三節 Two of us17


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 やがて決意したようにローザはそっと立ち上がると、ゆっくりとカインに歩み寄って
いった。慌てて止めに入るヤンを制して、踞る友の側に膝をつく。そして、彼女は震える
カインの背にそっと手をかけようとした。
 そのとき、コツリ、と床を踏みしめる音が響いた。

 固く、乾ききったその音は気味が悪いほどよく響きわたり、その場の全員が言葉を
発することも出来ぬまま、ただその主が訪れるのを待っていた。
 開かれた扉を、一点に見つめたまま。
 やがて、どす黒い影と、凍り付くような空気を纏ってその男は現れた。

「何を血迷っているのだ・・カイン」

 カインの震えが止まった。彼の言葉を待たずして、皆はその男の正体を悟っていた。 


「ゴルベーザ・・様・・」


「ゴルベーザ・・!」
 長身のヤンよりもさらに二回り以上もあるその男は、巨大な黒塗りの甲冑を身に着けて
いた。扉の近くにいたギルバートが、まるで子供のようにすら見える。後ずさりながら、
なんとかギルバートが声を絞り出すと、男はまるで彼がそこにいたことに初めて気づいた
かのように、白々しく声をかけた。
「これはこれは、お久しぶりですなギルバート王子。それにそちらは、モンク隊曹長の
ヤン殿と御見受けしますが・・、お会いできて光栄の至りですな」
 そうして、ゴルベーザはひどく慇懃に礼をした。あまりに冷静なその立ち振る舞いに、
ギルバートもヤンも、ただその場に立ち尽くし、気をのまれてしまう。
 しかし頭を上げた男の言葉は、冷酷そのものだった。
「てっきり既に始末してあったものと思っておりましたが・・。
 このようなところでお会いするとは、いやはやお互い部下には恵まれぬようですな」
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