~~~いとしいかぞく 開幕~~~

≪セフィラ≫スクアハがフラミィと出かけ…そしてスクアハとフラウが帰り、フラミィが帰って来なかったその日……帰って来てすぐのスクアハを、セフィラは自室に呼び出した
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「セフィラさん」 ドアをノックして、ドア越しに声をかけ
≪セフィラ≫【セフィラ】「…開いてるわよ……どうぞ…」ドア越しに返ってくる声は、怒り?悲しみ?喜び?…いずれにせよ、強い感情を押し殺し、震えていて。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「はい……」暗い表情。おずおずと室内に入ってきて。
≪セフィラ≫【セフィラ】「……お腹、空いてるでしょ…?……作っておいたから…」部屋の中央には机、その上にはハンバーグやスープの皿が置いてある。先程温め直したのだろう、まだ暖かな湯気が立ち上って。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「ありがとうございます。」 最後に食事をしてずいぶんになるが、空腹は覚えていない。しかし、空腹でなくとも必要ならばお腹に詰め込むこともする軍人であり。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「腕が上がりましたね。」 上達したセフィラの料理。しかし味はわからない
≪セフィラ≫【セフィラ】「…スクアハのお陰よ……それに、私がわざわざ作ってあげた料理を塩辛いだの何だのって文句つける、他のみんなのね……」対面に座り、フン、と鼻を鳴らして。けれど顔を上げず…その視線の先の両手は、薬液を染み込ませた布を巻いた指が痛々しい。
≪スクアハ≫【スクアハ】(指を……)言葉は、飲み込む。努力する姿を、人に見られることを好まない彼女。しかしその陰の努力が彼女の力になっていることをスクアハは知っており
≪セフィラ≫【セフィラ】「…でもね……だからと言って、私の料理じゃスクアハほどには美味しくないのよ……私じゃあ、ここのみんなの支えにはなれないの……」どん、と握り締めた拳で机を叩き、顔を上げ。強気で自信に満ちた声が震え、自分自身を低く扱うような言葉さえ口にして。
≪スクアハ≫【スクアハ】「そんなことはありません。みんながそれぞれ支え合って、この家はあるんです。」 直接責めない言葉が痛い。自分の行っている意味であろうとも、一人一人が大切であることに違いはなく
≪セフィラ≫【セフィラ】「…でも、その中心は貴女よ。……だから、貴女には無事でいて欲しいし……本当は………危険な事をして欲しく無いわ……だけど…」縛り付けて、閉じ込めてでも……そんな言葉が頭に浮かぶが僅かな沈黙で誤魔化して。瞳には涙が滲もうとも、一言ごとに唇を噛み締め、気丈さを保って。
≪スクアハ≫【スクアハ】「しかし、私は軍人です。それに、これを越えなければ前に進め……す、すめ」 言いながらも、その勝手な思いが引き起こした結論に言葉が途切れる。すでに、何度も何度も自分の中で繰り返した問答。それを言葉にすることは心を引き裂くようで
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「…だけど……ええ、軍人としても、メイデンとしても、家族としても…貴女が決着をつけにいくのを私は止められないし、止めるつもりも無い……それに、誰にも止めさせない…………私に出来るのは、貴女が無事で帰って来るのを待って…帰って来た時に、出来る限りの事で、迎えてあげるだけ……」気丈さを保つ。それでも声は震え、瞳の中の潤みは増していく。
≪スクアハ≫【スクアハ】「……ううぅ。」優しい、しかし厳しい言葉に嗚咽が漏れる。先に涙がこぼれたのはスクアハの方で
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「……でも……本当は、一緒に行きたかったのよ………待っているのは、辛かった………」スクアハの涙を目にし、天井を見上げ、零れそうになるものを堪えて……
≪セフィラ≫【セフィラ】「……でも……まずは一言言うわよ……お帰りなさい、スクアハ……よく、頑張ったわね……」真っ直ぐにスクアハを見詰めて…折角堪えていた涙も、顔を正面に向ければ、ぽろぽろ、と溢れ出て。そっと、向き合う少女の頭に手を伸ばす。
≪スクアハ≫【スクアハ】「ご、ごめんなさい……ぐすっ……」待つ辛さ。いつも進むばかりの彼女にはよくわからない。しかし、想像することはでき、ただ謝ることしかできない
≪スクアハ≫【スクアハ】「あ、ありがとう。セフィラ。ただいま……・うぅぅ」 ぽろぽろと涙がこぼれる。しかしまた帰ってこれなかったフレミィのことを思うと、自分だけが返ってきたことがなお許せずに
≪セフィラ≫【セフィラ】「……お礼は良いわ……私が貴女からしてもらったことは、こんな事の比じゃないもの……」ゆっくりと頭を撫で……次の言葉を口にするかどうか…それを明らかに躊躇う。
