四節 Eternal Melody10


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「誰か……誰か居ないか!?」
トロイア城のベッドの上で、ギルバートは精一杯の声を上げた。
「はっ、はい!
 な、なな、なんでございましょう?」
意外に早く、なぜか扉の影から現れた見慣れぬ顔の侍女に疑問を抱くこともなく、用を言いつける。
「大神官様……それと、楽司様に伝えてくれ!
 ギルバートが、至急お目通りを願う、と!」
「はい、ただいま!」
勢い良く駆け出した侍女を見送ることもせず、ギルバートは手元に視線を向けた。
「この国の巫女たちが奏でる音楽は、悪しき妖精を鎮める力があるそうなんだ。
 それが本当なら」
『この草を通して、力を借りられる?』
『そういうことか!
 お手柄じゃな!』
彼の思い付きをセシルたちに説明する。ヒソヒ草の向こうからも、良い反応が返ってきた。
何かの力になれれば、と渡した品が、希望の鍵となるかもしれない。ギルバートの心は浮き立ち、明るい予感で満たされた。
程なくして、息を切らしたさっきの侍女が、二人の女性を連れて戻ってくる。
トロイアを治める八人姉妹、その長姉である大神官と、祭事のときに歌と踊りを捧げる役を担う七の姫。
この城に来たとき以来、大神官とは会って居ないギルバートだが、七の姫とは最近親しい。
彼女の引き合わせでセシルたちと再会したことがきっかけになり、たびたび見舞いに来てくれていたのだ。
役目柄、詩人としても名の知れたダムシアンの王子には、以前から興味を持っていたらしい。
そう語った次の瞬間、気まずそうに口をつぐんでからは、音楽のこともダムシアンにも、一切触れはしなかったが。
彼女らを前に、あらためてギルバートは考えを説明し、セシルたちへの助力を願った。
話を聞いた二人の女性は、目配せを交わし──まずは、使いに寄越された侍女を労う。
ギルバートが差し出した、ヒソヒ草を受け取る前に。
「ご苦労でしたね。元の仕事に戻りなさい」
要は人払いだ。一礼して去っていく侍女が扉の外に消えたとき、既にギルバートは返答を予測していた。
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