小説3_魔王の世界


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央国歴501年 春の期 36日目

央都 昼

勇者は突風のように駆け、魔王を殴り飛ばした。
殴り飛ばされた魔王は、取り囲んでいた人々を一瞬で突き抜け、レンガの壁を突き破り、建物の中に叩き込まれた。
常人ならば即死しているだろう一撃を受け、魔王はまだ生きていた。
奇怪な魔物を操り、兵士達を紙くずのようになぎ倒す、その魔王は少年の姿をしている。

魔王を殴り飛ばした勇者は、そのままの勢いで砲弾のように民家に飛び込んでいった。
牛の魔物を取り囲んでいた人々には信じられなかっただろうが、勇者は幼い少女である。
最年少の勇者、少女フレイア、その拳は素手で鉄の盾を射抜き、その脚はひと駆けで家三軒を飛び越える、超常の身

体能力を持った勇者である。

二人が飛び込んだ建物は倉庫らしく、中は薄暗く、ほこりが舞っている。
「はやく、あの化け物を止めなさい! でなきゃ、死ぬまで殴る!」
「がはっ、いっ、たいなぁ。」
フレイアは、倒れた魔王の胸座をつかみ、顔面を殴打する。 ドゴッ。
「うぐっ。」
「あんたが操ってるんでしょ。早くしなさい!」
しかし、魔王は堪えた様子も見せず、返答する。
「なんなんだ、この怪力、君も魔王?、ちょっと聞いてないんだけど。」
フレイアは、魔王の顔面を殴打する。 バキッ。
「ごふっ。」
「うるさい!とっととする! 親方が、死ん、だら、許さないから!」
そうしている間にも、フレイアの背後では、牛の怪物が暴れる音が聞こえてくる。
フレイアは容赦なく魔王を殴打する。
 ズドッ
 ゴシャッ
 ドカッ
 ゴキャッ。
「…っ。 あんたを倒したら止まるのっ? もうっ、どうすればいいのよっ!」
嵐のような殴打を受けつつ魔王はつぶやく。
「…ひどいな…これは…やば…みんな…来て…」
ついに魔王が意識を失い、フレイアはどうしようか思案する。その時、町全体の空気が変わった。
「あれが、他にも居るの?!」
魔王を投げ捨て、建物の外に飛び出す。

外では、先ほど暴れていた牛の怪物に、さらに3匹が加わって、野次馬と化していた人々をなぎ倒していた。
怪物の襲来の報せを受け、兵士達も数十名が着いていたが、怪物相手になすすべもなく、追い散らされる。
「なんてことしてくれるのよ!ええい。」
止まることなく走り、人を轢く牛の怪物の横っ腹に、同等の速度で飛び込み、蹴る。
魔王を、壁を突き破るまで吹き飛ばした一撃、それよりも強い蹴りを受け、牛が動きを止める。
「こんちくしょー!」
何事かと、こちらを向いた牛の頭に、もう一撃を加える。
しかし、子供一人の体重の乗っただけの衝撃、人々をまとめて跳ね飛ばす牛の頭には効果が薄かった。
さらに三度、脳天を狙い、一匹目を沈黙させる。
その間に、町にはさらに他の怪物達も現れていた。
翼の生えた怪物が見えるだけでも何匹か空を飛んでいて、地を走る多種多様な怪物達が町に侵入してくる。
町の住民達は民家に避難し、固く扉を閉めていた。牛の怪物も暴れ始めは、近寄ったものだけを攻撃していた。
しかし、魔王が怪物達にどのような命令を与えたのか、大量の怪物達は、家の窓を割り、扉を割り、壁を打ち崩してそれぞれ町の人々を襲い始めた。
怪力の勇者は、町中に散って暴れる百数十の怪物達を、一匹一匹見つけて倒すしかなかった。
勇者フレイアは己の無力さに憤り、叫ぶしかなかった。
「っがああああああ!」

どれほどの時間が経ったか、フレイアは怪物達の半分も倒してはいないと思っていたが、残りのすべてが町から離れていった。その間の死傷者数百名、被害は小さくなかった。
その後、フレイアは最初に魔王を倒した建物に向かったが、魔王は姿を消していた。
魔王の脅威は終わらない。

そして、その日の活躍により、少女フレイアは勇者として国王からの認定を受けた。
元々、行方知らずの父を探すために諸国放浪をするつもりでいたフレイアは、国王から多少の旅費を受け取り、すぐに町を出る。
旅費を稼ぐ間の仮宿として弟子になったパン屋、その親方は亡くなっていた。

フラグ「X魔王討伐 X魔物殲滅 X死傷者0 〇勇者認定」 達成値 50% ・・・ BAD END



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