一節 闇と霧の邂逅4


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「カイン、こっちであってるのかな?」
「さあな。なにせこう霧が深いとな…」
不安げに口を開いたのはセシルであった。
それに答えるカインの口調もまた少し不安げであった。
なにしろ、同じところをぐるぐると回っているような感覚が二人の間にはあった。
視界すら頼りにならぬ状況である今、セシルたちは己の感覚を信じるより他なく、
ただどこからか感じる大きな気配にむかってひたすら歩くのみなのだ。
そのような不安が二人に影を落としてしばらく、代わり映えのない呆れるほど真っ白な光景に変化がおとずれた。
二人はあたりにびりびりと凄まじい殺気を感じ、思わず足をとめて辺りの様子を窺ったが、
霧はただ深まるばかりで何もわからず、いや、霧の深まりを感じ取り、身を強張らせて剣と槍を構えた。

「すぐに立ち去りなさい」

それは入り口付近で聞いた声と同じであったが、語気は鋭くなっており、なによりも周囲の空気が違っていた。
しかし、その声のあとは再び静寂が二人を包み、張り詰めていた空気も穴があいたように和らいだ。
「幻獣、じゃないか?今の声は…」
カインがいうと、セシルは「そうかもしれない」といい、眉間に皺をよせて再度足を前に踏み出した。

「やはりいくのか?」
「…そのためにきたんだ」
「そうだな…。しかし、嫌な予感がするぜ」
自分たちが感じていた大きな気配に何かしら推測がつき、自分たちの進む方向に確信を持ち始めたが、
それと同時にまた別の憂色が二人の顔に漂い始めたように見えたが、それはさらに深くなった霧の所為によるものだろうか。
心臓の鼓動が高まってきた。きっと出口がすぐそこにあるのだろう。
しかし、この鼓動はなんだというのだ?
そのとき、あの声が聞こえた。
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