とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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可愛い顔の策略士




硲舎佳茄(はざまやかな)という小学生の少女は一人退屈そうに公園のベンチに座っていた。
大切にしていたバッグを犬に奪われ、セブンスミストの爆発に巻き込まれ、カミキリムシに髪の毛先を切られてしまうと少し可哀相な女の子だ。

友達がいないわけではないがこの日は友人に遊ぼうと電話をかけても運悪く都合が合わず一人ぼっちになっていた。

「う~ん、みんな忙しいのかな~?」

佳茄は携帯の画面とひたすらにらめっこをする形に。スクロールし続け、ある一人のカーソルに止まった。
「お姉ちゃん」と書かれてあり、何かあったら連絡してね。と言われたのを思い出し、勇気を振り絞って電話をかけた。

「あ、もしもし?・・・あの、佳茄だけど・・・うん」


2度、3度うんうんと頷き、その後パァっと顔を明るくさせて喜びを爆発させた。

「うん!ありがとう!!じゃあ公園で待ってるね!!」

通話を切り佳茄はニコニコしてこれから来るであろう人を待つ。でも今から準備して出て来ると言っていたので早くてあと20分くらいは掛かるだろう。
喉が渇いたな~と感じて目の前の自販機に向かった。すると自販機の前には佳茄の見覚えのある少年が。

「あっ!」
「ん?」

佳茄の声に反応してボタンから目を離した少年は恐らく間違えただろうイチゴおでんを押していた。

少年はそれに気付かず熱々のイチゴおでんを手にとって「ぎゃぁ~!」と叫んでいるが佳茄は気にせず少年に満面の笑顔で声をかけた。


「おにいちゃん!!久しぶり!!」
「・・・え?」


佳茄にお兄ちゃんと呼ばれた少年、上条当麻はダラダラと汗を流し始めた。


(待て待て待て待て上条当麻。今この子俺のこと「お兄ちゃん」と呼んだよな?もしかして親戚の妹?いやいや!乙姫という従妹がいるし!!
もしかして親父が母さん以外の人の・・・ていうかこの子と知り合い!?ていうか記憶を失くす前の俺がこの子に「お兄ちゃんと呼びなさい」とでも言ったのか昔の俺!?
ぬぁーー!!ここに来てまた記憶喪失が仇になるとはーーーーー!!!!)


過去に知り合っていたのもあるがただ単に小学生の女の子が男子高校生のことをお兄ちゃんと呼ぶのは普通だが少年の頭の中は混乱したまま。

「お兄ちゃんそのイチゴおでん飲まないの?」
「え?あ、あぁ。間違えて押したから・・・」
「じゃあ私にちょうだい?」
「い、いいけど・・・」


佳茄は少年からイチゴおでんを受け取って再びベンチに座り、ゴクゴクとイチゴおでんを飲み始めた。
少年は飲んでいる様子をうわぁというような表情をして佳茄を見る。それに気付いた佳茄は


「お兄ちゃんも一緒に座ろう?」

と隣を勧めた。

「は、はぁ・・・」

むやみに去ろうとすれば少年にとって知らない小学生の女の子がどんなリアクションをするか予想がつかないのでとりあえず従う。
だが佳茄も少年も特に話すことがなく、ただ時間だけが過ぎていくが佳茄が少年に話しかけた。


「お兄ちゃん暇なの?」
「ん?補修帰りだし今日は暇だぞ?」
「あっ!そういえばお兄ちゃん!もうすぐ常盤台のお姉ちゃんが来るの!!」
「常盤台?君の姉ちゃん常盤台なの?」
「ううん、今から一緒に遊んでくれるの!」
「へえ、いいヤツなんだな」



若干会話がかみ合ってないんじゃない?と少年は少し思いながら会話にエンジンがかかった佳茄に優しく相槌を返す。
そんな時、佳茄の待ち人は来てしまうもので


「お~い佳茄ちゃ~ん!お待たせ~」

遠くから駆け足でやってくる常盤台の制服を来た少年も見覚えのある少女が。


「御坂!?」
「あ、アンタが何でここに!?」


そして、佳茄のリクエストによりセブンスミストに移動する3人。上条、佳茄、美琴と隣に並んで歩く。しかも手を繋いで・・・

「なあ御坂」
「な、何?」

佳茄に聞こえないように声をかける上条。顔の距離が近いのでドキドキしてしまう美琴。

「お前さ、俺とこの子が知り合いな理由って知ってるか?」
「そっか、アンタ記憶が・・・時間がないから簡単に言うわよ。アンタがその子を連れてセブンスミストにいたの。
たしか店を案内するためとか言ってたっけ・・・」
「俺ってもしかしてとんでもない変態だった?」
「ええ、今と変わらないくらい」


美琴の返答に「ひでえ・・・」と小さく呟く上条だが美琴は気にせず佳茄に話しかけた。

「ねえ、佳茄ちゃんはセブンスミストで何買うの?」
「えっとね、お小遣いもらったからお洋服と水着を買うの」
「そっか。なら友達に負けないくらいおしゃれな物買っちゃおうか。私も買いたい物あるし」
「うん!」

