三節 山間47

「セシルよ……ついにやったようだな」
暗黒騎士が消え去った直後、あの懐かしい声が聞こえてきた。
「私も一部終始を見届けさせてもらったが。見事なものだ」
「いえ……僕だけの力では到底無理でした……」
苦楽を共にした仲間達やローザが居てくれてこそだ。
「これから私の最後の力を託そう。今のお前にら使いこなせるはずだ。それにお節介かもしれんが一つ言葉を……正義よりも正しい事よりも大切な事がある。
この試練を乗り越えたお前になら分かるはず」
「分かりました……」
「それでは私はもう消えよう、行けっ! セシルよ。ゴルベーザを止めるのだ……否止めてくれ。
お願いだ……」
「待って下さい!」
この声にはまだ聞きたい事が沢山あった。自分の事を息子と言ったのは何故だ。
それにゴルベーザの事も知っているようであるが…
だが、もう声からは何も返事は帰ってこなかった。がらんどうとした部屋にセシルは立ちつくしていた。
「やったなセシル」
声が聞こえなくなったのか、テラ達も此方に近づき祝福の言葉を投げかけてくる。
「すごいわ! セシルさん」
「あんたやっぱり……」
「シイッ! それはまだ言わない!」
パラディン姿のセシルに魅入るかの様に見つめていたポロムの顔が少し困ったような表情に変わり、
パロムを諭す。
「でもよポロムさ……」
またもや言い合わそう二人の中でもセシルは先程までの出来事――試練の様相を何度も反芻していた。
「あの感覚、不思議と懐かしかった……あの声は一体?」
その疑問に答える者は今は誰もいない。しかし、自分が今からこの先を進んでいく中で再びこの声の主と関わり
を持つだろうとセシルは確信していた。

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最終更新:2007年12月14日 04:11
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