終わりの始まり6


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実体験での経験というものは言葉で説明されただけでは絶対に分からないものが見えてくる。
幼い頃に誰もが聞かされた有り触れた講釈である。しかしあながち的外れな意見ではないだろう。
今現在のセシルは改めてその言葉を痛感した。
「これは?」
久し振りに乗った飛空挺の甲板から見下ろす地面は明らかな変化があった。
バロン国に周辺に広がる広大な平野。赤き翼隊長として眺めたその場所は、薄らと雲がかかった上空から見渡しても
見違う程はあり得ない新緑の緑一色の場所であった。
しかし、今のセシルが見下ろしている同場所はその様相を変えていた。視界を支配していた平野一面には幾つかの大きさの穴が
ぽつぽつと散見された。
緑一色の場所に混ざった茶色い穴の数々は、やや不吉な雰囲気を演出していた。
「儂らが帰還する途中から既にこの有り様であった」
ゾットからという意味であろう。つまりはあのゾットの一連が眼下での風景の原因である事は容易に想像できた。
(あの時、あの場所には今の世界で起こっている大事な事が全て起こっていた……)
何所か別の場所でそれ以上の何かがあったなど到底考えられない。
そう考えると、セシルにはすぐにでも原因が分かった。おそらくシドも既に分かっているのであろう。
「メテオ」
シドに聞こるかどうかわからない程の小さな声で呟いた。
「…………」
シドは無言であった。今のセシルの声が聞えていなかったのだろうか? 例え聞えていたとしても彼は無言を
貫いていたであろう。
復讐の為に己の命を全てかけた男――賢者テラ。彼が最期に唱えた最強の黒魔法メテオ。
その呪文はゴルベーザに深手を負わせた。それと同時に、地上の幾多もの場所を傷つけた……
結果がどうであれテラは後悔はしていない。彼は己の消滅の際にそう残した。
「それで、各地の被害はどうなってるの?」
「幸いにも人口が密集している場所に大きな被害は出ていない。ヤンの方からも特にこれといった報告は入ってない……」
ならばこの結果すらも受け入れたのだろうか?
そもそもテラはメテオの詠唱がこのような惨状を引き起こす事を知っていたのであろうか?
もし知らなかったら後悔したのだろうか? 知っていたとしたら、全て分かっていてメテオを行使したのか。
「ヤンもこの事を知った時は慌てておったぞ。一時国に帰ったのもファブールを心配しての事らしいからの」
いずれにせよテラに対しての数多くの質問の回答を得ることは不可能になってしまった。
「まあ大事に至らなくて本当に良かったわ、本当に……」
今セシル達に出来る事。少しでも状況を確認して、被害の様子を知る事しかなかった。
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