≪スクアハ≫【スクアハ】「私は……な、何も…ぐす…家族のことしか」 グスグスと鼻を鳴らして涙をこぼし、撫でられるままに嗚咽を漏らし
≪セフィラ≫【セフィラ】「……それよ……私に、その事を教えてくれた………だから、今の私がいるのは、貴女のお陰……」撫でる手を一瞬止めると、スクアハの隣に椅子ごと動き…より身近で支えてあげよう、と。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「ううぅ」 ただ誰かに縋りたい。自分が間違っていることはわかっていても、せめて今は力を抜いて」支えられるままにセフィラにすがりつき
≪セフィラ≫【セフィラ】「……ごめんね、スクアハ……私はこういう言い方しか出来ないから、言わせてもらうわね………縋るなら…次は、みんなを頼りにして………みんなで、あの子を助けるわよ……?」このまま、縋られたままでも、支えたままでも良いかもしれない……そう思ったのは一瞬の気の迷い。そう自身に言い聞かせながら、事情は分からずとも、何をしないといけないのか…その目的だけは見据え、二人に言い聞かせるように口にして。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「私が……私のせいなのに……でも……」セフィラの言葉を反芻する。いま、いったい何をなすべきなのか。部隊の仲間になら必要に応じて力も借りる。それぞれの人員に可能限界の負荷も掛ける。家族だからこその遠慮。そのような物のために今回のことを引き起こしていたのなら。
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「…全てが貴女のせいだと思うなら、それは、私以上に思い上がっているわよ?……だから…一人で背負い込まないで……私…達が、いるんだから……」ぴしゃり、と言い捨てる。けれど、『私がいる』という言葉はギリギリで言葉を変え……
≪スクアハ≫【スクアハ】「ぐすっ。」最後に一度鼻を鳴らす。セフィラの言葉はスクアハに届く。それぞれが自分の意思と責任で行動をしてきたはず。その言葉でわずかに心が軽くなる。しかし、自分の打撃がフラウを倒し切れなかったことも原因であることは間違いなく。
≪スクアハ≫【スクアハ】「わかりました……」そう言うときの対応法を、スクアハは一つしか知らない。「セフィラ、手伝ってください。」涙の止まった瞳で見返す
≪セフィラ≫【セフィラ】「……何があったか、想像は出来るけれど、想像しか出来ないから……気が向いたら……ぁ……で、でも……私で、良いの……?」泣き止んだ様子に一つ、安堵の溜息を吐き…後日でも良いので説明を求めようとし……毅然とした瞳を向けられ、戸惑いを浮かべる。
≪スクアハ≫【スクアハ】「はい。セフィラ。これから私たちはいかなる手段を尽くしてもフラミィを取り戻します。」 助けてくれるかなどつまらない確認はしない。
≪スクアハ≫【スクアハ】 「フラウ様が目を覚ましたら、詳しい話を聞いて捜索に入ります。しかし今はただ、体を動かしたいのです。」 そう言うと、拳をキュッッキュと握る。今はまだ何もできないのなら、せめて体を動かして。そしてまたフラウとの戦いの中でつかんだ何かを身につけるために
≪セフィラ≫【セフィラ】「…ええ、その意気………ぅ……」スクアハの言葉に確かに目を輝かせ、頷いた……にもかかわらず、次の瞬間、その表情は翳り、俯き、言葉も動きも止める。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「……えっ?」 突然の変化に動きが止まる
≪セフィラ≫【セフィラ】「……ね、ねえ、スクアハ……一つだけ、聞いて良い……?」虚ろな声、俯いたその表情も虚ろで…
≪スクアハ≫【スクアハ】「はい?なんでしょうか。」 目的を定めた翼人の少女は、しっかりとした目でセフィラを見て
≪セフィラ≫【セフィラ】「なんで、アイツを連れて帰って来たの?アイツをこれからどうするの?……アイツの事……どう思ってるの……?…ねえ、答えて……」ゆっくりと上げる顔は、とても強気な少女のものではなく。戸惑い、憂い、縋りつくような…先程までのスクアハにも似た表情。
≪スクアハ≫【スクアハ】「セ、セフィラ?」 その言葉に驚く。どれほど彼女が自分を必要としていたのか。今やっとそれに気がつく
≪セフィラ≫ 先程自分でも言った通り…想像は出来ている。それを受け入れようとも思っていた…はずだった。計算違いだったのは、自身の感情…
≪セフィラ≫【セフィラ】「……お願い、答えて……分かってる……分かってるけど……スクアハの口から聞かないと、信じたくない……」酷い表情を手で覆い隠し、自分自身を嫌うように首を振り。それでも質問は胸の中で繰り返される。何故、何故、何故、と…