女子同士で盛り上がる所に一人取り残される上条。

(おいおい、女子の買い物って長いと聞きますけど?しかも2人もいるとなったら倍くらい掛かるんじゃねえの?
迂闊に暇だと言わなきゃよかった・・・)

これも不幸の一つか・・・と思いながら2人と並んで歩く上条。
上条が一人不幸だ~と落ち込んでいる中、美琴と佳茄は

「お姉ちゃんは好きな人いるの?」
「ふぇ!?な、何よいきなり!」
「お姉ちゃん美人だから告白されたりするだろうし好きな人いないの?」

私たちと一緒に歩いてる人よ!なんてとても言えず、チラチラと不幸だ~と嘆いている上条を見てしまう。
それに気付いた佳茄は少し考えて

「もしかしてお兄ちゃん?」

と確信を突いてきた。

「な、なんでコイツなんかと!!」
「でもお兄ちゃんのことさっきからずっと見ていたでしょ?」
「だ、誰がコイツのこと意識して見るっての!?ただ近い距離にいるから自然と視界に入るだけで・・・」
「お姉ちゃん、顔赤いよ?」
「うっ・・・・・」

考えてみれば顔が熱い。上条のことになると隠し事ができない自分だと気付いているのでシラを切るのは無理だと思った。

「そ、そうよ。でも絶対に言わないでよ!」
「わかってるよお姉ちゃん。よかったら佳茄が協力してあげる」

協力すると言っても小学生の考えることだからどうせ「ねえ、お兄ちゃんはお姉ちゃんのこと好き?」と直接聞くのがオチだろうと美琴は考え、
逆にありがた迷惑で終わるだろうと予測する。

「大丈夫、佳茄がお姉ちゃんの恋のキューピットになってあげるから」

天使のような笑顔で美琴にだけ聞こえるように囁く。本当にキューピットになればいいのだが・・・


セブンスミストに到着し佳茄は早速洋服売り場へ向った。佳茄は美琴に協力すると言ったが特に行動をするわけでもなく
早速服を選ぶことに夢中になっていた。

佳茄はう~んと唸りながらお気に入りの服を探す。少し置いてけぼりの上条と美琴は佳茄の後ろに並んで立つ。

「御坂、お前も一緒に探してあげたら?こういう服とか好きなんだろ?俺聞かれてもよくわかんねえし」

上条はデリカシーの欠片もなく近くにあった少女向けの可愛い服(美琴のドストライク)をむんずと手にとって渡した。

「アンタねぇ、こういう服はもう少し大事に扱いなさいよ。あ!ほらアンタが乱暴に取ったからもうここシワになってるじゃない!!これ売り物なのよ!?わかってるの!?」
「ご、ごめんなさい・・・」

美琴からの説教によりシュンとなる上条。佳茄はその様子を見てアハハと笑っていたがふとあることを考え付いた。


「ねえお兄ちゃん、この服、佳茄に似合う?」
「ん?そうだなぁ~」
「正直に答えないとダメだからね!?」


いつの間にか選んだ服を肩に合わせて上条のほうを向いた。


「可愛いと思うけど・・・」
「アンタ、「けど」って単語必要ないでしょ?充分似合ってて可愛いじゃない!」
「いや、確かに似合って可愛いと思うのですが、何と言いますかこう・・・」
「何よ・・・」


上条はう~んの唸りだし言葉を捜そうと考え込む。


「そうだ!まだ小学生だからちょっと背伸びしすぎているように見えるんだその服だと。もう少し年齢に合った服装がいいというか」
「へえ、珍しくアンタにしては真面目な意見を言うじゃない・・・でも、言われてみると確かにちょっとまだ佳茄ちゃんには早く見えるかも」
「えぇ~、そんなことないよぅ~」


上条と美琴の意見に不服な顔をするがこれは佳茄の計画通り。佳茄が選んだ服はギャルが着て初めて似合いそうな派手目な柄のタンクトップ。
見た目純粋度100%な佳茄が着るとただの派手なファッションになってしまうだけだ。

「そうか~私にはまだ似合わないか~・・・あっ!!」

ここで佳茄が何か閃いた(演技だが)。


「お姉ちゃんこれ着てみない?」
「ふぇ???」


「佳茄にはまだ似合わないだろうけどお姉ちゃんは似合うんじゃないかな?」
「な、ななな、無理よ私は!私には少し派手だって!しかもサイズ違うし!」
「そんなことないよ~。お姉ちゃん美人なんだから。ね?お兄ちゃん?」
「んあ?」


ここでコイツにフリますか!?と美琴は佳茄の協力というものにノーマークだった。上条はというと・・・

「ふむ、確かに御坂の言う通り少し派手かもしれないけど俺は似合うと思うぞ?」
「んな・・・///」

アホな返事をしたかと思えば素で真面目に応えていた。


「まあ、それだけだと少し露出が多いからその上から何か羽織っても問題ないだろうし。待てよ?むしろ最近の女子は露出が多いファッションを好む傾向があるのか?」
「ちょ、ちょっとアンタ!ストップ!!」

