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アンティノの研究室内部の通路を少女の足音が駆けてゆく。
少女は追っていた。生まれ育った村、ミイスを焼き払った魔人アーギルシャイアを。
そしてその後を追って姿を消した兄のロイを。
(追いつめた……遂に追いついた)
魔人のヴァシュタールに傷を負わされこの研究室に逃げたアーギルシャイアとサイフォスを見たばかりだ。
サイフォスは恐らく、自分の兄なのだろう。それを一刻も早く確かめたい。
パーティの仲間とはいつの間にかはぐれた。けれどそんな事を気にしている場合ではない。
自分の旅の目的が今、果たされようとしているのだから。

「アーギルシャイア!その男を……兄さんを返して!」
愛用の剣、竜破を美しい女魔人の方に構えながら少女は言った。
アーギルシャイアは黙って椅子に深く腰掛けている。傷を負っているのが深い苦悶の表情で分かる。
「兄さん?フフ……この男はサイフォスよ、私だけの仮面の騎士よ。私に刃向かうものは誰であろうとこの男が始末するわ」
仮面の男が少女の前に立ち塞がった。
「アーギルシャイア様には触れさせない」
「どいて!……あなたとは戦いたくない!」
アーギルシャイアさえ倒せばこの仮面の男は正気に戻る。少女の兄としての意識を取り戻す。少女はそう確信していた。
仮面の男は剣、ライジングサンを構えた。
「アーギルシャイア様に刃向かう者は容赦しない……誰であっても」
「くっ!」
男の声は仮面の下からくぐもって聞こえる。けれども確かに聞き覚えのあるその声。
戦わなくてはならないのか、恐らくは自分の兄であろう男と。


長い冒険で培った、力は少女の方が勝っていた。少女の竜破が仮面の男のライジングサンを叩き落とす。
「アーギルシャイア!覚悟!」
女魔人は少女に剣を突きつけられた。しかし、その顔は怯むどころかたちまち愉快そうに笑みを浮かべ始めた。
「あなたに、この私が斬れるの?あなたのその剣で?」
何のことを言われたのか理解するのに時間がかかった。アーギルシャイアは立ち上がり、少女の方に歩み寄った。
「私を倒す?面白い、やってごらんなさい……でも、私を倒してその男が、サイフォスが無事で済むと思うの?」
「……!」
「サイフォスの命は私のもの、私の手の中にある……私を倒したらサイフォスも……あなたの兄も道連れにさせてもらうわ」
「嘘……嘘よ!」
少女は怯まずに剣を構えた。女魔人は不敵に微笑み続けている。
「元気のいいこと……それにね、今少し記憶を手繰らせてもらったわ。あなたには大切な仲間がいるわね、想い人?……セラね?」
その名前を聞いて少女の表情が変わった。
「セラの月光ならまだしも、あなたのその剣では私のこの肉体を切り刻んでしまうわ。それをセラが知ったらどう思うかしら?
「フフフ、あなたが自分の大切な姉と親友を傷つけ、殺したと知ったら?」
「くっ……!」
少女は怯んだ。その隙を女魔人は逃さなかった。

いきなり少女は女魔人に髪を掴まれ、その唇に唇を押し当てられた。
「うっ……!」
アーギルシャイアの力は思ったより強い。唇を割って、口移しに何かが口の中に注ぎ込まれる。口内を舌で隅々まで犯され、少女はその液体を嚥下してしまった。
「この研究室は改造生物を製造する場所……便利な薬は幾らでもあるのよ」
アーギルシャイアのその言葉を聞きながら、少女は自分の身体から徐々に力が抜けてゆくのを感じた。身体が痺れてゆく。
「即効性の毒物よ……油断したわね、無限のソウル?」
しっかりと握っていた竜破が手から滑り落ちた。からん、と音を立てて剣が床を転がる。
「さぁ、私に刃向かった償いはちゃんとして貰うわ……いえ、私よりも自分の兄に殺されたほうが面白いわね」
アーギルシャイアは美しいが残忍な目で傍らの仮面の男に命じた。
「サイフォス、その娘を始末しなさい」
「……!」
仮面の男は怯んだように見えた。返答をしない。
アーギルシャイアは苛立ったように仮面の男を見た。この男の意識に変化が起こりつつあるのは数日前から分かっていた。
「サイフォス、いえ、ロイと呼ぼうかしら?何を躊躇っているの?この娘は私たちの命を狙ってきたのよ?」
しばらくの沈黙の後、アーギルシャイアは笑いだした。
「フフフ……まあ、始末するのは今すぐでなくてもいいわ。少しこの娘で遊んでみるのも面白いかもね……」


