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 芒とした月明かりを受け、華麗な城が闇に浮かぶ。
 ロストール王宮。南の大国、その中枢。
 その一角に昼夜問わず、常に薄闇に包まれている部屋がある。
 そこには、闇に囚われた一人の姫君が居ると云う。

美しく、そしてひどく儚げな声が薄闇に波紋を広げる。
「どうしても行かれるのですか?」
「ああ。見て見ぬ振りなんて出来ないよ」
 不安そうにこちらを見上げる姫君に、大丈夫だよ、と笑いかける。
 決して翻る事のない強い決意を込めたその答えに、アトレイアは僅かにためらい、けれどしっかりとこちらの目を見て頷いた。
「わかりました。私も……私もこの国のために何か出来る事をしようと思います。
私に出来る事など、ほとんどないけれど」
それでも何か出来る事をするのだと、アトレイアははっきりとそう続けた。
その言葉に、僅かに目を見張る。闇の中に留まり、自信を持てず、ティアナ王女に劣等感を感じ、いつも何かに怯えていた彼女が、必死にこの国の―――誰かの力になろうとしている。
その事がひどく嬉しかった。そして、安心する。
もし自分がいなくなったとしても、きっと彼女は一人ぼっちにはならない。いつだって一生懸命な彼女だから、きっと多くの人が好いてくれる事だろう。
「そっか。うん、頑張れ」
「はい」
 控えめに、けれどはっきりと頷く。

 

「さて、そろそろ」
「あ、あの」
 夜も更けて来たことだし、とクローゼットへと向かおうとするが、ためらいがちなアトレイアの声に振り返った。
「ん?」
 何、と僅かに首を傾げる。
「あの……」
少し俯いて、何か言いたげに口を開き、閉ざす。それを何度か繰り返した後、アトレイアは真っ赤になりながらこちらを見上げた。
「あの……その、私、に………勇気を、ください」
 一歩、踏み出すための勇気を。彼女はそう言ってこちらを見つめる。
そして、静かに目を閉じた。
「ア、アトレイア?」
 予想だにしていなかった事態に狼狽する。けれど、目の前の姫君の肩が僅かに震えている事に気が付くと、不思議と動揺が消えた。
 そっと唇を重ね合わせる。
「………ん」
 触れ合っていたのは僅かに一瞬。顔を離すと、僅かに声を漏らしアトレイアが目を開けた。これまでに無いほど近くにある瞳に、意識が吸い寄せられる。
 僅かに潤んだ瞳―――それは恐ろしく艶かしく蟲惑的で、思わず押し倒しそうになる。その衝動をこらえ、彼女から離れようと……。
「……え?」
 離れる前に、袖を小さな手に掴まれる。
「アトレイア……?」
 アトレイアが、その声にビクリと肩を震わせる。
 それでも。
 それでも、彼女は手を離そうとはしなかった。
 その様子を見て、こちらも覚悟を決めた。
「アトレイア……いいよね?」
 その言葉に、耳まで真っ赤になりながら深窓の姫君はコクリと頷いた。

 

 シュルリ、と衣擦れの音が薄闇を震わせる。
 闇の中に、白い裸体が浮かび上がった。そのあまりの美しさに息を飲む。
「……あの」
 言葉を失い固まる自分に、アトレイアが不安そうにこちらを見上げる。
その声に、ハッと我に返った。
「あ、ごごご、ごめんっ!! あんまり綺麗だったから」
「…………ゃ」
 その言葉に、アトレイアは恥ずかしそうに顔を両手で覆う。
 その仕種に、思わず抱きしめたくなる衝動に襲われながら、彼女の手をそっと取り、動かす。
 そしてもう一度、唇を重ねた。
「……ん……ぁ、ぁ」
 そのまま、何度も何度も口付けを交わす。
 そして、そっと彼女をベッドの上に横たえ、小さな紅い唇から頬へ、あごの丸いラインへ、華奢な首筋へと口付けをする。

 