慌てて美琴が上条を止める。

「アンタ正気!?っていうか珍しく真面目になってどうしたの?」
「失礼な。これでもない頭使って考えたんだぞ?それに御坂、お前はいつも制服だから違う服装だと印象が変わるかもしれないし」
「何よそれ!!私に見飽きたっていうの!?」
「いや、そうじゃなくてだな・・・」


佳茄はこのままでは拉致が明かないと思い二人を制止させるための一言を放つ。

「お姉ちゃん、試着は自由だから一回着てみようよ。ほらほら!!」
「え?ちょ、ちょっと待ってよ!!」

佳茄は自分が持っていた服を美琴に渡しグイグイと背中を押して試着室へ押し込んだ。


「じゃあお姉ちゃん、着替え終わるまでここを出ちゃダメだよ!?」
「えぇ!?こ、ここここれ!!・・・」


カーテンを強引に閉めて笑顔で佳茄は上条に聞いた。


「お兄ちゃん、楽しみだね?」
「ん?それより佳茄ちゃんの服決まったか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


どこまで行っても一筋縄では敵わないのが世界を救ったヒーローなのだ。


だが佳茄にとってはまだ上条が美琴の気持ちに気付いていなくても構わない。問題はこれからなのだ。
今までの様子を見る限り美琴は着替え終わって上条の前に立てば顔を赤くするに違いない。それを見た上条は
「熱でもあるのか?」とボケを飛ばすかもしれない。ここで自分が何か爆弾になるような言葉を放てばまだ
いくらでも進展はある!!・・・・と佳茄はこれまでの2人の様子を見てこう推測する。



シャーっとカーテンが開いた音が聞こえてきた。

「お、出てきたか」


先に上条が気付き試着室の前まで行ったが美琴が上条の存在に気付いた途端もの凄い速さでカーテンに隠れた。


「ば、バカ!!なんでアンタが見に来るのよ!!」
「なんでって・・・一応俺も試着終わるの待ってたんだし」
「む、無理!!こんなの見せられないって!!」
「ねーねーお姉ちゃん、佳茄はいいでしょ~?」
「え?う、うん。でもこっちに来て!!」

美琴は佳茄を試着室の中に入れ、カーテンをまた閉め上条から見えないように佳茄に「ど、どう?」と聞いた。

「お姉ちゃんすっごく可愛い!!」
「そ、そう?でもこれって佳茄ちゃんのサイズの服よ?ピチピチというかこれおへそ丸見え・・・」


美琴に渡した服は佳茄のサイズのため美琴には相当小さい。肩幅はかろうじて大丈夫だが丈が短くヘソが丸見え。
常盤台のミニスカにこの服の組み合わせだとこれからビーチにでも行くのかと尋ねられそうな感じ。

「ねえお兄ちゃんにも見せてあげようよ?」
「い、嫌だ!こんな格好見せたくないってば!」
「お兄ちゃ~ん!」お姉ちゃん可愛いでしょ~?」
「コラ!やめて!ぎゃあ!」


佳茄は美琴の抵抗を無視してカーテンを開けた。
目の前には上条が立っており、退屈そうな顔をしていたが・・・


「んなっ!!///」

美琴の格好を見た瞬間顔を真っ赤にした。
美琴は見られた恥ずかしさで体が硬直してしまい、体を隠そうにも隠せない。そんな隙だらけの美琴に佳茄は、

「ほら、ここの端っこをこうやって結ぶともっと可愛く見えるよ?」

キュッと丈の先っぽを結んで「ほらっ」と自慢するように上条へ披露した。
先を結んだことで美琴の腰のラインがまた強調され(しかも生肌)、まだ中学生である美琴のこれからの成長が期待せざるを得ない程の
スッとしたプロポーションに上条は驚きを隠せない。

(御坂のヤツってこんなに・・・・///)

「ちょっと!!さっきから何ジロジロ見てんのよ!!さっさと消えなさいよこのバカ!!」
「うわぁ!!す、スマン!!」


正気を取り戻した美琴から吼えられ、かなり慌てた上条。上条からすれば見惚れていましたなんて言えるわけがない。慌てて試着室から離れてどこかの角へ消えて行った。


「ったく、あの変態め・・・」
「違うよお姉ちゃん。お兄ちゃんは変態じゃなくてお姉ちゃんが可愛くて見惚れていたんだよ?」
「へっ?ウソ?そんなことあるわけ・・・」
「だってお兄ちゃんも顔が赤くなっていたもん」

美琴はパニックで上条がどんな表情をしていたか覚えていなかったが純粋100%(と思っている)の佳茄が言ってくるとなると
信用がどうしてもあがってしまう。


「ふ、ふ・・・」
「どう?お姉ちゃん嬉しい?」
「ふ・・・」
「お姉ちゃん?」
「ふにゃぁ///」
「わっ!!お姉ちゃん!?」

茹蛸のように顔を赤くしてその場にへたり込んだ。佳茄がいるので漏電しなかったことを美琴は自分で盛大に誉めて意識は朦朧としていった。






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