一節 航海8


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 セシルはうなずいた。
 先に口にしたように、海上の監視は手薄なため上陸自体は容易くとも、城はそうはいかない。
なんの手だても無く城内に侵入できるほどバロンの警備が甘くないことはよく知っている。
 なんらかの "アテ" が必要である。セシルはそれを話しだした。
「ギルバートにはもう話したんだが・・、飛空艇技師のシドを頼ろうと思う。彼なら飛空艇に
精通しているし、今の王のやり方にも反感を持っているはずだ。きっと力になってくれると思う」
「なるほど、それは心強い。・・だが、その御仁が無事であれば良いのだが」
「心配ないさ。飛空艇の原理を理解しているのは事実上、彼だけだ。今のバロンには必要な人間
ということだよ。それに・・そんなにヤワな男でもない」
 セシルはシドの高らかな笑い声を思い出して、懐かしさに顔をほころばせた。だが、言葉とは
裏腹に、やはり彼の安否を気遣う思いは拭いきれなかった。
 いまなお彼が独房に押し込まれていることなど、セシルは知らない。

 そのとき、ふいに波の音がやんだ。
 ゆったりとした揺れが止まり、船は全く静止してしまったようだった。
「・・・?」
「・・着いた、のか?」
「いや、そんなはずは・・」
 訝しげにセシルが立ち上がった直後、

 ────ザバアアアァッッッ!!!!

「キャアッ!」
 けたたましい波の音とともに大きな震動が船を襲い、船室の壁に叩き付けられた。
 すぐさま甲板から騒がしい声が聞こえ始める。
「いったい何が!?」
「ヤン、外だ! リディア、君は残れ!」
「いやよ!」
 やはり言うことを聞いてはくれない。だが今は状況を確かめることが先決だった。構わず
部屋を走りでると、セシル達は甲板へと急いだ。そして、彼らは息をのんだ。
 広がる大海の上に、我が目を疑いたくなるような光景が待ち構えていた。
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