5スレ>>537-2

「ムウマぁ! もう帰るよ!」
「待って、あと一回! あと一回挑戦させてぇぇぇぇ!!」
「ダーメッ! 何時間ゲーセンいる気だぁぁぁぁ!!」


旅立とうと決めたはいいが。
歩いてる途中にゲーセン見つけてこの有様…


「ちくしょーあの対戦相手め、厨機体ばっか使いやがって…」

とか言いつつ、勝率はムウマの方が上だった。
さすが廃人ゲーマーだけのことはある。
…思わず僕も見入ってしまった。それほど凄いプレイだった。

そして…気づいたときにはもう500円以上使っていた。
1クレ50円のゲームなのに…




さて、
「街を出る前に色々支度しなくちゃね」
僕がそう言うと、ムウマは予想通り
「えー? 本気で旅なんて出るのー…?」
と嫌そうな顔。

「だってさー…行くったってどこ行くのよ。 八方塞がりじゃないこの街…」
「イワヤマトンネル。」
「えー…あんな暗いところを…? 自殺行為でしょjk」

正直同感。

「仕方ないだろ… それとも暴走族の中突っ切ってタマムシ行く?」
「どっちもどっち… カツアゲされないだけイワヤマトンネルがマシかもね」
「じゃあ行こうか」
「行きたくない…」




そんな話をしながら萌えもんセンターにいると、気になる話が耳に飛び込んできた。

「フジ老人が萌えもんタワーに行ったまま帰ってこないらしいぜ…」
「…昔から幽霊が出るとか噂だったけど、こりゃマジでやばいかもな…」

あそこってそんな危険な場所だったっけ?
確かにラップ音とかポルターガイスト現象とか鬼火とかはよく見たけど。
…十分か。


でもそんなに危険な幽霊はいなかったような。

「ムウマ、タワーに入った人が失踪するとかってあるの?」
「ない。だってあそこの幽霊たち、みんな気のいい親切な人たちだもん。」

さすが萌えもんタワーの住人、知り合いも多いのだろうか…
っていうかホントに幽霊いるんですか。マジですか。



「ねぇねぇ! 旅に出る前に、一度萌えもんタワー行ってみない!?」
「え、タワーに?」
「うんうん! フジ老人心配でしょ? ね?行こ」
「…君、ただ旅に出たくないだけじゃないの?」

…図星だったようだ。






まぁ。旅立つ前のウォーミングアップと思って来てみました、萌えもんタワー。

「ん~、この墓地特有のひんやりした空気… たまらないわぁ」

ムウマは気分よさそうだ。でも墓石にすりすりするのはやめようね。



タワーを登っていくと、明らかに空気が違う場所に出た。

「な、なにコレ… 幽霊たちがこんなに顕現してるなんて、どういうこと?」
「どういうこと、って… 普段はどんな感じなの?」

ムウマいわく、タワーに住むゴースト萌えもんたちは普段はどこかに潜んでいるらしい。
だから基本的に人には見えないのだが…
それがたくさん出てくると、このように濃い霧が出てきたり幽霊が見えたりするわけだ。


「こういうときは… そう、聞き込みよ!」
「へ?」
「というわけで、ちょっと知り合いの子たちに話聞いてくるね~」
「ま、待て…!!」





一人取り残された。
…この幽霊群の中に。
「まいったなぁ…」


その頃ムウマはというと。
「あっ、ゴーストちゃん! 貸したゲームどうだった!?」
「面白かったー! やっぱりゲームはアンタに選んでもらうのが一番だね!」
「ふふふー、人の傾向から合うゲームを判断してるからね。 私に任せてよ!」
ゲーム談義に花を咲かせていた。


「…なんか幽霊がいっぱい集まってきてるような…」
「…ああ、眠くなってきた…」
ヤバイ。
本能的にそれは感じるが、ムウマはどっか行っちゃったしどうすることもできない。
眠い。マジ眠い。どうしよう、もういっそねようか。むうまはどこだろう
ねむい むうま どこいっ  ねむ うま


その頃ムウマは。
「はぁ!? やっぱりUM-XAでしょ!」
「ムウマちゃん、なに言ってるの!? ボルケーノ6Wで群れごとなぎ払った方が早いでしょ!」
「狙い撃ちできないロケットランチャーなんて要らない!」
熱く語り続けていた。