≪スクアハ≫【スクアハ】「フラミィの話を聞くために連れて、来たんですよ。それに一緒にいれば悪いことはしないように、できますし。」全てではない。言いやすいほうの理由から答えて。しかし、そんな言葉を求めているわけではないことに気がついて……すがっていた手をまわしてぎゅっと抱きしめる
≪スクアハ≫【スクアハ】「あの人は私にとって大事な人になっていました。」ぽつりと続く言葉
≪セフィラ≫【セフィラ】「それだけじゃないでしょ…?…悪い事をしないように、なら……私、が……ッ…!……うぅぅ……ッ………やっぱり……そう、だった……」ぶんぶんと頭を振り、自分の中の非情な考えを憎み。最後の言葉に嗚呼…と溜息をつく。覚悟は、出来ていた。
≪セフィラ≫ ……はず、だった。
≪スクアハ≫【スクアハ】「……」ぎゅぎゅっとセフィラを抱く腕に力がこもる。「でも、あなたも、娘たちも、同じように大切なんです。だから……」その後ろに何をつなげようとしたのか。言葉を切ると
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「本当に?だって、私は血も繋がって無い…勝手に押しかけてきたし、スクアハに酷い事もした……なのに家族って言われても、分からない……父親代わりになれれば居場所が見つかるかもしれない、って思ったのに、本物が来てしまった………!」抱き締めれば、雪山で遭難しているかのように震えているのが伝わり。ただただ、分からない事だらけで『家族』と言う言葉にしがみついていた少女は、悲痛な叫びを上げて。
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「…スクアハ……私って…何なの……?」ぽつり、と。一番したかった問い掛けを漏らす。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「……そんなことを考えていたんですか。セフィラはセフィラなんですよ。だから大切なんです。父親だからとか、娘だからなんて言うことは、本当は小さなことなんです。」部屋の明かりが陰る。真っ白な翼が二人を包み込むようにそっと抱きしめて。羽越しの柔らかい光の中で、間近からセフィラを覗きこむとそう告げて。
≪セフィラ≫【セフィラ】「…でも…でも……父親代わりじゃないと……す…スクアハを……愛せない、もの………私は、スクアハが、好き、なのに……」真っ白な翼に閉ざされた世界。見上げる瞳はいつもの力強い意思の輝きではなく、儚い涙で煌いて。漸く気付いてしまった自分の想いを、ありのままに告げる。
≪スクアハ≫【スクアハ】「そんなことで……父親ではないから?」 少し微笑むと、そっとキスをする。男性人口が圧倒的に少ない翼人において一夫一妻制度はほぼ消えかけており。大きな家族を形成するのが常となっていて
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「嬉しいです。あんなことをしてしまった私なのに。」そう言うとただ抱きしめたまま体温を好感して
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「……だ、だって…ん……ううん…ありがとう……」微笑に反論しようとした口を塞がれ…小さく首を振り、自身の言葉を消し去り、ただ、受け入れてくれた事を感謝して
≪スクアハ≫【スクアハ】「だから、ここにいてください。もちろんメイデンですから出かけることもあるでしょう。だけど、必ずここに戻ってきてください。ここが……あなたの家なのですから。」 そう言うと涙で濡れた視線同士を交差させ
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「……も、勿論よ……他に行く所なんて無いし……ぁ……ううん…あっても…ここに戻って来る、から……」こく、と頷き、いつものような気丈さを見せ……けれどすぐに首を振り、恥じらいながら呟いて。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「はい、セフィラ。……ありがとう、ううん、その時はお帰りっていいますね。」心が軽くなり、いつののような柔らかい笑顔を浮かべると
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「ええ………それに…フラミィにも言ってあげないとね……叔母さんとして、かしら……」こくんと幸せそうに頷き……深呼吸をすると、いつものように力強い瞳で見詰め返して。
≪スクアハ≫ 【スクアハ】「ええ、そのために、出来ることをたった今からでも!」抱擁を解き笑う
≪セフィラ≫ 【セフィラ】「ん……そうね……じゃあ、まずは……」一瞬だけ、名残惜しそうに。一人では生きていけくなってしまったであろう自分に苦笑しながら、頷いて。きっと自分が一番役に立てるであろう事に思いを馳せて……
≪スクアハ≫二人の視線はもはや涙にぬれてはおらず。フラミィを助ける。その意志に輝いていた。

~~~いとしいかぞく 閉幕~~~