1 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2010/02/27(土) 08:33:27.08 ID:YSN3RVRD ?2BP(0)
「ガサーラ、お届けっ!」
CMに入った瞬間、テレビに映っていた冴えない中年男の台詞に私は自分の耳を疑った。
深夜3時。画面内に他の人間は一人もいない。中年男は口端を吊り上げ私の方を見ていた。目は笑っていなかった。
気味の悪いCMだ。番組の続きは録画で見るとしよう、適当にチャンネルを変えたが、砂嵐ばかりのテレビに辟易し元のチャンネルに戻した。
CMの中年男はまだ私を見ていた。「友情出演 巨人小笠原死刑囚」―― 何となく、嫌な名前だと感じた。
「お届けしちゃいかんのか?」中年男はニッコリ笑うとテレビから這い出してきた。私は丁重に断ると、
中年男を折りたたんで便座に詰め込み、大のレバーを引いて流した。
私がテレビを消すと、後ろの壁から立派な身なりの男と横浜のユニフォームを着た男がぼうっと浮き上がった。
「吉見君、ウンコはきちんと流さないとね(ニッコリ」
男達はトイレに入っていき、それからしばらく何かを流す音が響いていたが、朝になり私がトイレに入った時には誰もいなくなっていた。
最終更新:2012年04月01日 13:12