫で上げた。
「ひ」
 優しく、肉芽をこねる。娘の喘ぎ声が砕けて啜り泣きに変わった。
 泉は蜜を溢れさせて、零れおちる雫が尻まで濡らしていた。
 娘の脚に最早抵抗する力は失せ、セラは脚を押さえ込んでいた左手を滑らせた。
「いや……そこ、は!」
 流れ落ちる蜜を擦り付けるように、娘の後ろのすぼまった穴を撫でる。
 くるくると小さく円を描くように穴を押していた指が、ずるりと娘の中に入り込む。
「や……ああ!」
 娘が悲鳴を上げた。
 男の指をぎちぎちと締め付ける穴を宥めるように、セラは優しく指を動かした。
 娘の花芯を嬲っていた舌が、中に入り込む。
「は、あ、あああ!」
 後ろの穴にいれた指を動かすのと同時に、娘の膣に差し込んだ舌を抜き差しする。
「いや、セラ、やめて、だめ……、いや、いやああ、セラぁっ!」
 包皮ごと花芽を苛めていた指が、包皮を捲り直にそこに触れて、摘み上げる。
 娘が背を逸らした。腰が浮き上がり、突っ張らせた脚の指先が地面を引っ掻いた。
 もう声も無い。
 迸る娘の蜜をセラは口の中に受けて、飲み干した。
 鼻まで娘の愛液に濡らしながら、セラは上体を起こした。汚れた口もとを手の甲で拭う。
 放心状態の娘の身体を転がし、俯せにして、腰を持ち上げる。
 娘は大人しくセラにされるがまま従い、這うような格好を取る。
 セラは、痛いくらい屹立したものをあてがう。
 娘の後ろの穴へと。


「あ……」
 娘の上げた、疑問とも抗議ともつかぬ声を無視して、セラは娘の菊門に己の楔を打ち込んだ。
「ひいい! く、ぅ……、ああ、ああああ!」
 絶叫を喉から迸らせ、娘の指が地を掻きむしる。
「あ……ああ……あ」
 根本まで埋め込んで、セラは娘を見下ろした。
 成熟した女というには肉付きの薄い、娘の小さな尻の割れ目がぱっくりと開き、
 そこに己の剛直が突き立っている。
 娘の蕾は限界まで押し広げられ、軋むように男のものを銜え込み、ぎちぎちと締め上げる。
 嗜虐心をそそる光景だった。
 娘はじっとしたまま、ぴくりとも動かない。動けないのだ。
 時折男の楔が焦れてひくりと蠢くとそれだけで悲鳴を上げる。
 娘が落ち着いた頃合いを見計らって、セラは腰を動かし始めた。
「うう!」
 そっと擦るように優しく、緩やかに。それでも娘は辛いのか、呻き声を上げる。
 ゆっくりと慣らすように動いていくと、強張った娘の身体から少しずつ力が抜けてていく。
 セラの動きに合わせ、娘は腰を微かにくねらせた。
「こっちでも、感じられるようにはなってきたな」
「や……そんな」
 娘は否定するように首を振る。
「自分で腰を振っている癖に、何を言っている」
 セラが大きく動いた。抜ける寸前まで腰を引く。
「うああっ!」
 セラの楔の動きに、娘の穴が外へと引っ張られる。身体の内側を裏返されるような感触。
 間髪入れず、再び根本までねじ込む。
「や、はあ、あああ!」
 内腑を抉るような男の動きに娘の上体が地に頽れる。娘は地面の上で、身を捩って泣き叫んだ。
 娘の腰を支えていたセラの右手が前に伸びた。娘の脚の間を探り、濡れた泉を探し当てる。
 そこに指を差し込む。
 充分に潤っていたそこは、湿った音と共になんなくセラの指を受け入れた。
 温かく潤んだ内壁の感触を楽しみながら、セラは指を動かした。
 娘の身体に突き立っている己自身が皮一枚隔てたところに有るのが分かる。
「分かるか……俺が」
 娘の膣内から、楔の埋まった場所に触れる。
「セ、ラ……」
 娘は苦しげに喘いだ。じゅんと潤んだ膣が、セラの指を締め上げる。


