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+ いやらしい
いやらしい
いやらしい いやらしい いやらしい


言われ続けた。
疑問には思わない。
それが私だから。

いやらしい

もっと。

いやらしい

もっと。もっと。

いやらしい

ああ――!
なんて素晴らしい――!

いやらしい

+ いやらしい都市伝説
いやらしい都市伝説
今日も幽々子ちゃんといっぱいお話したよ。
可愛いなあ幽々子ちゃんは。
髪の毛はふわふわで。笑顔は素敵で。お淑やかで。少し変なところもあるけど、それも魅力の一つさ。
そんな一日の終わり。学校の帰り道。
もう十一月ということもあって、辺りは既に薄暗い。
時間にして十七時。幽々子ちゃんと遊びすぎたかなあ。
「うん?」
道の向こうに人が立っていた。
背が高い。髪が少し長い。女の人かなあ?
周りには誰もいないから、やたらと目立っている。

――何だか、ひどく嫌な予感がした。

相手にしないようにしよう。
どうにか回り道をして……

「ねぇ」
「!?」

もう、目の前に居た。
女の人だ。マスクをしている。
でも、そのマスクが。異様に大きい。
背も高い。服は派手だった。
「私、いやらしい……?」
「え……」
こわかった。
こわい。
体が震えて動かない。
「う、うん。い、いやらしい……です」
「そう」
終わってくれればどうでも良かった。
はやく、開放して欲しい。

「これでもぉ?」

マスクをとった。
そこには。
奇怪な姿が。

「あ、あ、ああ……あ」

くちばしの様な物。
何て、


いやらしい、


「う、う、あああああああああああああああああ」

そして、暗くなった。

+ イクブリサマ
イクブリサマ
とある農家の家。
その家は一匹の家畜を飼っていた。
コリブリという名である。
雌の生物だ。

そのコリブリ。家の息子に大層可愛がられており、息子は四六時中コリブリと一緒にいたそうな。

ところで、この息子。
大変な事に、コリブリに恋慕を抱いてしまったのだ。

息子はもう既に、現代で言えば二十歳を越えた年。
嫁を貰ってもおかしくないのである。
だが、この息子。
自分はコリブリを嫁にすると言って聞かぬ。

父母と大層揉めに揉め、とうとう父方の堪忍袋の尾が切れたのだ。

木にコリブリを吊るし、殺してしまったのである

息子は泣いた。
吊るされたコリブリの死骸にしがみつき、声を荒げて、泣き続けた。

ただ、彼のこの行為は父方の神経を逆撫でする結果になってしまった。

父方は更に怒り狂い、斧で以ってコリブリの首を切り飛ばしたのだ!

だが、息子も負けてはいない。
丁度、宙を舞っている所のコリブリの首に飛び乗って、そのまま空へと昇っていったのだ。

コリブリと息子は昇天したのである。
そして、イクブリサマとなったそうな。

+ ドキドキ☆イヤラシハイスクール
ドキドキ☆イヤラシハイスクール
ピーンポーン

とチャイムの音で目が覚めた。
「……ん、うーん……」
時間は……七時半だ。
何だ、まだ寝てられ……え?
「しちじ……はん?」
やばい!!
やばいやばいやばい!
調子に乗りすぎた。
朝の補習が今日は無いからって、昨日、調子に乗って夜更かししすぎた!

「やばいっ!!」
朝食を摂っている暇はない。
制服に腕を通しながら、歯ブラシを咥えて寝癖を直す。
一見不可能な様に見えるが、これができなきゃ学生の朝は生き残れない。

「おそーい! 先に行っちゃうわよー?」
「ちょ、待ったー!」
「早くしてよー。時間ないよー?」
「わーってるよって!」

部屋に戻って鞄を肩に掛け、二段飛ばしで階段を駆け下りる。
「母さん、父さん、姉ちゃんん、行ってくるぜー!」
「おばさまー、おじさまー、お姉さん、行ってきますねー」
「気をつけてなー」「気をつけていってらっしゃーい」「気をつけなよー」

玄関を開けば、そこに彼女が立っていた。
「遅い!」
「ごめん」
「もう、今度から迎えに来てあげないよ?」
「ごめん、ごめん。今度、駅前のアイス奢るからさ」
「うん、素直でよろしい」

チラリと、下げた頭はそのままに、目は少しだけ彼女の方を向く。

――相変わらずの笑顔だった。

敵わないな、こりゃ。
惚れた弱みってやつか。

「よし、行くか、イクブリ!」
「うん!」

十一月の初頭。
吐く息も白くなり始めた頃の思い出。

+ いやらしい彼女の為に・・・
いやらしい彼女の為に・・・
ガキィン!

「なっ・・・」
「ククク・・・」

 双剣は跡形も無く砕けた。
 剣の欠片は宙を舞い、重力に身を任せて地に落ちる。

――勝てやしない。無理だったんだ。

 忠告を無視した俺が悪い。
 解ってる。
 俺は、ここで死ぬ。
「ぁ・・・」
「死ねよ。その面、二度と見せるな」

――だっていうのに。

「ほら」

――何で

「死ね」

――彼女のことを思い出すのか。

「ぁ、あ、あああ、あああああああああ!」

ガガガガッ!

「ぇ・・・」
「なん・・・!?」

刃は俺には届かなかった。

「良かった、間に合って」
「い、イクブリ・・・? 何で・・・」
「何で、じゃないわよ。この、お馬鹿! 一人で突っ走って、心配したんだから・・・」
泣いていた。
頬を筋が通っていた。

泣かすまいと、守ると誓ったのに・・・

「ごめん・・・、俺、我慢できなくて・・・」
「許さないわ。絶対、許さない」
「ごめん・・・」

謝ることしかできない。
そんな自分が、悔しい。

「約束」
「え?」
「今、この場を生き残ること。それで許してあげる。良い? 解った?」
「あ、ああ!」

死の一歩手前。
そんな状況だというのに、笑ってくれた。

ああ、頑張れる。

二度目の誓いだ。
絶対に、彼女を、泣かせやしない。 

+ ムラサキノイクブリ
ムラサキノイクブリ
「……っはぁ!!」
思い出してしまった。
忘れていたのに。

この日まで・・・。

「11月14日・・・はぁ・・・」
忘れられない、俺の誕生日。
今日で成人。
「くそっ・・・」
頭から離れない、その単語。

不快なソレは――

曰く。
ソレを成人の日まで覚えていると不幸が降りかかるとか。
親しい知人に、家族に、恋人に。
あるいは――自分に。

戯言と。
今までの自分なら、そう言い切っていただろう。
でも。そうもいかなくなった。

一人、同級の友人が死んだ。
成人の誕生日の日に。惨い死に方をした。
死に際にこんな事を言っていたそうだ。

「迎えだ・・・迎えが・・・」

ソレは――

ピンポーン
「っ!?」
一気に意識は現実へ。
再度、音がした。

来たんだ。
迎えが。
とうとう。
止めろ。
来るな。

ガチャ

「ぁ・・・」

ソレが、その単語だけが頭に残る。

ムカエニキタヨ・・・・・・

ムラサキノ、イクブリサン

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最終更新:2009年11月14日 21:49