二節 剛の王国8


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「退け!城にはいれ!」
城壁から跳ぶ様に下りながら、セシルが退却を命令する。
頭上からは聞きなれたプロペラ音と、無数の砲弾が降ってくる。
赤い翼がとうとう現れたのだ。
編隊を組んで上空を旋回する飛空艇の一段は、
船腹に装備された六門の対地カノン砲を乱射し、敵味方の区別無く地上にいる者達を容赦無く薙ぎ払う。
頑強な石材で作られたファブールの城は爆撃に耐え抜いたが、その外で戦う兵たちはそうはいかない。
背を向けて一目散に退いて行くものもいたし、一歩一歩後ずさりしながら戦いつづける者もいた。
飛空艇が現れたらすぐに城内まで退くする手筈だったが、乱戦状態だったために退却が遅れたのだ。
途中三度ほど、後方に向かって暗黒の刃を放ったが、焼石に水だった。
間に合わない…!
閉まり始めている城の門へと走っていたセシルは、背後から追いすがってくる敵の気配を感じながら、そう呟いた。
が、その呟きの直後、予期しなかった音が辺りに響いた。
それは飛空艇の出す爆音でも、敵兵の挙げる雄叫びでもなく、開戦のときに聞いた、あの合図用の角笛の音だった。
セシルが驚いて音の本を探すと、それは今自分が目指している門に立っていた。
ギルバートだ。ギルバートが、何処からか拾った角笛を思いきり吹いていたのだった。

「速く!セシル、速く中へ!」
門の辺りに立ち、脇を通り過ぎるモンク達を見送りながら、ギルバートが叫ぶ。
彼の背中の竪琴は、その音色を戦場の怒号にかき消されてほとんど威力を発揮しなかった。
その代わりにと、落ちていた角笛を拾っていたのだ。
そしてその角笛を使ってみたわけだが、思ったより効果はあった。
迫り来る敵がその轟音に怯み、僅かにではあるが動きを止めたのだ。
そしてその隙にセシルや見方のモンク僧が門に逃げ延び、最後にセシルが城内に入ると同時に、門が閉じられた。
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