三節 Two of us21


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「セシル・・?」
 懸命に身体を起こしながら、自分に呼びかけるセシルをローザは愕然と見つめた。
(どうしてあなたが・・そんなことをいうの?
 この人はカインなのよ。なぜカインを信じてあげられないの?
 どうしてあなたまでもが、わかってくれないの!) 
 熱を帯びた瞳から、彼女の想いが流れ込んでくる。
 だが、残念ながら彼女の願いとは裏腹に、状況を少しでも理解していたのはセシルの
方だった。事実、ローザの眼前にいるカインの拳はギリギリとうち震え、今にも彼女に
襲いかかろうとしていたのだから。
 ローザは冷静さを失っている。今のカインがどれほど危険か、わからないほどに。
「下がるんだ・・ローザッ!」
 セシルは再び、強く叫んだ。そして渾身の力を振り絞って、自分を貫いていた槍を自ら
引き抜くと、それを支えにして立ち上がった。カインに放った暗黒波の反動で、腕が
引き裂かれるように痛んだ。さらに、癒しの力で塞がりかけていた傷口が再び口を開け、
おびただしい量の鮮血が溢れ出し、彼の足下に溜まりをつくっていた。側に控えていた
リディアは、その出血を目の当たりにしてなお気丈にも意識を保ったが、小さな顔は既に
色を失っており、自分にふりかかるセシルの血をぬぐうこともできず、がたがたとすくみ
上がっていた。
「ローザ・・下がってくれ」
 血にまみれたセシルの剣幕に押され、ローザは身を引こうとした。ところがその直後、
ローザの瞳は驚愕に染まった。その瞳が見つめる先には・・、
「・・その傷で立ち上がるとは、よほどこの女が大事なようだな?」

「やめっ・・」
 感づいたセシルが叫びかけたときは、もう遅かった。ゴルベーザの手から放たれた
黒い球体のような魔力がローザを包みこみ、ローザは戦慄の表情のまま、力なく倒れた。
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