四節 Eternal Melody17


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右手奥、特別室への扉越しに、いやに景気の良さそうな声が聞こえる。すぐ横のテーブルで頬杖をつく少年は、父親が出てくるのを待ってでもいるのだろうか。
今度は黒チョコボを捕まえる、などと突拍子もないことを言い出した外国人の手伝いを終え、戻ってきたいつもの店のいつものテーブル。
だらしなく椅子の上でひざを組み。ロドニーはため息を吐き出した。
「どうした大将、やけに萎れてるじゃないか」
肩を叩いた顔馴染みの青年に、くたびれた中年は返事をせず、淀んだ視線をむけた。
「生簀が壊されちまったんだってさ!
 まったく、それぐらいで食い詰めるような稼ぎじゃないだろうに」
代わって事情を明かしたのは、この店を取り仕切る女主人だ。
最近は倉庫を改造し、『特別室』と称した施設をでっちあげ、戦火を逃れてやってきた外国人からたんまりと巻き上げているらしい。
そうしたやり手の一面とまるでそぐわぬ気安さで、女将は盆でロドニーの頭を小突き、彼の前に佐瀬を欠いたグラスを置いた。
「あたしの店の真ん中で、そんなシケた面されちゃ迷惑だよ!
 奢ってやるから機嫌なおしな!」
「ほな、お言葉に甘えて」
グラスから立ち上る匂いに反応し、ロドニーは満面の笑みを浮かべる。
「ん~、この香り!
 タダ酒に勝るもんはこの世にありませんな~」
「……落ち込んでたのは芝居かい! このろくでなし!」
「いやいやいやいや、ほんまヘコんでたっちゅーねん」
「誰が信じるかい!
 今度やったら叩き出すよ!」
「それは堪忍な~」
軽薄な口調に呆れ帰り、怒りも露に厨房へ去っていく女将の背に乾杯の真似事をして、傍らの青年に片目をつぶって見せるロドニー。
それに応えて青年は口笛をひとつ残し、奥の席へ向かう。
彼が目当てのテーブルについたころ、背後から陽気な鼻歌が聞こえてきた。
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