「あー、あれは綺麗な川だなぁ… 泳ごうか…ふふふ」
その頃マスターは、幽霊たちに囲まれ「ゆめくい」の餌食になっていたのだった。
「ウホッいい…死んだおじいちゃん!? アッー!!」


「マスターごめーん、遅くなっちゃっ… あっ」
そこにはすっかり干からびたマスターの姿が!
「わーわー! ごめんこの人私のマスターなの! ゆめくいはしないで~」




なんとか一命は取り留めました。
ムウマいわく、てんやわんやな状況で情報収集が大変だったそうです。
…やけに楽しそうな顔なので100%嘘でしょう。

「…で、なんか黒服の人が何人も来てるんだってー」
「へー。んで?」
「その人たちと喧嘩してる幽霊が一部いるみたい」
「一部? でもその割には」
「あとは野次馬。」

…お祭り好きなのか、ここの幽霊どもは…
気のいい人たちというムウマの言葉も嘘ではないようだ。





先へ進む、もう最上階は間近だ。
そんな時…

「タチサレ…タチサレ…」

どこからともなく声がする。

「タチサレ…タチサレ…」

ちょっと怖いので景気付けにボケてみる。

「だが断る」

「………… タチサレ…タチサレ…」

無視された。鬱だ



へこんでいたとき、ムウマがひょっこり顔を出してきた。

「もしかして… ガラガラのお姉さん?」
「あらぁ、もしかしてムウマちゃん?」

この幽霊も知り合いかよ!



「えっと、紹介するね。この人はガラガラのお姉さん。若く見えるけど実は子持ち」
「見えるけど、は余計よぉ」

確かに若い。20代に見えるんだが… 一体何歳なんだろう?失礼だから聞かないけど。


「でも前に会ったときは生きてたよね…? どうして死んじゃったの?」
「……殺されたの。上にいる黒服の奴らに。」




そういえば新聞でやっていたな。
この街の近くで、カラカラとガラガラの親子がロケット団に襲われたとか。
親は殺され、子供は保護されたって話だったけど…

「まさかそのお母さんで?」
「そうよぉ」

逃げる途中に殺されたが、娘を守りたいという未練から幽霊になったらしい。
…で、折角なったんだからということで復讐しようとしているそうだ。


ガラガラさんが言うには、
「戦うのはいいんだけど… 邪魔が入ると困るのよねぇ。」
というわけで人払いをしてたらしい。確かに野次馬多いもんね…



「でもムウマちゃんがいるなら助かるわぁ。後ろの幽霊連中の相手、お願いね」
「え?」「え?」

ムウマと台詞がかぶった。完璧なタイミングで。

「ちょっと上の人たち斬ってくるわぁ」
「が、ガラガラ姉さん! 一人でなんて危険すぎますよぉ!」
「大丈夫よぉ、私強いもの。」


そう言って上に登っていくガラガラさん。
…と、それを見ようと押し寄せる幽霊ども!
こいつらはーーーーーーーーーッ!!





「さて…と。地獄から舞い戻ってきたわよぉ。 …貴方たちを倒しに、ね」
ロケット団員たちはうろたえている。
「な、なんだこのゴースト…いや、ガラガラか? お前は一体」
その一瞬の隙が命取りになった。

手前の団員が倒れたのを見て、すぐ横の団員がそちらを見た。そして次の瞬間倒れる。
そこでようやく、後ろの二人の団員が動いた。


「安心してね、みねうちだから」
「く、クソッ! やっちまえ!!」


残ったロケット団員二人が、一斉に手持ちの萌えもんボール全てを投げ放つ。

「あらあらダメよぉ」

一瞬で距離を詰め、

「ちゃんと投げる位置を考えなきゃ」

抜刀、居合い切り。ボールの開閉スイッチを破壊する。

「…ね?」



ロケット団員が投げたボールは合計9個。
初撃で4個のボールを破壊、外に出てきた萌えもんは5匹。
1対5と、圧倒的不利な状況ではあるが…


「残念ねぇ」

「観念しな! アーボック、かみつけ! ベトベターは相手の足を止めろ!」
「マタドガス、ドガース、ヘドロ攻撃の十字砲火だ!」

姿勢を低くしマタドガスに突進することでヘドロを回避、追い抜きざまにふといホネを振りぬく。
そのままジャンプでベトベターをかわし、追ってきたアーボックを迎撃。
噛み付こうとしてきた頭を叩き落す。