ぐったりと力の抜けた少女をアーギルシャイアはサイフォスに命じて研究室に設置されたベッドへ運ばせた。
ベッドと言っても金属のパイプがむき出しの固く冷たい代物。固いシーツの感触が伝わる。
「サイフォス、手伝いなさい」
仮面の男は黙ってそれに従う。少女の身体から防具が取り外された。
「何をするつもりなの……!?」
「無駄口は叩かないことね……余計に辛い目に遭いたくなかったら」
二人は仰臥している少女の両手をベッドに皮の拘束具で縛りつけ、足も固定させた。
手足に当たる拘束具の感触が冷たい。
「あなたはそこで……黙って見ていなさい」
アーギルシャイアは仮面の男に傍らの椅子に座る事を命じた。
仰臥している少女の顔にアーギルシャイアの顔が近づく。美しい、凄みのある端正な顔だ。
だがヴァシュタールに傷を負わされたせいだろうか。その端正な顔には疲労の色も見える。
アーギルシャイアはじっと動けない少女の顔を見ていたが、不意に少女の頬に手を当てて、唇に口付けた。
「……んんっ!」
その口付けを受けた途端、少女は一気に眩暈がするような脱力感を感じた。
口の中のものを、身体の中身も、すべて吸い取られてしまうような口付け。
唇が離れると天井がぐるぐる回って見えた。アーギルシャイアは少女を見下ろし美しく笑った。
「あなたのソウルを貰うわ……傷を癒す為に」
再び口付けられる。舌がナイフのように少女の唇を、歯列をこじ開ける。長い長い口付け、息ができなくなる。
舌を吸われ、噛み付かれた。唇を離そうとしてもアーギルシャイアの手の力の方が強く、逃れられない。激しい痛みが走る、血の味がする。
みるみる両手足の力が抜けてゆく。身体中の精気を吸い取られてしまったかのように。
アーギルシャイアの長い髪が顔に触れる。幻のような白檀の香りがした。
唇が離れると少女はぐったりと目を閉じた。息が苦しい。
息が苦しいのは毒のせいだけではない。ソウルを吸い取られてしまった事だけが原因でもない。
初めて受けた同性からの激しすぎる口付けのせいだ。激しい動悸がする。口が聞けない。
「フフ……さすがは無限のソウルの持ち主ね。少し力が湧いてきたわ。でも、まだまだ足りない……」


アーギルシャイアは少女の着衣に手をかけた。びりびりと胸元が引き裂かれる音。やがてもどかしげに女魔人は手近の手術用のハサミを手に取った。
瞬く間に少女の着衣が切り裂かれる。切り裂かれた衣服の間から形の良い白い乳房が片方、露出する。
羞恥心から少女の頬は赤くなった。アーギルシャイアだけでない、恐らくは自分の兄であるサイフォスもこの様子を見ているのだ。
「何をするの……やめて……!」
不意に痛みを感じた。アーギルシャイアが少女の乳房に噛み付き、もう片方の乳房を長い爪を伸ばした手で鷲掴みにする。
ぎりぎりと噛み付かれ、爪を食い込まされ、皮膚に赤く血が滲む。少女は必死に痛みを堪えた。
「く……!」
「痛い、でしょう?その痛みを感じなさい……あなたのその痛みが心地良いの」
悲鳴を上げたいのを堪える。悲鳴を上げることは相手を悦ばせるだけだということは少女にも分かっていた。
「それとも、こうされる方が好き?」
ぎりぎりと胸の突起を爪で抓られる。その後に優しく揉まれる。痛みとなんとも言えないむず痒い感覚が交互にわき上がる。
思わず吐息を漏らすと、アーギルシャイアは残忍に笑った。
「や、やめて……!」
「お黙りなさい、いやらしい娘……こちらはどうなの?」
そう言うなり少女の着衣をまくり上げて、下着を引きずり下ろした。ハサミで下着を切り刻んで床に投げ捨てる。
「アーギルシャイア様!」
仮面の男の声が響いた。しかしアーギルシャイアはそちらを振り向こうともしない。
「サイフォス、あなたは黙って見ていなさい」
少女のまだ人目に晒したことのない秘部がアーギルシャイアの目前に現れた。

