一節 航海16


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「・・ブホッ、ゲホ!」
「セシルッ、無事か!!」
 水圧によって痛烈に船室の壁に叩き付けられ、軽い失神に陥っていたセシルは目を開けた。
 呼びかけてきた船長をはじめ、どこかしこにずぶ濡れの船員たちの姿がある。しかし、
その数は先ほどの半数近くにまで減っていた。
(────リディアは!?)
 頭に木霊する少女の叫び声。顔を上げると、セシルはすぐさま船のへりに身を乗り出して、
海面に目を走らせた。海に浮かぶ人々の中に、懸命に彼女の姿を求める。
「あそこだ!」
 いつのまにか横で彼女を捜していたヤンが、海面の一端を指差し声を上げた。緑の髪を水に
ゆらめかせながら、リディアが漂っていた。どうやら気を失っているらしい彼女は、やがて
彼らの見る中で暗い海の中に消えていった。
「リディア!!」
 すぐさまヤンが水面に飛び込む。セシルも続こうとへりに足をかけるが、その途端、打ちつけた
背中に激痛が走り、倒れ込んだ。
「うっ!」
「だ・・だめだ、セシル。その身体で、鎧を着たままじゃ、き・・君の方がもたない」
 ギルバートが苦しげにセシルを引き止める。不甲斐なく、打ち震えながらセシルが海をにらみ
つけていると、リヴァイアサンが大きく雄叫びを上げた。そのの喚び声とともに再び白い大渦が
巻き起こり、海神は水中深くに潜っていった。
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