「どのような戦力差があろうとも…」

「ちっ! いけ、ゴルバット!」
「ドガース、スモッグで援護しろ!」

目を瞑り、気合を溜める。そして一閃。
スモッグを切り裂いて、相手のドガースの姿が見えた。
上から来るゴルバットは前進することで回避、一気にドガースを打ち倒す。

「今の私は負ける気がしないのよぉ」

「余裕ぶりやがって…! ベトベター、どうにかしろ!」
「何ボケッとしてんだゴルバット! もう一度突っ込め!」

真っ直ぐ突っ込んでくるゴルバットを燕返しで叩き落とし、
手に持ったふといホネをベトベターに投げつける。
戻ってきたホネブーメランを手に取り、団員二人にみねうち。

「これにて終了…っと。 あとは…」



奥にいるフジ老人を見やる。

「おじいさん。 私の娘は、元気?」

「そう…元気ならいいの。 早く家に帰ってあげて…心配してるだろうから。ね?」

「私の墓の手入れなんていいからぁ… あの子のことを、めいっぱい可愛がってあげてね。」

そう約束し、その場を離れた。






「ムウマちゃん、どうだったぁ? 私の戦いぶりは」
「はいっ! すっっっごくかっこよかったです!!」

野次馬に混ざって戦いを見物していたのだが、どうやら普通にバレてたようだ。

「あぁ…あいつらを倒せて満足したわぁ。 逮捕とか、あとのことはお願いねぇ」
「……成仏、するんですか?」
「そうよぉ。 もう心配事もないし…ね。」

その瞬間、ムウマが大声で叫んだ。
「いやです…いやですッ! 私は、ガラガラさんと…もっと一緒にいたいですっ!!」

それを聞いて、ガラガラさんの顔がほころぶ。
「…あらあら。可愛いムウマちゃんにそんなこと言われちゃあ… 残るしかないわねぇ」

「ホントですかっ!?」
「えぇ。 助けが必要ならいつでも呼んで、ね? すぐに駆けつけてあげるから。」
「やったぁ!! ありがとうございますっ!!!」
「それじゃ、またねぇ」

ガラガラさんの姿が薄らいでいき…見えなくなった。


「えぅっ!? ガラガラさん、消えちゃいましたよ!?」
「呼べば来るって言ってたけど」
「う~ん… ガラガラさーーーーん!!」

ムウマが叫ぶと同時に強烈な風が吹き、思わず目を閉じた…
次の瞬間、目の前にガラガラさんがいた。

「呼ばれて飛び出て~。どうしたの?」
「ぁ、ホントに来てくれたんですねっ!」
「なんだ、そんなこと心配してたの? ちゃんと居るわよぉ」
「良かったぁ……!」
「可愛いわねぇ、ムウマちゃんは♪」




そんなこんなで、ガラガラさんが仲間に加わってくれました。
ムウマが呼ぶと出てきます。超頼りになります。
さーて…

「何逃げようとしてるのかな? ムウマ…」
「ギクッ!」
「イワヤマトンネル、行くよ」
「えぇぇ~~~!! 旅なんていやですよぉぉぉぉぉ…………」

嫌がるムウマを引きずって、僕は街の外へと旅立つのだった…


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・ムウマ Lv13
 タイプ:ダメ幽霊
 わざ: 食べる ゲームする 寝る 降霊術

 とくせい:オールラウンダー(全てのジャンルのゲームができる)
 もちもの:「ゲームギアはさすがに重いので持って行くのを断念しました!」

引きこもりのくせしてゲーセンには行くダメ幽霊。
ガラガラさんを呼び出すことができるようになった。
降霊術だと本人は主張するが、単に叫んでいるだけである。



・ガラガラ Lv48
 タイプ:じめん
 わざ:みねうち いあいぎり つばめがえし ホネブーメラン など

 とくせい:おたすけキャラ(初期能力は高いが成長率は悪い)
 もちもの:ふといホネ

おっとりお姉さん。ふといホネで敵を蹴散らす剣豪。
努力値は既に攻撃・素早さに全振りされておりメガ強い。
普段はどこかに引っ込んでいて見えない。ムウマが呼ぶと出てくる。

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最終更新:2008年08月20日 19:23
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