「ぁ……ゃぁ、―――っ!」
 かすれた声で名前を呼ばれると、理性が吹き飛びそうになる。
「ぁ……あっ………、んぅっ!!」
 思わず乳房を鷲掴みにすると、アトレイアが眉をひそめて小さく呻いた。
 その声を聞き、あわてて手を離す。
「ご、ごめん!!」
「い……いえ。大丈夫、です」
 アトレイアが、目じりに涙を浮べたまま優しく微笑む。その頬にキスし、今度はそうっと、壊れ物を扱うように乳房を手で包み込む。その頂点で慎ましやかに色づいた薄桃色の突起を、やさしく唇で挟み込み、舌先でそっと転がす。
「は。あぁっ、……やぁ……!!」
 ビクリと体を震わせ、甘やかな声を漏らすその姿に逸る気持ちを抑えながら、彼女の白い太ももの内側へと左手を伸ばす。
「んっ、く―――あぅ………、
ぁ―――あ、ああっ! や……待って下さい、そ、そこはっ!!」
「大丈夫だから」
「ん………んんっ!」
 慌てたようにこちらの手を押し留めようとするアトレイアを、口付けで大人しくさせると、そうっと誰にも触れさせた事のないだろう聖域に指を触れた。
 ちゅ……くちゅり、と粘着質な音がする。そこは既にしっとりと湿っていた。
「あ―――ゃ、……あああっ!!」
 そこに指を添え、優しく滑らせると、アトレイアが今までに無く大きな声を上げる。直後、慌てて彼女は手で口を塞ぐ。
 その様子を、微笑ましく思いながら彼女の耳元で囁く。
「ね、声を聞かせて……」
「…………っ!!」
 時折、体をビクリと震わせながら、ふるふると彼女が首を振る。やがて、彼女の秘所を探っていた指が、小さな突起に触れる。
「……っ!! ぁ―――はああああぁぁっ!!」
 瞬間、白い体が弓なりに反り、ひくっ、ひくっと大きく痙攣した。
「アトレイア?」
「は―――ぁ、はぁ、はぁ、はぁ。…………ひどいです」
 荒い息を吐きながら、アトレイアが涙目になって抗議する。
 その可愛らしい抗議に、ごめんな、とキスをすると彼女はくすぐったそうに微笑んだ。そして、こちらの目をしっかりと見つめる。
「挿れるよ……」
「……はい」
 彼女の目に逡巡の色はなく、しっかりと頷いた。

 

 ゆっくりと、細心の注意を払ってアトレイアの奥へと進む。
「……っ、―――っ!」
「……アトレイアっ!」
 涙を流しながら、必死に歯を食いしばって耐える姫の姿に心が痛む。だが、ここで止めて傷付くのはアトレイアだと、罪悪感を押し殺しさらに進める。
 と。
 先端が一際強い抵抗を受ける。
「…………アトレイア、いくよ?」
「―――はい」
 しっかりとこちらを見て頷く彼女にそっとキスをすると、一気に膜を突き破った。
「―――っっ!! あああぁぁぁっ!!」
 破瓜の痛みに悲痛な声が上がる。
そのまま更に進めると、こつりと先端が最奥に突き当たった。 
 動きを止めてアトレイアが落ち着くのを待つ。
「はぁ、はぁ―――はっ、………ん」
「全部、入ったよ」
 痛みを逃がすためか、何度も何度も小さく息をはき、やがて少し落ち着いたのかこちらを見上げる彼女に笑いかける。
 汗で額に張り付いた前髪をそっと払うと、アトレイアは幸せそうに微笑んだ。
「私の中に、貴方がいるのですね」
「そうだよ」
「嬉しいです。あの、動いて……ください」 
 アトレイアがこちらへと手を伸ばす。その手を取って、指を絡めた。

 

「はっ、あっ、くぅ―――んんぅっ!」
 ゆっくりと腰を引く。引き抜いた自身に、姫君の破瓜の印が付着しているのが見えた。
 そして、再び奥へと押し入る。
「はっ、ぁ、ぁ、ぁ、ぅんっ!」
 じゅぶぶ、じゅぶ。
 アトレイアの表情を見ながら、注意深く腰を動かす。
 やがて、アトレイアの最奥から溢れ出した潤いがその動きを徐々にスムーズにしていく。
「はぁっ、あっ、あっ、くっ―――あぅ、はぁんっ!!」
 いつの間にか、アトレイアの声から苦痛の色が消えていた。腰を打ちつけながら、目の前で揺れる乳房をこねる。
「やぁ……んっ! はぁん、あっ、あっ、あぁんっ、ゃ……っ!」
「もう少し、激しくしても大丈夫?」
 耳元で囁くと、彼女は小さく頷き首の後ろへと手を回してくる。
「ひぁっ! あっ、ああぅ、んんっ!! ゃ、何か……へ、ん……
くふっ―――ああああぁぁっ!!」
 首にしがみつきながら、アトレイアが悲鳴を上げる。
 その切羽詰った声を聞きながら、さらに激しく腰を打ち付けていく。
「やぁ―――っ! あっ、あっ、あっ、はぁぅ!! 
 だめ……だめ、私―――あ、ああっ! あああっ!!」
 ガクガクと腰を震わせ、アトレイアが高く啼く。彼女を強く抱きしめ、大きく腰を動かす。
 意識が白く染まっていき。
そして―――
「……っ!! アトレイアッ!!」
「はぅっ!! あ―――はあああああああああっ!!」
その叫びと共に、アトレイアが全身を激しく痙攣させる。
直後、彼女の肉壁が強烈な勢いで収縮する。
その締め付けに耐え切れず、
アトレイアへの想いと共に、灼熱する白濁液をその最奥へと注ぎ込んだ。

