集まれば大連合と思われがちな東方陣営。
だがその実態は、少数精鋭に支えられたキャラ達が寄り合っているに過ぎない。
他陣営のように、太陽と呼ぶに相応しい程の支援を集めるキャラはおらず、
それぞれが綺羅星として輝くプレアデス星団のような集まりと言えるかも知れない。
トーナメントと違い、総当りでは支援者が各動画にばらけ、1~2人体制は当たり前、
多いところでも4~5人の固定支援者に支えられているのが実情だ。
その顕著な例が11回の咲夜・魔理沙に現れたと言えるだろう。
少数精鋭に支えられた順位は、支援者のリアル都合によって急落する。
だが支援者の都合さえつけば復調し、東方のエースとして結果動画を賑わせてくれる。
それは東方の誰もが信じている事だと思う。
これは、そんな東方陣営のフラン支援者から見た第11回観戦記です。
大会開始前、交流所に集まり、東方の支援者とお互いの健闘を祈りあう。
東方の総当り戦において、一番の敵は孤独だ。
各支援動画で孤独を感じる時があっても、交流所の同志達が違う動画で頑張っている。
個別の戦いで士気を保てるよう励ましあう事。
それが14シードを送り込んだ東方陣営の原動力のひとつだ。
1月19日の土曜日。軽い緊張感の中、時計の針が13時を指すと共に滑り出す指。
前半戦が静かに始まった。
スタート直後、フラン支援に集まっていたのは3~4人。
第1回からの愛され参加者である古豪がフラン支持を早くから表明してくれていた為、
彼のコメ速度についく事を目指していた支援者が多かったのかも知れない。
前半戦はとにかく必死だ。前半の途中経過など気にしても意味は薄い。
さすがの速度でカウントを稼ぐ古豪支援者に追いつけと、皆ひたすら自分のカウントを
稼ぐ事に集中する。1000、2000と順調にカウントアップしていく支援者達。
しばらくして、嬉しいニュースが届く。
東方を激励に回っている交流所参加者から、東方内でTOPにいるよ、との知らせだった。
全体の順位でも10代前半に位置していた。
「おおー、TOPかー」「じゃあ頑張って全体順位上げないとな」「おーし、頑張ろう」
声を掛け合い、気合を入れなおす支援者達。
前半が始まって5時間も過ぎると、夕方6時~7時頃の晩飯時に差し掛かる。
集中力も途切れはじめ、支援者達も「ねむい~」「はらへった~」「頑張れ~」など、
チャットで愚痴や励ましあう事が増えた。
お互いに空気を読みながら食事休憩を取り合う。二人体制、一人体制と、阿吽の呼吸で
人数を調整しつつ、止める事だけは絶対にすまいという共通認識があったと思う。
そんな晩飯時に順位を確認してみると、東方内TOPはレミリアに移っていた。
気が抜けて順位を落としたのか?・・・違う、フランも全体順位は上げている。
第10回大会3位の貫禄、レミリアが純粋に急上昇したのだ。
「現在、東方TOPはレミリア!」「・・・さすがお姉様だぜ」「よーし負けないぞ」
姉という良きライバルを得て、俄然盛り上がる支援者達。
フランが追い上げ、レミリアも負けじとコメを伸ばす。
夜も深まっていくというのに、不思議と目は冴え始めていた。
深夜帯には色んな個性派キャラが遊びに顔を出してくれたおかげもあり、
疲労を気にせず楽しく支援を続ける事が出来た。
そのおかげかも知れない。新しい支援者も増え、最後には5~6人の固定支援者がいた。
楽しい時間をありがとう。あの時遊びに来てくれた皆に感謝を。予選、支援行きます。
結果的に姉妹の競り合いは理想の展開だった。スカーレット姉妹で競り合いながら、
双方が全体順位を伸ばし、前半終了時には、8位と9位に並ぶ事が出来たのだ。
この競り合いの熱さが維持できれば、もっと上を狙える・・・。
後半戦のさらなるフラン支援を誓いつつ、レミリアにも奮闘を期待せざるを得なかった
一夜が明けても興奮冷めやらぬ1月20日午前9時、後半戦が始まる。
後半戦開始時の順位は、5位かがみ、6位つかさ、7位古泉、8位フラン、9位レミリア。
柊姉妹を追う古泉。さらにそれを追うスカーレット姉妹。
2組の姉妹に挟まれる古泉という様相だった。
