去りゆくもの 残されるもの5


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「え……ぐ」
「リディア! もういい!」
今にも泣き出しそうなリディアを慌てて宥め、その口を閉じさせる。
ここで何が行われていたのかを想像するのは容易い。それをわかってルゲイエはリディアに尋ねたのだ。
「あなたって人はっ!」
セシルも怒ったような言葉を向ける。
「あなたもわたしに説教ですか~? やはり私の考えを理解するのは一般人共には無理があるということですかね~」
相次ぐ非難が頭に来たのかどうか知らないが、ルゲイエは急に多弁になった。
「この人たちの事か……これがあなたの結果なのか。ならば教えるんだ。一体ここで何をやっているんだ」
正直、あまり聞きたくはなかったが。これが奴の、ゴルベーザのやりくちなのか確認したかった。
「ふん、それはゴルベーザ様の計画の手助けとしてやったものだ。人と魔物を融合させて、より一層強力で命令に忠実な
手駒をつくるのだ。人間の知恵と魔物の力を兼ね揃えた最強の兵士となるだろう」
「命令されたからやったのか? なら誰がそれを提唱した?」
怒りの気持ちを抑えつつ、疑問点を口に出す。下手に出て怒らせてしまったら、聞き出せなくなる。
それにこのルゲイエという男、怒らせてしまうと何をするのか分からない気がした。
「ああ、考えついたのは私ですね。それをあの御方、ゴルベーザ様に進言したところ、特に止められる事も無かったから勝手に
実行に移させてもらったのですよ」
「やはりあなた自身が……」
間違いない。この男が興味を持ってやった所業だという事だ。
「くそっ! まさかルゲイエ。お前がこんな奴だったとは思わなかったぞ!」
カインが怒りの言葉を再度口にする。
「目的の為には手段を選ばないとでも? それは残念。カイン君、あなたとは似たもの同士と思っていたのですけどね~」
「黙れ! この狂人め!」
「うへへへへーーーーああ~~有難う、アリガトウ!!! 最高の褒め言葉だよ!!!!」
激昂したカインの非難はルゲイエを怒らせるどころか逆に喜ばせているようであった。
「お前は生かしておけん! ここで打ち倒させてもらう!」
「おおっと! 力にものを言わせるのですか!? 悪いとは言いませんが、今のところ私はあなた方と戦うつもりは毛頭ありません
やるべき事がありますからね、それでは――」
踵を返し、部屋から退出しようとするルゲイエ。カインは慌てて追いかけようとした、セシルも同じだ。逃がすつもりはなかった。
だが、その前にルゲイエを引きとめる声が一つ。
「どうしてですか……」
それは怒りも悲しみも含まない声であった。
「どうしてあなたがここにいるんですか?」
消え入りそうな声は必死に音量を絞り出していた。
「おや~やっぱりいたんですか~無視されてるのかと思いましたよ~ローザ君?」
ルゲイエも足を止めて、セシル達の方向へと振り返り直した。
「久し振りです、ルゲイエせんせい」

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