二節 試練13


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「・・・・・はい」
 拒否など許されない。その声の圧力にジェシーがうなずくのを確認すると、長老はうずくまる
暗黒騎士をチラリと一瞥してから、静かに神殿へと戻っていった。
「・・・」
 ジェシーは無表情でセシルに手を差し伸べる。
「いや・・大丈夫だ。・・すまない」
 手を借りたいのが本心であったが、セシルはそれを断った。自分などのためにこの女性の手を
わずらわせたくはなかった。
 彼女はそれをどう思ったのか、フンと鼻を鳴らすと先に進みだした。一度だけ後ろを振り向き、
セシルがついてきている事を確認すると、あとはもう振り返りもせずに歩き続けた。
 セシルもおぼつかない足取りで、その後に続いた。



 魔法大国ミシディア。
 その偉大な歴史は、国の中心に位置する巨大な神殿に始まる。
 かつて、その才が災いしてか人々の恐れを買い、国を追われた賢人たちがあった。
 この地を訪れた彼らは、その知をもって神殿を築き、さらなる学の発展に没頭し続けた。 
 やがて、同じように住処を失った人々が次々とたどり着き、彼らは賢人たちに教えを乞い、
神殿の周りに住居を築いた。集落は徐々に繁栄してゆき、やがては村から街へ、ついには国家へと
その姿を変えていったのだ。
 ミシディアは人を拒まない。故郷を追われた放浪者の血を持つ彼らは、それがいかなる者で
あろうとも、必ず来訪者を受け入れるようとする。だからこそ、来客の目に、必ず始めに神殿が
映るように街は造られている。心のよりどころを失った者たちに安息を与えんがために。

 そして、今また神殿は一人の放浪者を迎える。
 セシルは歴史の中に足を踏み入れようとしていた。
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