とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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匿名ユーザー

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― バレンタイン ―


 2月14日5時30分前、とある自販機前

 御坂美琴は上条との集合場所にすでに着いていた。
 彼女の元々の性格もあるが、待つことにより自分を落ち着けるため、そして何より寮にはあまりいたくなかったためである。
 寮にいたくない理由の一つとして、今日が日曜日であるのに関わらず、チョコを彼女の部屋まで訪ねて渡そうとする先輩後輩同学年の者達が後を絶たず、全くゆっくりできないこと。
 二つ目は彼女が一番うるさいと思っていた、それどころか、今日の約束を知っていたということでそれを止めようとするかとも思っていた黒子が昨日から様子が変で、部屋に居づらいこと。
 美琴が一番怖がった出発の時も、止めるとどころか『相手が上条さんなら大丈夫ですの……私のことは気にせず、今日は楽しんできてくださいな』とまで言ってきて、あまりの驚きに鳥肌がたつほどだった。
 上条が一体黒子に何をしてあそこまで言わせることができたのか、不思議で仕方ない。
 美琴はここについてからずっとそのようなことばかりを考えていた。

(45分か…アイツのことだし後30分くらいかな?)

 思考や精神統一を繰り返してかれこれ数十分。
 経験から上条が早く来るはずないと思った。
 大覇星祭を始めとする様々なイベントで尽く上条は遅刻してきている。
 理由はその時々によって違うが、共通点は彼の不幸が絡んでいることで、そのたびに彼は不幸だとぼやいていた。
 美琴としても流石にそこまで何回も遅刻され、不幸不幸と言われると期待するのが馬鹿馬鹿しくなってくる。
 それに今は、待つのはそれ程苦ではなかった。
 恐らく遅刻はするだろうが、それでもちゃんと会いに来てくれるからだ。
 後何分でくるか、来たら何て言ってやろうか、そして困った顔をしつつも最後には笑う彼を考えるだけでも幸せで、楽しい。
 今では待っている時間も、デート(?)の内だとも考えるようになってきている。

「おっす、待たせたみたいだな」
「!!??」

 美琴は背後からの声に驚き肩を大きく揺らす。
 彼女が振り返るとそこにはツンツン頭の少年、上条当麻が立っていた。
 美琴はすぐに腕時計で時間を確認する。
 時刻は4時50分、集合時間10分前。

「あ、アンタ、大丈夫…?まだ10分前よ…?」
「あのな、お前は俺を何だと思ってんだ?そりゃ今まで遅刻してたのは謝るけど、今日はやることないから補習終わったら荷物家に置いて真っ直ぐ来たんだよ」
「いつもの不幸は…?」
「はぁ?……おお、そういやなかったな。……ってことは今日の俺ついてる!?」

 不幸でないのが余程嬉しいのか、上条は声をあげてはしゃでいる。
 その上条を見て、美琴は色々と考えていた上条へのお叱りの言葉やその切り返しなどが無駄になったが、理由はどうあれ定時に来たことは素直に嬉しかった。
 待つ時間もいいが、やはり一緒にいれる時間が長いほうがいいに決まっている。

「んで、結局今日は何の用なんだ?」

 そこで上条が少し惚けたような、きょとんとした感じで問いかける。
 勿論、流石の上条は今日が何日で世間一般で何をする日で知られているかくらいは知っている。
 彼は薄々は感じつつも、普段の不幸とある理由からあまり意識はしないようにしている、それだけだ。
 それを聞いた美琴は顔真っ赤染め、彼を睨みつける。
 察しろと言わんばかりに。

「……ばか」

 美琴はそこから目を逸らし、ボソッと誰にも聞こえないように呟いた。

「は?」
「な、なんでもない!というか、それはそれとして、アンタはもうご飯食べた?」
「??いや、まだだけど…」

 頬を良い感じに染めた美琴が彼を見つめながら聞いたためか、照れたように上条は目線を逸らし、後頭部を掻く。
 だが今の彼女にとっては彼のそんな些細な動作でさえも愛おしい。
 それが表情にでたのか、美琴は微かに、そして柔らかく微笑む。

(……なんだか、今日の御坂、いつもと雰囲気が違うような…?)

