バッツとファリスの押し問答が続いている中、ガラフが切り出した。
「もういいじゃろう?ファリス…」
ガラフが優しくファリスに問い掛ける。バッツは一体何のことか分からない。
ファリスは目を合わそうとしない。バッツは不思議そうにファリスを見る。
「何言ってんだ?ガラフ?」
「ああ、バッツ…これはわしの勘じゃがな…」
ガラフはゆっくりとした調子で静かに語る。
「ファリスは、多分…」
「女じゃ」
「ええええぇえぇぇぇえええぇぇぇぇええぇぇえっっ!!!!!」
バッツが今までに無いぐらい驚く。
それも当然の事だ。ファリスは男だと思っていたからだ。
「どうしたの?」
服を乾かし終えたレナも戻ってきた。
当の本人はさっきからずっと一点を見つめ、動かない。
「自分の口から話してくれ…どうしてお主がそんな風になったのかは、わしにも分からん」
ガラフは相変わらず優しい口調だ。
暫く間をおいてファリスが話し始めた…
「確かに、俺は女だ。でも小さい頃海賊に拾われたから、男のフリをしてたんだ…」
「なんでまた?」
「だって、海賊は男の世界だ。いくら拾われたとは言え女じゃ、馬鹿にされるに決まってるからな…」
ファリスは初めて自分を語りだした。
「(今まで素っ気無い風だったのは、隠し事があったから…?)」
レナはそう思った。それとも、本当の性格なのか。それは、これから分かる事。
「ま、まぁ別にいいよ、どっちでもさぁ。ファリスがファリスである事に変わりないだろう?」
かなりの驚きを見せたバッツが慌ててフォローの言葉をファリスにかける。
「でもなあ!女だからって馬鹿にすんなよ!」
「大丈夫だって。女だからって馬鹿にすること事態無いよ」
バッツはフォローの言葉を続ける。
「よし、もう寝るぞ!」
そう言ってファリスは部屋の隅にあるベットに寝転んだ。
「でもさ、ガラフは何でファリスが女って分かったんだ?」
バッツがファリスに聞こえないように小さく話す。
「よく考えてみぃ。今までの事を」
「今までの事?」
「そうじゃ。トゥールで酒場に居るファリスに情報を伝えようとしたら…」
「そう言えば…」
バッツは思い当たる節があった。あの時ときめいた女性はファリスだったと言う事だ。
「それに、運河の魔物は女しか狙わないと言う情報もあったしのう…」
「え?そんな情報あったっけ?」
やはり、バッツはすっかり忘れていた。そのことにガラフは少々呆れ気味だった。
最終更新:2007年12月13日 03:44