穿つ流星14


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<俺は捨てられたのか――>
未だ混濁する意識の中、夢と現実の挟間の中の竜騎士の脳裏にはその言葉だけがよぎっていた。
<妥当な線だ。ならばこのまま沈みゆくのも悪くはない>
<本当にそれでいいのか?>
<ゴルベーザの奴に一泡吹かせてやるべきではないか。それにセシルやローザとも>
様々な悩みが交錯する。
一旦、悩みが消えると新しい悩みが頭に浮かび、その後に先程までの悩みが再びわきあがってくる。
悩みが幾重にも絡まり、頭を支配する。
<二人にどう会えばいい?>
自分の都合で二人をひいては自分と彼らの絆を傷つけてしまった。
カインには負い目があった。
<どうすればいい>
駆け巡る悩みのどれにも明確な答えを返せずにいた。
<やはりこのまま沈むのが最善といえるのか>
人が何をどうしていいのかわからなった時に陥るもの、思考放棄の選択肢がカインの心を支配しかけていた。
<――イン>
ふと自分の思考以外の何かが聞こえた。
<カ――ン>
カインは初めのうちは障害だと認識し、必死に耳から遠ざけようとした。
<カイン>
しかし、何度も繰り返されるそれがやがて自分の名を叫ぶものだということに気づいた。
<この声は――>
しだいに耳を傾けるうちにその声の主が誰なのかカインにはわかった。
<セシル――>
まだ自分を……こんな自分を呼び戻そうとするのか?
その声に答えるべきかどうかの躊躇いなどカインにはなかった。
自分を奈落の底から引き戻すようなその声に、あらゆる感情が後回しになった。
<セシル>
堕つる自分に差し伸べられた手を掴む。吉と出ようが凶と出ようが関係ない。
今はただ前だけ見ればいい。振り返る事などしたくはない。
その一心がカインを悩める檻から飛び出させた。
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