「それじゃ、早いけどご飯食べに行きましょ。ゆっくり歩いてたら丁度いい時間になるだろうし、お腹も空くでしょ。……それに、話もしたいし…」

 ここ最近、美琴は上条と直接会って話をしていない。
 だからゆっくり上条と話したかった。
 彼女には積もる話もいっぱいある。
 今までの自分の生活の話、昨日の詳細、そしてこれからのこと。
 帰りに一番重要なことを言うことを見越せば、今から話しておかないと間に合わない程の量の。

「最後がよく聞き取れなかったのですがー?」
「!!と、とにかく、いいの!?悪いの!?」
「??いいけど、俺そんな金ないぞ」
「そんぐらい知ってるわよ。今日は付き合わせてるわけだから、私が奢ったげるわ」
「いや、流石に全額は上条さんの心が…」
「そういうことはまず貧乏から脱出してから言いなさい。それに私は全然気にしてないから。ほら、行くわよ」

 そう言って上条の手を取り、ゆっくりと歩を進める。
 不意にとった彼の手から伝わる熱が、感触が美琴の顔を赤く染め、震えあがらせるが、それは彼女にとって決して不快なものではなく、心地よいものとして受け入られ、彼女を幸せな気分で満たしていった。



 待ち合わせ場所を後にした二人は、話をしながらその付近の繁華街へ向かっている。
 そして目的地は討議の結果、いくら奢りでもお高い所は上条の心が痛むとのことで適当なファミレスとなった。
 始めこそはぎこちなかった二人も次第に緊張がほぐれ(主に美琴のだが)、今では会話に花を咲かせている。
 内容こそたわいもない話ではあったが、時折見せる美琴の笑顔に上条はどぎまぎしており、その度に会話を途切れさせる。
 だが、話を進めていたのは主に美琴だったため、彼女は彼の態度を多少なりとも気にしつつも、話を進めていく。

(やっぱり今日の御坂、いつもと雰囲気が違うな……なんか、隣にいれて安心する)

 上条がそう思える程に今日の美琴は素直で表情が柔らかく、優しい。
 理由は美琴が今日ある一つの決めごとを設定したからである。
 それは自分に素直に、かつ自然に振る舞うこと。
 少しでも彼に振り向いてほしい。
 少しでも彼に笑ってほしい。
 告白すると決心をしたからか、今日の彼女のその思いは特に強い。
 普段からこうしておけば、と彼女は内心後悔したが、それも段々どうでもよくなっていた。
 大事なのは今だから。
 どこか吹っ切れたような風にも見える彼女の雰囲気は、普段のそれとのギャップにより一層上条を惹きつける。

「あ、今見えてるあのファミレスでいいかな?」
「へ?……あ、あぁ、条件さえ守ってくれたらどこでもいいぞ。……というか、そもそも俺は奢ってもらうんだから文句言えない」
「そっか、じゃあそこに入りましょ」

 時間は5時半を過ぎた頃。
 時間はまだ早いがそこそこ距離を歩いてきたため、予想通り2人は丁度いい具合にお腹を空かしていた。
 また、時間も時間なため、彼らが入ったファミレスはまだ空席が目立っている。

