クリスタルルームの巨大な扉は、無惨に破壊されていた。震えながらも、彼女はおそる
おそる扉に手をかけた。
その瞬間、ローザはひどい悪寒に包まれた。
(────この扉を開けてはいけない!!)
彼女の直感が泣き叫び、悲鳴を上げていた。いますぐその場から逃げ出してしまいたかった。彼女は、無意識のうちにそっと手を引こうとしていた。
(ローザ!)
ぴく、とローザは顔を上げた。セシルの声が聞こえたような気がした。
そうだ、もしもこの中にセシルがいるなら・・。もしも、本当にギルバートの言う
ように深く傷ついているのだとしたら。ローザの手に、ゆっくりと力が戻ってきた。
ごくりと固唾をのみ、ローザは残骸となった扉を思い切り押し破った。
最終更新:2007年12月12日 04:12