アーギルシャイアは残忍に笑って、少女のそこを長い爪を伸ばした指で弄び始めた。
敏感すぎる部分への刺激の苦痛に呻く少女。その顔は羞恥心と苦痛で震えている。
アーギルシャイアは指をずぶりと少女の膣口に突き刺した。
「ううっ……!」
刺すような痛みに少女は唇を噛む。アーギルシャイアは目を光らせながらもう一本、指を差し入れる。
そして中を掻き回すように指を動かし、そこをこじ開けようとする。
少女の泉は自己防衛のために徐々に濡れ始める。一筋二筋、蜜が伝い始める。
「……もっと苦しみなさい!」
アーギルシャイアの指が少女の中で激しく暴れる。根元まで突き刺さった二本の指。
長く伸ばした爪が少女の内壁を激しく傷つける。ぐちゃりと湿った音がした。三本目の指が刺し入れられる。
流れ落ちる蜜に赤い血が糸のように混じり始めた。
少女は唇を噛んで必死に痛みに耐えた。握りしめた両の拳が震えている。


少女の蜜で粘液質に光る指をアーギルシャイアは少女の口を無理にこじ開け、中に差し込んだ。
少女は顔をしかめた。そして先程掻き回され、傷つけられた秘部から伝う痛みに耐えていた。
「しぶとい娘……」
アーギルシャイアは憎々しげに言い放った。そして腹立ち紛れに少女の残された着衣を引き裂いた。
「心を閉ざして私の邪魔をするのね……もっと恐れを、苦痛を感じなさい……私に力を与えなさい……」
彼女はまだ憎み足りないという風に少女の苦痛に耐える顔を見ていたが、不意に顔を上げた。
「サイフォス……命令するわ……この娘を犯しなさい!」
少女だけでなく、椅子に座って事の一部始終を見ていた仮面の男はその言葉を聞いてびくりとした。
「アーギルシャイア様、私は……」
「サイフォス、私の言うことが聞けないの?あなたは私のオモチャ……反抗は許さない。それとも私の言うことを聞かなければ……」
アーギルシャイアは少女が床に取り落とした竜破を手に取った。
「私がこの娘を嬲り殺すだけよ」
仮面の男の身体がびくりと動いた。女魔人は剣の先を動けない少女の顔に突きつけた。
「この可愛い顔を切り刻んでやろうかしら?それとも指先から一寸刻みに切り落とす?どちらでもいいわね……余計に苦痛を与えながら殺す方が面白いわ」

仮面の男は何も言い返せず黙っている。アーギルシャイアは憎々しげに仮面の男を見つめた。
「サイフォス……いえ、ロイかしら?何故そんなに反抗的なの?この娘の苦しみが私の傷を癒すと分かっている筈でしょう?」
そこで彼女は何か思いついたようにふっと笑った。そして持っていた剣を投げ出した。
「まぁいいわ……面白い趣向を考えついたわ」
そう言うなり、彼女は身に纏っている黒衣を脱ぎ捨て始めた。唖然としている少女の視界に、アーギルシャイアの裸身が飛び込んでくる。
抜けるような白い肌、上を向いた形の良い大きな乳房、濡れたような下腹部の茂みが暗闇の中で輝く。
同性の目から見ても、息を飲むほど妖艶で美しかった。
「な、何を……!?」
「いいものを見せてあげるわ、あなたに……」
楽しげな、嗜虐的な口調。見下すように少女に一瞥をくれると、仮面の男に言った。
「サイフォス……ここで、私を抱いて……見せてやるのよ、この娘に」
アーギルシャイアは少女が固定されているベッドの傍らの椅子に腰をかけた。
「この娘を嬲り殺すのはやめておくわ、だから、従いなさい」
「……分かりました」
仮面の男は観念したような押し殺した声で返事をした。


