「クラウド!」
マリンは叫んでクラウドに駆け寄り、抱きついてきた。クラウドはとっさにその頭に手を添えた。
いろいろなものを目の当たりにされて、さぞ怖かっただろうに。クラウドはもう一度自分を罵ると、マリンの頭を撫でてやった。
「クラウド!デンゼルが!ティファが!」
顔を上げ、涙の溜まった目で訴えてくる。クラウドはつとめて落ち着いた声で「ティファは大丈夫だ」と教えた。
「ティファと話したい!」
不安げな声でそう言ってくる。クラウドは携帯を貸してやろうと、ポケットに手を入れた。が。
ない。
ズボンのポケットに入れておいたはずの携帯電話がなくなっている。戦闘のときに落としてしまったのだろうか。
クラウドがぐずぐずしているのを見て、マリンはヴィンセントに向かって「持ってる?」と聞いた。
ヴィンセントは無言で首を振った。
マリンはまた不安げな目をクラウドに向ける。
クラウドはそんなマリンから一旦目をそらし、ヴィンセントを見た。
「ヴィンセント、マリンをエッジの店まで送ってくれないか?」
「…お前は?」
「俺は神羅の連中の話を「賛成しかねる」
言葉を途中でさえぎられ、クラウドは面食らった。とっさに言葉が浮かばず、「でも…」と言いかけたところで、今度はマリンに遮られた。
「クラウドはもういい!!」
突然クラウドから突き飛ばすようにして離れ、マリンはあらん限りの叫び声を上げた。
「どうして私たちの話は聞いてくれないの!?」
子供特有の甲高さを伴った、しかし憤りと悲しみが混じった感情がむきだしにされた叫び声だった。
マリンはそれだけ言い放つと、ヴィンセントのほうへ駆け寄っていき、ヴィンセントはマントを広げてその中に少女を隠してしまった。
最終更新:2007年12月13日 07:27