 指を引き抜き、娘の腰を固定すると、セラは、抽送運動を開始した。
 最初はゆっくりと、段々と、動きを早めていく。
 地に伏して藻掻いている娘の手を拾い上げ、引っ張り上げた。
「は、……あっ!」
 娘の両手を掴み、手綱のように己の両の手に取る。娘の肩が地から浮き上がった。
 そのまま腰を打ち付ける。娘は悲鳴を上げた。
 少しでも楽な体勢を探して身を捩ろうとするが、楔に貫かれ、腕を取られた状態では動きは封じられている。
 ぽろぽろと、涙を零す。流れ落ちた涙は地に落ちて、岩肌に染み込んでいく。
 逃れることは叶わず、揺さぶられながら、ことりと額を地に付けた。
 苦痛で汗が全身に吹き出し、身体は熱を帯びている。額に触れる岩肌がひんやりとして心地良い。
 男の動きに、脚ががくがくと震える。
 下から捲り上げられ、上から引き下ろされた服が、くびれた腰の辺りで男の動きに合わせて踊っている。
 娘の尻に、脚に叩き付けるように動く。ぶつかり合う肉と肉にセラは湿った感触を感じた。
 娘の膣から蜜が溢れ、腿を伝って流れ落ちている。
「う……く、う……んあ、はっ…」
 娘の声に、苦痛以外の甘い響きが混じり始めていた。
 律動が激しさを増す。
 娘は狂ったように泣き叫んだ。
「はん、ああ、はぁああ、くっ、うう、やあ、あああ……あ!」
 前の穴からはじけるように蜜が散った。同時に後ろの穴が男のそれを喰い千切らんばかりに締め上げた。
「くっ……」
 堪えきれず、セラは娘の尻穴に精を放った。熱く迸るものが身体の奥深くに注がれ、娘は鋭い悲鳴を上げた。
「あ、あ、いやあ……」
 セラが腰を引いた。ずるりと楔が抜け落ちる。腰を掴んでいた男の手から解放され、
 娘の身体はのめるように頽れた。
 娘の身体は地に横倒しに倒れ込んだ。投げ出された脚の間では、花芯がひくついて蜜を溢れさせ、
 後ろの穴は男のものに拡げられ、男が注ぎ込んだ白濁液をどろどろと零している。
 軽く開かれたままの娘の口端からは透明な唾液が伝い落ちていた。
 娘はのろのろと指を伸ばし、己の脚にこぼれ落ちた男の欲望を掬い上げる。
 それをそっと口に運び、愛しげに舐め取る。
 脚を拡げ全てを晒したまま、陶然とした表情で娘は男を見上げた。
 ひくひくと、物欲しげに花芯を震わせている。
「何だ。どうして欲しい」
 冷酷な男の言葉に、娘は喘ぎながら口を開いた。
「おねが、い」
 セラは冷たく笑う。態度と裏腹に、声は興奮に掠れた。一度精を放ち、萎えかけたものが
 硬度を取り戻していく。
「何を」
「挿れて……セラのを」
「欲しければ、自分で拡げて見せろ」
 娘は苦しげに呻きながら、指を己の性器に這わせると、左右に割り開いた。
 濡れきったそこはぱっくりと開き、惜しげもなく奧までその姿を晒した。
「いやらしい娘だ」
 セラは薄く笑った。脇腹の傷を清めるのに使った布で、汚れた己の楔を拭うと、娘に覆い被さる。
 娘の望みを叶え、己の欲望を満たすために。


 その瞬間を待ちこがれて濡れそぼつ娘の秘所にセラは自身を埋め込む。
 潤みきったそこは歓喜に満ちて震えながら男を迎え入れる。
 その熱さと柔らかさに、セラは満足げな溜息を漏らした。
 ゆっくりと己の中に侵入し、犯していくものに、娘は待ちきれないのか、
 男のものに押しつけるように腰を浮かせた。
 セラが微かに笑う。
「そう急ぐな」
 娘の膝裏に手を差し入れ、脚を上げさせると、繋がった場所にセラは己の体重をかけた。
 根本まで埋め込む。娘がびくりと弓なりに背を反らした。
 娘の最奧が己を受け止めたのをセラは感じた。
 娘が手を伸ばし、男の首に縋り付く。
 セラは、ゆっくりと動き始める。浅く優しく揺らしたかと思うと腰を深く引いては奧まで突き入れる。
 がくがくと揺さぶられながら、娘は震える手で離すまいと必死にセラの首に縋りつく。
「もっと……もっと強くして……セラ!」
 娘の最奧、子宮の入り口を抉るように突き上げ、擦り付ける。
「もっと……もっと、お願い……壊して、私を壊して!」
 男は腰をグラインドさせた。娘の中を掻き回す。
 娘の懇願が意味を無くし、悲鳴に変わる。
「……して……セラ」
 喘ぎ声と悲鳴の合間に断片的に言葉が挟まれる。
「……わたしを……ころして」
 口付けて、娘の唇を塞いだ。
 セラが娘の奥底に精を放つと同時に、娘も身体を痙攣させて登り詰める。


