穿つ流星9


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「ふん、敢えて私に挑むというのか……見逃してやろうと思ったものの」
「……」
「私もこのザマだが、お前も相当疲弊しているのだろう?」
その通りだ。弱体化してるとはいえ巨大な力を持つ者にたった一人で挑むのだ。その上、気絶しているカインを守りながら。
分の悪い戦いであるのは明白だ。
「どうやらお前達には計画性という言葉がほとんど存在せぬらしいな!」
どこにこんな力を残していたのだというような勢いの魔法がセシルへと向けられた。
「ぐ――」
慌てふためき、身を翻しカインの守る。
自分はまだ意識がある。だが、カインは未だ覚めぬまま。攻撃がくるという意識のないままの奇襲は百戦練磨の戦士と
いえども危険であることに変わりない。
自分よりもカインのダメージを抑えることが先決だ!
その判断は正しかったのか……?
「ふん他愛もない!」
今の直撃が響いた。動くことはできても戦う事は出来ない。
逃げる事ならできる。勿論一人でだが。それでは意味がない。
「とどめといこうか!」
しまったと思った時には遅かっただろう。
カインを一緒に連れてきた事、手負いのゴルベーザにとどめをさそうとした事、相手の力量を具体的に判断できなかった事。
何もかもが全て裏目にでてしまった。
「ここで止まるわけにはいかない……」
小声で囁くも体は言うことをきかない。未だ目的を果たしていないこの体を果てさせてはならない。
「ぐっ! 体が……!」
もはやどうにもならない。そう思い、セシルは半ば死を覚悟していた――その時だった。
「?」
「お前は一体……!」
突如ゴルベーザが悶え始めていた。
「…………」
今になって傷が疼き始めたのか? 否、それはないだろう。
ゴルベーザの悶え方はただの痛みではない。まるで何か他の者からの干渉を受けており、それに抵抗しているようだ。
「くっ……命拾いしたな! この勝負、一旦預けるぞ!」
そう言って、ふらふらとした足取りのまま、セシルから背を向けて歩き出した。
「敵に背を向けるってのか……」
敵大将とあるものが何を考えている? それ程にゴルベーザは錯乱しているのか?
ゴルベーザに止めをさすのなら今しかないのでは。困惑の中セシルはそのような判断を思いついたのだがそれは出来なかった……
そう<出来ない>のではなく<出来なかった>
先程の一撃で手負いの傷を負っている。無駄な体力の消費は避けたかった、テラ達がどうなっているのかも気がかりであった。
だが、この戦乱の片棒を担いだゴルベーザに対して憎しみが全く無いわけではない。
その黒幕が目先にいる。そして仕留めるにはまたとないチャンスである。
なのにセシルの体は動かなかった。体力的にも精神的にも決して動けなかったわけではないのに。
粉塵の支配する視界の中から消えゆくゴルベーザを見た――別のなにかと闘うであろうその様子――セシルは
ただ黙ってゴルベーザを見届ける事しか出来なかった。
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