三節 光を求めて3


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 以後、朝からずっと町中を引きずり回されているわけだ。砂漠の焼きつけるような陽射しに
長時間晒されっぱなしで、セシルの意識は朦朧としていた。しかし鎧を脱ぐわけにはいかなかった。
当分追っ手はないと思うが、それでも念のためと言うことがある。用心にこしたことはない。
横を見るとリディアは踊子の服を着ている。サイズがまるで合ってないのだが、気にしていないらしい。
「わたしにもお水ちょうだい」
生温くなった水を流し込み、セシルはリディアに水筒を渡した。にっこりと笑うと、
彼女はそれをさもおいしそうに飲み干した。
 リディアは不自然なくらい明るかった。実際、不自然だった。もちろんその半分ぐらいは、
彼女の素なのだろうが。自分のために無理をして明るく振舞う、その幼さに不釣り合いな優しさに、
セシルはつくづく感謝していた。
「ね、そろそろいこうよ。荷物わたしも持つから」
「いやいや、心配しないで。僕が持つから」
火傷しそうなほど熱を帯びている兜をかぶりなおし、セシルは勢いよく立ち上がると、
よりかかっていた民家の石壁の窓辺に手をついた。
「荷物もてる?一回宿屋に戻ろうか?
ねえ、さっきあっちで聞いたんだけど、向こうで男のひと用の服も売ってるんだって。
セシルも買いなよ、私が選んであげるよ。それと……」
返事が返ってこないのでリディアが訝しげに振り返ると、セシルは民家の窓をじっと見ていた。
言葉を失ったように微動だにしないセシルの視線の先には、ベッドに臥せている美しい女性の姿があった。
「……ーザ」
「えっ?」
リディアがセシルに触れようとした瞬間、突然彼は走り出した。
呆気にとられ、民家の中に駆け込んでいくセシルと置き去りにされた荷物を見比べ、
それから慌てて裾を踏んづけながら、セシルの後を追いかけた。
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