去りゆくもの 残されるもの15


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「セシル」
宙を舞うセシルの眼下に聞きなれた声がした。
カインだ。どうやら追いついたようだ。
「セシル……」
ローザの声だ。顔は蒼白としている。先ほどのルゲイエの時と違い、単純に今この場で起こっている事が
信じられない、何が起こっているのか分からないといった様子だ。
「大丈夫?」
リディアが泣きそうな顔で心配してくる。
声にはでないが。大丈夫であろう。
ヤンも自分を倒すつもりで蹴り飛ばしたのではない。できるだけ遠くへと避難させようとしたのだ。
このまま行けば適当な壁にぶつかって不時着するだろう。
当然ながら痛みはあるだろうが大した事はないだろう。少し打ち身ができるくらいだ。
すぐにでも体をひきずってこの場所を離れなければ。
そう思っていた矢先、自分の体が停止した。だが不思議と痛みはない。
「…………」
不思議に思って辺りを見回す。
「カイン……君が」
見ると壁へとぶつかって不時着する寸前にカインが自分の体を受け止めてくれたようであった。
「すまない」
目の前の友の優しさが今は急に嬉しくなった。
「気にするな。それよりどういう事だ?」
そう言って制御室を顎先で指す。
「ようやく到着したと思えば、この有様だ。いきなり制御室からお前が飛び出してきた時は驚いたぞ」
「すまない……」
「少しは自分を気遣え、お前だけの体ではないんだぞ」
「ああ……」
ローザを心配させてしまった。それに折角ヤンが一人で犠牲になろうとしたのだ。
「ねえヤンは?」
リディアが違和感を感じたのだろう口に出す。
「制御室にはヤンもいるのよね?」
そこまで言ってその言葉がおかしいことに気づいたのだろう。
「まさか……」
制御室は黒煙だけに止まらず、既に火が燃え広がっているようであった。
「もうすぐ爆発する……ここも安全ではないだろう」
「そんな……」
説明は十分のようであった。
「作戦は無事成功した……一時報告の為、陽動部隊との合流地点に向かう……」

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