「いっしゃませー。二名様ですね?こちらへどうぞ」

 客が入ってきたことに気づき、マニュアル化された動作で店員が確認をとり二人を席へ案内する。
 二人が案内された場所は店の奥の角で、彼らは向かい合って座った。

「ではご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」

 そう言うと、店員は丁寧にお辞儀をして去っていった。

「さあて何にしよっか…な!?」
「ん?」

 メニューをテーブルに開いた美琴がとてもお嬢様とは思えない声をあげ、動きを止める。
 不思議に思った上条が彼女の視線を追うと、そこにはこう書かれていた。

『当店だけのバレンタイン企画!
期間中、男女ペアの方達が5千円以上のお食事をしますと、もれなくケロヨン&ゲコ太ストラップをそれぞれプレゼント!』

 さらにその下にはそのゲコ太とケロヨンのサンプル写真が載っており、美琴はそれに目を奪われていた。

「まさかとは思うけど、お前もしかして…」
「食べるわよ」
「…は?」
「5千円分、食べるわよ」
「い、いやちょっとまて!お前、ここ選んだ理由忘れたのか!?しかも5千円ってかなりの量だろうが!!」

 そこのファミレスの一品料理は平均して600~700円でセットで高いものでも1500円は超えない。
 昔上条の家に居候していた銀髪シスターなら楽勝だろうが、普通の一般の男女2名で5千円は少々ハードルが高い。
 本当にプレゼントする気があるのかさえ疑問に思えてくる。

「ごちゃごちゃうるさい!!デザートでも何でも食べればいいでしょうが!…それに、お金のことはお金出すのは私なんだからアンタが気にすることじゃない」
「そんな甘いもんばっかり食えるか!……はぁ、不幸だ」

 一度こうなった美琴は絶対に自分の意見を曲げないのを上条は重々知っている。
 それでも彼は批判せずにはいられなかった。
 上条は店員に嬉々として注文し始めた彼女を横目に、これから自分に起こるであろう不幸を嘆いた。



 上条は重い体をテーブルに預け、ぐったりしていた。
 結論を言うと上条は食べた。ひたすら食べた。
 運ばれてきた料理は一応美琴の配慮が見られ、値段の割に量が少ないものやボリュームのないのものが多く、思っていたよりは苦戦はしなかった。
 だがあくまでも予想していたよりもの話であって、キツいことに変わりはない。
 頼んだ美琴の方も食べてはいたが、こちらは予想通りの量しか食べなかった。
 食べられないのなら残せばいいとも美琴は上条に言ったが、食べ物を粗末にできない彼は、貧乏学生のあってないような意地とプライドで完食した。

「うぅ…も、もう食えねー……」

 限界の腹を抱えてテーブルに突っ伏しながら上条は呻く。
 彼のそんな状態を見て責任を感じたのか美琴はドリンクバーから上条に飲み物を持ってきた。
 しかし、飲み物が目の前に持ってこられても今の彼にはそれすら厳しいのか、何の反応も示さない。

「そんなになるなら残せばよかったのに」
「馬鹿野郎…食べ物を粗末にする奴は…うぷっ……ば、罰があたるぞ。……大体、そもそもお前カエルなんか欲しいと思わなければ…」
「カエルなんかじゃない!!どうしてこんなに可愛いのに誰もわかってくれないのかなー、ねー?」

先ほど持ってこられたゲコ太とケロヨンのストラップを見つめながら、美琴悦に入った。

(そりゃ明らかに子供向けのキャラだからに決まってんだろ…!)

 上条はジトっとした目つきで美琴を睨むも、彼の心叫びは彼女には届かない。
 そんな彼の目線も気づかず今なお彼女はストラップにご執心であった。



 ―――しばらくして美琴が我に返ってようやくストラップを鞄にしまい、視線を前へ向けると、上条は満腹感からの眠気と補習疲れからか頭をテーブルにのせて寝入っていた。
 元々寝るのに適した体勢で突っ伏していたので、彼が寝たのは比較的早かったのだが、夢中だった美琴はもちろん気づいていなかった。

「おーい……って寝てるし…」

 寝かすような状況を作ったのは美琴なのだが、やはり自分を放って寝られるのは美琴としては面白くない。
 不満に思い上条の隣りの席へ腰掛けると、心地良さそうに寝ている上条の寝顔を覗き込む。

(へぇ、こいつの寝顔って案外かわいいのね……まつげとかはどうなんだろ…?)

