「大臣殿! そう簡単に言っていいのですか……」
近寄ってきた、隊長が小声で話す。
「その事はまだ、一部の者にしか言っていないはず。現に私も部下には誰にも
口添えしてません。それを、こんな見ず知らずな者に……」
そう言ってセシル達の方を見る。
「ですが、いずれ判ってしまう事ではありませんか。それに、この者達がもしかする
と貴方の思っているような方だとしたらどうなりますか?」
「どうなるとは?」
「目的のものが無いと判ったらですよ。簡単に引き返してくれますか?」
「…………」
大臣の厳しい切り口に無言の隊長。
「この城は無事では済まないと思いますよ」
「ならば何故……大臣殿は彼らを信用するのです? こんな……」
「私がもしバロンの指揮官でしたら、今までと同じやり方をしたと思いますよ」
「どういう事で?」
「つまりは、上空から爆撃を重ねるだけです。そして適度に戦力を消耗させた後、
クリスタルを奪いに来る……」
「…………」
またも隊長は無言になる。
「もし、彼からがバロンの者だとしても、告知無しの爆撃などせず、こうやって
話をしに来てくれただけで、幸運に思うべきでは。そしてそのような者には
敬意を持って接するべきでは……」
「う……」
そこまで言われると何も言い返せなかったようだ。
「この者達を司祭さまのところまで連れて行こうと思います」
そう言った後、セシル達の方を向く。
「では、いきましょう」
最終更新:2007年12月14日 04:20