ff6 - 26 figaro


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「いかがだったかな? 私の城は」
 フィガロ城、謁見の間へ戻ってきたティナを出迎えたのは国王エドガーの優美な
笑顔であった。問いかけながら微笑むエドガーの表情は柔らかく、ティナはつられる
ようにして首を縦に動かした。
 ティナが口を開こうとした時、背後から聞こえてきた兵士の声が彼女の言葉を遮った。
「エドガー様! 帝国の者が……」
 恭しく頭を下げ、状況を告げた兵士の声に、エドガーの表情から笑顔が消える。
「ケフカか!」
 そんなエドガーの言葉に、ティナは心の中に小さな痛みを覚えたのだった。
 ――その名前を、どこかで……?
 不安に表情を固くするティナの肩に優しく手を置いたのはエドガーだった。自分の肩に
置かれた手に気づいて顔を上げ、見上げた先にあったフィガロ国王は相変わらず柔らかな
笑みを浮かべている。
「ティナはここで待ってて」
 いつからいたのか、隣にはロックの姿がある。ふたりは幾つか言葉を交わしながら、大きな
扉の向こうへと消えていった。

身の丈よりもはるかに大きな扉が閉められると、城内は驚くほど静かだった。
 そんな静まり返った城内で、思い出されるのは今し方聞いたばかりの言葉。ティナの脳裏に
こびりついて離れない、忌まわしい記憶の欠片。

 ――帝国。ケフカ。……魔導。

 その言葉を聞くと胸騒ぎがして、頭が痛くなる。
 あのナルシェの雪原で、私を追っていた男達は……。

『帝国の兵士だぞ!』

 ――そう、私は帝国の兵士だった。

 記憶をなくし、たった一人で放り出された薄暗い洞窟。
 私を追ってくるナルシェのガード達。
 向かってくるモンスターに、無意識のうちにも振り下ろしたナイフ。
 モンスターの断末魔を聞けば、洞窟内に押し寄せる静寂。
 名前以外のなにもかもが、未だ霧に包まれたようにぼんやりとしている。
 けれど。

 ――私は……。

 確実に覚えている。
 命の、奪い方を。 


 ティナは堅く閉ざされた扉を開こうと手を伸ばした。ここにいてはダメだと
強い焦燥感が少女を駆り立てる。
「……お待ち下さい」
 背後で聞こえるその言葉にも、構うことはなかった。
 しかしどんなに押しても扉はびくともしない。それでも必死で押し開けようと、
ティナは渾身の力を込めて扉を押し続けた。
「……どうか落ち着いて。今あなたが外へ出て行く必要はありません」
 静かに告げながら、ティナの腕をつかんだ。不意のことに驚いて顔を向けると、
それはついさっき、案内役を買って出たあの衛兵の一人だと気づく。
「王と、ロック様をお待ちしましょう」
 そう言ってさりげなくティナの前に立ちはだかると、扉への道をふさぐ。
 彼もまた、柔らかな表情を向けていた。
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