 娘の裸の肩に、マントをかけてやる。
 行為の後、娘は程なくしてことりと眠りに落ちていった。
 そして再び目覚めれば何もなかったかのように娘は破壊神に戻っている。
 満ち足りた顔で眠るこの娘は今、己の知る娘なのだろうか。破壊神なのだろうか。
 こうして抱いて、娘を一時的に取り戻して――それがいつまで可能だろうか。
 いつか完全に消える時が来るのでは無いか。
 いったい後どれほどの間、娘の意識を繋ぎ止めておけるのだろうか。
「お熱いことで」
 ひたひたと足音を忍ばせて、ネモがやってきた。
「……何故こんなことになった」
 セラの問いかけに、ネモは座りこむと、鼻を鳴らした。
「それは、お前の方が良く知ってるんじゃないか?
 この娘が竜王を倒して、その力に恐れを感じた奴らが、竜教を奉じる狂信者に賛同した。
 竜王を殺した神殺しを殺せと叫び立てる狂信者達の群を諫めようとして、
 この娘を先輩冒険者として姉のように慕っていた娘が命を落とした。
 この娘は怒り、悲しんで、殺した奴らに報復しようとした。だが蓋を開けてみればそいつらは結局のところ、
 世界の破滅をもくろむ邪悪な魔人とかダークエルフなんかじゃあなくて、
 どうしようもなく弱い人間達だった。
 憎もうとして、憎みきれなかった。やり場のない感情は鬱積していった。
 ……最後に憎んだ相手はふがいのない自分自身だったんだろう。
 そんな心の空隙を突かれたのさ。ウルグの種子が芽吹くには絶好の温床だったろうな」
「愚かな娘だ」
 セラは微かに笑った。
「ネモ。一つ訊きたい。この月光で、この娘を斬ったらどうなる?」
「やめておけ。また返り討ちに合うのがオチだ。斬れたところで、間違いなく先に死ぬのは
 その娘の精神の方だ。神相手に、そんなちゃちい武器は効かない」
「……そうか」
 黙り込んだセラに、ネモが問いかける。
「お前は、いつまでここに居るつもりだ?」
 セラは胡乱そうにネモを見やった。
「何故、そんなことを問う」


「戦況は近い内に変わる」
「何?」
 勇者ネメアはこの大陸を去って、行方が掴めない。
 円卓の騎士を従えた、破壊神の降臨したこの娘と戦える存在など、この大陸の何処に居るというのか。
 ネモはセラの心を読んだようにその疑問に応える。
「新たな無限のソウルの持ち主が来る」
「…………」
 セラは瞬間絶句し、くっくっと笑い出した。
「そういう事か」
「そうだ。ウルグもここまで良くやったよ。やりすぎたのかもしれない。
 竜王が死んだところで、至聖神の天秤は健在だ。闇が深く落ちれば、光の軍勢が盛り返す。そういう定めだ。
 お前の昔の仲間も何人か向こう側に居る。手遅れにならない内に――」
 セラの表情に、ネモは言葉を切った。
「そうだな。お前は全部こちら側にあるんだっけな。姉も、親友も、その娘も」
 ネモはのそりと立ち上がった。
「俺達は呼ばれれば永遠にここに還ってくるが、お前達が選ぶのは一度きりだ。
 他の奴らの知った口になど耳を貸すな。思うとおりに生きれば良いさ」
 去りかけたネモの背に問いを投げる。
「――お前は、倦んでいるのか」
 永遠の生を。
 ネモは振り返り、笑ったように見えた。
「飽きてはいるな。ヴァシュタールほどでは無いが。だが、長く生きればまあたまに面白いことも有る。
 猫として過ごした時間は、あれでまあまあ愉快な一時だった」
 去り際に、一言付け加える。
「……お前達に付き合うのも、結構楽しかった」

 気が付くと、洞窟の闇が薄れ始めていた。夜が明ける。

 かつて勇者ネメアと共に大陸を闇の勢力から救った無限のソウルの持ち主は、闇に堕ち破壊神と化した後、
 新たな無限のソウルの持ち主に討ち倒された。
 破壊神と化した娘の、昔の仲間達は、この戦いについて多くを語りたがらず、
 そのため、娘の恋人だった黒髪の剣士がどうなったのかは分からない。
 破壊神と化した恋人と共に最後まで戦ったとも、ウルグを裏切って斬りかかり逆に斬り捨てられたとも、
 姉の手で救われて生き延びたとも言われている。
 全ては、歴史の中に埋もれていった。真実は不明である。