三節 光を求めて2


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 昨夜のこと。
リディアを抱き締めながら、セシルはなんとか彼女を元気づける手段を考えていた。
しかし、どんな慰めの言葉があると言うのだ。考えれば考えるほど、彼女の境遇はあまりにも不憫だった。
「大丈夫?」
「………うん」
「もう寝た方がいい。僕が見張っているから安心して」
「………うん」
彼女はまだなにか言いたげだった。だが、彼はそれを聞くのがなぜだか怖かった。
そっと体を離すと、リディアに向って微笑んだ。
「さっきもいったけど、君のために、僕にできる限りの事をさせてほしい」
「………うん」
リディアの背中を撫でていると、ふと、ミストでの騒動や砂漠を歩いてきたせいだろうか、
彼女の服のあちこちが擦り切れているのに気付いた。
「とりあえず、まずは君に服をプレゼントする」
「………うん」
「おやすみ」
オヤスミ、と聞き取れないような小さな声で呟き、リディアは布団をかぶった。
さいごの「うん」にかすかに明るさを感じとれて、セシルはほんの少しだけ救われたような気がした。

 ところが翌朝、
「おにいちゃん、おそいよー!」
食堂に行くと、驚いたことにリディアがとっくに食事を済ませて騒いでいた。
それも、”かすかに”どころかとびきりの明るい笑顔をふりまいている。
旅館の主人も、昨日の今日での彼女の回復ぶりに目を丸くしていた。
「早く済ませて、買い物してくれるんでしょ!」
セシルが昨夜誓ったことをおぼろげに後悔しだしたのはこの時である。
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