 彼女は彼の寝顔を観察している内により細部を観察しようと、より顔を近づける。
 ただ今の顔の距離は数センチ。
 端から見ればキスしようとしている図に見えなくもない。
 だが当の美琴は集中して観察しているため気づかない。

(案外、まつげ長いのね…)

「…ぅぅん……」
「!!??」

 近すぎたのか、上条が身じろぐ。
 そのせいでかなり接近していた美琴は鼻と鼻がぶつかり、そこでようやく自分がどれだけ近づいていたのかを知る。

(な、な、なななんてとこでなんてことよ私は!!!)

 さらに我に返ってみると、視線が集まっていることにも気づく。
 今の時間はファミレスの利用が一番多いであろう時間帯。
 閑散としていた店内はいつの間にか客で埋め尽くされていた。
 彼らの席は角とは言え、隔離されているわけではなく、逆によく何かと見につく。
 なので客達は決して"見てた"のではなく"見えていた"のだが、彼らはそんなことはわからない。
 とは言っても、舌打ちなどをしていた客もいたのだが…

「…あ、あははは……ってほら早く起きなさいってば!!」
「ん~?もう食えねえよみこと……」
「ッ!?ね、寝ぼけてんじゃないわよ!!このバカァァ!!!」
「ん~食えねえっていってうぉぉぉおおお!!……て、てめぇ!いきなり人に電撃かますたぁどういう了見だ!!」
「アンタのせいじゃない!!」
「俺が何をした!?」

 理不尽に怒る美琴と理不尽に対して怒る上条。
 美琴としては単に恥ずかしさを紛らわせるためにオーバーリアクションをとっているのであって、夢に心地で寝てた上条にはいい迷惑だ。
 そうこうしている内に、口げんかから能力を交えた喧嘩へと発展していく。

「あ、あの~お客様。他のお客様のご迷惑になりますので、あまり騒がないでほしいのですが…」
「「あ…」」

 目を若干ひきつらせた店員が2人を制止する。
 どうこう言っている内にさらにヒートアップしていった彼らの喧嘩は、次第に店内全体の注目を浴びるほどまでに発展していた。
 電撃有り、無効有り、怒声有りの彼らの喧嘩はとにかく人の目を引く。
 そんな彼らの喧嘩を楽しむ者、迷惑そうに睨む者、彼らに向ける客達の目は様々ではあるが、とにかく注目されている。

「す、すいませんでしたーもういきますのでー……ほら御坂も!」
「え?あ、すいませんでした…」

 ぺこりと頭を下げると荷物をまとめて勘定を済ませると、2人はそそくさとファミレスを出て行った。



 ファミレスを出ると辺りはすっかり暗くなっており、時刻は8時を迎えようとしていた。

(……またやってしまったなぁ)

 美琴は先程喧嘩したことを後悔していた。
 あれは明らかに自分が悪いことなどは百も承知である。
 だが今彼女が心の底から後悔している理由は、そもそも今日は何のために上条と会っているのかにある。
 今日はバレンタインであり、彼女が上条に告白すると決めた日、そして少しでも彼に振り向いてもらおうと素直になると決めた日。
 そんな日にまた極めてつまらない理由で喧嘩をしてしまったことに、彼女は自己嫌悪に陥る。
 どうして彼の決意は厚く、強いのに、自分の決意はなんて薄く、脆いのだろうか。
 こんなことでは嫌われて当然だ。
 今は隣を歩いてくれているけど、本当はなんでこんな奴といないといけないのかと思っているに違いない。
 などと彼女の頭の中を負の感情が駆け巡る。
 美琴はチラッと鞄の中の今日渡す予定の物に目をやるが、昨日あれだけ幸せな気分にしてくれたこれでも良いイメージができなくなっていた。

(いくら恥ずかしかったからといってあれはないわよ……)

「……か?」

(はぁ…この性格どうにかならないのかなぁ……?)