 

 胸に白い小さな体を抱き、緩やかにウェーブのかかった髪を指で梳く。
「ん……」
 トロンとした表情で腕の中にいる姫君が、そっと肩に触れる。そのしなやかな指先が触れていたのは古い刀傷の痕だった。
 それに気が付いたアトレイアが少し顔を曇らせる。
「……あの、一つお聞きしても宜しいですか?」
「うん?」
 こちらを見上げるアトレイアに、
一つ頷いてみせると彼女は躊躇いがちにその疑問をぶつけて来た。
「なぜ、貴方は戦わられるのですか?」
 こんな怪我をして、痛い思いを、苦しい思いをしてまで、
なぜ戦うのかと、彼女の目は問うてくる。
 その問いに、目を閉じて考える。
答えはすぐに出た、元々考えるまでも無いことだったから。
「大切なものを、大切な人を護りたいからだよ」
 そう告げて、少しだけ昔の話をする。
 まだ、本当にどうしようもなく弱かった頃の話を。

 

 

「……姉弟みたいに一緒に育った人がいたんだ」
 強情な、強い意志を秘めた双眸を思い出す。
 大した才能を見出せなかった自分とは対照的に、非常に高い剣の才能があると師に言われ将来を期待されていた姉。父の後を継ぎ、騎士になる事が夢だった少女。
「その人は強くてね。いつもいじめっ子とかから守ってもらってたな」
「貴方が、ですか?」
 少し驚いた表情を浮べるアトレイアに、その頃は本当に弱虫だったんだよ、と苦笑しながら頷く。
 自分は、いつも颯爽とした様子の姉の後ろを付いていくだけだった。
「そんなだから、きっと強くなれなかったんだろうね」
 そう。だからあの時、何一つ出来ずに、
彼女が自分を庇って傷つくのをただ見ているだけだった。

 魔人、アーギルシャイア。あの絶対的な力の前では、少々力があった所で何かが変わるとも思えないけれど、それでも彼女の足を引っ張らないだけの力があれば―――。
 自分の目の前で光に包まれ消えていく姉代わりの少女を見て、自分がどれだけ甘えていたのかが良く分かった。
「何も守れず、逆に大切な人に守られる始末だったからね。
情けなくて、悔しくて―――
だから次があるならば、今度こそは守る側に立ちたいと思ったんだ」
 そう締めくくる。
「あの、その女性の方は、今……」
 ひどく心苦しそうな様子のアトレイアに小さく笑いかける。
「ん? ああ、ちゃんと生きてるよ。
今、どこに居るかは知らないけど、どこかで元気に冒険者やってると思うよ」
「よかった」 
その答えに安心したのか、彼女は穏やかに微笑んだ。

 

 疲れが出たのか、アトレイアはすぐに静かな寝息を立てて眠りに落ちた。
 そのあどけない寝顔を眺めながら、静かに決意を、覚悟を固める。
「またね。アトレイア」
 そう告げて、彼女の寝顔にキスをすると服を身に纏い、部屋を後にした。

 翌朝。王宮に来ると、若い衛兵が敬礼をしつつ声を掛けてきた。
「龍字将軍閣下、ファーロス総司令閣下が謁見の間にてお待ちです」
「分かった。ありがとう」
 それでは、と再び敬礼をして立ち去っていく衛兵を見送り、静かに謁見の間へと向かう。
 カツン、カツン、カツン―――
 靴底が床を叩く音が響く。
 その音を聞きながら、これから戦う敵軍の事を考える。
 敵はこちらの四倍の数を有するディンガル帝国、東部方面軍。
 敵将―――青竜将軍、カルラ・コルキア
 敵副将……

 敵副将―――アイリーン・エルメス