少女は全身ががたがた震えるのを感じて、それを堪えた。
初めて見る、否、見せられるその光景。見たくない、と思っても目がそちらを向いてしまう。
裸のアーギルシャイアの身体を抱いている裸の仮面の男。お互いに艶めかしく身体をくねらせて。
女が身体に付けている香水の匂いと、男の体臭が混ざり合って漂う。獣の匂いにも似た、頭がくらくらするような匂い。
女は姿勢を屈め、男の隆起した自身を口に含んでいる。ぴちゃぴちゃと舐める音が聞こえる。
仮面の男の荒い呼吸が少女の耳に届く。少女は瞳を閉じた。
(兄さん……兄さんなんでしょう?やめて……!)
天空神ノトゥーンに仕える神官戦士だった兄。
少女にとって神はノトゥーンではなかった。少女にとっての神は兄だった。
兄は少女にとって神のような存在だった。それだけ憧れ、慕っていた存在だった。
神聖であった筈の兄。その兄であろう仮面の男が、自分のすぐ傍らで欲望のままに女と睦み合っている。
激しく身体がぶつかりあう音、そしてぐちゃぐちゃと湿った音を聞いた。思わず目を開く。
椅子に腰をかけている仮面の男の膝の上に、女は足を開いて跨っている。二人の結合部から卑猥な水音が聞こえてくる。
女は法悦に酔った表情で、愛おしげに男の首に腕を回す。その髪に、耳に口付ける。
男はしっかりと女の腰に手を回している。二人の腰が淫らに動く。
卑猥なその眺めが薄明かりの中で怪しい光を放っていようだ。
少女の胸に何とも言えない感情が渦巻いた。嫌悪、苦しみ、悲しみ、嫉妬――それがぐるぐると渦巻き、少女の胸に突き刺さる。
汗の匂い、二人の喘ぎ声、溜息。椅子の軋む音が少女を責め立てる。何かが少女の心の中で砕けた。
「いやだ……やめて……!」
少女は自分がそう言ったのを聞いた。

「フフ、もの欲しそうね?」
不意にアーギルシャイアは男の腕の中から、少女を指さして言った。
いつの間にか少女の脚の間から滑った蜜が溢れ出して、ベッドの表面に染みを作っている。
じりじりと自分の中心が熱くなっているのが少女自身にも分かった。
「サイフォスが……この男が欲しい?」
「ち、違う!誰が……!」
「そう……だったら黙って見ていることね」
アーギルシャイアは少女の存在などないもののように、再び行為に熱中し始めた。
仮面の男と女の唇が絡み合うたびに、ねちゃねちゃという様な粘っこい音がする。
耳を塞ぎたい。この場所から逃げたい。いや、それよりも――
兄を取り戻したい。自分の手の中に。今の少女はそれだけを一心に思っていた。
いつの間にか、自分の呼吸が傍らの二人のそれのように荒く、喘ぐようになっている事に気付いた。掌にじっとりと汗をかいている。
その先の考えに行き着こうとしている自分に気付き、少女は激しい葛藤に襲われた。
身体の中心が、熱い。狂いそうに熱い。


「フフ……そろそろ素直になったどうなの?」
アーギルシャイアは楽しげに少女の苦悶する顔を見た。
「あなたの気持ちなどとっくに分かっているのよ……兄が恋しいのでしょう?」
少女は屈辱に顔を歪めた。唇を噛む。しかし、身体の疼きはどうすることも出来ない。
人の気持ちほど脆く不確かなものはないと少女は身をもって知った。
「答えなさい……あなたの兄……この男が欲しい?」
「……ぃ」
「聞こえないわ、もっと大きな声で言うの。欲しい?」
「……ほ、しい……」
少女は自分がそう言ってしまったことに気付いた。額から汗が伝う。
アーギルシャイアは声を上げて笑った。そして仮面の男の髪を梳きながら言った。
「フフ、とうとう素直に言ったわね。よく出来ました……サイフォス、もう一度命令よ。あの娘を犯しなさい、いえ……」
アーギルシャイアは男の膝から降りた。女魔人の脚の間は卑猥に濡れている。
「この娘が……あなたの妹があなたに犯されたがっているわ。犯してやりなさい」
仮面の男は仮面の下から少女の顔を見た。少女の背中に戦慄が走った。