「…おー…みさ………さか」

(もう告白してもダメなイメージしかできないよ……でも…そんなの、いや…)

「おい御坂!」
「え?」

 再三に渡る上条の呼び掛けに、ようやく美琴が反応する。
 美琴が上条の方を振り向くと彼は心配そうに美琴を見つめていた。

「お前、大丈夫か?顔色悪いぞ?なんか今にも泣きそうな顔だし…」
「……違う。…大丈夫」
「そうか?ならいいんだけど……上条さんとしては、お前にそんな顔されると楽しめないので、お前には笑っててほしいのですが」
「………え?」

 美琴には聞き間違いに聞こえた。
 いや、聞き間違いにしか聞こえなかった。
 あれだけ理不尽に怒って、頭まで下げさせてしまって、嫌いであろう自分がいる。
 その状況で今まで楽しめていた?
 聞き間違いでなければそういう意味合いなのだろう。
 しかし今の彼女には良いイメージが全くと言っていいほどできない。
 たとえ自分がどれだけ上条が好きであろうと、彼を愛していようと、彼が自分を想ってくれないのでは意味がない。
 彼女の中では上条は自分を好いてないとほぼ断定さえしている。
 その"自分を好いてないはず"の上条が自分と一緒にいて楽しめるはずがない。
 そう思っていた。
 だが―――。

「なんだそのありえないみたいな顔は?……一応言っておくけど、俺だって、今日のことは楽しみにしてたんだからな」
「本当…?」
「ああ本当だ。だからお前はそんな顔するな。さっきのことは気にしなくていいから」

 美琴は上条から発せられたその言葉でさえ初めは信じられなかった。
 彼女の予想のはるか上をいったからだ。
 しかし、彼の言葉には優しさが溢れていた。
 そこで美琴は思い出す。
 そうだった、コイツはこういうやつだった。
 いつもいつもその優しさ、信念で以て期待を裏切ってくれる。
 そんな彼が自分は好きだったのではないか。

「………ばか」

 思わず美琴の口から言葉がでてしまった。
 だがその言葉には相手を罵倒する意は含まれてはいない。
 むしろ好意に満ちた言葉だった。
 上条もそれはわかったらしい。
 いつも鈍感のクセにこういうことは無駄に鋭い。

「……と言うわけで、お口直しにせっかくだから何か買ってやるよ。飯も奢ってもらったしな。欲しいものあるか?」

 彼はいつだって優しい、優しすぎる。
 その優しさは美琴にのみ向けられるものではなく、万人に向けられるものであるということは彼女も知っている。
 だが今は確実に自分にのみ向いている。
 それが彼女にはとても嬉しく感じられた。
 決して物に釣られたわけではないが、ここは彼の好意に甘えることにした。
 自分の欲しいもの、考えた瞬間自分と同じ顔をした無表情の妹を思い出した。

「……ネックレス」
「ネックレス?ネックレスがいいのか?」
「………………それかゆびw」
「ネックレスだなようしわかったそれじゃどっか適当な店に行こうか」

 意図的に切ったのか、それとも天然なのか、どちらにしても美琴が2つ目の選択肢を与える前に上条が言葉を遮る。
 美琴がムーと頬を可愛らしく膨らませて怒っていますとアピールするが、本当に怒っているわけではない。
 それよりも上条が自分と会うことを楽しみにしていたという事実による嬉しさがまだ残っており、彼女の胸はいっぱいだった。
 さらに、彼が先程の事を怒っていないとは言っていても今度こそ同じ失敗を繰り返すわけにもいかない。
 その危機感も多少なりとも持っていた。
 上条は不思議そうに美琴を見つつも、次第に表情が笑顔に変わってゆくのを確認すると、迷わず最寄りの店を目指して歩を進めた。


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