FF7AC Suffering and Insanity2


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 精神と肉体が完全に回復すると、彼は開いたばかりの目で辺りを見回した。
 口で空気を吸い込み、耳に吹き降ろす風の音を受ける。
 手で。足で。肌で。体に備えられた全ての感覚を使って周囲の状況を探った。
 そこは巨大なクレーターの中だった。あたりには白く薄い靄が充満し、白っぽい岩でゆるやかな坂が形成されている。
 もっとよく辺りを見ようと地面に手をつき、ゆっくりと体を起こした時、すぐ近くからなにかの悲鳴が聞こえてきた。
 その悲鳴のあまりの大きさに驚き、背後を振り返る。
 そこには、彼によく似た姿をした生命が二つ、叫び声を上げながら地面をのたうち回っていた。
 両手で顔を覆い、大きすぎる体をふりまわしてもがいている。一部の筋肉が痙攣を起こしている。
 僕の兄弟だ、と彼は思った。さっきの僕と同じ苦しみを与えられてるんだ。
 ふたりは助けて、助けてと叫び続けていた。。野太く、しかし甲高い悲鳴。聞くに堪えない悲鳴。
 彼は愕然として、よろよろとふたりのそばに歩み寄った。
 そこにあるのは苦痛だけだった。苦しみだけがそこにある全てを支配していた。
 彼はふたりのそばに座りこみ、ふたりが苦痛に悶えるのをただ見下ろすことしかできなかった。 

 そのうち、ふたりに変化が訪れた。
 悲鳴がみるみるうちに収まり、がむしゃらに暴れまわっていた体が落ち着きを取り戻していく。
 彼は彼のときと同じように、母が助けに来たのだとわかった。
 ―――どうして?母さん―――
 彼は無意識のうちに呟いた。
 ―――どうして、こんなに、苦しむの?―――
 そんな彼に答えるように、彼の思考は急速にまとまっていく。
 ―――僕たちの、この苦しみ―――
 まるで誘導されるかのように結論が出る。
 ―――それは、この星のせいだ―――

 やがてふたりが苦痛から開放され、完全に覚醒したたとき、彼はふたりに言った。
 行こう、と。

 一緒に母さんのところへ行こう。家族で力を合わせて、星に仕返しするんだ。
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