ベッドに固定されている少女。衣服はほとんど切り取られ、腰の周りしか覆っていない。
酷く扇情的で屈辱的な光景。
アーギルシャイアは少女の脚の固定だけを解いた。
仮面の男が少女の脚を開かせる。脚の間はもうどうしようもないくらい蜜が溢れている。
自分のものとは思えぬいやらしい水音が聞こえる。羞恥心に耳まで熱くなる。
目を開いた少女の目に入った隆起した男の自身に思わず目を背けた。初めて見るものに恐怖を感じる。
「何を目を閉じているの?さあ、目を開けなさい……」
アーギルシャイアが少女の顔の傍に寄り添い、少女の顔をまっすぐ前に向けさせた。
仮面の男と目が合う。何も言わぬこの男の仮面の下の表情など読み取れる筈がない。
今目の前にいるのは自分の兄なのか、それとも別の人格を持った兄の肉体だけなのか。
仮面の男の顔が自分の顔に近づいた。その下の瞳の色には見覚えがあった。
ふわりと漂った仮面の男の匂い。間違いない、懐かしい兄の匂いだ。ずっとずっと追ってきた兄の匂いだ。
少女は自分が劣情に負けたのを感じた。ただ身体の疼きを止めて欲しい、一刻も早く。
必死に保っていた自尊心が呆気なく砕け、地に墮ちた。
「さあ、言いなさい、どうして欲しいの?」
「……く、ださい」
「はっきり言いなさい……兄にどうして貰いたいの?」
「抱いて……ください」
消え入りそうな声でそう言った。もう、何が起きてもどうでもいい気持ちになった。
仮面の男の顔が自分に近づく。仮面の下のその目の表情は読み取れない。
一瞬、仮面の男が逡巡したように見えた。
「サイフォス!」
女魔人は責めるようにたった一言、男の名を読んだ。
次の瞬間、少女は自分の秘裂に熱い楔が打ち込まれるのを感じた。


