巨人小笠原、ねずみに花束を贈る

三割、三十本に定評があった青年カッスは、年齢的な衰えで成績を残せず、大正義巨人軍に捨てられた。
ある日、カッスは陳国際大学桑原教授から、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。
先んじて動物実験で対象となったハツカネズミの「タマジャーマン」は、驚くべき覚醒・長打力を発揮し、カッスに勝ってしまう。
この手術の人間に対する臨床試験の被験者第1号として、カッスが選ばれたのだった。手術は成功し、カッスの打率は.980に達し、彼はいままで以上の天才となった。
大正義に復帰したカッスは打つを得る喜び・難しい球を捉える楽しみを満たしていく。だが、あまりにも人間離れして成績が徐々にカッスを苦悩の日々へと追い込んでいく。
そんなある日、自分より先に脳手術を受け、彼が世話をしていたタマジャーマンに異変が起こる。カッスは自身でタマジャーマンの異変について調査を始め、
手術に大きな欠陥があった事を突き止めてしまう。ピークに達した身体能力は、やがて失われ、
死に至る性質のものであることが明らかとなり、彼は失われ行く成績と死への恐怖の中で、退行を引き止める手段を模索する。
だが、もはや知能の退行を止めることはできず、ついにカッスは力尽きてしまう。カッスは経過報告日誌の最後には桑原教授宛てに震えた字でこう記してあった。
──────(タマジャーマンのお墓にお花をあげてもらっちゃ)いかんのか?

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最終更新:2012年05月02日 21:13
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