穿つ流星27


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「ふん正面から来るなんてね……」
愚かな行為だ。そうバルバリシアは言いたいのであろう。
「まずはセシル。お前から葬ってやろう!」
バルバリシアの周囲に漂う風刃が容赦なくセシルへと襲いかかる。
「ぐっ!」
痛みがセシルの全身へと走る。しかしここで倒れることは決してあってはならない。
傷を堪えながらも上空へとちらりと目をやる。周囲に巻き起こる風によって完全な視界を確保する事は出来てはいないが、
友の蒼き鎧の姿を朧げながら確認することが出来た。
<此処で倒れればカインも――>
高い上空で一撃の機会を伺っている竜騎士の攻撃が今戦略の骨子である。この作戦が成功しなければ、状況は防戦一方、
悪くなっていくばかりであろう。
仲間達を守り、常に楯となる。パラディンである自分に課せられた使命とでもいうのだろうか。
その気概がセシルを踏ん張らせた。
「しぶといね……」
バルバリシアの方にも少しだけ、疲れの色が見て取れた。
機は熟した。セシルはそう判断し、攻撃の手を増した。
勢いに任せて、更に力強く攻め込む。僅かであるが、此方の攻撃の勢いが相手に比べて勝しているように感じられた。
(今だ……カイン)
その声は当然聞こえなかったであろう。
だが……カインにも今が絶好の機会である事は充分に分かったのであろう。遥か上空、天駆ける騎士は急速に落下速度を
速めて、地上へと降下した。
「!」
バルバリシアは――自身の張った風の障壁を過信し過ぎていたのか、上空から勇猛と近付いてくる竜騎士の攻撃に
対して注意を払うことをしていなかった。
加速を付けた槍の斬撃がバルバリシアを縦に薙ぐ。確かな呻き声と共に、風の四天王を守る障壁が消えさる。
カインが着地した後、間を置かずに、バルバリシアへと槍の追撃をかける。
「セシル!」
「ああ!」
そしてカインの促しの一声と共にセシルも続けざまに剣閃を走らせる。
嘗てのバロンの誇る最強の二大闘士の連携と続けざまに放たれる攻撃は、四天王という立場である彼女にとっても無事で
すむものではない。
無論、彼女の方にも、風の障壁に対する絶対的な信頼と、相手が見知った者であるという事。二つの事実から生まれた油断
が背についていたのだろう。
「ぐぁ……」
人間を超越した程の美しき美貌を持つ彼女の顔は苦悶の表情に歪み、体から鮮血がほとぼしった。
「カイン……これで勝ったと思うな。私を倒してもルビカンテが……最後の四天王がいる! それにまずは此処から逃げ切る事
ができるかな……」
人であればとうの昔に息絶えているであるはずの傷を負った体でバルバリシアは苦し紛れに言葉を続けた。
だが強靭な四天王の体もそれで限界であった。
彼女の体は、ゆっくりと崩壊を始めていた。じきに完全に崩れ去るであろう。
「それがお前の結末か……」
カインはその様相を見て一言だけ呟いた。
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