やはり朝の開始早々はどこも勢いが低い。
ここで追い込めとフラン支援者に激が飛び、古泉に追撃をかける。
3000差、2000差と徐々に追い上げ、一時1800差まで詰め寄った。
だが、正午頃になると古泉に大ブーストが入る。
あっと言う間に離されるフラン。
後に柊姉妹の一角を崩すその猛追に、残念ながらフランが追いつく事は無かった。
離される背中を見ながら、落ち込んでいる暇は与えられなかった。
まだ戦いは終わらない。急激に勢いを増し、猛追をかけたのは古泉だけでは無かった。
スカーレット姉妹に後ろから迫る刺客。竜宮レナが恐ろしい勢いで詰め寄ってきたのだ。
「レナ猛追!」「レミリアが抜かれたぞ!」
フラン支援者に動揺が走る。
基本的に夜に強い東方勢は、日中に失速する傾向がある。
中でもその傾向が特に強いレミリアは徐々に失速していたのだ。
吸血鬼という属性が皮肉にも見えてしまう。
この頃になると、フラン支援者には5桁達成者が増え始めていた。
最終的に5人の5桁達成者を輩出したフランだが、この後、終盤戦となり残り4~5時間を
残すのみになると、カウントをする余裕さえ無くなる事になる。
レミリアを助けに行かなくては、という思いに焦る。だがレナの猛追は無視出来ない。
フランとて追われる立場なのには変わりないのだ。
残り時間を確認する。残りの体力を確認する。いけるか?
やるとなれば非常に体力を削る技。
第10回トーナメントにおいて、度重なる不運の組み合わせに泣いた東方支援者の多くが
習得せざるをえなかった技、二窓支援だ。
行くとなったらどこまでも!フランの支援は続けつつ、レミリアの支援に駆けつける。
最初はカウントを継続しながらの二窓支援だったが、これはさすがにつらかった。
自己記録への挑戦に未練はあったが、思い切ってカウントを止める。
その甲斐あってか、レミリアが僅差で順位を挽回。8位フラン9位レミリアと再び姉妹で
並ぶ事が出来た。
しかし、レナの猛追は止まらない。
一時順位を回復したものの、レナの猛追は勢いを増し、レミリアを抜きさってしまう。
分速差、およそ30~40。
これだけ勢いの差がついてしまえば、再びレミリアが追い上げる事はなかった。
レミリアが再び抜かれた時点で、フランとレナの差は7000程度確保されていたと思う。
例え分速差が30あろうと、30分で縮まるのは900に過ぎない。
残り時間と差を見比べれば、この順位が動く事は無いと判断出来た。
残り時間わずか、全体順位を見渡せば、東方の仲間達がシード枠を巡り争っている。
折角準備した二窓だ。使わない手は無かった。
あとはひたすらコメするだけだ。とにかく1コメでも支援を飛ばす事だけ考えよう。
「みょんが40位!」「今度はチルノが39位だ」「魔理沙のシード落ちは許せんだろ」
「嫌な予感がする・・・俺パチュリーいくわ」「最後だ追い込めえ!」
最後の追い上げに燃える東方陣営。
個別の戦いが続くなか、戦況に余裕のある者が仲間の支援に動いた。
固定支援者がいながらも、シード争いに絡む事が出来なかった仲間もいた。
77位枠を狙ってひりつくような勝負をしてる仲間もいた。
やがて後半戦も終わりを迎え、長かった23時間の戦いは幕を閉じた。
徐々に確定されていく結果を待ちながら、交流所でワイワイと健闘を称えあう。
「うわー、アリス伸びたなぁ」「てゐも凄い・・けど鶴38ポイント差って何よw」
「鶴には負けられないと思ってやってたよw」「ウサギとツルの対決かw」
「おわ、うどんげ39位って・・・危なかったな」「安全圏だと思ってたのにギリだったか」
「77位枠逃しちゃいました、すいません」「ドンマイ!予選頑張れば良いさー!」
一口に東方と言っても、様々なキャラクターがいて、様々な戦いがある。
様々な視点があり、様々な思いが集まっている。
今回の観戦記は、あくまで一キャラクターの視点から見たものに過ぎない。
だから、無理にまとめるとするならば、この一言で終わりたいと思う。
本当に、楽しい大会でした。
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