悲鳴を抑える事などできなかった。
「いやあああ!!……いた、いたい……!」
全く未知の痛みが突き刺さる。身体を割られ、押し広げられる圧迫感。息ができない。
「フフフ、これよ、これが欲しかったのよ……あなたの心の中に広がる痛み、苦しみ、罪悪感……ああ、イイわ……力が湧いてくるわ」
アーギルシャイアは両手で少女の肩を押さえつけながら、もがく少女の顔に頬擦りをした。
「あなたの記憶……読めるわ……想い人がいるのに、実の兄に体を許した感想はどう?あなたって本当に淫らな娘ね……」
少女は喘いだ。脚の間を裂かれるようだ。目の前が激痛で暗くなる。ちかちかと視界に白い光が走る。
「痛い……にいさ、にいさん……やめ……!」
「サイフォス!手加減する必要はないわ。この娘はあなたに犯されたがっている、それだけよ」
仮面の男は少女の脚を肩の上に乗せた。少女の腰が持ち上がる。圧迫感に少女は喘いだ。
少女の頭の中を答えの出ない問い掛けがぐるぐる回る。
何故、兄は仮面を付けているのだろう?
何故、兄は仮面を取って自分に微笑んでくれないのだろう?
そして何故、自分は兄――この仮面の男に抱いて欲しいと言ったのだろう?
破瓜の痛みに意識が遠くなる。何か熱いものが身体の中に広がるのを感じる。
きつく締め付ける自身の内壁が激しく擦られる激痛。湿った卑猥な音が響く。
「いや……ああっ……にいさ……」
「自分から抱いてって言ったでしょう?兄に純潔を散らされる気持ちはどう?フフ……あなたの痛み、羞恥、すごく気持ちイイわ……」
いつの間にか少女の頬に伝った涙をアーギルシャイアは赤い舌で舐めた。そして少女の頬に口付け、囁いた。
「あなたのものではないわ、この男は私のもの……私だけの仮面の騎士よ。あなたの事など指の先ほども思っていないのよ」
「ああっ、にいさ……やめ……あぁ……」
「あなたの意識の中……イイわ、悲しい?悔しい?後ろめたい?そう、あなたは罪を犯しているのよ。恥知らずな事をしているのよ。
「そう……もっと感じなさい、苦しみを、痛みを、嫉妬を……私がすべて力に変えてあげるから……」
アーギルシャイアの煽り立てる言葉に頭の中が混乱し、砕け散りそうになる。
仮面の男が何度も腰を打ち付けてくる。その度に激痛が体内を走る。ぐちゅぐちゅと湿った音がする。
男が腰を打ち付ける度に、少女の豊かな乳房が激しく揺れる。
男は決して少女の上半身には触れない。まるで機械仕掛けのように腰を打ち付けてくるだけだ。機械的に少女を犯しているかのように。
それに気がついた時、少女は何故か悲しいと思った。
少女は過去に何度も、兄を一人の理想の異性として見ていた。兄に抱かれる夢想をしたことも一度や二度ではない。
しかし、夢見たはずの兄との契りはこんな無残なものではなかった。その筈だった。
身体の中を仮面の男に、心の領域を女魔人に征服される。心にひびが入る。まともな思考が片端から砕け散る。
破瓜の血と、流れ続ける蜜と、お互いの体液とが少女の中で泡立ち混ざり合い、溢れ出してシーツを染めた。
兄は今、何を思っているのだろう。
少女は視界が徐々に白く塗りつぶされてゆくのを見た。
意識の中も、身体の中も、白く白く真っ白に塗りつぶされてすべてが遠くなる。
(すまない……)
少女は薄れゆく意識のどこかで兄の声を聞いたような気がした。


「ああ、力がみなぎってくる……ありがとう、無限のソウル。お陰で傷を癒すことができたわ」
女魔人は上気した顔で朗らかに少女に向かって言った。
少女は仰臥したまま動けない。何も話せない。ただ痛みを堪え、その頬を後から後から涙が伝っている。
「もうあなたは用済みよ。本当は始末したいところだけれど……残念ね、あなたの仲間がここに向かっているようね。
「このままじゃ形勢不利だから、お暇させてもらうわ。それに……」
アーギルシャイアは残忍に笑った。
「その無様な姿を仲間に見られるのも一興よね。あなたのその姿をセラが見たらどう思うかしら?
「自分の姉と親友があなたに辱めを加えたと知ったらセラはどうするかしら?フフ、イイわ……その反応を見たいところだけれど、残念だけど時間切れね」
女魔人の嬉々としたその言葉だけが室内に響く。少女は何も答えられない、表情も変えない、ただ天井を見つめている。
止めどなく両の瞳から涙を流しながら。
ただ、一言で良いから兄の声を聞きたいと思った。しかし仮面の男は何も語らなかった。
アーギルシャイアは少女の傍らに歩み寄った。
「無限のソウル……ロイの妹……これに懲りたらもう、私たちの後は追わないことね」
そう言うと、女魔人と仮面の男は瞬間移動でその場から跡形もなく消えた。

アンティノの研究室内で少女はベッドに固定されたまま、涙を流していた。
下腹部がずきずきと激しく痛む。脚の間にべとべとした不快な感触を感じる。
拘束具を付けられたままの手首が痛い。部屋の中は何とも言えない不快な匂いが充満している。
何も考えられない。思考が完全に停止し、半開きの虚ろな目でただ天井を眺めている。
切れ切れの意識の中で、何者かの足音が聞こえる――それは少しずつ近づいてくる。
研究室内を走り、この部屋に向かっている。

少女は白く霞んだ視界の中に、アーギルシャイアそっくりな男の強張った顔を見た。

-終-